AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ヒュドラムは燃やせ

ウルトラマンデッカー
第8話「光と闇、ふたたび」

感想レビュー

 

 

カルミラは助ける

ダーゴンさんも助ける

ヒュドラムは焼き払う

 

─今日の標語

当然だよなぁ(

 

トリガー客演エピソードの後編となった今回。ルルイエの再ピックアップやカルミラの復活など見所多しな引きとなった前回からの続きということでどうなるものかと気になっていたところでありましたが、率直な感想としては、個人的な好みも多分に含むとはいえ単体のエピソードとしても前回と併せての前後編エピとしてもちょっと微妙な回だったなぁ...と。端的に言ってしまうと、「散漫としていて新鮮味の無い話」という評価に収まってしまう感じ。ルルイエとギジェラの接続によるティガオマージュ展開、ユナを交えたトリガーサイドのドラマ面での強調、ケンゴを絡めたカナタの今後の指針の提示、カルミラも加えた共闘展開、など全体で見ると非常に盛り沢山な内容ではあったのですが、尺との兼ね合いや作劇上の接続がお世辞にも上手くできているとは言えない組み方であったために各要素の掘り下げが十分にできていたように感じられず、総じて薄味な内容になってたなというのが正直なところなんですよね

 

特にルルイエ(ルルイエではなかったが)の話に関しては、そもそもの前回の予告の時点からしてメガロゾーアやカルミラの話とはだいぶズレたところから生えてきた話題である感が否めなかっただけに内心「これカルミラの話とちゃんと接続できる...?」とも思っていた(それでもティガ要素のテイストをピックアップしつつトリガー本編で掘り下げられなかった部分へのフォーカスの方を楽しみにしてあまり何か言ったりはしなかった)のですが、懸念通りメガロゾーアやらスフィアやらのあれやこれに付随して出てきた以上の接続が為されていなくてストーリー的に大した盛り上がりには寄与せず、且つ流れ的にもメガロゾーアやカルミラが全く関与しない方向であっさりとほぼ前半の流れのみで片づけられたので、これ本当に必要だったのか?みたいな印象が拭えないお粗末な処理になってたのが残念。一応ケンゴの「笑顔」を重んじる精神性の意味付けが軽く為されたし、後述するカナタの今後の指針を示す前振りにはなってたしで全くいらなかったわけではないと言えばそうなのですが、前者に関してはそもそもトリガー本編でいくらでも掘り下げられたことを次作の中でわざわざ尺を割いて描いてることがうーんという感じだし(むしろトリガーという作品として掘り下げた方が良かったまである)、後者に関しても前振りにこそなってたとはいえその描写に使われてる尺が今度は少なすぎて劇的さもなくさほど接続した意義を感じられなかったし、わざわざ入れ込む必要性はなかったなぁと...これならカルミラ関連の話に完全に注力させた方がまだ話の締まりは良かっただろと思っちゃうなぁ 描写のウェイトの割き方のバランスといい、悪い意味でトリガー側がデッカー側を食った感じになったのがまたちょっと良い印象ではないし

 

また前回も少し描かれ、今回も先程述べたルルイエ絡みの描写を前振りにする形で深められたケンゴとの交流を経てのカナタの戦うことへの意気込みの変化、的な部分の描写も、しっかり注目して見てみた感じとしてはあまり良い感かったとは言えず、といったところ。

ここのポイント、そもそも前回の時点で「カナタが戦う理由に関しては『みんながまた夢を追いかけられる世の中にしたい』というのは既に本人が語ってたのに今更『理由とか考えたことはない』と言わせるのは不自然」と言われてたりもしてたところであり、自分は一応「カナタの戦う指針を示す序盤のエピがしっかりしてた分、ここでそれをまた聞いてくるような流れは変、というのはたしかにそれはそう」とは思いつつ「戦う動機・指針を既にしっかり持ってるのはそうだけど同時にデッカーの力とかに困惑してる中『今やるしかねぇ』を地で行くがむしゃらな感じでやってる部分もあるので、そこから一つ発展しデッカーの力の訳や『戦う意味』を深く知るとこを描くまでの導線にするための布石」という風に解釈し納得してた(実際カナタも「今はただ」「やるしかねぇ!」みたいな言葉を決意表明にあたって口にすることは多かったわけだし)ところであり、実際今回の話でも「今は細かいことは何も分からないけど、とにかくみんなのために頑張って戦いたい!」とカナタが語り、「今はとにかく『やるしかねぇ!』を地で行く、他のことはこれから知っていく」という指針はきちんと示していたのでそれ自体は悪くなかったのですが、その上でカナタの「何も分からないし考えたことはない」的な部分ばかりが強調される台詞回しとかになってたのは改めて注意して観ると作劇の回し方としてちょっと気が利いてない感じがしたなという印象なんですよね。カナタのキャラと乖離してたかというとそこまでではないんだけど、話の都合でちょっと軸がブレたかなというのは感じたし(何も分からないまま戦いに飛び込んでいってるってほどかというと決してそういうわけではなかったし)、そこの導線を引く上で「ウルトラマンとしても人間としても先輩であるケンゴがカナタを導く」的な客演だからこそのトリガー主体の展開を意識しすぎたせいでケンゴを上に、カナタを下に、みたいな配置を殊更に出しすぎた感もあったしと、なんかこう、デッカーにフォーカスしたキャラの取り回しとして上手だったかというとそうでもなかったってのは感じるかな、と。意識してデッカーを重要視してなかったなんてことは決してないだろうけど、ナチュラルにケンゴの方を立てて、且つその上でカナタを未熟すぎるように下げた感じは否めなくはあったので、ここも少々前述の「悪い意味でトリガー側がデッカー側を食った感じになった」ってところに引っかかったかなぁ

今回だけで解決させず引っ張る形にはなったので、このカナタの戦う指針というのは元々デッカーという作品を組む上で柱として通すテーマ性の一つだっただろうからこの形で間違いはないんだろうけど、なまじデッカーの丁寧な作劇が気に入ってる(且つトリガーの作劇は正直対照的に好きではない)だけに、ここは他の要素の介入しないデッカー単体の本筋の中できっちり練り込んで気を利かせた描き方して欲しかったな...と惜しい気持ちでありました。

 

そしてデッカーとトリガーの共演を中心に今一度展開された戦闘パート。前回に続いて豪華さや迫力自体はしっかりとあって安定の客演エピ戦闘という感じではあったのですが、逆を返せば「いつもの客演エピ戦闘」という手並みに感じてしまう部分も大きく、あまりパッとしなかったなぁというのは個人的に感じたところでありました。この辺も新鮮味に欠けた要因の一つ。坂本監督のウルトラシリーズでの客演回演出自体が割と恒例化したので繰り出される画が食傷気味になってきたところもあるかもなぁ...Z、トリガーと新しい画や演出の投入自体は割と積極的にやってるんだけど今回はそれもあまり感じられなかったし  救出されたカルミラとの共闘に関しても、これはまぁ個人的な好みが全開ではあるのですが、カルミラというキャラへの私自身の好感度の程も相まって別にそこまで見たなかった画でもなく、という感じで盛り上がらず。デッカートリガーのコンビにもっと比重を置いた魅せが多くあって欲しかったかなぁ カルミラもデッカーにはお構いなしって感じで全然絡まないから、デッカー作中でやる旨味が大して無かったのもなんだかなという感じ。トリガーという作品を取り巻く身内での盛り上がりに留まったなぁという印象は否めないですね...

てか他の方が言ってたのを聞いてたしかにとなったところではあるけど、ここでカルミラを復活させたこと自体がトリガーの物語的には色々どっちらけなのでは...?というのは色々思うところがあり。自分はトリガーに対して別に肩入れするものもないのでこんなこと言うのもなんだという感じではあるのですが、トリガー本編の最終回自体はあのカルミラとの関係性の収束でこそちゃんと意味があったと思うところではあるので、1作跨いだだけでそこにメスを入れてカルミラを復活させちゃったのはちょっとアレかもな...とはなる面もありますなぁ  作中時間では実に10年越しとはいえ、作品自体の間隔としては1年経ってないくらいだからほぼ昨日の今日だし、うーん。それにこれはもう完全な邪推でしかないのですが、最近のギャラファイ関連のスピンオフ作品群の盛り上がりからして、ここでカルミラを復活させトリガーとも今後いつでも共闘し得る形に収めた(且つ他の闇の巨人2体にも復活の余地ができた)のは、この先その手のシリーズに出演させる上での措置だったんじゃないか、なんて思えてしまうのがなんかちょっと嫌なところ。実際のところは分からないのであまりとやかく言うのは控えるけど、そういう意味合いで一つの作品がつけた結末に手をつけたのだとしたら...ちょっとなぁ

 

 

以上、デッカー第8話でした。前回今回と続いたトリガー客演回でしたが、総じて言うなれば、良くも悪くもトリガーの味、いつものニュージェネ客演エピみたいな味、という評価に収まってしまうという印象。いつのまにかトリガーという作品を主軸に置いた作劇にすり替わってた感が否めず(デッカーに重きが置かれてないわけではなかったけど必要十分とは言えず)、会話劇の雰囲気や戦闘パートのテイストといった全体の手触りとしても散々客演エピで見てきた質感だったので味気なく、とどうにも締まらなかったなぁと。トリガーが好きな方達や客演回が好きな方達には間違いなくたまらなかったでしょうけど、トリガー自体の好感度がそこまでだしニュージェネの客演回もそろそろ食傷気味になってきた味としては凄く微妙な感じでありました。単なる作品の雰囲気という意味だけでなく作劇の手並み的な意味でもデッカーとは別物すぎてデッカーのエピソードとして評価できそうにないし、少なくとも今後のエピソード群と比べてもとてつもなく浮くだろうなぁ...という感じでありました。そもそもニュージェネの客演エピ自体、そろそろ在り方を見直して欲しいなぁ、とも。話数一桁もいかないうちに他作品の要素の介入を主軸にする自体けっこう無茶ではあるし、商業的にも盛り上がり的にも凄くオイシイとはいえ3作も続くと流石にパターン化してきたし...なんとも。

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた