AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

遥か空の星から

シン・ウルトラマン

感想レビュー(前編)

 

 

※一応公式からネタバレ解禁令は出されておりますが、本記事は本編のネタバレを多分に含んでおります。未鑑賞の方は鑑賞後に読まれることをオススメします。

 

遥か空の星が ひどく輝いて見えたから

僕は震えながら その光を追いかけた

 

樋口真嗣×庵野秀明コンビをはじめとしたシン・ゴジラ製作陣が新たに手がけた「シン」シリーズ新作として2022年5月13日に封切りとなり、公開から早1ヶ月半ほどが経った現在も動員262万人&興行収入40億円突破間近(2022年6月24日発表)と勢い盛んな「シン・ウルトラマン」、自分の周りでも既に多くの方々が鑑賞され大きく盛り上がっておりますが、当然、一ウルトラマンファンとして私もバッチリ鑑賞致しました

というか初日に観て以降もう計3度も劇場に足を運びましたわよ!!!隔週ペースで行きましてよ!!!いやぁほんと面白いですわよシン・ウルトラマン

映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント on Twitter: "祝・観客動員数262万人突破! 興行収入39億円突破!! 映画『#シンウルトラマン』 本編冒頭映像10分33秒を 本日20:00〜東宝MOVIEチャンネルにて プレミア公開! 6/26(日)19:59までの 48時間限定公開! ぜひご覧ください! #大ヒット上映中" / Twitter

そんな絶賛どハマり中の本作、ズバリ一言(?)で評するならばウルトラマン愛溢れる者達がお届けする、全ての人達に送るウルトラマンの物語」といったところであり、ウルトラマンの「人間と出会い彼らを愛した1人の宇宙人」というキャラ性のピックアップ・リファインを中心に濃密に仕上げられたドラマや、そしてウルトラマンというヒーローの泥臭く心躍る戦いを緻密な映像美で愚直に描き上げた特撮など、50年以上も昔に多くの子供達を魅了した名作ヒーロー特撮たる原作の妙味を新時代的な表現により描き上げ、詰め込み、現代に再び降臨させた名作であったなと感じますね。ウルトラマンを知ってる人、知らない人、コアなファンの人、新参の人、大人、子供、男性、女性...とにかく全ての人に垣根なく観ていただき、 色んなことを感じて欲しい一作であるなと

というわけで今回は温めに温めた(なかなか忙しかったのとTL等での本作の盛り上がりを楽しんでたのとでなかなか書けなかっただけです)本作の感想をつらつらと書いていこうかなと 是非最後までお付き合いいただき、少しでも楽しみを共有してできればなと思います。シェアハピ、私の好きな言葉です(雑擦り) ではどうぞ

...と思ってたんですけど色々語りすぎて凄まじく長くなりそうだったので前後編に分けることにしました!!申し訳ない!!(後編もそのうち上げます)

 

 

●シンの再臨─「タイトルバック〜冒頭」

舌の肥えたウルトラマンファンなら予想してたであろう通り、本作のスタートはあのサイケデリックなぐるぐるがタイトルロゴを形作っていく演出からスタート(ここを現代的なCGを用いたオサレなものにしてたのが実にグッド)。しかしここ、原典通りウルトラQが出てからの「(シン・)ウルトラマンのロゴがドウン!バァァ-ン!で現れる演出になるんだろうなぁとてっきり思っていたので、「ウルトラQ」ではなくシン・ゴジラのタイトルがまず出るところからきたのは良い不意打ちでありました。原典がウルトラQウルトラマンの系譜で繋がったのを示すタイトルバック演出になってたように、本作は「シン」シリーズの系譜ということでそういう形を取ったのが粋であったなと

そしてさぁ始まるぞシン・ウルトラマン、となっていたら、

暗闇で見開かれる目

聞き覚えのある鳴き声

トンネルから逃げ出す作業員

ゴ  メ  ス

の流れ!!!(正直鳴き声とトンネルの時点でもう反射的にあっ!てなって飛び上がりそうになった) 原典のゴメスがゴジラのスーツの改造であることを踏まえてシン・ゴジラに通ずる動きや質感、顔立ちをした言わばシン・ゴメス(ビジュアルもご丁寧にシン・ゴジラの雛形模型の実物を改造したやつとアートワークスに乗っておりました)が初っ端から大スクリーンを席巻する姿に早速興奮させられるというあまりに上々すぎる導入。ここで初手にゴメスを入れたことで、Q→ウルトラマンの系譜としてもシンゴジ→シンマンの系譜としても絵面がグッと引き立つのが見事なんだよな

しかもそこから間髪入れずに、

マンモスフラワー

ペギラ

ラルゲユウス

カイゲル

パゴス

という怒涛の「シン・ウルトラQ」!!!

あの不気味ながら安心感あるメロディのOPをバックに進撃する大迫力の怪獣達を詰め込んだこんな濃厚なものを冒頭から叩き込まれ、既に私の目は私の体を離れてこの空想特撮映画へと没入していってましたね...いやはや、ウルトラマンやるのはいいけどウルトラQはどういう扱いにするんだろう?とか考えたりはしてたけど、こうきたかと。こんなの見せられて喜ばねぇウルトラマンオタクはいねぇ!!

この冒頭の流れ、やっぱウルトラマンウルトラQもあってこそだよなぁというオタク心を刺激する遊び心ある演出であると共に、禍威獣出現や禍特対設立といった「シン・ウルトラマン」パートへの導入となる要素を濃密ながらもスッと飲み込みやすい形で示すようにもなっていて、この辺はスマートで唸りましたね。オタクの心を掴むにも初見の人をグッと引き込むにも最高の出だしであった まぁどっちかというと樋口さん庵野さんのオタクパワー全開展開だったと思うけどな!!() ゴーガを原案名のカイゲルで出したり、お馴染みのスーツ繋がりネタでパゴスをこの後登場のネロンガガボラのミキシングデザインにしたりとか、最初から飛ばしまくってて最高である(パゴスの撃破を「凍結」としたことでシンゴジのクライマックスを彷彿とさせる粋な演出も良きでした) 強いて言えばパゴスの頭部はまた違ったデザインで見たかったものだが、これも「この怪獣、あの怪獣となんか似てない?」という改造スーツの怪獣を見た時の視聴者の気付きという感覚を分かりやすく与えるためにわざとやったんだろうなぁと思えるのもまたオタク的で味わいある

 

●来たのは誰だ─「ネロンガ・銀色の巨人登場」

ここから話は現代へ移り、ネロンガvs禍特対のシーンへ。逃げ惑う人々や蹂躙される町と併せ精緻なCGにより細部まで作り込まれたネロンガの圧倒的な破壊・進撃の描写や、専門的なワードを密度高めにスピーディに繰り出しつつもテンポの良さでそれらを鮮烈にリアリティへと昇華してくる禍特対と自衛隊の対処描写など、良い感じにシン・ゴジラのテイストを感じる作劇で、シン・ウルトラQから引き続いて観客の注目をガンガン牽引してくるのが実に良きところでありました。地対空ミサイル発射のシーンのミリタリ色といい、ミサイルを放電で残らず撃ち落とすネロンガの圧倒的な力の見せといい、実際この辺はシンゴジを彷彿とさせる場面が多かったし、一種のセルフオマージュもあったのかも  ネロンガの放電の正確無比さは初めて劇場で観た時もシンゴジ終盤で戦闘機が落とすミサイルを熱線で破壊していくいゴジラを少し思い出したのよね

またここで動いてる姿が初見せとなる禍特対メンバーの方も、各人の自己紹介等はこの時点で特に無いもののそれぞれ言動に個性がしっかりと滲み出ていて見ていて楽しかった。ネロンガにマジレスする大人気ない滝くん良いよね() たしかに(電気ある時に透明じゃなくなるんだ...)とは昔からちょっと思ってたけどさぁ!!エネルギー満腹の万全状態でこそ威嚇のために姿を現すのだから理に適ってる、という神永さんのフォローは納得だったが

からの満を辞してウルトラマン降着。あの赤い光球の状態で地面を爆裂させながら降り立ち、その衝撃でネロンガの巨体をも軽々と吹っ飛ばし衝撃波を荒れ狂わせるというインパクト大の登場に早速おぉ〜と引き込まれたものでしたが、真のサプライズはここから。まさか文字通りに「銀色の巨人」で現れるとは思わなんだな...公開前から考察されてた通り、生物的な凸凹を湛えたAタイプフェイスで最初現れるところまでは予想できたけどこれは本当予想外であった。あのほんのり不気味さを含んだAタイプ顔に、細身のスタイルとそれがいっそうのっぺりして見える銀一色のカラーリングが合わさったあの生物的とも無機質とも取れる得体の知れない出立ちはどこかグレイタイプ宇宙人を彷彿とさせるものがあり、まさに正体不明のエイリアンというところに相応しいデザインラインで秀逸でしたね ファン間では「ウルトラマンがテレビで初お披露目となった『ウルトラマン誕生(ウルトラマン前夜祭 )』という番組がまだモノクロ放送であり、当時の子供達が初めて目にしたウルトラマンも白黒だったであろう」というところをオマージュし白黒っぽいカラーリングの銀一色になったのでは、とも言われていてここも好きなところ

そして場面はウルトラマンvsネロンガへ。ネロンガの放電を大胸筋ガードで物ともしないウルトラマンという原典の演出をガッツリ踏襲する形でのウルトラマンの存在感(ここのウルトラマン、電撃が足を伝って地面に流れていくカットが入ったりと無機的な雰囲気が濃いのがとても好み)を印象付けてくるところからのスペシウム光線!!この流れには痺れましたね...遠くのネロンガに向け長く放たれる光線を引きの画で豪快に見せる大胆な構図や山を砕きネロンガを吹っ飛ばしていく凄まじい威力の演出と、一つ一つがパワフルで震えたわよ 「空気のプラズマ化」「一体、何ギガジュールのエネルギーだったんだ」などの科学的な表現を交えてその威力のほどを「なんか分からんがなんか凄いんだな!!」という感じでいっそう強調してくる辺りとかはなんとなくシンゴジラの風味も感じたところでここも面白かった 実際に空気中にプラズマはピリピリと迸ったりとかこういう細かな表現の積み重ねを効果的活かしてる拘りも流石

てか予告だとスペシウム光線ぶっ放してたのは普通に赤銀カラーリングの状態のウルトラマンだったのに本編にはそんなシーンなかったじゃないですかぁー、嘘予告じゃねぇか!!!(

そんなネロンガとの決着を果たし空へと飛んでいくウルトラマン。その直前彼が何かに気付いたように後ろを振り向くカットがあるわけですが...ここは2周目以降いっそう深みが増す良いシーン。その視線の先にいた男の自己犠牲の姿が、ウルトラマンの“心”を動かし物語を大きく動かしていくという...

●真実と美の化身─「浅見出向・ガボラ出現」

ネロンガ撃破・ウルトラマン消失を経て、長澤まさみさん演じる分析官・浅見弘子が禍特対に出向する形でストーリーに参入。前述のネロンガパートではほんのり描かれるのみだった禍特対メンバーの掘り下げもぐんぐん進んでいく流れとなっており、主要人物達の会話劇でドラマが盛り上がっていく様が楽しかったです。ネロンガパートの「毎度お邪魔しまぁ〜↗︎す」「面白いわぁ」から引き続き、霞ヶ関の独立紅蓮隊へようこそ〜♪」「虫出るからやだぁ〜」と次々印象深い語録が飛び出す船縁さん、ドラマ面に良い感じに華を添えてくれて良いよね 程良く気さくで砕けた感じが「こういう同僚1人くらいいると空気が柔らしくんって職場楽しいやろな」って感じで好きなところ(しかも劇中でちゃんと明言されてる中だと禍特対メンバー中唯一の結婚済みメンバーという 勝ち組すぎる)

ここから神永さんはウルトラマンが一体化した状態でストーリー上に出てくるようになるのですが、ここの斎藤工さんの演技も凄く良かったところ。どうも噛み合わない感じの会話もさることながら、微妙に抑揚のない喋り方やぎこちなく顔ごと視線を動かす動きなど、絶妙に人間的な情緒の機微を感じない言動や表情の表現が上手すぎて、一発で「あっこれ神永さんさっきとなんか違うな?」と分かる(ウルトラマンオタク的にはあっウルトラマンと一体化したな?というところまで分かる)宇宙人的な演技の堂に入り方が凄いんすよね 自分はあまり意識して見てなかったから改めてじっくり観察してみたいポイントなんだけど、人外演技では定番の「瞬きしない」も徹底されてたとのこと。こういうの言われてからでないと分からないポイントではあるんだけど、それでもなんとなく異質な雰囲気を画面を通じて感じるってことは意識してないところでちゃんと効果的に働いてるんだろうなぁと  そんな浮世離れした神永さんとのやりとりに、浅見さんがだんだんドン引きしていく流れはめちゃくちゃ好き。w 「バ  カ  な  の  こ  の  男  は...???」

続いてストーリーは禍威獣ガボラの出現、そして禍特対とウルトラマンガボラとの戦闘へ。ここでウルトラマンへの変身→出現の一連のシークエンスが初めて描かれ、最初のどこか不気味な銀カラーリングの姿からお馴染みの赤ラインの入ったカラーリングとなったウルトラマンも初登場。人間─神永さんと一体化したことで「血が通った」と取れる感じの表現になってるのがまた上手いよね ウルトラマンの姿を目にした浅見さんがふっと「綺麗...」と溢す辺りに、ウルトラマンという光の巨人の威容が内包する美しさを端的に示す辺りも“分かってて”とても好きです 真実と美の化身なんだよな...やっぱり

そして展開されるウルトラマンvsガボラ戦。飛行体勢で垂直に飛来しておもむろに回転を始めその勢いでガボラを蹴り飛ばすウルトラマンが初手なのあまりにも強すぎる() 回ればなんとかなるはウルトラシリーズの一つの定番だが、ここでいきなりぶっこむんじゃないよふふってなっちゃうんだから(

その後のガボラとの戦闘は、ウルトラマンや禍威獣をCGによって表現してることをフルに活かし外連味の効いた迫力満点の攻防をめいっぱいに見せてくれていてとても面白かったところでした。火花と粉塵を散らしながらネロンガのドリルを受け止めながら紙一重でかわすウルトラマンネロンガの二股になった尻尾をふん掴んで振り回す豪快なジャイアントスイング辺りがとても良き。怪獣をジャイアントスイングでぶん回すのウルトラシリーズで久しく見ないのでとてもありがたかった デザイン的にもけっこうアレンジのエッジ効いてたガボラだけど、攻撃の仕方も個性際立つまくりで凄く面白かったなぁ

そしてガボラの激ヤバ光線を身を挺して受け止め被害を抑えたり、爆破して倒すとヤバめなことになるガボラスペシウム光線ではなく殴打で倒し後処理も請け負ったりしたウルトラマンの姿に、禍特対メンバーがウルトラマンを単なる異質なエイリアンではなく正義の心を有した融和の可能性を有する存在と見ていく流れもウルトラシリーズの王道をしっかり押さえてくれていた実にグッときましたね。やはりウルトラシリーズの妙味の一つは、ウルトラマンという正体不明の巨人の出現への戸惑いからそこに宿る正義を感じ取り徐々に通じ合っていく様だから、そこをきちっと丁寧に描写し押さえてきてるのもグッド ウルトラマンと人間のアイコンタクトからしか抽出されない旨味は確実に存在してるんやで

しかし肝心な時いつのまにか現場からいなくなってて、全部終わった後にしれっと笑顔で戻ってきてる神永さん、ウルトラシリーズの定番とはいえこと本作に関してはマジでしれっとすぎてよくキレられなかったなってなる() 新参の浅見さんが困惑してるくらいで他のみんなはさして気にしてないので「(普段の言動含め)元の神永さんからしていつもあんなだったのでみんな慣れてるのでは?」とか言ってる人がいたの笑ったんだよな...w

 

●遊星から来た兄弟─「ザラブ登場」

ここでフェーズは連続した怒涛の禍威獣祭りから外星人のパートへと移行。人間との友好を築くように見せかけ、その実裏で人間同士の信頼を崩壊させ自滅させるべくウルトラマンをも利用しようとするザラブの暗躍、それに立ち向かう禍特対を描く流れへと相なっていきました。

予告映像の時点から原典の個性的なデザインラインを踏襲しつつスタイリッシュに仕上げたデザインが目を惹いた外星人ザラブでしたが、まさか予告で見せてない裏っ側がびんぼっちゃま仕様どころではない、後ろ半分丸々くり抜かれたペラペラの姿(※実際は後ろ半分が丸ごと透明になってるだけで実態はある、という設定)だったのはたまげた(「表向きの外面は良いけど、その実後ろから見ると中身は真っ赤で薄っぺらい奴」というザラブの邪悪さの体現、という考察が凄く秀逸で良きである)。声を演じた津田健次郎さんの演技も、ウルトラマン/神永さんとはまた違う感じで感情の機微が薄い感じの、徹底的に抑揚を減らした喋りが凄く耳に残って良かった。「無い。(中略)どこに隠した。」からの「まぁいい。」のとことん冷淡な感じ凄く好きなんです  最近のツダケンさんはリバイスのベイルをはじめドスの効いた演技が多かったのでザラブもそういう感じかなと自然に思ってただけにこれは不意打ちだったなぁ

そんなザラブパートでしたが、神永さんをウルトラマンとして拉致しにせウルトラマンとなって暴れ人間達を弄ぶザラブの暗躍からそれに相対する禍特対といった流れが原典のザラブ星人エピである「遊星から来た兄弟」の流れを忠実に踏襲しつつも、シンシリーズらしいリアリティの演出と本作のメインキャラたる禍特対の個性を際立たせるドラマ描写というところでオリジナリティも出してたのが面白かったですね。たとえ相手が誰であろうと秩序を乱す無法者とは戦うという原典のムラマツキャップの台詞をオマージュした言い回しで責任感をバシッと見せつけてくれる田村班長が実にカッコいい。神永さんのマイペースで怪しい振る舞いに振り回され、途中彼が外星人と知って不信をやや抱くも、バディとして自分を信じて待ってくれていた神永さんを信じて想いを託す浅見さんの立ち回りも良いドラマ性が乗ってて見応えがありました。浅見さんと神永さんの

「貴方は外星人なの、それとも人間なの」

「両方だ。敢えて狭間にいるからこそ見えることもある。そう信じてここにいる」

というやり取りも、人間である浅見さんとの信頼を示すと共に、本作を通して描かれるウルトラマンの想い・スタンスを描くものとして良い味が出ていたなと。原典におけるメフィラス星人との敵対時のやり取りをここに持ってくる運びが粋でしたね

そして始まるウルトラマンvsにせウルトラマン/ザラブ戦。作品的にもちょうど中盤といった感じのところに位置する一つの山場の戦闘でしたが、にせウルトラマンが捕まえた浅見さんをウルトラマンが取り返し救う立ち回り、にせウルトラマンの頭をチョップして痛がる人間味を含んだウルトラマンの仕草、正体を現したザラブの念力による反撃からの空中戦と、原典の初代ウルトラマンのにせウルトラマン/ザラブ星人戦の流れやアクションをかなり忠実に踏襲したものになっていたのがとても面白かったですね。特にやるかどうか微妙なラインだったチョップ後の痛がり仕草は遠慮することなく思いっきりやってくれてたのが気持ち良くてとても良かったですね。w(後から知ったけど破片が飛び散るとこまでちゃんと再現されてるのが変態じみた拘りで笑うんだよな) ネロンガガボラ戦がけっこうオリジナリティ濃いめの展開運び・演出が多かった分、ここでマニア的にニヤリとなる特徴的な演出多しの名バウトを思い切りやったのは良いバランス。それでいてただマニア向けなだけでなく、お馴染みのBGM(M5)が満を辞して流れる演出に合わせて上述のウルトラマンによる浅見さん救出の流れが描かれるところなど、ここぞでウルトラマンのヒロイックさを見せつけ盛り上げてくるのが初見さんにも良い見応えになってるのが絶妙でした。シンマンのM5、元の曲の良さを色濃く残しつつロック調の旋律のアレンジがカッコよく効いてるのがマジに痺れるんだわ...最近知ったけど原典だとザラブ星人編がM5が初めて流れるエピなんだとか。そのウルトラマンのヒーロー性が自覚的に描かれていくところが庵野さん的には凄く好きとのこと(下記リンクに発言のソースあり)、ほんとにウルトラマン好きなんだなぁと感心したわね

そんなザラブ戦ですが、ただオマージュするだけに留まらず、スペシウム光線をぶち込まれたにせウルトラマン/ザラブが勢いよく上空へ吹っ飛ばされてくカットを夜の街の俯瞰アングルから追っていく外連味ある構図や、ビル街の隙間を縫うように飛行するウルトラマンの迫力ある画、八つ裂き光輪により豪快にザラブを切り裂き撃破するフィニッシュなど、現代的な映像演出で迫力をいっそう際立たせてくるところも多くてたまりませんでしたね。他のシンマン鑑賞者の方々もザラブ戦が一番良かったと言ってる人はけっこういて、それも納得の名バウトだったなと。良かった

 

 

と、文字数もマシマシになってきたのでとりあえずはここまで。続きは近々アップする後編で...怒涛の後半・クライマックスの感想をお楽しみに。それではまた。

楽しみは後にとっておく、私の好きな言葉です

 

To be continued...