AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

頭でっかち(ダブルミーニング)

ウルトラマンデッカー

第17話「過去よりの調べ」

感想レビュー

 

 

「『ムラホシ隊長は10年前の作戦で闇の巨人・ヒュドラムを見逃す算段を取った疑惑がある』として隊長が監視・軟禁されてしまう」という展開から転じて「じゃあ闇の巨人復活を促したも同然なケンゴはどうなんです(意訳)」って話が上がってるの、うーん...() カルミラはまぁ「彼女も変わろうとしてるんすよ」ってことで申し訳は立つしダーゴンさんも許せるんだけど、今回のムラホシ隊長案件で話題に上がったヒュドラムも一緒に復活させたようなもんだからいよいよ言い逃れしにくいのがいかんよ(

猿顔 on Twitter: "ナイゲル局長が「異星人に関する過度な肩入れ」とか言ってたけどそんな事言うならもっと調査すべき人物が火星にいますよ" / Twitter

トリガー客演回、個人的に好きではないなりにあんま積極的にあれこれ悪く言いたいわけでもないんだけど、カナタの戦いの動機への導線の描き方が微妙で後のエピソードが色々尻拭いやってる風になってしまってたことといい今回の一件で闇の巨人復活への展開に更なるツッコミが入れられるようになっちゃったこと(これは若干事故っただけっぽくもあるが)といい、以後のエピソードとの比較で致命的な部分がぽこぽこ出てきてしまうのちょっと悩ましいよなと改めて(少なくともそれぞれのエピソード間での擦り合わせが上手いこといってるのかなと感じてしまうことが多いのがなんとも) やっぱ正直な気持ちとしてはちょっと不安だなぁ今度のトリガー客演リターンズ...

 

それはともかく今回は前回のエピソードのラストから地続きで描かれる、ムラホシ隊長...とソウマにスポットが当たったエピソード。しかし予告時点だと男のキャラだと思い込んでたのでクールな女性だったのはおでれぇたぞナイゲル局長...まさかのCV甲斐田裕子さん

ナイゲル局長、隊長の疑惑を問うことへの態度はともかくゴメス案件への対処が悠長すぎて(ゴメスが暴れてるのと並行して描かれる司令室での会話描写が長かったのが緊迫感とのズレに繋がってちょっとな、となった)感じの悪さとぽんこつさの方が目立ち、率直な印象としてはウルトラシリーズでたまに出てくるコテコテの頭でっかちな嫌味な上官キャラって感じで、且つ強く出るなりにやることはしっかり責任持ってやるとかタカ派で過激だけど相応に使命感はあるとかいった良い方面の印象が深まりきらなかったのでストーリーを動かす一キャラクターとしてはあまり好みではなかった(メトロン星人であることも「め、メトロン星人〜!?」という驚きの瞬間風速を出す以上の意味合いが出切らず、人間キャラでも良かった感じだったのが勿体無い)のだけれど、クールビューティーな女性の宇宙人(人間体無しのスーツキャラ)というのは密かにニュージェネで見たがってたやつだったのでそこは何気に個人的に良きポイント。意外と今まで出てこなかった設定だし新鮮さもあって良かった 身も蓋も無い話、あのちょっと気強めなキャラ造形で生身の人間だったらもっと印象キツかったかもだし、そういう点はメトロン星人にしたのが正解かもしれん

 

話は戻って今回のエピソードの主題のムラホシ隊長の話。第5話のピット星人の一件や第9話のグレース(グレゴール人)の一件での度重なる特例措置、10年前のメツオロチ掃討作戦で闇の巨人ヒュドラムを取り逃したことへの嫌疑などで隊長に内部調査が入る...という内容で、今までのエピソードでの隊長の描写の積み上げや前作トリガーの物語とのミッシングリンクを多面的に活かした掘り下げが面白い作劇となっていました。本作は設定上異星人との交流エピ自体が貴重だし、第5話でも第9話でも隊長は良い動きをしてくれていたのでそこをフルに活かしてきたのは良いね トリガーとの接続もさり気ないポイントポイントで上手く入れ込んでくれてるしここは地続きの作品同士として良いところ しかし仮にも闇の巨人総復活みたいになりそうな流れがある中で過去のクソみたいな悪行が再発掘されるヒュドラム、ある意味めちゃくちゃ安心する() やっぱアイツはやめよう(

そして「10年前逃げ遅れた少年を助けたことでヒュドラムを取り逃してしまった」という隊長の話が掘り下げられていく中で、実はその少年がソウマだったことが明らかとなり、隊長こそがソウマのGUTS SELECTの隊員としての原点であったと分かる熱い展開に。隊長が怯える幼少ソウマの心を支えるために(ここでマスクを外し1人の人間として怯えるソウマに向き合おうとするさり気ない仕草も好き)渡したTPUのワッペンが、時を経て隊長を救うことになるの良いな...

しかし「怪獣災害に見舞われた中でTPUの隊員に救われたことがきっかけでGUTS SELECTを目指した」というソウマの背景は以前の第6話でも語られていたけれど、その辺はてっきり名も無きTPU隊員の勇気と使命感がソウマの原点になった的な話になるかと思ってたので、ここがダイレクトに繋がるとはちょっと意外でしたね。朝加圭一郎と警察官の話よろしく、(物語上は)特別な存在ではないけど強い使命と責任を持って働いてる誰かの想いが主要キャラの根幹を成してる的なやつも凄く熱くて好きなのだけど、身近な人物こそがそうであったというのがここぞで明らかになり盛り上がるドラマ性もたまらんかったね ある意味ベタなやつだけどストレートにガッとハマってここはグッときましたね

 

ちなみに今回の話、隊長キャラの前作における出来事の中での活躍、それが接点となった2人がそれぞれの形でそれぞれを支える構図など、ダイナの「あしなが隊長」を彷彿とさせるものがあると言ってる人もいてこれは後からなるほどとなりましたね。今回のエピ自体その辺あまり意識せずナチュラルにソウマと隊長の話として観て面白かったし、その上であしなが隊長のオマージュっぽいと分かるといっそう深みが増したしと、実際に意識されたかは分からないけどオマージュエピとしてはかなり良い塩梅だったなと感じますね。あしなが隊長もめちゃくちゃ良いエピだから観てくれよな!!

 

そして特撮パート。月明かりに照らされたような薄ぼんやりとした明るさを纏った絶妙なライティングで彩られた郊外の夜戦(ビルの明かりなどが無い郊外だからこそ、というべきか)というシチュエーションを軸に、迫力ある進撃で魅せるゴメスの王道怪獣的な演出、ガッツファルコン&ホーク、グリフォン、ナースデッセイ号、固定砲台といったメカニック周りの見せのカッコ良さ、デッカーのバンク無しグングンカットからのシームレスでのキックなど、巨大特撮らしい良き魅せがふんだんにあり個人的には今回ドラマ面よりもこっちの方がめちゃくちゃアガりましたね。ピンチの中隊員の上空を駆けていくファルコン&ホークや、ゴメスに押さえ込まれた状態からのデッカーのシールドカリバーの回転刃での押し返しが良い工夫の効いた演出で個人的にお気に入り ゴメスってザ・怪獣といった感じで能力とかは凄くシンプルなのでそこをウルトラマン(特に最近の能力とかが多彩なやつら)と戦わせるにあたってはXの時のゴジラじみた強化モリモリみたいな上手な一工夫が必要になるわけですが、そこにおいて今回は怪獣らしいパワフルな押しを突き詰め、前回の戦いでの怪我というハンデを重ねより演出的なナチュラルさを加えたのも相まってダイナミックタイプとのマッチも見劣りしない形に見応えあるものとして纏まってたのが良きでしたね。今回メインの隊長に持たせてナースデッセイ号でのフィニッシュなのもグッド しかし本作、GUTS SELECT側のフィニッシュが意外に多いのも面白いよなぁと 戦ってるのはデッカーだけではないのだ(その分デッカーのインパクトをもっとガンガン高めても欲しいわね)

 

そしてラストは、嫌疑の晴れた隊長とソウマの改めての語らいを描いて締め。HANE2自重しろ()  「まっすぐの天才」「見つめる天才」と今まで若き才能達を認め呼び称してきた隊長を、ソウマが恩返しの意も込めて「人を救い導く人」と呼ぶ流れの熱さも上手くハマって凄く沁みましたね 頑張る若き才能とそれを見守る大人という構図が、認め合い支え合う関係になってきたなぁ...良い

 

 

以上、デッカー第17話でした。特撮面の見応えに個人的にはグッときつつも、ドラマ面もしっかり押さえて盛り上げた良質で面白いエピでありました。GUTS SELECT全体の構図も発展を経つつ更に良き形に固まってきて良いなと 盛り上がって参りましたしこの先も楽しみですね 次回総集編だけどな!!クソが!!!!!!(

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた