AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

作り物の明かり

仮面ライダーギーツ

第29話「慟哭V:サプライズ!闘牛ゲーム♡」

感想レビュー

 

 

えるしっているか

ライダーで試合形式とか言い出しても反故にするか不正まみれになるかでどっちらけになってどうせマトモには機能しないから真面目に試合は見守らなくて良い(早口)

代表戦や5番勝負という前例で知ってるんだぞ!!!!!!これで今回ちゃんと機能したならワイのど偏見だったで済むんだけど、今回も例に漏れずクソ不正試合だったしな...(一応道長は真面目に試合にしようとしてたんだけどなぁ...) 割とマジでこの手の形式の茶番感が増すから程々にしといた方がいいぞ!?

 

祢音の誕生日の中でジャマトサイドが繰り出すバトルロワイヤル“闘牛ゲーム”、その時明らかになる祢音誕生の秘密...な今回のエピソード。超カッコいいキュアウイング覚醒とリタ様の特濃クソ強キャラ&キングオージャー集合の激アツエピに挟まれる形になったけどそれに全く負けないインパクトで魅せていった回になりましたね...濃密すぎるな今週のニチアサ!!超面白かったわ

 

今回はストーリーの方の比重デカめでバトルはやや控えめといった感じだったけど、何気に劇中初となるレア枠ブーストとの組み合わせやフィーバーの出目による組み合わせ以外での純粋な大型バックル同士のデュアルオンや、ニンジャデュアラーの分割によるフェイント攻撃リボルブオンアクションの活用により相手をねじる技巧戦法といった工夫が随所に活きた要所要所のバトル演出が面白かったのも良きでありました。リボルブオンをアクションに組み込んだ攻撃、坂本監督ならではという印象だったけど最近は中澤監督も柴崎監督も杉原監督も積極的に活かそうとしてるから良いよね ニンジャデュアラーの分割も同様で、単なるモードの切り替えに終わるだけだとしょっぱいしマンネリだよなーと思ってたのを振り払うようにしっかり戦法に取り入れてるのが良き良き  ギーツはやっぱこの辺が割と積極的なのも嬉しいねぇ

 

てなわけで話はストーリーへ。祢音メイン回ということでキューンにもスポットが当たったけど、今までキモポイントを着々と稼いでいたところからちょっと彼自身の本質に迫るものが見られたのは面白いところでしたね。初恋拗らせた小学生と何かとカッコつけたいナルシストの魔合体だったんだなぁ...() キモポイント積み上げの一番の要因だったポエミーレターが「カッコつけたい」と「面と向かっては素直になれない」の板挟みの産物だったなのはなんというかこう、生々しいなと。w 手紙書いてたの祢音に薄々バレテーラだった締まらなさも含めて完全に思春期の小中学生のそれ  前にも「こんなこと面と向かって言えるかよ...!」なんて呟いてはいたので知れたことだったといえばそうなんだけど、誕生日プレゼント渡しあぐねて本人の後ろでもちょもちょしてるようなキャラだったと知った後だと凄い“陰”の者のオーラが濃くなるというか() あんなすこぶる造形の良いイケメンがこれなの、天は二物を与えないというのを体現しすぎてる

ただこうして内面が深く見えた分、キューンの祢音に対する思い入れがちゃんとしたものであることもグッと可視化されたのはキャラクター的な芯が感じられてちょっと愛着が湧いて良かったなとも。なんだかんだ不器用に祢音と向き合おうとしてる一面が真なるものだとちゃんと分かると人間臭さが感じられて「可愛げあるじゃねぇか」ってなりましたからね  ナルシスト面の方が強いとちょっと「引く」の方が強いままだったろうしこのタイミングでこれをきっちり描いたのは良い塩梅であった 初恋拗らせムーヴもそれはそれでめんどいだけどま多少はね()  ともあれ最近の評判を吹っ飛ばさんばかりに期待が高まってるし次回頑張って欲しいやねキューン

 

とキューンがそうして良い感じに味を出してた一方、祢音の出生...というか“誕生”についての恐るべき事実が明らかとなったのも今回のエピソードにおける大きな見所でありました。以前のエピソードでの光聖パパの発言からも「祢音がDGPにまつわる願いで生まれた」というのは視聴者的にも薄々察せられてはいたけれど、実際のところは、更に以前のエピソードで語られた「誘拐事件」の際に「命を落とした」「鞍馬家の本当の娘・鞍馬あかり」「代わり」として、鞍馬家がDGPのスポンサーになる見返りの願いで生み出された「理想の娘」であった...と想像を絶するほどのクソ重背景でこう...なんだこの地獄!?ってなりましたね...今回描かれた誘拐事件収束の際の再会する光聖パパと祢音や、帰ってきた祢音を迎え入れて怯える祢音に寄り添いながら誕生日を祝う伊瑠美ママといった、一見「愛」を感じる光景も実際は願いで生み出されたまやかしに過ぎず、実際には光聖パパは現場から運び出されてくる沈黙した娘を見送ることしかできず伊瑠美ママは精神が捩じ切れて独りで娘の虚無の誕生日を祝っていたの、描写のホラーっぷりも相まってあまりにムゴすぎて鳥肌立ったしゲボ吐くかと思った  伊瑠美ママ、事情が事情とはいえ毒親すぎるやろと思ってたけど、あまりのことに精神が壊れてしまって改変後もそのトラウマがどこかで引き継がれてしまったんだろうな...と思うと可哀想の方が強くなってしまったなぁ  これを踏まえると祢音の「本当の愛が欲しい」という願いも、図らずも正鵠を射てしまっていたんだな...と皮肉さが色濃く出てきてとても辛い。そもそも彼女自身が真に「鞍馬家の娘」としての本当の愛を受け取るべき存在の「代わり」でしかなかったわけで...ヴォエ!!!(地獄)  自然の光を指す「あかり/明かり」に対しての作り物/偽の光を指す「祢音/ネオン」なんじゃない、って考察がますます地獄

度近亭シン・恋 on Twitter: "「あかり」 は自然に生まれるものだけど 「ネオン(祢音)」 は 「人工の光」 ってことなんすね #nitiasa" / Twitter

でもその上でもやっぱり祢音周りのドラマで重要な軸の一つになってくのは、「両親の自身への想いにどう気付き向き合っていくか」になりそうだよなとは思うところ。伊瑠美ママは事情はどうあれやってることのアレさはあるものの根っこはどこまでも「娘が心配」に違いはないだろうし、光聖パパも祢音を生み出した願いが「私が理想とする娘・祢音が生きている世界」という色んな葛藤を多分に交えていることが窺えるものであるしと、たしかに少なくとも光聖パパの行いは率直に言って正気のそれではないとはいえ、曲がりなりにもだが2人の「娘への愛」自体に嘘はないはずなんだよな  フォロワーさん達が言ってたけど「『あかり』の死は受け入れなければならない」と「『娘の死』そのものまで受け入れて生きてはいけない」の狭間で散々迷った末って感じの願いよな(祢音のライダーとしての戦いを信じて支えつつもあかりの死んだ誘拐現場に花束を手向けにも行く、とどっちにも振り切れてないのがまた)

度近亭シン・恋 on Twitter: "「あかりが生きている世界」 「あかりの復活」 でなくて 「あかりの代わりの理想の娘」 なの、 「あかりは死んだんだ、それは受け止めなければいけない、無かったことにしたくない、冒涜だ」 ってのと 「でも娘を喪ったままの人生には耐えられない」 が混ざってる歪みで最高だぜ~~!ってなってる" / Twitter

フラギイ on Twitter: "娘を取り戻したいと思う中、彼女の尊厳は理解して全く同じ複製しない理性とそれでいて理想をプラスαして娘を作り上げる欲望の同居が生々しいよなネオンパパ どっちも本心だよ" / Twitter

フラギイ on Twitter: "アカリの尊厳のため彼女のゾンビは作りたくないという理性と、でも娘を失った穴は埋めたいので良く似た別人を作り上げたいというせめぎ合い" / Twitter

ペルケン on Twitter: "光聖は理想の娘として袮音を作ったはずなのに、誕生日にはあかりに華を供えに行く未練たらたら具合がマジで最悪 #nitiasa" / Twitter

そこに感じるものが祢音にとって「本物」なのか、それとも「歪な偽り」なのかによってこのドラマの方向は大きく変じると思うので、どうなるかはしっかり見守りたいところ。祢音の境遇やそれを知った時の心境を思えば、許し受け入れることも許せず拒絶することも彼女の感情・選択としては真っ当だからな その上で「祢音」という1人の人間そのものを何にも揺るがされず信じ愛するキューンがいてくれるのは、どういう方向に振れたとて彼が支えてくれるだろうというので凄く安心だよなと

 

そんな祢音の境遇を嘲笑い絶望へと叩き込んだベロバも悪役として最高に最低で、ますます盛大にぶちのめされて欲しくなって良かったですね...アレを祢音の試合中の公開暴露としてぶっ込んで祢音を使い物にならなくしようとしてたのあまりにもクソ  これを受けての英寿の「無言でのレーザーブーストへの変身がベルト部分の寄りの画のみで描かれる」という静かな怒りの表現がコントラストとして劇的だったのも実に良かった。ここで祢音のためにブチギレる辺り、英寿もすっかり景和や祢音への仲間意識強まったよなと

でもベロバ、こんだけのクソっぷりを見せつけてはいるけどヘイトの貯め方は凄く丁寧なので、フラストレーション以上にその上でぶちのめされる期待値の方が高まる見せ方になってるのは悪役として凄く巧いよなと。今まで余裕ぶってふんぞり返ってたのが前回のレーザーブーストとの対峙による敗北を受けてイラつくことが多くなり、それでいてこんな露骨な手段に出始めたのは裏を返せば余裕がなくなってきたことだとも思うので「そろそろ破滅するっぽいな...」というのが感じられるし、視聴感としても絶妙だなと思いますね  正直ベロバは性悪の悪役としてけちょんけちょんに負けて破滅してこそ完成するキャラだと思うので今からどうくたばるかは楽しみだわよ 個人的にはけちょんけちょんにやられて後がないところで身内の誰かに背中から刺されるタイプの破滅だとらしくて良いな...と思うが(ジャマト農園焼却をずっと恨んでた面従腹背のアルキメデルに刺されるのが個人的には一番好みだけど正直アイツがどうするか現状分かんないし、漁夫の利狙いの大智に軽く切り捨てられるが一番ありそう) 道長は前回まさにその状況になったベロバを救出離脱してるしなさそうなんだよな でも試合形式で組んでた自分のゲームに水を刺されたのが不満そうだったし、それで愛想尽かした結果ベロバが追い詰められてても「お前のことなんざ知るか」になるとかはありそうだが

 

 

以上、ギーツ第29話でした。長らく引っ張った祢音周りのドラマがググッと大きく動き、そのインパクトでもってストーリーを盛り上げたエピソードとなりました。鞍馬両親やキューンといった祢音を取り巻く人々のキャラにも良い感じに奥行きが出たし、彼ら共々祢音の物語の着地が大いに楽しみですね 本筋の方もベロバに漂う破滅の気配とかが楽しみ しっかり群像劇してて良いなぁギーツ

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた