AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

傍若無人侍

ウルトラマンティガ

第16話「よみがえる鬼神」

感想レビュー

 

 

「亡者となった今では身動きが取れん、しばらくお主の身体を借りるぞ」

「エッ、カッカ、身体を、借りる!!?

...アッアッ ア-ッ/// ダメ ダメ/// エッ、ソンナトコカラ/// イ、痛い痛い痛いアハハハハハwww」

のシーンでぐわんぐわん揺れる車を引きで映すの、何とは言わないけど分かってやってるでしょ()  一応子供向け特撮番組なんやぞ!!!

 

邪な輩の行いに端を発する、大妖・宿那鬼と武士・錦田小十郎景竜の現代への復活が巻き起こす騒動をコミカルに描く今回のエピソード。ウルトラシリーズお馴染みの信仰心の無いクソ人間のせいで大昔に封印されてた化け物や怪異が復活する系の話だぁ!!(興奮)  そしてティガだと初めてになるガッツリめのギャグ回でもありました。ムザン星人回、ガゾートⅡ回とハートブレイクな話が連続したのでとびきりコミカルに振ったわちゃわちゃなギャグ回で心を休めてくれというやつなんでしょうか なんでそんな0か100かみたいな二極の選択肢しかなかったんでしょうか() 前回、想い人を喪って涙する妹を受け止めることしかできない悲壮すぎる姿が表情の窺えない背中越しのアングルで描かれるという凄く切ない引きでフェードアウトしたシンジョウ隊員が、直近の次の回では骨折した脚をヤズミ隊員にどつかれて痛がってたり司令室待機でレポート書かされてブー垂れてたりしてるのをどういう目と感情で見ろってんですか!?前線出なくて出番少ないのを補うためか、シンジョウ隊員が司令室でヤズミ隊員とやたらわちゃわちゃしてんの面白いんだよな...w これまでのエピソードでもGUTSはみんな仲良いげだったけど2人ともそんなどつき合うような関係値だったのかってなる。w

加えて「まぁそれなりに時間置いた話かもしれないし...」という形で切り離して納得しようにも、前回冒頭で描かれたダイゴとシンジョウ隊員の骨折が今回もちゃんと描写として(しかも割とちゃんとストーリー全体を通しての描写として)引き継がれてるので、前回のエピソードからそれなりに地続きになってるっぽいと窺える分切り離しづらいのもだいぶひどいよ() シンジョウ隊員の足の引き摺り方やダイゴ隊員の「まだ左手利かないんだから...」って台詞からしてもマジでそこまで時間経ってないまであるのよな...w  長野くんの負傷をカモフラージュする演出上の措置がここで効いてくるの思いもよらなさすぎるやろ(

 

ともあれ本編へ。先にも述べた通り今回の話はクソ人間の行いが発端ということで、宿那鬼の封じられた祠を男盗人3人が暴くという導入からスタート。後に景竜に憑依される男を声優・俳優・音響監督で知られる郷田ほづみさんが演じられていたりとやたら濃ゆいこの盗人3人組だけど、こいつらがやたら憎めないキャラしてるのが良いよなぁと。w  だいぶ堂々と盗み働いてるわ抜けようとする仲間をナイフで脅すわで割とちゃんと悪党ではあるんだけど、怯え方が凄く俗っぽいところとかちょっと抜けてたりするところとか、この手のギャグ回ではある意味定番だけど絶妙にキャラが緩いおかげでえぐみを感じず見てて楽しかったわね 「流石名人だな」「こんなの問題外だぜ!」「ま指紋もたくさん付いたけどな」「」のとこ好き(こういうぬるっと滑り込ませるギャグに私は弱い)  まぁこいつらに関して言えば景竜の傍若無人さに振り回されてたのがいっそかわいそうなまであるのも憎めない一因な気はするが() 1人は亡霊に身体を半ば強引に使われて、1人は躊躇いなく袈裟斬りにされ(峰打ちだったので無事だったけど、パワフルすぎてフツーに服切れてたし血も出てた)、1人は恐喝されて話もロクに聞いてもらえず足代わりにされ(しかも用が終わったら山中から自分の脚で帰らされた)、うーん自業自得とはいえ不憫()  悪い奴は所詮もっとヤバい奴の餌食になる運命なんだなぁ...だからってわけじゃないけど、悪いことするもんじゃないね!

 

そんな盗人3人によって宿那鬼が復活せんとする中でかつて宿那鬼を封じた武士・錦田小十郎景竜も魂として復活。この景竜の濃すぎるキャラが今回のギャグテイストを150%高めていたと言っても過言ではなかでしょう いやほんとほぼこの回のゲストみたいな扱いのキャラのくせしてなんでこの人こんなゴリゴリの特濃なんだろうなって今観ても思うな...w  「物の怪を見極める力を持ち生涯を妖怪退治に費やした」という英雄性を含んだ生き様はまさしくウルトラマンのそれという感じであり、実際にけっこう強いであろうところ含め、突き詰めれば一エピソード丸々使ってティガの力を手にし戦うダイゴに何か啓示を与える話なんかもできるような方向性の魅力も内包してるキャラだよなと思う(軽く後述するけど実際に本編でもそういうテイストの描写は入れ込まれたし)んだけど、実際のとこは(有事だし当事者なのでなりふりかまってられなかったとはいえ)刀を無言で構えて恐喝したりみたいな無法も厭わないアウトローっぷりや、かつて宿那鬼のトドメを何故刺さなかったのかとダイゴに問い詰められて「いやぁ、面目ない」ってしれっと開き直るクッソテキトーぶり(「奴の生命力が強すぎて封じることしかできなかった」とかじゃなく、遠回しに「ほんとはできたけどし忘れた」って言ってんのがおめーはほんとにって感じで好き)をこれでもかと振るってる奴ですからね()  他にも、峰打ちにした男が出血してるのを指摘されても「うん」で済ませて指摘してきた男相手に上記の恐喝をシームレスに遂行したりどうしようもないので致し方ないとはいえダイゴに宿那鬼の対処を(しれっと自分が憑依した男の安全確保まで込みで)丸投げして勝手に消えたりと我が道を行き過ぎてんのがマジで笑う(後者に関してはダイゴに頼み込む立場のくせして「行ってやるが良い」って微妙に上から目線で言ってるんのが余計にツボでポイント高い)  これに対するダイゴのなんか冷めたツッコミや呆れようもめちゃくちゃ面白いし、総じてやっぱ一エピソードのゲストキャラとは思えんほど鮮烈で癖が強いな...とw しかもそれでいて(TVシリーズ以外の媒体も挟むものの)マルチバースを転々としてた疑惑までありますからねこの人 要素過多も大概にしろ(

 

後半ではこの景竜により封じられた大妖・宿那鬼とのGUTS・ティガの決戦へ。うっすらフィルターがかかり神秘的なような妖しげなような雰囲気が醸された映像の中、山間の村というフィールドを舞台にワイルドなアクションや剣をダイナミックに振るう荒々しい立ち回りで攻める宿那鬼と、この和を突き詰めた映像の中で赤と銀と紫のカラーリングが却ってアクセントとなって美しく引き立ったティガの戦いが繰り広げられる様もまた新鮮で面白いところでしたね(BGMもさながら和太鼓のリズムのように前奏部分が

画面を括るように前面に配置された鳥居の中に両者が収まった構図も凝ってて好き  宿那鬼の剣で鳥居が一泊置いて切り倒されるカットや、ティガスライサーで宿那鬼を一閃しつつ眼前に迫った刀を白羽どりし止めるティガのシーンなどの、外連味の効いた演出の多さもとても目を惹いた  宿那鬼、身体をバラバラにされ別々の場所へ封じられた設定といい、「筋肉質な胴と白い毛を蓄えた下半身という肉体」「乱れた白髪を振り乱す単眼の鬼」というこれぞ鬼といったデザインといい、昔話から飛び出てきたような和テイストの怪異的な趣が凄く良いですよね。後頭部のもう一つの顔、というインパクトあるビジュアル含め、今や呪術廻戦でメジャーになった「両面宿儺」がモチーフだろうし、飛ばされた首だけになっても生きてる様もいかにもな感じだったし、めちゃくちゃ妖怪・鬼神のイメージが突き詰められてるのが良き SFテイストの怪獣や宇宙人が多い中でたまにこういうのくるのが良いのよなウルトラ怪獣

 

そしてラストでは、憑依されていた男を介してダイゴへと

物の怪がこの世に現るるは 事の道理なり されど その物の怪を打ち破らんとする心 それさえあれば 百戦して危うからず

強者は常に孤独だ 強者は勝ち続けなければならない その為に孤独になる

 

─耐えられるかな?

という景竜のエールとも取れる言葉が送られ締めとなりました。景竜の言葉は言うなれば、怪獣や宇宙人が襲来し続ける地球において人間達がその脅威を乗り越え平和を掴み取っていこうとする意志とか、ウルトラマンという大いなる力を持った者が背負う責任と運命といったものを象徴的に言い表したものなのだろう(この辺はそれこそウルトラシリーズという作品のテーマ性をグッと突き詰めた「シン・ウルトラマン」のストーリーや、主題歌の「M八七」の歌詞を聴いた後だとなんか凄く腑に落ちるものがあるよなと。物の怪が〜の台詞はシンマン本編のストーリーの行き着いた先のテーマにガッとハマる物があるし、強者は〜の台詞なんかは凄くM八七の内容にダブるものがあるしね)という感じだけど、改めて見てみるとこれをこの「ウルトラマンティガ」という作品で出してきたのは凄く大きな意味のあるものだったよなぁという感じがしますね。ウルトラマンティガという超人の光と力を手にしたダイゴが1人の人間としてその意味を問い続けながら大事なものを守るために戦っていくことこそが本作の重要な肝なわけなので、そこにおいて「苦難に立ち向かう『人間』の気高い意志」に触れた物の怪が〜の台詞は強くハマるものがあるなと思うし、「『ウルトラマン』という大いなる力を持った超人」の在りそのもの方に切り込んだ強者は〜の台詞は、ダイゴのあくまで『1人の人間』としての苦悩や意志などを含んだ戦いを突き詰めた先にあるものとの良い意味での対比を強調するものになってたとも言えるよなと感じたしと、何気にこの段階でウルトラマンティガという作品の在り方や方向をかなりガッと示していた部分だったのかもな、と今にして思ったところでありましたね。ともあれ今のこの時期に改めて視聴してみて更なる深みを感じることのできた台詞でした。

 

 

以上、ティガ第16話でした。だいぶガッツリとしたギャグ回ということで緩めのストーリーやキャラクター周りを肩の力抜いて楽しめるエピソードであったなと 主に景竜が濃すぎるのが原因だが()  一方で日本の民間伝承的なテイストを煮詰めた全体の独特な雰囲気が新鮮で面白かったり、ラストの景竜の台詞にティガという作品のテーマや根幹に触れる深みがあったりと目を見張るポイントが多かったのも良きでありました 今回のは割としっかり台詞として言及してた方ではあったけど、掘り下げてみると単発のエピソードのさり気ない部分でもしっかりテーマを深めてることが多いのがティガの強いとこだなと改めて

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた