AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

夢へ進む光、迫る鉄の魔手

ウルトラマンティガ

第19話「GUTSよ宙(そら)へ・前編」

感想レビュー

 

 

絶対に墜落/大破できない宇宙空間でも隙を生ずることなくBOMするシンジョウ隊員いいよねよくないよ() 今回はマジで洒落にならんとこやったやぞ!!!イルマ隊長が脱出指示してなかったら宇宙の塵ですよ

墜落コンビ、さんざっぱら言ってるけど作劇上変身のために落ちる必要のあるダイゴはともかく、その必要が別にない上にダイゴがセットでない単独の時でさえ撃墜首位なシンジョウ隊員はほんとどうかしてるよ() 呪われてるだろ(

 

新技術マキシマ・オーバードライブとそれを搭載した新戦力アートデッセイ号の登場、それに合わせるように姿を現した謎の機械島とそこから送り込まれてくる機械人形ゴブニュとの壮絶な決戦を2話に渡り描くエピソードの前編パート。GUTSが本格的に宇宙へ飛び出し戦うなどこれまでに無いスケールで描く緊迫感ある展開で魅せた前半戦回でありましたね 前後編構成なだけあって後編への引きとなるスリリングさが存分に押し出されていたのも見所

 

そんな今回の目玉は何と言っても、マキシマ・オーバードライブやアートデッセイ号といったSFロマン溢れる要素から織り成される画の数々でしょう。光を推進力にして高速で飛ぶエンジン格納庫にどんと鎮座する巨大母艦といった絵面の数々は、SF特撮シリーズならではの壮大さやワクワク感があって実に心躍るところであるよなぁと。終盤に満を辞して宇宙へと飛び立ち、でっかいコックピットからの操作で機械島へありったけの火力を叩き込むアートデッセイ号の悠然たる勇姿のカッコいいことたるや...アートデッセイ号や格納庫の力の入った緻密なミニチュアがそのリアリティをグッと高めより惹きつけてくるのもまた良き ティガの近未来SF的な世界観設定を更に一歩グッと押し進め物語に奥行きを与えた良い演出周りの魅せでありましたね

 

またこのマキシマ・オーバードライブやアートデッセイ号周りの描写に大きく関わっていた今回のキーパーソンであるヤオ博士もなかなかに良いキャラしてて、ここも今回のエピソードをグッと引き締めた要素の一つとして面白かったところでありました。一見気難しそうで科学の発展のためには犠牲も厭わないようなタイプのキャラ、というあまり良くない印象が最初は先行するのだけど、子供の頃に抱いていた夢を大人になってからも何十年も追い続け実現させようと努力していた純粋な情熱家であり、その夢を心の底から楽しそうに話す無邪気なロマンチストである、という奥底に秘めた一面が後半において描かれることでキャラ性がグッと深まるのが良い味出してるんですよねヤオ博士  人類を押し進めるものを「力」ではなく「光」と見ていたりする浪漫の人であり、そうしてがむしゃらに突き進もうとするが故に時には保守を良しとせず他者も巻き込んで無茶することもある(それが冷たいリアリストに見えてしまうこともある)、という良くも悪くも人間臭く、それでいて根っこの無邪気さや純粋さが憎めないし応援したくなるという人間味のバランスが掘り下げるほどに良い魅力のキャラだよなと。「地球を守る力」云々というTPCの科学者としての建前を外して「誰も見たことがない凄い船を作る」という本音を話すようになった途端に表情や声色が一気に和らぎ明るくなるあの瞬間が良いよね

加えてそんなヤオ博士の描写において良き交流を見せていたホリイ隊員の描写もまた凄く好きなところ。前半のヤオ博士の言動に一番に不満を露わにしつつも、後半で彼の本音・夢を知って考えを改める、という感じで、人類の無茶な科学の発展に人一倍に思うところのある科学者としての一面人間の想いや意志といったものを重んじ尊ぶ一人間としての一面といったこれまでのエピソードでも印象深く描かれていたホリイ隊員のキャラ性が余すことなくしっかり描かれ、それらがヤオ博士のキャラにもより奥行きを与えてるのが良い描き方なんですよね 気高い意志や夢といった「光」を抱き何かを恐れず進もうとする人の想いにこそ科学の正しい在り方を見出しているんだろうなぁホリイ隊員 科学者同士の絡みが良い相乗効果になって色んなものが引き立った巧い作劇であった

 

しかしこのマキシマの発展に合わせて現れ、それを妨げるように猛威を振るってきたのが今回の敵ゴブニュ、そしてそれを差し向けてきた謎の機械島でありました。夜の街をエンジンも何も入っていないがらんどうのボディで無感情に闊歩するゴブニュ(ヴァハ)の群れ、漆黒の宇宙空間に幻のように漂う機械島といった不気味な様相を印象付けた前半から一転、後半ではさながら天の裁きの如く機械島が宇宙から地球へ雷を叩き落とし、ダイブハンガーへ残骸として運び込まれたゴブニュ(ヴァハ)は一斉に息を吹き返し牙を剥き始め...と恐怖感や不気味さの緩急がめちゃくちゃインパクトあって怖いんですよねゴブニュと機械島 前述のマキシマやアートデッセイ号とは異質な「未知」という部分を存分に押し出したスリラーチックなSF感がまたたまらんのです  街に出た時は全然だったゴブニュがGUTSの要であるダイブハンガー内で一気に攻撃的になって大挙し襲いくる絶望感といい、前編である今回はこの得体の知れない恐怖感で押してくる感じが強く引き付けてきたところでしたね

 

そして終盤ではゴブニュ(ギガ)とティガのダイブハンガーを前にした海中での攻防が展開。海中というシチュエーション、目的をただ機械的に為そうとするゴブニュのロボットじみた揺らがない動きにより際立つ鈍重でパワフルな押すわ引くわの攻防が凄く見応えのあるティガvsゴブニュ(ギガ)戦は実に魅入りましたね(海中戦闘はウルトラシリーズでもあんましやらないやつだけど、地上戦闘のスタイリッシュさとは違った緊迫感や重々しさが出て良いよね)  ヴァハ・ギガで共通の文字通り「鉄人」といった感じの無骨で重々しいゴブニュのビジュアルも、ゴブニュの重量感やパワフルさ、無機質で無感情な動きに強い説得力を与えていてとても良きであった 小綺麗な未来的デザインでなく、巨神兵的な古代のオーバーテクノロジー兵器を思わせる錆びつき掠れた様な金属感のある質感のボディなのがまた趣で好き  

 

かくして、ティガはゴブニュとの決戦の中自爆で道連れにせんとするゴブニュに組み伏せられ窮地に、アートデッセイ号で宇宙に繰り出したGUTSも機械島の想像以上の力に戦慄、というこれまでにない最大のピンチがティガとGUTSに迫る状況の中で前編となる今回は締め。続きは次回の後編へと続く...となりました。ゴブニュと機械島の目的と正体とは、人類の運命や如何に、というこのハラハラする引き、やはりウルトラシリーズの前後編エピは最高ですね...否が応にもストーリーに惹きつけられる 多彩なエピソードの中において山場の盛り上がりとしても良いアクセントよね
という感じで続きは次回の後編感想へ。

to be continued...

後編第20話はこちら↓から

滅ぼす者、進む者 - AnDrew’s小生意気レビュー記

 

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた