AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

パパは夢追いチャンピオン

ウルトラマンデッカー

第9話「誰がための勇姿」

感想レビュー

 

 

みんなが言ってて気付いたけど、デッカーくんしれっとストロングとミラクルを自由に行き来できるんすね...ダイナはどっちかになったらもう一方にはなれないのにズルくなぁい??? まぁダイナはストロングもミラクルも特定のステータスにめちゃくちゃに特化しててこの2フォームを行き来できちゃうと便利すぎるんだけどな

 

宇宙最強の格闘チャンピオン・グレゴール人グレースとその娘ミカの家族模様を描く今回にエピソード。モンスアーガーに続きグレゴール人、しかも次回はネオザルスオマージュのネオメガスが登場と、ダイナ怪獣の復刻・リブートが手厚くて私はうっ、嬉しい...ニュージェネシリーズで度々出てるレジェンド怪獣の中にもダイナ怪獣は全然いなかったし今の流れは嬉しいことですよ

 

グレゴール人といえば「自身の力を示し宇宙一の格闘家を目指す戦士」という設定でお馴染みなキャラクターでありますが、今回登場のグレースは宇宙の格闘技チャンピオン的な技を魅せる戦いを得意とするプロレスラーキャラとしてその辺の設定を絶妙なアレンジにしつつ踏襲してきたのがまず面白かったところでしたね。初代よろしく剣で囲って作るリングを用意してわざわざ舞台を整えてたりする辺り、形はどうあれグレゴール人は見せる/魅せる戦いが好きみたいなとこが意識されてるのかもしれない

それでいてグレースの更に面白いポイントは、父である自分のことを誇りに思ってくれている愛娘のミカがいるというところで、大切に思っている家族・守るべき存在として彼女がいることによって上述の魅せる戦いが「娘の誇ってくれている強い格闘家としての自身の姿を力強く示すための戦い」としてカッコよく輝いているのが凄く良かったなぁと。この辺は守るべきものや仲間の存在の尊さ・そこから生まれる力を最初理解していなかった初代グレゴール人とは明確に対比となる、守るべき存在・そのために自分が強くあるべき存在である大切な家族がいるからこそ強い男、というキャラ性をグレースに付与していて、元のグレゴール人が持つキャラ性や要素を上手いこと換骨奪胎し新たな魅力に昇華した素晴らしいキャラメイクだったなと感じますね。「絶望の3カウントを始めろ!」のキラーワードをはじめとした悪役レスラーじみた台詞回しでよく喋るキャラの濃さも際立つけど、その中にこういった温かみある人間味みたいなものが光ってるのがキャラとして魅力的で良いんですよね  GUTS SELECTの面々のチームワークを純粋に称えたり、デッカーのピンチを見て勝負を捨ててでも助けに入ったりと、根っこの部分の潔さや誇り高さが初代との近しさを感じてグッとくるのも良いし、グレゴール人の一番の目玉要素とも言えるニセウルトラマンへの変身、を敢えて入れ込まない詰め込まなさも良いバランスで粋だしと、モンスアーガーもそうだったけどデッカーにおけるダイナ怪獣は原典の要素を程良く活かしたリファインやオリジナリティの付与が見事で唸るね...

 

今回はそんなグレースがカナタやGUTS SELECTの面々との邂逅を経て格闘チャンピオンとしての夢の熱を思い出していくという、グレースをしっかりと主軸に据えた「夢を再び追いかける」話になっていたのが凄く面白かったところ。スフィアのせいで地球から出られなくなり、今までの格闘家人生から離れたそこの生活に慣れようと頑張るうちどこか気力を欠いたような性格になっていたグレースが、レッドキングとの戦いで多くの人々の歓声を再び浴びたこと、そして自分のことを自慢の父として誇りに思いまた立ち上がって欲しいと願う娘の想いを受けそれに応えたいと思うようになったことを通じ、弱りきって長くない身体を押してでも娘の想いに応えるためにもう一度格闘家として立ち上がるという再起の物語が凄くグッときてこちらも熱い気持ちになれるんですよねぇ。ミカの無茶を咎めたりと良い人なのは窺えるけど最初の方はどこか空気の抜けたくたびれたおじさん感も否めなかったグレースが、次第に覇気のある力強い雰囲気を纏っていくのが熱い 中村さんの味のある演技がとてもハマっていたわね

何よりこのグレースの「スフィアの影響で自由に追いかけられなくなった夢をもう一度追いかける」という流れは、まさしくデッカーのテーマの濃い部分の一つであり、そこを手堅くグッと掘り下げてきてたのが見事なんですよね この作品ならではの部分をブレさせない丁寧な話作りはまさしくデッカーって感じで、前回前々回がやっぱ別作品の色と味が濃かったのもあって凄く安心するし面白かったです

 

それでいて、このグレースミカ親子の温かく沁みる家族模様を通じて、色んな人々のこういう小さな幸せを守ることこそが使命なのだと再確認する流れを通じ、GUTS SELECTおよびカナタの戦いへの指針や想いを一つグッと深めてきたのがまた見事。「カナタの戦う理由」という部分は前回前々回で色々視聴者間で取り沙汰された部分であったけど、今回のこの作劇はその辺のテーマを前回の流れを踏まえた上でデッカーの本筋の流れにスッと接続させ「仲間達をはじめとした色んな人達との交流を経てカナタが『自分が守るものとは一体何か?』を今一度見つめ実感していくんだろうな」という感じで飲み込みやすくした凄く良い味わいの作劇だったなぁと思うんですよね。やはりカナタ自身はもう戦う指針自体を得ていると思うし、ここからはそれを改めて自分の中に答えとして刻み込んでいくフェーズなのかなと

またムラホシ隊長がこの辺の作劇に深く関わったことで、「小さな幸せを守る」という想いを上司としてカナタに示しただけでなく、この想いがGUTS SELECTというチーム全体の想いであることをさり気なくもしっかり印象付けたのも上手かったなぁと。グレースミカ親子に寄り添いグレースの父としての想いを受け止めたり、戦いの中で彼の覚悟を買い決意の一撃を放ったりと、グレースとの大人同士の深みある会話も凄く良かったし、何気に隊長のキャラもいっそう深まった感がありますね。エリーの回で言ってた「スフィアの被害を受けたもの同士助け合おう」にも掛かって一貫性あるしね  この作劇面キャラ面両方においての隙の無さがデッカーの好きなところなんすよ ただただ感嘆するばかり

 

戦闘シーンに関しても、巨大特撮の妙味が光る演出やディメンションカード怪獣の召喚を短いながらも入れ込んだりと見所の多かった最初のグレースvsレッドキング戦、GUTS SELECTの隊員や戦闘機の活躍もカッコよく描いたGUTS SELECTvsグレースの試合、本当に赤くなっちゃったレッドキングことスフィアレッドキングを交えながらデッカーもグレースもパワフルに立ち回った終盤の戦闘と、全体的にウルトラマン・怪獣・サポートキャラ・ゲストキャラ・防衛チーム・戦闘機がどれもかなりバランス良く活躍したものとなっていて総じてとても見応えアリで良き。強いて言えばデッカーの初めてのデュアルソード使用がサポートメインの使い方だったのはせっかくのデビューとしては勿体なかったかなというところですが、まぁこの辺はグレースを引き立たせる上での良し悪しという感じでまぁ納得できるし、何よりデッカーのステゴロがまだまだ見られたのでプラマイで言うと全然問題なしすね ディメンションカード怪獣の力を使っての3怪獣揃い踏みの絵面は面白かったしね

にしても今回坂本監督の登板回ということで、監督の作風がどう跳ねるだろうかと正直ちょっと身構えた部分もあったのですが、割とデッカー本来のテイストをしっかり踏まえる方向に振っていてくれた感があったのでけっこう自然体で楽しめたなと。むしろ「あれ、なんか監督今日けっこう大人しくない?」と思ったまである グレースとの試合が決まってからの特訓描写とかはあぁいつもの坂本監督だなという感じだったので程良くというとこではあったが。w 前回前々回をトリガー色強めにした分今回は抑えめに徹したのかしらね まぁ元より客演とかが絡んだりとかではない純粋なサブ登板の時とかはそこまでガンガン暴れてる印象ないし、作品のディレクション自体にはしっかり応えられるのかもね

トリガーといえば、ちょっとしたポイントではあるのだけど、グレースが元々地球に来てた理由が「超古代の光の巨人(トリガー)への格闘チャンピオンとしての挑戦のためだった、っていうところのさり気ない接続は世界観共通の二作の関連の活かし方としてかなり理想形で良かったなーなどと思ったところ。来た頃にはもうすっかり平和になってて、帰ろうと思ったらスフィアが色々やらかして〜としたのも理屈付けとして巧み  「トリガー」という直接的なワードを用いず且つ口頭の開示で分かるレベルに収めるくらいの塩梅だったのもくどすぎずという感じで好みだったし、こういう感じの接続は今後もじゃんじゃんやって欲しいなーと

 

そしてラストの方のシーンにおいて、ガッツグリフォンの兵装がスフィアに有効とわかったことを受け、アサカゲさんが新たな戦力の存在を匂わせ...というところで締め。新たな戦力は言わずもがなこの前解禁されたテラなフェイザー的なやつだろうけど、なんかこの辺の演出が新戦略投入への期待感よりも不穏さを煽る感じのものだったような気がしたのはちょっと怖いぞ...!元々テラなフェイザー自体モチーフがアレなので戦々恐々という感じだし  アサカゲさん久々の登場でちょっと不穏なものを残してったけどやめてくださいね?() あの表情はマッドサイエンティスト的なアレというより無邪気な笑顔という印象だったのでアサカゲさん自身は何かやらかしたりはしないだろうけども 意外とああいう笑顔よく見せるの良いよねアサカゲさん

 

 

以上、デッカー第9話でした。ダイナ怪獣のメジャーどころの1人であるグレゴール人を踏襲とリファインを上手く取り入れる形で盛り上げたグレースが凄く魅力的で、且つそこの取り回しにデッカーという作品のテーマや今後の指針もしっかり織り込むという丁寧な作劇に感心しっぱなしなエピソードでした。前回前々回の客演エピから引き続いての登板となった坂本監督も意外と良い取り回しをしてデッカー本筋の流れに上手く引き継いでくれたなと思うし、なかなか面白かったですね ここからの盛り上がりも今一度楽しみですよデッカー

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた