AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ティガくん、キレた!!

ウルトラマンティガ

第12話「深海からのSOS」

感想レビュー

 

 

レイロンスに顔面をどつかれて「いってぇ...!」みたいな感じで鼻を押さえたり、「光線と見せかけて水鉄砲」のフェイントを一度味わったので光線撃とうとするレイロンスに(ふふん、2度も通じんよ...)って感じで胸張ってドヤってたら普通に光線撃たれてグロッキーにさせられて「こっ...てめぇ...!!」って感じでキレそうになってたり、ムキになって繰り出す攻撃が割と盛大の空ぶってたり、今回のティガはいつもより2割マシくらいで動きが人間臭くてなんか好きです。w

ティガといえば神秘性に満ちた雰囲気、みたいな認識はけっこう強いだと思うんですけど、少なくともTV本編におけるティガの魅力はそれ以外にもこういう気取りすぎない人間的な雰囲気を基本としたアクションや仕草にあると思うんですよ やっぱテーマがテーマだしウルトラマン」「神秘の巨人」としての側面以上にダイゴ(ティガに変身する1人の人間)のがむしゃらさや等身大さが感じられることに意味があると思うでね(そんな中でティガが内包する荘厳さ・デザインの芸術性みたいなものがふとした瞬間に自然と滲むからこそティガの神秘性は際立ってるのだと思うし、そういうところをしっかり意識し描いた上で第25話や最終回や劇場作品みたいなここぞで敢えて「神々しさ」を意識的に表現した画や演出を繰り出したカットが美しくカッコよく映えるのだと思うんDA)

 

地下核実験の影響により突然変異した海洋生物の怪獣レイロンスとの戦いを描いた今回のエピソード。人類の繁栄・発展が孕む危うさへの警鐘を軸にしたストーリーの中展開されるGUTSとレイロンスの攻防がスリリングに目を惹く話となっていましたね。レイロンスの描写周りで出てくる海のプールセットがめちゃくちゃ奥行きあって見応え抜群なのが今更ながらなんか凄い感激してしまった。クソデカプールセット特撮、昭和シリーズでよく出てきてたけど良いよな...緩めのジョークやコミカルなやり取りが随所に含まれたキャラクター周りの回しも面白く、程良くゆるゆると楽しめるエピでもあったかなと。 「イルカ...?」「行くか」「行くか...?」の下りや、ラストのサービスシーンでの男隊員連中の「ワ-オ」がキャラの砕けた雰囲気感じられクスッとくるので好き。w (ワ-オの時ムナカタ副隊長がちょっと気恥ずかしそうにそっと目を逸らしてみんなを引き連れて行こうとしてるのがいかにもらしくてまた面白いんよな 一緒になってワ-オっつってたらもっと笑ってたが...w) 基本パリッとしてるプロフェッショナル集団なんだけど、イルカのミューと別れるのが名残惜しそうなレナにダイゴが気を利かせてあげたりみたいな細やかな支え合いとか、肩の力抜いた感じの面白おかしいやり取りなんかもやり合える気風がGUTSはとても良いなと思います

ただこの会話の場面等の人物パートや戦闘シーン辺りのテンポ感が冗長めだったかなと感じる部分もやや見られたのは、ストーリー全体として少々惜しく感じたところだったかなと。間の取り方とかのメリハリがもう一つ欲しかったなという印象(レナとミューの関係にストーリー中でもう少しコンスタントに触れてみたりといった、何かもう一個ドラマ的な軸があった方が却って密度感がちょうど良くなって引き締まったかもしれん)  まぁこの辺はここ最近のエピソードが濃密な内容続きだったのもあって割とゆとりのある展開運びだった今回が相対的に少しゆったりめに感じられたからなのも大きいかな、とは

 

そんな今回のエピソードは先にも述べた通り、地下核実験の負の遺産として誕生した怪獣レイロンスを主に中心とした「人類の繁栄と発展が孕む危うさへの警鐘」的なテーマを軸にしたストーリーが見所。人間社会の発展に伴う環境破壊や公害の影響で突然変異を起こし怪獣化した生物が...みたいな筋書き自体はウルトラシリーズだとけっこうよくあるものですが、今回のエピソードは「戦争や公害といった諸問題が既に過去のものとなっている」というティガの世界観設定を軸に、廃止となった過去の地下核実験の影響が10年近く経った今でも禍根となって残り牙を剥いてくるという「繁栄・発展のための行いが未来へ及ぼす影響」を強調した作劇が面白いところでありましたね。この人類に訪れ得るしっぺ返しを「敵は宇宙から来るだけではなく、我々人類の行いからも生まれ得る(意訳)」と例えたサワイ総監の台詞が実に端的且つ秀逸で印象深い。ここのサワイ総監の語りの場面で、科学畑のホリイ隊員だけが神妙に立ち尽くして聞いてたところが個人的に好きなところ。なまじ専門なだけに人類の身勝手さがもたらすものに対し思うところが大きいというのが強く感じられてさり気なく彼のキャラ性の深掘りになってるよな(後のエピソードにもこの一面は時折顔を覗かせるしね)

破壊された自然環境や生態系の再生にも膨大な時間を要すると言うし、つまりは、「今さえ良ければ良い」「いずれはどうにでもできる」みたいな意識で繁栄や発展を行えばその先の先にまでツケは回り続ける、というのが今回のエピソードの一番のメッセージなんですよね...特に放射能はこの現実世界でも大きく取り沙汰されることが今でもよくあるし、ここのメッセージ性を強く伝えるというところにおいて今回のエピソードには相応しい要素だったなと。プルトニウム239の半減期は2万4千年」「人類が滅んでも放射能の影響は残り続ける」なんて恐ろしいことが本編でしれっと語られていたけど、実際に数字や言葉に起こして見るとほんと背筋が凍るよなぁ...ちなみに軽く調べたところ、他の放射性物質半減期カリウム40が12億5000万年、ウラン238が45億年だそうです。こわ...

 

そんな人類の行いが生んだ内なる脅威の象徴として登場したレイロンスも、魚類と両生類とが歪に混ぜ合わさったような、あり得はしないんだけど絶妙に生物として「いそう」な生々しい姿が本作のテーマ性にガッとハマっていて実に良き。サワイ総監が語ったように、人類の脅威ではありつつも同時に人類の行いの被害者でもあるという悲哀を秘めた背景も強く目を惹くところでありましたね。まぁ当の本人はそんなの知るかって感じでちょっと可愛いまであるコミカルな雰囲気を出してるんだけども() 石油プラントに飛びつく動きやティガとじゃれつくように戦う様からして、レイロンス自体は悪意の無い無邪気な存在なんだろうな、と感じられるの面白いよね(ティガをフェイント攻撃でおちょくったりとちょいちょい悪戯っぽい小賢しさを覗かせるのが良い感じにクソガキ感あるの好き) そんな悪意の無いであろうレイロンスも「怪獣」として人類の営みに影響を及ぼし得る以上脅威には違いないので戦って排除せざるを得ないというのがほんのり辛いところでもあり(そしてそんな戦いを引き起こしたのは元を辿れば人類の我儘な行い故であるというのがまた実に因果であり)

 

そうして巻き起こったレイロンスとの戦いが終わり、ラストはレナと今回の事件にいち早く気付いていたイルカのミューの交流を描く一幕と共に締めとなりました。話の中でそこまで重要な部分ではなかったとはいえ、レナとミューの関係は一エピソードの要素としては十分膨らませがいのあるものだったと思うし、レイロンスを中心とした警鐘や問題提起の話との兼ね合いで薄味になったのはちょっと勿体なかったかもなとは思うところ。「動物をはじめとした他の生物との共存・相互理解」みたいな理想は今後のエピソードにおいてもレナが有する一つの軸として描かれるところだし、ここで一本ガッツリ扱うのもアリだったかもなと(しかし上述したホリイ隊員の人類の繁栄の代償に対する反応なんかもそうだけど、各キャラの信条みたいなものをちょっとしたシーンにおける仕草や表情といったところまで込みで序盤から細かく描いてるの凄いよなぁと改めて。今一度視聴してこういう発見があると楽しいですね)

 

 

以上、ティガ第12話でした。現代社会にも通ずる人類の発展が含む危うさへの警鐘というメッセージ性を程良く織り込んだドラマを軸にしつつ、小気味良いキャラ描写等も目を惹く面白いエピソードでありましたね。プール特撮はやはり最高(至言)  ティガの人間臭い仕草とか、ホリイ隊員やレナの言動とか、キャラクター周りに後のエピソードにも通ずる細かな蓄積みたいなものを感じるところが多かったのが思いの外楽しくて良きであった ティガのこの辺の細かな積み上げやっぱり凄く良いな...と

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた