AnDrew’s小生意気レビュー記

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辛と幸

仮面ライダーギーツ

第31話「慟哭Ⅶ:天国と地獄ゲーム♡」

感想レビュー

 

 

五十鈴大智くん、特に本筋に関わらんのにやんわりと参謀感漂わせて良い顔し続けるポジションから、成り行きで知った本筋に関わる重要情報をシリアスな感じで英寿達に明かすポジションにゆるくぬるりとシフトして更に視聴者から気に入られてんの、色々特異すぎるだろ() その上で「知的好奇心を満たす」という点におけるキャラのブレなさがあって普通に見てて面白くもあるというこの、なんだお前(ラストのアルキメデルのアレに一度は吐きそうになるほど腰を抜かしながらも最終的にはそれすら含めて楽しみ始めるの、らしくて良かったよね)  ともあれ割とこの先どのくらい食い込んでくるか読めないキャラではあるので、そういうところが良くも悪くも気になるキャラですねやっぱり...

 

今明かされるDGPと創世の女神の真実、そこから浮き彫りとなる浮世英寿の背負った業を描く今回のエピソード。慟哭編もいよいよ大詰めというところで更にデカい爆弾をぶっ込み、この先の展開がどう動くのかというと期待値を更に広げて盛り上げてきた回になりましたね 前回の創世の女神の種明かしからして何かデカい波が起こる予感はあったが、よりどデカいのが来た感じ

しかし今回、前回の戦いの療養も兼ねてか祢音が全然出てこなかったのが地味に寂しかったところではあったな やっぱいつもいる面子が欠けるとちょっとなんか物足りなさみたいなものがうまれるとこ、あるんだな...キューンが一緒だし心配はないだろうが、家族とのあれやこれを今後どうしていくのかは今後も気になる

 

そんな今回はDGPにおける理想の世界創世のメカニズムの秘密、「退場者や犠牲になった人々の抱いていた幸福が創世の女神の元に集められ、それがたった1人の勝者の願望=幸福の実現に使われる」という真相が明かされたところがストーリーの一つの大きな軸となっていました。とどのつまり理想の世界の実現とは「何もないところからそれをポンと出す」などという万能な力によるものではなく、他の多数の人間の幸福をかき集め一つのデカい幸福にまとめ上げてお出しするという「幸福」というエネルギーを基にしたエネルギー保存の法則に基づいた等価交換でしかなかった、というのが明らかとなったわけですね(よくよく考えたら敗者が現実に戻される際に記憶を失うだけでなくDGPに賭けた理想や幸福を忘れてしまうのも、その意志の力が勝者の理想の成就に使われてるから...だったりして)道長はDGPを「他人の不幸の上に1人の幸福を成り立たせるゲーム」と称していたけれど、それが単なる比喩や象徴ではなく文字通りだったと(道長自身はそのことは預かり知るところではなく、図らずも色んな意味で本質を言い当てていたという感じだろうが)  「理想の世界の実現」という事象に関しては創世の女神という超常の存在が出てきた時点でなんとなくスッと咀嚼し納得していたとこだったのだけど、それすらも「どこかが得をすればどこかに皺が寄る」というシビアで現実的な天秤のバランスの上で成り立ってただけだったというのは本作の雰囲気をグッと引き締めた感じがありましたね この辺はデスゲームの先輩様である龍騎の本質部分の一端に通ずるものを感じたりもしたわね(龍騎の物語において目指されていた願望の成就も「他の多くの不幸を積み重ねた上で、強い命でもって大切な1人を蘇らせる」ことだったわけだし)

またこの辺りの理屈について、ベロバとケケラという別陣営ながらもDGPの内情や理屈を知ってる二者からの言及によってちゃんと説得力を補強してたのは何気に上手かったなと感じたところでしたね。正直ベロバは性格的に色々難があるヤツなのでコイツの口から語られただけだったら(言うてコイツ自分のゲームのそれっぽい方便当てがってるだけじゃないの...)と疑わしく思うだけだっただろうし、そこにリアルタイムでの視聴感としてきちんと気を配った感があったのが良かったというか ちゃんとキャラクターの立ち位置や持ってる情報の違い・共通性を上手く活かしててストーリー的に良い見応えを感じた部分だった

 

そんな創世の女神、ひいてはDGPの真実が紐解かれたとなったことで、幸せの等価交換により理想の世界を作り出す創世の女神の力を手に入れたミツメがその力により生み出した子供、という英寿の出自に秘められた深い業が明かされ...となり、英寿のメンタルが大きく揺さぶられてきたのも強く目を惹いたところ。理想の世界の実現にまつわる真実だけでも衝撃的だったのに、他でもない自分自身がその創世の力で他者の不幸の上に生み出された存在であったと知らされることになるの、アイデンティティが大きく揺さぶられる話だよなぁ...そんな自分の出自の真実を突き止めようと繰り返される生まれ変わりの中で何度もDGPに参加し願いを叶え続けてきたことさえも文字通りに誰かの幸せを積み上げ踏み台にしながら成してきたものだったと改めて突き付けられるのもかなりキツかったと想像されるし

加えて両親がDGPの中で犠牲になり存在すら消えてしまった景和がこのことを知り、DGPの創世の力で生み出された存在たる英寿に対し怒りをぶつけてくるというのが更に辛かった...英寿自身をピンポイントで責めるような言い回しは特になかったので景和自身も英寿が悪いと思って責めてるわけじゃなく半ば感情的に八つ当たりしてるような感じなんだろうけど、景和の身の上が身の上だし、英寿自身も自分の立場が立場なだけに何も言えないしでどうしようもないのが余計にやるせなかったなぁ...だからって英寿に当たらなくても良いじゃないというのは思ったんだけど、景和が家族のことになると荒っぽくなるのは過去に何度も前例があったし(8話や20話)、こうなってしまうのもむべなるかな、というところか  この一件は多くの人々の幸せを願うところが大きい景和の願望をより強く後押ししたところが大きかったと思うので、今後の景和周りの展開にどういう影響を及ぼしていくかはかなり気になるところですね。とはいえその肝心の景和が今回消えてしまったのだが...いずれ戻ってはくると思うけど、これが景和のドラマ、引いては本筋全体のしっかり繋がると良いなぁ

 

そしてラスト、ライダー達の戦いの中でジャマト達が打ちのめされていくのを見兼ねたアルキメデルが、なんと自分自身を「肥やし」として食らわせるという暴挙に出たところで今回は締め。あ、アルキメデル...!!(ドン引き)前回ラストの不穏な引きが結局指をちょっと切って血を与えただけだったのでなーんだと思わせてからのこのラスト、ひどい不意打ちだよ() アルキメデルのジャマトへの愛情というのはこれまでも家族同然のそれとして濃く描かれてきてたけど、この1、2週で一気に狂気的・偏執的な一面を押し出してこっちの背筋を凍らせてきてくれましたね...壁に映った影越しに丸呑みにされていく様が描かれるところは怖かった...!正直最近はアルキメデルがちょっと存在感的に薄くなり気味だっただけに良いインパクトだったね(やりすぎやて)  でもアルキメデルはここからどう跳ねていくのやら 古代魚ジャマトがアルキメデルを模倣したし実質続投状態ではあるが、読めん

 

 

以上、ギーツ第31話でした。ギーツの物語の根幹を成す「願望」「幸と不幸」というところにグッと切り込んだエピソードとして、本筋を想像以上にかなり大きく動かすエピソードになりましたね。幸せとは誰かの不幸の上に成り立つものなのだというシビアさをここまで生々しく描き重要なファクターとして据えてきたのは衝撃的だったなぁ ここから転じて描かれた英寿や景和の心境の変化みたいなところがどう影響していくのかも含めて、今後の展開が非常に楽しみですね

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた