AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

光宿せし者

ウルトラマンティガ

第17話「赤と青の戦い」

感想レビュー

 

 

祝☆ダイゴの左手(とシンジョウ隊員の左脚)完治!!

怪我してる演出が2話も続いたりとけっこう引っ張られた要素だったけど意外と早くなんとかなって良かったね...長野さんの手がリアルに割と早く治ったんかね  でも権藤さんが発案したというティガが変身直後に左手をグッパグッパして動くのを確認する小ネタ的な仕草とか面白かったし、もうあと1話くらいさり気なくネタとしていじくるくらいの感じでは見てみたかったかもしれない こういうさり気ない即興ネタ好きなんだ

 

地球を舞台に繰り広げられる異星の二つの種族の闘争と、そんな中で紡がれる星を越えた絆と気高い意志を描き出す今回のエピソード。第10、11話辺りと並んで小さい頃けっこう何度も観た印象深いエピソードの一つなんだけど、これまた今観てもとても心に響く良いエピだよなぁと 異種間交流的なハートフルな話はやはり沁みる...おばあちゃんキャラがゲストなのも個人的にとても好みだからかなり刺さるんすよ 自分けっこうおばあちゃん子という自覚があるのでそういうのが琴線に触れやすいのだと思う

 

今回登場の宇宙人はスタンデル星人。鋭角的な鎧のような意匠をシルバーが基調となったぬらぬらてらてらとした質感のボデーに携え、モノアイを一際大きく光らせたビジュアル(何にも似てないんだけど劇中で出た「イカのお化け」という比喩がとても絶妙な生物感と奇怪さが良き)が一昔前のSF・オカルト雑誌の特集イラストに載ったエイリアンっぽい独特さを有していて目を惹かれると共に、全体のシルエットや細部自体はほぼ共通ながらも「赤いカラーの昼のレドル」「青いカラーの夜のアボルバス」という2種族の差異をカラーリングやデザインの対称性(腕の武装みたいな部位)でしっかり描き出しているのも巧く、ティガ宇宙人の中でも印象深い部類のやつですね。ストーリー演出の妙もあるけど、ちゃんとレドルはどことなく柔らしい印象アボルバスはおどろおどろしい威圧感のある「悪いヤツ」という印(ロケバスにふっと現れるめちゃ怖いシーンといいホラー味が濃いというのもある)、というのが映像としてしっかり出てるのが良いよね  表情の出ないスーツでこれをしっかり描いてるのは特撮シリーズならではな味と巧みさだよなと  対立構図にある2種の個体がそれぞれ登場、というのが帰マンのミステラー星人を思わせるところもあるけどちなみにその辺意識してる部分はあったりするのだろうか

 

そんなスタンデル星人の2種族の地球での戦いを発端にした、傷付き倒れたレドルと彼を偶然助けたお婆さんの出会いから今回の物語は大きく展開。相手の見た目や言葉による分け隔てなどなくレドルに優しく接するお婆さんと、その温もりに触れて自らも優しさを滲ませてゆくレドル、というこの2人の温かなやり取りが今回のエピソードの中でも凄く良いんですよねぇ  一時的に助けてもらっただけだったはずがお婆さんのことを放っておけなくて戻ってきて助けてあげるレドルの真っ直ぐな慈愛や、一緒だったのはごく短い時間だったのに側にいるのがごく当たり前だと思うくらいにレドルに愛着を抱いてて、彼がいないことに寂しさを感じてしまうお婆さんの愛おしさがとても沁みる。息子もご主人もいなくなった人生の空白をレドルが埋めてくれたんだろうな...とお婆さんの心の内を思うと感情移入しちゃうのよな 買い物でレドルの分までいっぱい買っちゃって、それに後から気付いてレドルがいない寂しさで公園や橋で黄昏るお婆さんの背中見てると胸がキュッとなってな...(ああいう描写見るとほんとにこっちも切なさを感じちゃうんよ)  レドルの方も表情の変化や声色なんかは窺えないのにお婆さんのマイペースなくらいの優しい振る舞いに影響されてどんどん穏やかになっていってるのが感じられる振る舞いが凄く良かったし、重ね重ねこの2人の描写はとても胸打った

でも一方でこの2人が絡んでるシーン、何かとシュールな絵面が多かったりもするからそこが面白くもあるんですよね。w メトロン星人さながらに和室のど真ん中で炬燵に入って座り込んでるレドルとか、レドルがお婆さんを背負って道行く人をぶったまげさせながら往来をガシンガシン進む様とか、絵面のパワーがいちいち強い() 走るレドルの足音がマジで重いのふふってなるんだよな  お婆さんがレドルを前に平然と話すツッコミ不在のちょっと天然気味な展開のテンポも好き  でもこのなにはどうあれ見た目とかで区別しない距離感こそがレドルの心を大きく動かしたところであるわけで、このドラマ的な文脈のバランス感も良いよね

 

ここからストーリーはGUTSとレドルの邂逅に至り、強い人間を集めんとするアボルバスの企てを破るためのオペレーション─囮作戦のパートへ。暴漢の仮装(野次馬付き)をして喧嘩のフリをすることでアボルバスの目を引くとかいう真面目なのかちゃけてるのか微妙な作戦良いよね() GUTSのこういう意外と緩いとこ、イルマ隊長が割と乗り気で推すのも含めてやっぱ好き  しかしこれでまんまと誘き出されちゃうアボルバスくんもちょっとウカツではあるよな...とは。w(あくまで戦ってるテイで演技してたにすぎないアクション俳優を標的にしたり(身体能力は人一倍あるだろうし間違ってはいないんだが)と、アボルバスくん意外とその辺テキトーっぽいのがなんか愛嬌なんだよな)  あとあんま関係ないけど、「喧嘩の類は禁止」の触れ込みを受けて親御さんが「アボルバスが来る」と喧嘩する子供を脅かす下りがちょっと寓話じみててなんか好きなのよな 子供向けならではな味って感じで

そして「仮装」ということで案の定というかなんというか、またしてもムナカタ副隊長がやたらノリノリで仮装してるのが凄くシュール。w 酔っ払いの赤ら顔メイクまでしなくて良いんですよ副隊長() マジで改めて見返すと副隊長の面白おじさん頻度だいぶ高くて笑う  そしてめちゃくちゃ気合い入れて仮装したのに、ダイゴにめっちゃボコ殴りされた上に肝心のアボルバスのお眼鏡にはかなわないという、不憫()  ダイゴに殴られてる時の副隊長の台詞、よく聞いたら最初は「よし来ぉい!!」って言ってたのが、殴られすぎて最後の方「もう良い!もう良い!!」って言っててダメだった

 

その一方では、自らもアボルバスを止めるべく再び立ち上がったレドルと、その決意を後押しし送り出したお婆さんの絆が静かに描かれる熱い一幕も。ほんと過ごした時間は凄く少ないのに、もうここまでレドルを理解し通じ合うまでになってるお婆さんのおおらかさがこう、良いよな...ここの一連の場面でお婆さんの息子さんのことが少し触れられてたけど、それを踏まえるとお婆さん的にはレドルに息子さんの面影を見たとこもあったんだろうなと

またここでレドルが、昼戦える兵隊として地球人を集めにやってきたアボルバスに対し、本当は自らも夜戦える兵隊として地球人を集める使命を遂行しようとしてた、と明かすのが彼のキャラ性の深掘りになってて凄く好きなところ。元々レドルも本質はアボルバスと同様であった、という前提があった上で、「誰かを想い手を差し伸べ寄り添う心、守り助けようとする意志」といった人の持つ気高い「光」が最終的にレドルの心を動かし、使命以上の大切なものを背負い誰かのために戦う想いを抱かせた、というところを強く浮き彫りにさせる構図が非常にグッとくるんですよね...レドルとアボルバス自体は分かりやすさ重視って感じで昼と夜/光と闇という属性的な括りで分けられているのでパッと見だとそっちに目がいくけど、実際のところは同じ本質を抱く者同士だからこそ際立つ精神性の違いというところが重要になっているんですよね。光と闇とは元々同じようにその者の中に在るものであり、何を知り何のために動きたいと思うかでそれはどちらにも振れ得るその上でアボルバスは自分達のことしか顧みないドス黒い欲望・暗黒面に囚われてしまったし、レドルはお婆さんの分け隔てない慈愛と温もりに触れたことで、自らも気高い意志・「人の光」というに至ったのだという、ここもティガのテーマにかなりグッと触れた描写だよなぁと改めて

 

そんなレドルの決意からの終盤は、巨大化したアボルバスとレドルの想いを受け取ったダイゴ/ティガの一騎打ちのバトルパートへ。美麗な赤と紫のカラーリングのティガと夜の闇に溶け込むような黒に近い青のアボルバスとが夜の街の闇をバックに外連を効かせたカット割と共にアクションを決めながら戦う構図は実に見応えアリ。やはりティガは夜戦特撮が一際映えて良いな...となりますね

そして決着は、光が弱点のアボルバスにティガがタイマーフラッシュスペシャルをぶつけ倒す、というものに。ここも視覚的に言えば属性相性を突く形での勝利、といった感じではあるのだけど、文脈的なところを深掘りするならば、レドルの抱いた気高い意志が「光」としてティガへと託され、ティガを通じてその「光」が輝き解き放たれ、その眩しさにアボルバスのドス黒い邪悪は討たれた、という感じにも思えるところであり、その今回のストーリーのテーマを総括するかのようなドラマチックさもまた良かったなと。ウルトラマンティガとは人の意志─即ち「光」をその身に受け継ぎ宿して力とし、立ち上がり邪悪な闇を祓う戦士である、というのを象徴的に描いたシーンとも言えるので、改めて観ると本作のテーマ・メッセージ性の上でも凄くグッとくるな...とも思えますね。思えば最後のあの戦いを決着させた技も、タイマーフラッシュスペシャルだったよな...と。今回のこれを踏まえると、なんかより文脈的な深みと説得力のある決着になった感じがしますね...(あの戦いこそまさに「『人の意志・光』を受け継いだティガの戦い」だったからね)

 

かくして全てが決着し、ラストには人間達を解放したレドルがお婆さんにだけそっと別れを告げ母星へと帰っていく様が雪降る夜の中で描かれるという少し切なくも気持ちの良いラストで締めとなりました。ほんと今回の話はこの2人から色んなことが始まり、この2人で締め、と最後まで凄く良いドラマを見せてくれたなぁ たまにで良いからお婆さんのとこにできたら顔出したりしてるレドルとかもいてくれると良いな、と妄想しちゃう

 

 

以上、ティガ第17話でした。レドルとお婆さんの星を越えた温かな絆で魅せるドラマと、精神性という部分における「光と闇」の関係の在り方を気高く描く象徴的な描写が目を惹く印象深いエピソードでありました。小さい頃けっこう観たエピソードだったけどまた新しい知見もあったりして良かった

今までのエピソードでも思ったけど、こうして改めて見てるとティガはほんと作品のテーマ性を単発の話の中でも細かくしっかりと掘り下げていってて、作品通しての突き詰め方の上手さを感じるよな、と。縦と横のバランスが非常に巧み やっぱり凄く面白いね

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた