AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

輝け フラッシュ

ウルトラマンデッカー

第1話「襲来の日」

感想レビュー

 

 

小気味良いテクノポップ調のメロディが爽快なOPからの、ジャジーな音楽に乗せた影山さんの力強くも優しい歌声が一昔前のテイストっぽくて安心するED、どちらも味わえるのとても贅沢ですねぇ!!Decker・テンカウント・点火と韻を踏む歌詞とても良き  後半EDはULTRA HIGHばりの激アツ曲だと良いな、と今から考えておく

 

ウルトラシリーズ最新作「ウルトラマンデッカー 」、満を辞して遂に始まりましたね。平成3部作と称されるTDGのD─ダイナをベースにした作品ということで不安もありつつ、放送開始にあたって開示される情報面や監督の心意気に期待の高まっていた本作でありましたが、期待に存分に応えてくれた良き第1話でありました なんか凄く久々に自分がイメージする「ウルトラシリーズらしい第1話」をかなりストレートに描いてきたった感じで安心感があったわね

 

初回の流れとしては穏やかな日常からのスフィア襲来、という激動の流れの中、快活で猪突猛進なカナタ、勇敢ながらも繊細なイチカ、真面目で厳格なソウマといった各キャラの性格をしっかり印象付ける立ち回りを作劇のメインとし、その会話や描写の中に、火星の存在やTPUの怪獣対策のための軍備縮小の話をコンスタントに入れ込んでくるという、前作トリガーからの世界観の接続・主要キャラの人となり・スフィア襲来に際して変わっていく情勢といった様諸要素をバランス良く小気味良いテンポで描かれるものとなっており、この辺かなり見やすく良い滑り出しだったなと。ムラホシ隊長とカイザキ副隊長の会話も良い雰囲気あってなんか好き 火星設定は前作の時点で出ていたものの殆ど活かされずじまいで終わったのが惜しいところであったので、福引きの景品になったりといったちょっとした旅行感覚でも行けるくらいあの世界では普通の場所であると日常会話の中に入れ込み示してくるのがスマートで良かった

中でも主人公たるカナタのキャラ付けが全体通してしっかり強固に行われていたのは非常に良かったところ。近所の人達からも好かれていて初対面の人にもちょっとめんどっちいくらい世話を焼いてしまう快活さ、危機的状況においては自分を顧みず勇敢に他人を助ける勇敢さを持っている好漢としての姿が印象深く描かれていたのが実に惹かれたし、スフィアに取り込まれ朦朧とする意識の中「俺は...俺だ!俺は......アスミカナタだ!!」と高らかに叫び覚醒する力強さも良きであった(本作のベースたるダイナの最終盤においてアスカが叫んだあの台詞をなぞる台詞でありつつも、テイストとしては自分自身を強く信じるカナタの強さをバンと印象付ける本作ならではの作劇としてもハマっている、という絶妙さが見事)。無謀なくらいがむしゃらに誰かを助けようとする漢が光と出会いウルトラマンとなる、というのがウルトラシリーズ的には「これだよこれ!」って感じで凄く良いですよね。ある種の危うさにもなり得る勇敢さに関して、ソウマやムラホシ隊長が釘を刺してくれたのもキャラ描写のバランスの取り方としてグッドでした(ソウマの顔も立てる形で注意はしつつ、カナタの心意気もちゃんと買うというのが大人って感じでええよね隊長) 水と油って感じのソウマとの絡みも、何が生まれ何が変わっていくか楽しみなポイントですね

 

そんなカナタがスフィアに取り込まれそうになる中で邂逅、力を手にし変身したデッカーの活躍も実に痛快でカッコよかった。「輝け...輝け...輝け!フラッシュ!」と輝けを連呼する初変身時の掛け声が、さながら絶望という闇の中で希望の光を振り絞るかのような勇ましさを感じさせて良いアクセントだった  

戦闘の方も、見上げるようなアングルから躍動感バリバリに無双していく縦横無尽のスフィアソルジャー戦、泥臭く豪快なアクションで立ち向かっていくスフィアザウルス戦と、色んな魅せ方の特撮が2度美味しい良いバトルでしたね まだまだ洗練されてない文字通り体当たりな戦い方だったけど、初手のストレートや部位破壊といったここぞで決めるアクションが実に気持ち良かったし、屋外セットのナパーム爆破で盛大に迫力を醸したセルジェンド光線も痛快であった

それにしてもデッカー、今日日珍しく謎の多い未知の巨人って感じのキャラしてるのでこの辺どういう感じに描かれていくか気になるわね ニュージェネシリーズ的にはいずれちらほら明かされていきそうだけど、大元のダイナよろしく謎を引っ張る形で締め括っても面白そうだなと。無愛想な宇宙人ことエックスもけっこう全容は謎なまま終わったしワンチャン引っ張って終わるのはあるかも?「取り込まれたスフィア内部でカナタが邂逅した」「バリアに呑まれていく地球の宇宙からの俯瞰視点(状況的にスフィアの視点と見るのが妥当なもの)を認識できていた」という点から、「スフィアが変異したウルトラマンではないか(地球の俯瞰視点は他のスフィアと共有したもの)」という考察もされていて、けっこう良い線突いてそうな感じするんだけどこれが果たして本当か否かも注目ですね...

 

そんなデッカーとの関連性が気になる今回の敵・スフィアの存在感も今回非常に良きところでありました。火星や地球に突如現れ予告もなしに人間達を蹂躙していくキングスフィア/スフィアソルジャーの得体の知れない恐ろしさ、地ならしと言わんばかりに巨大な前腕で地表を散らしデッカーを踏み潰す圧倒的さがインパクト大なスフィアザウルスと、こちらも魅せがバラエティ豊かで敵として申し分なし(体型/体勢はオーソドックスな二足歩行怪獣だけど、前腕のデカさで四足歩行になってるスフィアザウルスの斬新さ良いよね)。人間達を取り込む「同化」の描写も近年にしてはかなり強めなホラー感があったわね(取り込まれかけていたカナタが「俺は...なんだ...?」と虚な感じで呟いていたシーンを「一体化し理性や自我を喪失していってる表現」って感じに見てる人もいてこれは目から鱗だった。カナタは助かったけど、その前に取り込まれてその後描かれなかった一般隊員達は...)  こないだの記事でも少し語ったけど、近年のニュージェネヴィラン路線にメスを入れ、元のスフィアのキャラ性を踏まえこういう怪奇性高めな敵を配してきたのは良い傾向。今後も保っていって欲しいね

またこのスフィアもスフィアでけっこう謎多めなキャラなのが見所。正直なところ一気に総力投入してしまえばあっという間に地球を制圧できてしまえそうなほどの過剰戦力っぷりだったのに、何故今回地球を宇宙から隔絶するだけに留めたのか、とか不思議なんですよね。デッカーが想定外の事態だったので様子見の意を込め退いたというのが妥当な解釈だろうけど...興味を惹かれる

 

という感じでスフィアとの初戦はデッカーとスフィアの痛み分けのような形で一先ず幕を閉じ、カナタのTPU訓練生としての入隊を描く、という締めとなりました。スフィアのバリアから地球を守ろうと必死に手を伸ばし足掻くも叶わず、けれどめげずに守りたいものを守るために戦いへ身を投じる、というカナタの不屈さで希望を示した良いオチでしたね

と、全体的にキャラ描写もバランス良く行われ目を惹かれた今回であったけど、その中で良い大人な姿を見せてくれてたムラホシ隊長にほんのり不穏な雰囲気が窺えたのは気になるところ。意味深に顔に影をかけた寄りのカットと共に「我々を守ってくれる都合の良い存在=ウルトラマンがいつも現れるとは限らない」と語る姿はなんか隊長というポジションも相まってザビルの思想やF計画を思わせるものがあったので、トリガーの続編として見てもダイナベースの作品として見ても絶妙にヒヤリとするんですよね...デッカーの活躍には嬉しそうにしてくれてたので過激な人ではないと信じたいけど、どう転ぶかまだ分からないぞ的な伏線として目が離せませんね 良い人であって欲しい...

 

以上、デッカー第1話でした、手堅くオーソドックスながらも諸要素の魅せが非常に上手い作劇、そして特撮面の見応え抜群というとても楽しい初回でとても満足でした。武居監督の手腕故か、平成ウルトラシリーズ的な趣を感じられたのも惹かれたポイントかも 原典ダイナに通ずる熱さを仄かに感じられたのもリスペクトとしてグッド 物語的にも謎や伏線が満載で、この先の展開が非常に楽しみです。これから約半年、よろしくお願いしますで

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた