AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

新しい虹

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(2期)

第9話「The Sky I Can't Reach」

感想レビュー

 

 

前回もそうだったけどこの後半に入ってからの各エピソードの密度とカタルシスがえげつなさすぎてみんな「最終回何するの...???」ってなってんのほんと面白い ワイもなってます

でもまだ12人で歌うのが残ってるし、安心と信頼のニジガクアニメなのでその辺バチっと決めてくるんだろうな...この「次はどれほどのものが来るんだ...!?」感、フリーザの多段変身を順々に味わわされてるみてぇだ

「このニジガクアニメは回を追うごとにエピソードのカタルシスがはるかに増す...そのエピソードをあと4回(多分)も残している...その意味が分かるな?」

 

同好会の皆が支え合う力により描き出したスクールアイドルの魅力を目にし、自分には届かない夢・高みを実感してスクールアイドルを辞め帰国しようとするランジュ、そんなランジュを引き止めんとするミアにフォーカスした今回のエピソード。2期新規メンバーもこれで一通り掘り下げと相成りましたね しかし毎度毎度言っちゃうけどほんと各キャラの掘り下げ方と他のキャラとの絡め方が上手い...

正直ミアは2期新規組の中でも特にスクールアイドルというところから(直接的でないという意味では)一歩引いた位置にいるという印象の濃いキャラだったので、栞子以上にここからどういう感じで食い込んでくるのかと気になっていましたが、歌うことが大好きだったけど、テイラー家という高名な音楽一家の娘という肩書きにかかる重圧を自覚したことで純粋に自分を表現することができなくなった、という軸をスッとストーリー上に引いてその辺の導線を引きつつミアというキャラクターに一気にグッとフォーカスしてきたのは安定のニジガクアニメの作劇という感じでしたね。それでいて唐突な感があるかというとそうではなく、「自分達は観客や表現者が求めるものを作りさえすれば良い」という今までのスタンスが、自分を表現することを恐れるようになったが故の好きの気持ちの反転によるものであることが感じ取れたり、前回述べていた表現者としてのスクールアイドルへのリスペクトの気持ちが、歌うことが好きだったミアの心からの尊敬であった(そうできなくなった今の自分と対比されるからこそ余計に、というところも含め)ことが読み取れたり、と今までのキャラ描写と符合し深みとなっているのがまた巧い。侑が“自分”の曲を作って演奏した時嬉しそうにしてたのも、フェス最終日の曲作りにめいっぱい協力してくれたのも、自分を表現しようと頑張る侑が輝いて見えて、それを応援したいと心のどこかで思ったからなんだろうなぁ、とも思えるし、いつもつんけんしてる感じのミアの純粋な可愛げみたいなところが鮮明になったのとても良かったなと こういう改めて思い返してみて「あれってそういう!」となる、みたいな「2度美味しい」的なキャラ作りも絶妙なんだよなこの作品

 

そんなミアに対し、「“ミア・テイラーの曲じゃなくて、ミアちゃんの曲が聴きたい」と、テイラー家の高名がどうとかは関係なく、ミアにもっと自由に自分を表現する楽しさを感じて欲しい、と手を差し伸べ背中を押す璃奈がとても眩しくカッコ良かったですねぇ 「過去の自分に囚われて塞ぎ込み、自分は前に進めない/自分を表現できないと思い込みかけていた」というミアの境遇はある意味璃奈とも通ずるものがあるので、そこにおいてかつてみんなから優しく受け入れられ再起することのできた璃奈が、今度は受け入れ手を差し伸べる側になったというのがもうね、たまらんすね...今まで璃奈の成長を見守っていて「いずれ璃奈も愛さんが自分にしてくれたみたいに誰かに寄り添い支えられる人間になるんだろうなぁ」なんて思ってたけど、もうなっていたんだよ、というのが熱すぎるんよ 璃奈はニジガクでも好きなキャラ上位なので、ここで1期2期通しての成長の一つの極致が見られたのはとてもグッときたなぁ  見た目といい性格といいどことなく璃奈に似てる感があるなという印象のあった幼少期に美里さんと交流して明るくなった愛さんがそんな自分の幼少期に似てる璃奈に話しかけ、やがて璃奈が自分と同じような境遇のミアに寄り添う、という連綿と受け継がれる絆、良すぎないか

 

かくしてここから、再び自分の夢へ手を伸ばすべく立ち上がったミアが、自分の手は高みへ届かないと夢を諦めるランジュへ向けて送る、自分の夢を叶えるために作った自分の曲、という流れでミアのソロライブパートへ移行する後半の一連の展開、最高にボルテージが上がりましたね...クールなミアがめいっぱいの感情をぶつけ自分の“好き”を繰り出す、引いては相手の求めるものに応えるばかりではなく自分を表現する者となる展開はカタルシス満点だったわよ  「自分は諦めず手を伸ばすぞ、なのにキミはこんなところで諦めて終わるのか?」的な強気に発破をかけるような言い方なのが、頑ななランジュに対する後押しとしても、ちょっと生意気なところのあるミアの性格を踏まえた言葉としても良く似合ってる、というところも実に良きね

そしてミアのソロ曲「stars we chase」のライブパート。アメリカ出身のミアのキャラを落とし込んでか、曲自体がなんか海外音楽的なアトモスフィアを感じるリズムや声の通り方をしており、加えて横に大きく広がったアスペクト比や英語の歌詞が字幕として表示される演出などの画面全体の質感もどことなく洋画的(で合ってるかな?)とでも言うような感じになっているなど、今までのソロ曲の中でも一際個性が際立つオサレさ溢れるものになってたのが目を惹いた見応えあるライブパートでしたね。メロディライン等にクールな雰囲気を漂わせつつ、尻尾のひょこひょこ動く猫パーカー着て歌ってたりサビのパートの振り付けがぴょんぴょん跳ねる動きを入れてたりとちょっと幼い感じの可愛さも含んでるというコントラストも面白かったし、かつて心強い折れてしまった舞台に立つ幼いミアが再び夢に向けて進んでいく意志を示すように鍵を手にし、笑顔で背中を押され前へ進み出すという叙情的で象徴的な演出もグッときたしと、ミアのキャラやドラマがしっかり詰め込まれてたのもグッドであった。ミアの背中を押す手が誰のものかをはっきり描かないことで、あの手が表すものが「再起した今のミアがかつての自分へ送ったエール」とも「ミアに寄り添い自分を表現することを応援してくれた同好会の面々の後押し」ともどういう風にも取れる塩梅にしてたのがまた粋だったね(曲のタイトルが「僕達で追う星」的な訳なのを思うと、一緒に星=夢を追う仲間達、的な意味合いから後者なのかもなぁと個人的には思う)

 

こうしてミアをはじめ、栞子や同好会の面々といった自分のために集まってくれた者達の後押しや励ましを受けランジュは再びスクールアイドルとして夢を追うことを決意、そして栞子やミアと切磋琢磨し合うスクールアイドル同士として「仲間にしてライバル」たる関係になり、皆で同好会へと加入する、というこの2期が始まった時から長らく待ち侘びていた展開が熱く描かれ非常に沁みるクライマックスとなりました。いやぁ最高(最高) これを待っていた...

2期新規キャラ3人のドラマをそれぞれしっかりと掘り下げ、その関係性まで印象深く描いた上で「3人がスクールアイドルとして同好会に加わる」という見たかった展開をマックスボルテージのドラマを乗っけてぶつけてくる、これを外さないからニジガクアニメは強いのだ...

 

ここの展開の中で「相手の気持ちが分からないせいで強い物言いをしてしまい、他人が自分から遠ざかっていってしまうことに心を痛めていた」という背景が明かされると共に、「そんな自分でもソロアイドルなら自分を表現できると思った」という想いや、その裏にあった「本当は同好会のみんなと一緒にいたい」という本心が強く滲んでたランジュの描写もまた良きところでありましたね。相手に対し加減なしに踏み込んでいってしまうから距離をとられる、それが寂しいから友達が欲しいし本当は同好会のみんなとも一緒にいたい、でもどうしても人の気持ちが分からないから1人でいるしかないと自分を縛ってしまう...と、一見強気で高飛車だけど実際凄く素直で不器用で繊細なんだなぁ、みたいなところが一気に描かれグッとキャラ像が深まったのが面白かったなと。特に「栞子が本当はスクールアイドルをやりたいと思っていた」という事実に気付けなかったことが、「一番近くにいる親友の気持ちも理解できなかった」「仲良くなりたかった同好会と親友が心を通わせ、自分からどんどん離れていってしまう(ように思えた)」という自身の欠点や孤独を痛感するところへ繋がっていく辺りには、色々考え込んでしまいやすい繊細さや自分に優しく寄り添ってくれた栞子への親友としての思い入れとかが窺えてやっぱり根は優しいし実直だよなぁとなったね。「親友として自分を見ていて欲しい/構って欲しい」的な感情と合わせ、栞子との関係性の深みもより感じ入ったし、今までの積み上げからのキャラ性の昇華・強調が見事だった 強いて言えば、そのバックボーンになった「友人達はみんな自分から距離を置いていくようになった」という部分を止め絵とかで良いからもっと詳細に回想で描いて欲しくはあったよなぁとはちょっと思うところ より感情移入し切るためのもう一押しは欲しかったかなと(1期での璃奈の過去についての語りの時といい、重すぎる部分を詳細に描かないのは良くも悪くもニジガクアニメの特色って感じかもね)

 

そんなランジュの心を、自分達を成長させてくれたランジュのことを受け入れるために駆けつけた同好会のみんなをはじめとした“仲間達”の想いや存在が動かし包むというのが良かったなと改めて。自分の心に蓋をしてたことが自分だけでなくランジュも苦しめてたことにちゃんと向き合った栞子の気持ち同好会のみんなが集まったことの意味をしっかりと説いたミアの優しさも光って、且つ「過去の自分に囚われて本当の自分の“好き”を表現することを恐れてしまった」という共通する軸を基に、そこから再起したランジュ・栞子・ミアの3人が一緒に手を取り合う流れもバチッとハマるという、この2期新規組の3人全員に綺麗にフォーカスしてまとめ上げる流れも鮮やかだったし、ほんと文芸的な芸術点高いですよこのクライマックスの流れ...2期における要素を中心とした作劇にしっかり確固たるドラマ性を設けつつも、同好会の存在も欠かせぬものとしてしっかり絡めてあって、どれもニジガクという作品に物語を成す意味ある存在として活きた見事な構成だった

 

かくして同好会の仲間も増え新たに前進というところで締め。最後には果林先輩の保護者も増えました()  もうねぼすけで他人を振り回せないよパイセン(そういえばもうだいぶ前のことではあるけど愛さんにはあの時のこと礼言ったんだよな!!?)

 

 

以上、ニジガク2期9話でした。ミアメイン回でありつつ、ランジュの話をしっかり突き詰めそこに栞子の存在も絡めてドラマをより引き立てる、という形で2期新規キャラの3人をしっかりと掘り下げ切りまとめ上げた作劇が劇的な良エピでありました。2期で新たに加わった要素を余すことなく昇華し紡がれる展開として見たかったものがバッチリ見られて、且つその昇華のさせ方に期待以上の鮮やかさを見せつけてきたの、やはりニジガクアニメは強い...と今までもさんざっぱら思ったけど改めて実感しましたね ここから物語は一気にクライマックスに突入、って感じだろうから、目が離せませんね 楽しみだ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた