AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ジャッジョ ゲェモン!!

劇場版 仮面ライダーバイス バトルファミリア

感想レビュー

 

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意の上、鑑賞された後に読んでいただくことをお勧め致します。

 

ギーツくん、マスクオフならぬマスク(だけ)オンみたいな感じで出てきたけどアレ本編でもやるの君?

という疑問(多分あまり気にされてない)

なかなかにスタイリッシュなガンアクション演出で良い感じに先行登場を飾ったギーツだったけど、果たして本編ではどういうアクションを見せてくれますやら ドライバーが半分アクセルドライバーやねとか、あのキツネと化すバイクどんだけ使われるんだろうかとか、色々気になる まぁ今はとにかく率直に面白いと感じられる作品であれと思うばかりなのだが 最近の打率芳しくなくてそのことばかり気になってしまうから頼む...

TV本編もいよいよ大詰めというところまで来た仮面ライダーバイスの単独映画として公開と相なった本作、私もこのたび観て参りましたよ 劇場版ドンブラの感想の時にもちょっと語ったけど、夏に観に行く戦隊とライダーの二本立て映画という視聴感が凄く安心感ありますね...良い そんな同時上映の劇場版ドンブラザーズの感想もこちらからどうぞ↓

混沌、銀幕で大暴れ - AnDrew’s小生意気レビュー記

 

というわけで早速感想へ。

夫婦で旅行に発った元太と幸美を襲う謎のテロリスト・アヅマの暗躍とそれに立ち向かう五十嵐兄妹、というところをメインとして、公開日と同時にTTFCで配信開始となったスピンオフ「Birth of chimera」との連動が打ち出されたり、本編の主要キャラの殆どが大集合し縦横無尽に動き回る豪勢な展開が次々飛び出したり、坂本監督のド派手なアクションや演出が映像を彩ったりと非常に豪華な装いが目を惹く一作であった本作でしたが、私個人の感想としてはだいぶ微妙な感じだったなぁ...と感じたというのが正直なところでありました。良きところもあるのはあったのですが、総じて要素の豊富さに対し各要素の接続が弱すぎて一本のストーリーとしての安定感が悪く、それ故にかえって盛り上がりに欠けた作品であったというかなんというか。

 

特に予告映像の時点で大きく取り上げられていたバイス達五十嵐兄妹の悪魔の洗脳闇堕ち(?)展開、および仮面ライダー五十嵐の覚醒展開の取り回し方に関しては非常にいただけなかった部分。あの予告映像群の雰囲気からすると明らかにストーリー中においてメインで取り上げたりここぞの盛り上げにしてきたりしそうだったのに、まさか両方とも中盤辺りのまだそこまでボルテージ上がってもないタイミングで処理されてそれっきりになるなんて想像もしてなかったぞ...(上映時間まだ半分も過ぎてなくない?って体感だったよ正直)

バイス達の一輝達との敵対なんか回しようによっては「五十嵐兄妹と悪魔のバディとしての関係性」というところを多少なりと掘り下げる絶好の材料だったから少なからずそこの掘り下げに期待してた面もあっただけに、特に彼らの関係性・信頼へフォーカスするでもなく仮面ライダー五十嵐覚醒の流れの中でなし崩し的に解決、という運びだったのは「あれなんの時間だったの?」って感じだったし、そうして出てきた仮面ライダー五十嵐も「五十嵐家の絆の体現たる限定フォーム」というリバイスにおけるかなり熱い文脈の乗った存在なのに肝心の活躍は映画限定の名有り怪人を下すでもなくギフジュニアやギフテリアンといったいつもの戦闘員ポジションをサクサク片すだけの活躍で、しかもそれだけならまだしも全体通しての出番はここだけで後は影も形も無しという唖然とするものだったしと、冗談抜きに正気を疑う演出・構成すぎたんですよね...バイス達の闇堕ちは一輝達の生身アクションや展開の盛り上がりを作るためにとりあえず入れた以上のものでしかなく、仮面ライダー五十嵐も映画限定フォームの登場というノルマをこなした以上の意義を見出せない、というとことん作業的な要素の投入にしか感じられないものだったのがあまりにもあんまりだったなというのが本音。少なくとも予告映像のメインに据えるほどのもんじゃなかったろと  単純な絵面の盛り上がりや瞬間風速の高さにグッとくるでもなかったので、ちょっとここは個人的に酷かったなぁ...

 

かと言って他の部分が劇的に活きていたかというとこちらもちと微妙。一輝達と別軸で取り回されていた元太・幸実夫妻にフォーカスする形で展開された「家族」という要素を軸にしたドラマ面に関してはこの2人がリバイス作中の「家族」要素を仮にも強く担っているだけあってそれなりの深みと一貫性こそあったものの、そこにダイレクトに絡む希望や妊婦さんといったサブキャラクター達が家族というテーマを補強する一要素以上の存在感を出せていなかったが故にどうにも取り留めがなくなってイマイチ締まりが悪かったし(旦那さんはいずこに?というのがうっすらながらも気になってしまったり、なんの説明も無しに車内出産が済まされたりと、妊婦さん周りの描写の詰めの甘さが割とノイズなんですよね。演じる立石さんが「なんで妊婦なのに飛行機に1人で乗ってたのかを色々自分の中で考えた(=その辺の掘り下げが実際に為されていなかった)」と仰ってたと聞いた時は流石にえぇ...となったぞ)、今回のメイン敵たるアヅマに関連した一連の描写も目を見張るディテールこそ良きであった一方、前述の家族要素を進めるついでの「それはそれ」感覚でこなされたような印象があってやや消化不良に感じたしと、もう一つパッとしきらなかったな...という感じでした。ほんとアヅマは「人類を正そうと行動し続けていたけど、その中で人類の愚かしさの痛感や愛する人と添い遂げられない絶望への幾度もの直面を経てきた」という背景および「自分に真正面から向き合ってくれた一輝の人間としての強さと優しさ、彼が語る家族の繋がりの強さを信じ託す」という結末全部込みで割と良いキャラ造形はしてたんだけど、家族要素と上手いこと融和した取り回しにならなかった分どうにも薄味気味になったのが凄く勿体無くてなぁ...実際の台詞や行動の節々にもちゃんと「家族」を絡めていく余地は示されていたのに、家族関連のドラマ展開とはほぼほぼ切り離された動かし方だったのはちょっとどうかと(フォロワーさんも言ってたようぬ、アヅマとの決着に仮面ライダー五十嵐をあてがうことで一輝が説く「家族」という存在の大きさをアヅマが実感する形で決着、ならかなり綺麗に纏まったのになぁとは思うところ。なんでそこズラしたんだろう...)

またその中でも、スピンオフ「Birth of chimera」で主人公として活躍し、そこから連動する形で劇場版にも登場した希望/仮面ライダーキマイラの扱いはけっこう不満多しであったポイント。「家族や良き先輩に囲まれ幸福に過ごしていたところを、アヅマやシックによって何もかも奪われ復讐の炎を胸の内に秘めアヅマ達を狙うようになった」という濃いめのバックボーンをスピンオフでしっかり描いて劇場版へ引き継いだにも関わらず、キマイラとしての活躍はマンドリルデッドマンを下したのみで終わってしまい、アヅマへの復讐は「そんなことをご両親は望んでいない」というなんかありがちな元太パパの説得で希望本人が納得したために緩やかに収束して尻すぼみになり、という感じでパッとしないまま本筋の闘争から降りてしまう扱いになってたのが凄く悩ましかったんですよね...(別に元太パパの説得やそれで考えを変える流れがダメダメだったとかではなく、むしろストーリーやキャラの動かし方としての筋自体は通ってたと思うんだけど、それがスピンオフで掘り下げられた希望のキャラ性をいっそう高める方に寄与してないのが問題)  スピンオフでの描き方がなまじ魅力的だっただけに、もう1人の主人公くらいの感じで回すこともできたであろうそのポテンシャルを肝心の劇場版本編で活かしきれない、というかほぼ持て余してそれとなく片しただけで終わらせたのはちょっと悪手だったなと。これだったら下手にスピンオフをやってキャラクターとしての蓄積を与えたりせず、希望を“こういうポジション・役割のキャラ”として劇場版本編にドンと配置するくらいの割り切りをしてくれてた方が「なんかこのキャラの描写淡白で物足りないな」と思うなりにそういう感じのキャラなのねと納得はできたと思ってしまう

というか本作とスピンオフ「Birth of chimera」の接続自体、身も蓋もないこと言ってしまうとシックの誕生経緯とかアヅマの過去とかの劇場版の諸要素の細かい説明をスピンオフの方にぶん投げてた感じであり、お世辞にも上手い形で連動できてたとは言い難いんですよね。アヅマの過去自体は劇場版本編でも語ってはいるんだけどスピンオフ共々なんかわざとらしい説明口調で語られるからちょっとくどさが否めずという感じだし、そこ含めスピンオフのシーンを散発的に劇場版本編に組み込む形で色々説明してくるからスピンオフ観てる観てないで視聴感に変な差が生まれそうだな、というのをなんとなく感じてしまうしで作品がごちゃついてしまった感じというか ちょっと強引な接続に感じられてノレなかったなぁ...

その他にもデッドマンズ幹部陣の再集結含めたレギュラーキャラの(ほぼ)全員集合展開や画面をサクサクと切り替え入り乱れさせながら沢山のライダーの活躍を描くど迫力の演出など坂本監督ならではな盛り上げで彩られた展開運びが満載であり、自分もそれらが生む劇場版ならではの外連味や熱量には強く目を惹かれていたものの、前述した難点の数々と合わさってトータルで言うと個人的には盛り上がれなかったなぁ、という感じでありました。総じて取捨選択の上手くいっていない要素過多の状態で、それらが一本のストーリーとしてまとまりきっていない、かえって劇場版感の薄い一作というところが自分の率直な総評ですね 分かり易い盛り上げどころや熱いポイントが随所に入れ込まれているものの、それらがちょっと乱雑な投入になってて「TV本編のエピソード3話分をパッチワークして劇場版の尺にした」という印象だったなと。坂本監督のアクションも迫力満点なことには違いなかったけど良くも悪くも「いつもの」だった感は否めず、自分としては単調さを感じてしまったのも少し痛いところ

 

とはいえど劇場版スケールの迫力でリバイスライダー達のアクションを楽しめたことは凄く大きかったと思うし、前述した一輝とアヅマの関係性を描くストーリーラインや家族要素関連のドラマには光るものもあったので決して駄作ということはなく。アヅマの抱えてきた孤独や絶望に敢えて寄り添い、ギファードレックスバイスタンプを押してあげることでその心と身体を救い、使命から解き放たれて思う存分にやり合おうと手を差し伸べる一輝とそれに徐々に救われていくアヅマのドラマは凄く良かったよ 願わくばここ重視で一本観たかったくらい

あと念願の玉置くん変身は素直に一義でばりくそテンション上がったシーンということで、個人的な本作一の盛り上がりどころでありました。変身できなくてもウィークエンド入ってなくてもお前は日常で待つ者として頑張るからこそ輝いてるんやぞ!!!って感じで玉置くんの変身には個人的にはずっと反対であったところなのだけど、仲間入り直後から自分にできることを精一杯に全うしていて、ウィークエンド加入前後にもみんなの役に立ちたい!というところをずっと一貫させ変身できないながらも身一つで身体を張り続けてきた姿がTV本編でずっと印象的だっただけに、そこで上乗せされた文脈を一気に爆発昇華させたあの変身は最高に熱かったよ...短い下りだったけど正直リバイスライダーの変身・強化の中でも五指に入るほどグッときた 演じる八条院くんが割とマッシブめな印象なのも相まってオーバーデモンズがめちゃくちゃ似合うんですよね

 

 

という感じで以上、劇場版リバイス感想でした。率直な感想ながらも長々と愚痴の方が多くなって申し訳ない まぁ強いて言えば「良くも悪くもリバイス」って感じだったかなという感じであり、リバイスが好きな人にはガツンとツボに刺さるんじゃないかなと。ともあれ久しぶりにライダーの夏の劇場版も大スクリーンで観られて良かった 冬も楽しみにしてるぞ!!

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた