AnDrew’s小生意気レビュー記

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BLACK and WHTE

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

第8話「しずく、モノクローム

感想レビュー

 

 

ニジガク視聴者の特定の層で妙に高い人気を博している演劇部部長...!カメンライドばりの精度の変身ができる演劇部部長...!

実質一モブに過ぎないキャラとは思えない妙な存在感があるよなぁ部長...w まぁちょっと中性的な雰囲気のあるビジュアルだし惹きつけるものがあるのはなんとなく納得できる部分もある

 

本編序盤でも時折示されていた「演劇」という要素にフォーカスし描かれた桜坂しずくのメイン回。今まで窺い知れなかったしずくの心情を深掘りしたエピソードとなっていました。

 

自分の好きなことが周囲とズレているからと、他人から嫌われることへの不安と恐れを感じ本当の自分を隠し理想の自分を「演じる」ようになりながらも、本当の自分自身の歌を皆に届けたいという想いが心の奥底で囁き続けている、というしずくの心情にフォーカスする形で今回のストーリーは展開。しずくといえば今までの描写的に「スクールアイドルと演劇という二足の草鞋で表現を磨いている子」といったイメージが強いキャラだったと思うので、実際のところ「自分を表現する」方法の一つとして「演じる」ことを極めてるというより、「演じる」ことが「自分を表現する」ことそのものみたいな感じであったことが判明した今回の描写はなかなかにインパクトが大きかったなと改めて思ったりしましたね

またそんなしずくの心情を「理想の自分として振る舞おうとする『白』のしずく」「内に隠した本当の心を否応なしに突きつけてくる『黒』のしずく」の対話という舞台劇風の構図で描く演出はやはり強く目を惹いたところであったなと。演劇がキャラの一構成要素となってるしずくらしいユニークな表現技法として面白かったのもそうだけど、本当の気持ちであるはずの黒のしずくの方に「直接向き合いたくない一面」であることを表すかのような仮面が被せられていたりといったしずくの内面の繊細な象徴表現の味わい深さも非常に良かったなと 芝居がかった大袈裟な喋りながら本当の気持ちを力強く謳う黒しずくの振る舞いと、黒しずくの言葉に押されて自分を主張できなくなっていく白しずくの言動、という対比の描き出し方も良い

 

そんなしずくの描写も強く目を惹いたポイントでありましたが、しずくの表情の変化を細かく感じ取ってその内面を案じる」「璃奈と一緒にしずくを息抜きに引っ張り出してその気持ちを支えようとする」といった視野の広さと細やかな心配りでしずくの心情を少しずつ動かしつつ、しずくが頑なに本心を押し込めようとしているとなれば1人の友人として一対一で向き合い、遠慮無しの力強い叱咤激励でその内面に切り込むという熱い対話でその心を氷解させ後押ししたかすみの活躍も今回の話において欠かせないポイントでありました。しずくに対し真摯に接するかすみの感情溢れる言動がとてもグッときたね...他人の内面を理解し寄り添おうとできるかすみの魅力が全体通して強く発揮されていたのもさることながら、「誰かに変と思われるのが怖くて本当の自分を曝け出せない」と不安に駆られ尻込みするしずくに対し、「自分だってこんなに可愛いのに『カワイイ』って言ってくれる人全然いないんだよ!」と自虐気味の主張入れつつそこから「しず子はどう思ってるの!?」と威圧する力技でしずくから「カワイイ」の一言を引っ張り出すことで「もっと図太く本当の自分をみんなに見せつけてスゴいと思わせてやれば良い」と説く、というちょっと強引ながらもしっかり筋を通した叱咤激励でその心を動かしたり、しずくの友人にして彼女の本当の歌を楽しみにする存在として「他のみんながどう思っていても自分は桜坂しずくのことが大好き」と言ってのけ、しずくが自分を曝け出し歌う意味に自らがなってみせたり、といった、相手の内面を理解した後、あれこれ言葉を要するよりも真正面から体当たりで相手の気持ちに向き合い呼びかけようとするまさしく中須かすみ、という感じのキャラ性がしっかり発揮された作劇になってたのがほんとに良かったなぁと。 重苦しい感情に囚われてたしずくの表情を自然と苦笑気味に綻ばせ悩みもいつしか吹っ飛ばしてるあのちょっと強引なくらいのムードの牽引力や、最後ちょっと照れちゃって上手いこと締まらないちょっと抜けた一面の安定感なんかも含めて、総じてかすみらしい愛嬌が出てて凄く良いよね

しかし序盤の同好会休止時期において2人がよく会ってたりしてた描写とかからも見て取れるように2人が特に深い友人同士なのはこれまでにもさり気なく強調されてきていたところではあったけど、しずくが自身の内面に向き合い苦悩するというしずくメイン回にて彼女の内面を大きく動かす役割を担う形で、かすみ及び2人の関係性にここまで強いフォーカスが当てられたのはなかなか思い切った作劇だったなぁと改めて。リアタイ当時も「ここでかすみにもフォーカスするのか!」と唸らされた記憶がある  もっとも「私としず子の中じゃん!!」の台詞にも表れ出てるように2人の関係値の高さが解像度高めに描かれたからこそドラマに深みをしっかり出ていたと思うし、それを活かしてこそ「頑ななしずくの心に1人の友人として寄り添い動かすかすみ」という構図がエピソード全体を引き締めていたのでグッドな采配だったけどね(かすみがお気に入りキャラである自分としては嬉しい限りだったし)。実質かすみメイン回でもあったと言っても過言ではないけど、それ以上にちゃんとしずくとかすみ2人のドラマとして劇的に展開されていたのがまた素晴らしいところやね

 

にしても今回のかすみの「些細な表情や言動の変化を的確に感じ取る」「あまり気負わせないように気遣いながら楽しい時間を過ごして気持ちを聞き出そうとする」「いざという時には押し強めに向き合う」というしずくに対する一連のムーヴ、相手への理解と接し方が物凄く絶妙すぎて、まるで長いこと交際してるカレが元気無いのを感じ取って励まそうとする、パートナーへの理解が凄く深い良くできた嫁みたいになってるよなぁ...とかちょっと思ったりw 「なに甘っちょろいこと言ってんだぁぁぁ」のとことか、ドラマとかで弱気なカレや旦那に男勝りなカノジョ/嫁が檄を飛ばすシーンとかで見たことがあるような構図なんよ()  まぁこれもひとえにかすみの人間力の高さ故よな、とも思うところ。本人は「カワイイ」の方を推してるけど(実際可愛いが)、実際のとこカンストした人間力こそが中須かすみの最大の魅力だよな...と改めて実感するわね  流石は虹ヶ咲のクロコダインと呼ばれてるだけのことはあるわ(こっちが勝手に呼んでるだけ)

?「...しず子よ...
オレは 女の価値はどれだけ過去へのこだわりを捨てられるかで決まると思っている
たとえ生き恥をさらし万人に蔑まれようとも 己の信ずる道を歩めるならそれでいいじゃないか...」

 

と、かすみの方に話題がどうしても寄っていくけれど、かすみと一緒にしずくの息抜きを盛り上げつつ、その中で感じ取った「本当の自分を受け入れられない気持ち」を以前の自分と重ね合わせて理解し、「自分のことを理解し寄り添い、応援してくれる人がいたから自分はそれを受け入れ頑張れた」と見つめ直すことで、しずくにとっての「寄り添い応援してくれる存在」になってあげるようかすみに伝えてあげるという形で2人を後押しした璃奈の立ち回りも、今回のエピソードには不可欠な部分として非常に良かったなと感じたところでしたね。一キャラとしての成長を感じさせつつ、それがしずくやかすみといったメインのキャラ達のドラマにも大きく影響を与えてるという良い描かれ方だったよねぇ 璃奈ちゃんボードめいっぱい使って自分の気持ちを普段から全力で表現してる努力の姿とかめちゃくちゃ沁みる...上記のかすみへの後押しの語りの時、素の表情がちょっと真剣なキリッとした感情を滲ませるものになってたのが仄かな成長を感じさせるのもまた粋

総じて1年生組という同年代の3人だからこそ描き出せる、普段の同好会全員での絡みとは違う距離感の味わいの醸し方も面白くて良かったなぁと感じるところでありましたね。2年生組や3年生組がそれぞれ別個で揃ってドラマ中でフォーカスされたことってニジガクアニメだと確か無かったと思うので、なかなか優遇されてるなと

 

そんなかすみ達の想いを受け本当の自分の気持ちに向き合い受け入れたしずくが、舞台上で本当の自分の歌を多くの人々へと届けるソロパートへと移行する流れは、ここに至るまでのストーリーの展開運びも相まってかなりグッとくるものとなっていて実に良かったです。今まで大袈裟な芝居じみた喋りをしてた黒しずくの方が感情を露わにして想いを伝えるようになる様や、白しずくが黒しずくを受け入れると共に白と黒が半々の衣装を纏ったしずくが現れる演出など、しずくが自分の本当の気持ちを受け入れたことを象徴的に描き出す絵作りがここでも効果的に決まってグッドでしたね しかしあの2人のしずくが舞台上で対話する演出、アバンや前半パートでは普通にしずくの内面を象徴し描き出すものとしてイメージ的な感じで描かれてたから後半パートのやつもそうなのかと思ってたら、実は黒の方が演劇部部長の変装であり観客目線でも(多分)物理的に見えていたものだったと明らかになるあのどんでん返しは意外すぎたな...w あの変装の精度やっぱりおかしい(

ソロ曲「Solitude Rain」が披露されたソロパートのパフォーマンスの方にもその辺りの内面の象徴的な演出はしっかりと落とし込まれており、しずくを見据える観客の影が画面前面に配置されたステージの中、しずくが感情を全面に押し出した力強い歌声と繊細且つ大胆な振り付けを全力で魅せてくる構図や、舞台上のしずくの影が「本当の自分」「理想の自分」「それらを一体として受け入れた自分」のそれぞれを表すように3つに分かれてる画などが文脈に綺麗にハマっていたのは非常に素晴らしかったところでしたね。パフォーマンス冒頭の口上とかも含めて「舞台演劇」というテイストがしっかり押さえられてたのも良き  かなり動き多めの映像だからか今までにも増してCGがふんだんに盛り込まれていた印象があったけど、しずくの動きの細かな表現、寄りの画での表情付け、降り注ぐ雨の描写など、随所にクオリティの高さが窺えたのも目を惹いたし、全体通して非常に見応えある映像でした

 

 

以上、ニジガク第8話でした。しずくの内面を軸に据えたストーリー展開でありつつ、かすみや璃奈といった他のキャラ達もストーリーの魅力をグッと引き立てる立ち回りをしていて実に重厚で面白いエピソードとなっていました。後半のエピソードということもあって登板回を終えたキャラの人となりや成長を絡めていっそう魅力を積み上げられてきたのは巧いところでしたね

各メインキャラも一通りフォーカスされ、物語も終盤に入っていくこの局面、改めて楽しみにしながら観ていこうと思います この調子で2期にもトントンと進みたいものです

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた