AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ブレーザー怪獣語り⑱

ズグガン(幼体)

 

別名:地底甲獣

身長:167cm

体重:1t

登場話:ウルトラマンブレーザー第20話「虫の音の夜」

 

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地中深く棲息する昆虫型怪獣地下深くに掘った洞窟状巣穴の中に無数の大群が寄り集まって生活している。卵生で、巣の中にはカマキリの卵のように無数の幼虫内部に詰まった巨大な鎮座しており、ここから次々に生まれ落ちてくるようになっている。

土壌に含まれる窒素を取り込むことでアンモニア主成分とする粘液体内生成する性質を持っているのが最大の特徴。この粘液は外部へ出ると即座硬化する性質を有しており、から勢い良く噴射することができる。これを活かし、敵性存在に粘液を吐き付けることで拘束する他、地下形成した内側に粘液を吹き付け硬化させることで核シェルター並強度を誇る巣穴を作り出すなど多彩利用している。突進攻撃や上述の粘液の噴射など基本的な攻撃方法自体はシンプルで、耐久力SKaRD23式電磁小銃射撃数発にやられる程で決して高くないなど1体1体はさしたる脅威ではないものの、後頭部に位置する2枚の翅状の器官を震わせることで発する虫の音仲間危険を知らせて呼び寄せ、で敵を制圧する戦法を得意としており、これにより敵を包囲一網打尽にするなどしている。

 

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↑前面図および側面図および背面図。

 

 

ズグガン(成体)

 

別名:地底甲獣

身長:50m

体重:3万t

登場話:ウルトラマンブレーザー第20話「虫の音の夜」

 

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幼体を遥かに上回る巨体を持つ巨大怪獣となったズグガンの成熟個体に相当する発光器官増加口の縁に形成されたクワガタの顎を思わせる部位追加両腕大鎌化などが幼体との大きな形態的差異として表れ出ている。

硬化する粘液噴射による敵性存在拘束など基本的な能力は幼体から共通して持ち合わせつつ、両腕のの付いた大鎌を振り回して攻撃したり、後頭部棘状の突起を尻尾のように長大に伸ばして相手に叩きつけたり巻き付けて締め上げたりするなど、攻撃方法がより多彩なものとなっている。鳴き声危険を知らせ仲間呼び寄せる幼体の性質に倣い、仲間の鳴き声には敏感反応する。

 

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↑前面図および側面図。

 

SKaRD副隊長ナグラテルアキ故郷山梨県中星町地底深く棲息していたが、窒素が含まれたより良い土壌を求めて地上へと進出頭殿山地下洞窟状巣穴を作り、そこから人里へと降りて行ってはの土壌中の窒素を根こそぎ取り込む行動を約1ヶ月に渡って繰り返すようになり、結果として町中土壌の変質作物の枯死といった農業被害頻発させていた。その後、折良く帰省していたテルアキと彼の父・ショウゴが山に立ち入り巣を発見すると、幼体外敵排除のために巣から飛び出し彼らを襲撃鳴き声仲間を呼び寄せて包囲し追い詰めたが、テルアキの連絡を受け駆け付けたSKaRDの面々による銃撃を見舞われ、その場に現れた幼体達は全て撃退された。

これを受け展開されたSKaRDのズグガン駆除作戦により、アースガロン巣に隣接する山肌爆撃し開けたから巣の内部侵入、そこからアースガロンによるアースガン連射で、襲い掛かっていった幼体達は次々に撃滅されていく。しかしこれに対し巣の奥深くに潜んでいた成体出現、アースガロンを巣のへ追い出し、後頭部の突起を伸ばしての攻撃や粘液による拘束無力化すると、近隣住民避難している地点へ向けて進行。続けて駆け付けたウルトラマンブレーザーに対してもアースガロンの時同様多彩な戦法駆使し、粘液で手足を拘束するなどして追い詰めたが、ズグガンの鳴き声が仲間に危険を知らせるものであると気付いたテルアキの提言により録音されたズグガンの鳴き声が町中に流されたことで、それを仲間の危機錯覚した成体はブレーザーへの攻撃を放棄混乱してしまう。結果成体はその隙にブレーザーファードランアーマーへの変身を許してしまい形成逆転右腕の鎌チルソファードランサー切り落とされた上、最後はチルソファード炎竜射撃破された。そして巣の内部に残っていた幼体の群れや幼体を生み出し続けていたも、スマホ録音された仲間の鳴き声に騙された幼体達が卵の元へ集結したところをテルアキに爆撃され、残らず焼き尽くされることとなった。

 

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↑成体(左)と幼体(右)。顔の特徴や両腕の形状に差異が見られる。

 

 

ズ「地球怪獣だお(^ω^)」

嘘だッ!!!!!!

 

誰もがそうツッコんだであろうズグガンくんを今回はご紹介。不気味に発光する無数の目と思われる発光体や血濡れのような真っ赤な牙というおどろおどろしい顔つきに加え、無骨なディテールをふんだんにまとったいかついボディに殺る気マンマンの両腕の大鎌という、これでもかと言わんばかりの「強力で恐ろしい怪獣」って感じのデザインが一目見た時から強烈だった怪獣で、バザンガやゲバルガにもうっすら組み込まれてる「赤と青」のカラーリングもあることからサード・ウェイブ筆頭として大方の予想は固まっていた(番組開始当初は要所でのボス怪獣とも予想されてたね)んだけど、実際はまさかの純然たる地球怪獣!!そんなことあるかぁあのナリで!!デルタンダルも大概だったけどこっちは余計にだよ!!  しかもなんとなんとタガヌラーに続く昆虫型怪獣という。後頭部の翅の形状や鳴き声出す時の震わせ方はなんとなくスズムシの翅っぽいなというのが窺えたし、じっくり見ると昆虫モチーフなのもなるほどだが、そんなこと言ってる場合じゃないくらいビジュアルの印象は強敵怪獣枠のそれなんだよな...w

 

という感じで思わぬ驚きのあったズグガンだけど、それに加えプレミア発表会で一足先にお目見えとなっていたのがなんと成体で、等身大サイズデザイン違いの幼体がサプライズとして隠されていたのも面白かったところでありましたね  デザイン的には幾つかのパーツの有無による差異での表現といった感じではあるものの、ちゃんと幼体成体の序列が一目で分かる差異を印象付けられてるのが見事。公開されたソフビのデザインがプレミア発表会の大鎌怪獣と明らかに同じなのに所々違った時は焦ったぜ(感覚的に幼体成体なのはなんとなく分かったが、それはそれとしてドユコト...になった。w)  この前のイルーゴ/ゲバルガなんかもまさにそうだが、生活史ごとの形態の違いとかがしっかり表現されてる怪獣は映像でも描写でも生物的ニュアンスが良い具合に出るのでストーリー込みで見るのがとても楽しくて良いですよね。ブレーザーで2例も楽しめるとは思わなんだ...幼体の頃は未成熟の目がやがて開き顔の発光体が増えて視野が広がるんだろうなとか、蛹よろしくずんぐりの腕がそのうち成熟して剥けたら鎌になったりとかするんだろうなぁとか、生態的なディテールの妄想が捗る

 

そんなズグガンのデザインを担当されたのはニュージェネシリーズの様々なウルトラマンのデザイン等を筆頭に、最近のウルトラシリーズの屋台骨の一人として活躍されている後藤正行さん。思えばズグガン、ビジュアルが出た当初はそのビジュアルのディテールの質感や高下駄四足歩行という感じの外連味あるプロポーションからして、前作デッカーのスフィアザウルス(こちらも後藤さんデザイン)が早速改造された可能性もあるとちらほら言われていましたが、後藤さんデザインの特徴が色濃く出たからこその印象だったのだなぁと。強敵感あるいかつさも納得であり、こういう系のデザインではやはり秀でてる方だなと改めて ウェイブ系列の怪獣もう1体くらい挟ませてそれのデザイン担当もしてみて欲しかったかも

 

https://x.com/aws49t8evynpx7u/status/1728575346889670908?s=46

↑恥ずかしながら前回の怪獣語り記事執筆の際見つけ損ねてた、後藤さんがファードランのデザインを担当(バンダイと共同)されてたという言及のツイート 怪獣デザインだとズグガンが初めてと思ってたが味方サイドのも含むとここが先だったんですね

 

そしてストーリーの方での活躍ですが、こちらも「規格外の害獣」的なタッチで突き詰められた描写が目を惹いてとても良かったところでありましたね。人間達と衝突することになった経緯が経緯なので所謂「害はあるけど罪はない」的な存在だったわけだけど、そこを踏まえてきちんと「ただ精一杯生きてるにすぎない存在ではあるのだけど、その生態が人間や人間社会への悪影響となるため駆除しなくてはならない」みたいな感じで通して描いてくれてたのが、生物としての怪獣を描く本作らしい真摯さでとても良きであった  奇しくも2023年末のここ最近において何かと話題になってる「人里に降りてくる熊を取り巻く害獣問題」にも通ずるところがあったので、突き詰めると良い感じに実感しやすいものがあったなと感じますね ズグガンをあくまでも「どう足掻いても人間達にとっての悪影響になり得てしまう規格外の生物」として描くことで「人間のテリトリーに現れ出てきた害獣を倒すことの必要性」をしっかり強調しつつも、テルアキ副隊長の「すまない」の台詞等を「害獣達と戦う人々が背負っている『生命』を守るために『生命』を奪う責任」というアクセントとしてきちんと添える、この細かな作劇が、テルアキ副隊長メイン回というところも込みで実に本作らしくて好きだ

加えて、前半の幼体は人間大の怪物というなまじ恐怖感が想像しやすいスケールで描き出されるモンスターパニック映画的な恐ろしさ後半の成体は堂々とその威容を現し街を突き進んでくるウルトラ怪獣らしい巨大なスケールの恐ろしさ、という感じで、幼体成体をそれぞれ違ったアプローチから魅せることで多段的な面白さとしてきた演出面も非常に楽しかったところ。幼体から成体へのスケールアップがあったからこそウルトラ怪獣としてのズグガンもしっかり引き立ったなというところであり、凄く面白かった 両方とも良い怪獣してたぜ

 

 

というわけで今回はこの辺で。次回は...

月光を越え出ずる、巨大なる音速の翼

次回も見てくれよな!

 

 

※あとがき

ズグガン成体のソフビ絶対出してくださいね!!!(クソデカ声) あんな匂わせ↓したんだから絶対ですよ!!(高下駄四足歩行のプロポーションをしっかり再現したアドバンスサイズのやつでどうか)

https://x.com/bandai_ultratoy/status/1730746213446922475?s=46

ちなみに今回お気づきになった方は多いと思われますが、記事に載っける成体用の写真のために幼体のソフビを買って速攻で改造して成体にしてます() あくまでとりあえずの簡単な改造で作ったものですが。公式から良いクオリティの成体ソフビ出たら追々写真をそちらと差し替える予定でいるんでどうぞよろしく