AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

時空突き抜ける、生命の螺旋

仮面ライダーギーツ

第26話「慟哭Ⅱ:真紅のブースト!」

感想レビュー

 

 

大智、参謀として静観のスタンスが続くかと思っていたけど、ジャマト化が進む道長のことを見ていてなお自分もジャマトバックル使う時は使うくらいのつもりで首突っ込んでいく意思を見せてたのはフォロワー氏も言ってたけど少々意外であった 

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ジャマトになるとはどんなものかという純粋な知的探究心ゆえか、それとももうどこかネジ外して飛ばしてるのか、ともあれ大智は参謀役に収まってあまり跳ねない可能性もあるかもと思ってたのでここはちょっと期待値高まるね 少なくともクライマックス前の節目にドンと化けてくるとかはありそうだなぁ

 

ジャマトグランプリの更なる進行の中覚醒する英寿の更なる力、その背景に秘められたとある秘密...というストーリーとなった今回のエピソード。強化フォーム爆誕エピとして爽快に盛り上げつつ、英寿のキャラ面をより深掘りし彼の背景にまつわる謎にグッと迫ったエピでした

 

特に英寿の「願い」にかける想いやその根底に根付く熱い一面等が、ショウタ少年との交流通じて今までにも増してドラマ的にも印象深く描かれたのは今回のエピソードの大きな見所の一つでしたね。前回の時点だとショウタ少年はあくまで一ゲストくらいという認識でストーリー的な活かし方というところにおいては今一つピンときてなかったのだけど、今回「母の快復という願いにかける強い想い」という部分が母の行方を知るべくライダーとして戦う英寿の境遇とダブる構図が演出され、英寿がその想いに寄り添い強く後押しするというヒーローらしい姿を見せるところへ接続されたのは凄く気持ち良かったなと。景和や祢音が負傷して一時離脱することになり自分1人でジャマトを食い止め倒さなければならないという状況で、いつものように自信ありげに振る舞いながらも内心は焦燥している(景和と祢音の負傷を聞いて目が泳ぐカットがさり気ないながらも良いアクセントだった)、といういつにも増してギリギリな英寿を描いてからに、ショウタ少年へのシンパシーが英寿の闘志の再燃を押すところが描かれるという流れも実に鮮やかであった その上で英寿の単身での戦いに不安になるツムリに「良いから化かされとけ」って英寿が言うのが、自分への鼓舞も込めていつもらしく振る舞おうとしてる感じがあってまた良い

 

てか今回はこの上述した焦燥してる描写や化かされとけのシーンをはじめとして、英寿の感情がかなり分かりやすく発露するシーンが沢山あり、それがドラマをグッと引き締めてたのが良かったよなと。この状況だからこそ溢れる感情があり、それにより今まではあまり大々的に見せられていなかった英寿のヒロイックさのここぞでの爆発として物語を盛り上げたのが実に熱い。ブーストマークⅡ誕生時の叫びとか、今までの英寿“らしくない”熱さがあるからこそ節目としてアガるものがあって良かった  特にことここに至ってなおこの戦いを感動を得るエンタメとしか思ってない態度のジーンに対し英寿が「俺達の戦いは遊びじゃない」「この世界は俺達の現実だ」と静かに、しかし力強く激昂するシーンは、ある意味でギーツの物語の根っこに通じているとも言える未来人達と現代の人間達(英寿達DGPの参加者達)の意識の乖離という部分を明確に描いたというところでかなり目を惹いた部分でありました。これまでにもその点に関しては察せられるように描いたこそいたけど割とやんわりレベルの描写だったものを、ここにきて「未来人達は形式上味方だけど決して相容れる存在というわけではない」と明確に線引きしたのは大きかったなと思います。過去の世界や英寿をはじめとしたそこに生きる人間をエンタメとして消費することしかしないジーン(未来人全体)と、ジャマトへの勝利や自身の願いへかける想いを「神頼み」という過去や歴史への敬意として表していた英寿、という対比も効いていると言えよう

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ともあれこの辺りの描写はこの先の未来人達との構図にも大きく影響しそうだよなぁという感じで、なかなか楽しみですね。肝心のジーンは「なんでキレてんの...???」って感じだったしなんなら懲りずにギーツに感動してたけど。ダメだこりゃ。()  なんかこの主人公達の意志に精神的にしてやられる場面こそあれど懲りないし根っこは変容しない感じは、鴻上会長やヘルヘイムみたいな武部P作品の元凶存在っぽさが凄くあるなぁ...とw  ただ先に述べた前例達がそういう懲りなさの描写を終盤まで引っ張ってたのに対し、ジーンのそういう部分がこの中盤に描かれたのは、残る後半戦での意識の変容なんかを描く布石なのかなぁとも思えるのでそこはちょっと楽しみなところ。特に本作の未来人達はそれぞれメインのライダーのドラマに個別でけっこうガッツリ絡んでるだけに、そこからの変容をドラマとして描く余地は凄くありそうだし、ここはどうなるかなといった感じですね ジーンに関しては玩具情報で公開されてるレーザーブーストフォームの存在からして「英寿の想いに感化されて彼を庇って致命傷を負い、レーザーレイズライザーを託して落命」なんてこともあるんじゃないかと予想されてるくらいだし、盛り上がりの余地は大きい

 

そんな中で満を辞して登場したギーツの強化形態ブーストフォームマークⅡの大活躍は文句無しに今回のハイライト。ジャマトの猛勢に苦戦を強いられる英寿が天に掲げたブーストバックルに流星群となって集う4つのブーストバックルが一つになって誕生、となかなか凄い絵面でのデビューであったけど、英寿の覚悟も相まってめちゃくちゃ外連味が効いててカッコよかったですね...戦闘の方もこれまで強力なフォームとしての印象を強く見せまくっていたブーストフォームの強化らしく、一気に距離を詰められたバッファが身じろぎもできない状態でぶん殴られて画面端にぶっ飛ばされてくカット高所から叩き落としたナイトジャマトを追うように身を投げ地面で一撃をかます一連のシーンなど、圧倒的なパワーとスピードを映像の緩急でもってこれでもかと見せつける演出が気持ち良く、苦もなく劣勢をあっという間にひっくり返していく理不尽なまでの実力が存分に見せつけられていて最高でした。暴走しクソコテと化してく道長/バッファや優勢になって調子に乗るジャマトを上位のやつも含め、相手にすらせずゴミのように千切り爆散させていく様は爽快だったぜ(言い方)  必殺技の方も、ぶちかまされたナイトジャマトがその勢いのままに吹っ飛ばされてビルに破壊と共に叩きつけられる、というパワフルな演出がめちゃくちゃ好みに刺さって非常に良かった(アギトのライダーブレイク初使用時を思わせる気持ち良さであった)

にしてもここにきての登場となったギーツの正規強化フォームの大活躍、待たせに待たせただけあって素晴らしいカタルシスだったなぁ、と。この中盤の中間(相当)フォーム登場までに強化フォームが2個も3個もバカスカ出てくることがザラになってたとこで、タイクーン(やバッファ)兼用のアタリアイテム扱いで固定ではなかったコマンドフォーム劇場版限定ライダーのシーカーのアイテムとして描いたことで出ずっぱりのギーツ強化にせずとも十分な販促になっていたパワードビルダーフォームといった「強化と言えるけどギーツの固定・専用ではないフォーム」を、作品の性質も上手いこと活かして販促も兼ねながら工夫し描いてきた上で、平成ライダーシリーズを思わせる「中盤での満を辞しての(正規)強化フォーム登場」カタルシスを堂々描いてみせたのは流石の一言。凄まじい販促ペースに押される形で次々にアイテムやフォームが出ては消えていく刹那性に思うところが増してきてたこの昨今において、基本フォーム派生フォーム(およびその所持アイテム)の満遍ない使用の巧みさも含め、ギーツはほんと突出してその辺の魅せ方が上手いなぁと感心するところであります ここは平成ライダー全盛期の時代を経験しこなしてきた武部Pの蓄積によるところが多分かなり大きいよなぁ うーん見事

 

という感じで決着したvsジャマト軍団との決戦であったけど、そんな中で道長が透の人格を取ったジャマトのことを「透はもうとっくに死んだ」「お前は透じゃない」「利用するだけ利用するつもりだった」とドライに割り切っていたことを明かしたのは何気に衝撃であったところでした。前回は透ジャマトに対し色々思うところを見せ、今回に至っては彼の歩み寄りに絆されてる感じを見せ、とかなり参ってそうな感じもあったんだけど、実際のところは道長の方が透ジャマトに絆されたフリをして上手く扱うつもりだったってのは予想外だったわね 「透は死んだ」と割り切って手ずから透ジャマトを倒すくらいのことは遅かれ早かれしそうとは思っていたけど、ここまでドライに向き合ってたとは...しかし道長、不幸な世界を作ろうとするジャマトサイドに「ライダーどもが不幸になるなら望むところ」と言って加担してることもそうだけど、実際本物ではなかったとはいえ、仮にも透の人格を忠実に模していて今際の際に自分に手を伸ばそうともしてた透ジャマトのことを見向きもせず冷徹に切り捨ててみせたりと、やはり自分の願いを突き詰めすぎて人間味が薄れたり根っこや軸が大きくブレたりと暴走してるところは大きいよなぁ...と。「願いが無いと戦えない奴らなんて弱ぇ」と、願い(目的)と手段が一緒くたのお前はどうやねんという感じの台詞を英寿に吐き捨てたりもしてるし、このままどういう方向へ向かっていくのかは色々読めなくなってきましたね...ともかく注目したいところである

 

そしてラスト、マグナムフォームマークⅡの誕生が、

生まれ変わった俺がいつか、

世界を守る覚悟を決めた時、

それを実現する力

という保留にされていた過去のデザ神達の願いが発動する形で為されていたとニラムが言及することが明かされる、という意味深なカットと共に今回の話は締めとなりました。上記の願いが書かれた4枚のデザイアカードに書かれた4人のデザ神の名前がそれぞれ「エース」と読めるものであること英寿の覚悟に呼応し4つのブーストバックルが降り立ったこと...まぁつまりは「そういうこと」なんだろうなと。「西暦元年から参戦してる」発言「この時代の人間ではない」というギロリとニラムの言「英寿は確かにこの時代の浮世家の生まれの人間」という事実、全ての点が矛盾なく線で繋がるこの感覚気持ち良かったですね...ただその上でも、このような願いの叶い溜めと、少なくとも4、5度に渡っているであろう「生まれ変わり」を経て「エース」は何をしようとしているのかその上で何故肝心の母親=ミツメのことは忘れてしまっているのか、など気になることもまだあるわけで。ここの開示もこの先楽しみになってきましたね  「生まれ変わりを経て記憶が薄れてもなお何かの想いを抱いて生きる者の壮大なスペクタクル」というめちゃくちゃ好みなテイストがここにきて醸されてきたギーツ、凄く刺さるかもしれん...(敬愛する漫画家・藤田和日郎先生の長編作品群に似たものを感じてきてかなりアガってきただわよ)

 

 

以上、ギーツ第26話でした。浮世英寿という男のキャラ性をグッと深掘りする形でマグナムフォームマークⅡの初陣で盛大に盛り上げつつ、英寿の謎の真実に更にグッと切り込み本作の裏に根付く壮大なテイストを印象付けてきた実に面白いエピソードでありました。この折り返し地点通過からが本番だぞという感じでこっちも本作を腰を据えて観ていましたが、むしろ更にグングンと真っ当に盛り上がってる感じがあって凄く良き良きという感じ。このペースでこの後半戦もガンガン勢いを上げていって欲しいですね 応援してる

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた