AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

深淵クソ怖モグラくん

ウルトラマンブレーザー

第16話「恐怖は地底より」

感想レビュー

 

 

他所の特撮ヒーロー作品でCV石田彰の某宇蟲王が幅を利かせてるのと同時期に、なんとこっちではアースガロンのAIが石田彰声になっていました!どんな衝突事故だよ()

それはともかくアースガロンのAI・EGOISS(イーゴイス)ことアーくん、全くの別キャラなんだから当たり前ではあるんだけど某カス宇蟲王の非道さと幼稚性を感じるふざけた感じとは全然違った、機械的な抑揚の中に優しい雰囲気のある声色をしてて石田さんの演技力の高さを実感したね 石田さんキャラの印象に引っ張られて胡散臭さみたいなものを感じちゃってる人多くて不憫であったが...w AI的な喋りの表現の中に程良い親しみあってワイは良かったやで

この終盤にアースガロンのSKaRDの仲間としての距離感をグッと近付けてくるような設定が入れ込まれてきたのはなかなか面白いところなので、これがクライマックスのドラマに活きてくると良いなと思いますね アースガロンの良いとこもここでガッと増やして欲しいぜ

 

今回は突如開いた大穴が巻き起こすドタバタの大パニックに立ち向かうSKaRD、その中で垣間見えるエミの心の闇、そしてSKaRDの絆を描いたエピソード。全体的な構成としては怪獣の存在に軸足を置いたオーソドックスな対怪獣ストーリーでありつつも、今後の本筋に関わってきそうな要素がさり気なく入れ込まれた人間ドラマをコミカル・シリアスの両面からバランス良く描き上げ、その上で特撮面も良質なヒーローvs怪獣をクオリティ高めに仕上げてくるというなかなかに満足度の高い一本に仕上がっていましたね。色々刺さるポイントや遊び心も多くて楽しかったぞ おはぎ.....!!!!!!へぇ...???

 

そんな今回の一番の見所は、やはり何と言ってもウルトラ怪獣らしい存在感抜群な幻視怪獣モグージョンとそこを軸に描かれる強烈なストーリーでしょう。大穴の深淵を覗いた人間達が次々と発狂していくというコズミックホラーじみた恐怖感をじわりとまとった導入から始まり、今度はそこから姿を現したモグージョンが人間達に容赦なく牙を剥くというド直球の巨大人喰いモンスターパニックが繰り出されてくるという怒涛のSFパニックホラー的構成、そしてそれがあの一見愛嬌ある見た目のモグージョンから織り成されるというギャップとインパクト、これがたまらなく痺れましたね。その上でちょいちょい緩めの演出を入れて程良い見やすさがあったのがまた良き  しかしモグージョン、プレミア発表会登壇時はその見た目から「けっこうかわいげありそう」なんて言われてたのに、実際の本編では「穴を覗き込んだ人間を次々発狂させる」「眼下の人間へ舌を伸ばし捕食しようとする」「逃げ遅れたビルの中の人間をじっと見つめた後淡々と発狂させ捕食しようとしてくる」という茶めっけも何もねぇ怖すぎる絵面をボンボン出してくるのが凄まじく強烈であった...特に3番目に関しては、辻本監督得意のミニチュアのビル内部から怪獣の巨大さを描き出す合成演出が合わさったことで「餌である自分達を見つめてくる怪獣の威容」がビル内の逃げ遅れ怯える人間の視点で臨場感高めに描かれててかなり怖かった  しかもこれで戦闘も能力多彩且つ悪賢いでかなりの強敵だったし、上記の演出に掛かる特性や生態にもしっかり生物としての怪獣らしいディテールが用意されててキャラも良い具合に引き立ってたしと、めちゃくちゃ良かったですよモグージョン

 

またこの辺のモグージョンの演出において、モグージョンに恐怖を引き出された人間達の見た幻覚の演出として色んな怪獣のイメージが新撮で入れ込まれていたのは良い遊び心が効いてて個人的になかなか嬉しかったポイントでした。アンリはタガヌラー、ヤスノブはカナン星人、テルアキ副隊長にはおはぎ...!という感じでSKaRDの面々にはこれまでに戦った因縁あるブレーザー怪獣の幻覚を、暗い穴の中を覗いたのではっきり見られなかった現場作業員達の「でっかいクチバシ」「毛むくじゃらの巨人」「巨大なサソリの尻尾」「タコの吸盤」といった曖昧な表現にはそれぞれライバッサーM1号バラバの尻尾タッコングの体表、とブレーザー未登場のレジェンド怪獣達の全体像や一部をそれとなく、と幅広い形でニヤリとなる入れ込み方をしてたのが良い塩梅で面白かったなぁと。当方ウルトラマンダイナのモルヴァイア回における「メージヲグが人間それぞれの恐怖から生み出す幻影怪獣・宇宙人軍団」の演出が凄く楽しくて好きだったので、今回それを擬似的に別の形でまた楽しめたのが凄く嬉しかったね(ちょうど放送の数日前にTwitterの方で「ブレーザーは新怪獣多いしモルヴァイアやるのにうってつけじゃないですかね!今後新怪獣多めの作品とかでモルヴァイア出してやりませんか」なんて言ったりしてたので、それに合わせたように来たから余計にアガった)

 

そんなモグージョンの騒動の中で描かれたエミとゲント隊長の恐怖のビジョン、そこから描き出された2人の性格の差異というところは今回のドラマにおいて強く目を惹いたところでありました。特にエミの恐怖のビジョンが「エミ/自分自身」だったというのは、なんだか今後の彼女絡みのドラマに大きく掛かってきそうで非常に興味深かったところ。普段飄々としていて自分自身の命の危機にもあまり動揺したことのないエミが、幻覚の自分自身を前にして急に動悸が激しくなって周りの声もほとんど聞こえなくなるというのは、彼女の内面のデリケートなところにかなり大きく掛かってそうで気になるよなぁ...と。エミの視点越しに描かれる巨大なエミが獣みたいな動きでブレーザーをしばき倒す絵面は雰囲気のシリアスさに反しけっこうシュールだったが。w この辺多分というかほぼ確実に巨大フジ隊員のオマージュよね(こういうのがエピソードのドラマに乗って自然な感じで出てくると楽しくて良い)

しかし今回はそれが一体どういうことなのかという答え合わせやヒントは出ず。彼女が感情的になる/動揺する事象というと最近では第14話の父親絡みのことがあったので、そこに通ずる話なのかなぁとも思うけど現段階ではまだなんとも言えないですね。描写を素直に受け取るならば「自分が嫌い/信じられない」的なところから転じて自分を恐れてるというのがありそうだけど、何がどういう理由でそうなのかはまだしっかり踏み込みきれないので、やっぱり様子見か

 

そんな自分自身の恐怖のビジョンに怯え動けなくなったエミを救ったのが、今まで一緒に戦ってきたSKaRDの仲間達の呼び掛けだった、というところは今回のドラマ面のハイライトとして凄くグッときたところでありました。少し前の第14話ではゲント隊長がエミのやりたいことをSKaRDの仲間として後押しした場面があり、ここもエミを中心としたSKaRDの仲間達の絆の深まりを後半戦のストーリーにおいて印象付けたものとして凄く良かったけど、ここにきてゲント隊長以外の他の面々に焦点を当てることでその辺をより深く掘り下げたのがさり気なくも良い補強で素晴らしかったですね。ラストの仲間達とエミの明るい交流も含めて凄く沁みたポイントであった  先述のエミの恐怖の根源について今後いっそう切り込んでいくことになった時も、SKaRDの仲間達がいれば大丈夫だろうなという安心があるのがまた良い  これからクライマックスに入っていくにつれてSKaRDの面々には更なる困難が襲うだろうが、この絆を信じて応援するぜ

 

そしてもう一つ、ゲント隊長がモグージョンに見せられた恐怖のビジョンが「大破したアースガロン」であった、というところもさり気ないながらもゲント隊長のキャラ性をグッと深めたポイントとして凄く良かったところでありました。真っ先に恐怖の象徴として浮かぶのが他の隊員達のような特定の怪獣や事物ではなく、大破したアースガロン、即ち作戦の失敗・仲間達の死を意味する光景というのが、隊長として人々を命や平和、仲間達の命を預かるゲント隊長のらしさを端的に表した、秀逸でスマートな演出だったよなぁと。加えてゲント隊長がその光景を前にしながらも即座に恐怖心を振り払って目の前の戦いに向き直れる精神力を見せてきたところも凄くカッコ良かったし、総じて話のメインではなかった彼を短い描写の中でかなり劇的に魅せた好演出としてグッドでありました 特殊部隊所属でゲント隊長と同じく恐怖心を振り払う訓練を受けていたと言及されたエミが上述のように(内面の急所を突かれたらしいとはいえ)ここぞでは恐怖心に呑まれてしまったことが対比になって、ゲント隊長が背負うものしっかり背負ってることを強調する形になってたのも上手い

しかしゲント隊長の恐怖の象徴としてわざわざああいう光景が描かれたのを思うと、最終盤におけるラスボスとの戦い辺りでマジに大破したアースガロンが出てくるんじゃなかろうか...と恐々とさせられたりもして、今からなんだかそわそわしてしまうところ。ニジカガチ戦・ゲバルガ戦とブレーザーが今まで前後編で一度敗れる際には「ゲント隊長を守るために逃げる」というのを一貫させてるのも、終盤でラスボス相手に撤退することもできずマジに「負ける」流れがある前振りなんじゃないかと思ってるとこもあるし、ここがどう襲ってくるかは怖いね...ウルトラマンの敗北・消滅という鉄板の流れをこんだけ勿体ぶった上でドンと出されたら絶望感半端ないのは間違いないしさ  とはいえゲント隊長がその使命感を全うし、そうさせない流れもあると思うしそれも見たいので、何はともあれ終盤はとても楽しみ さぁどうなるやら...

 

 

以上、ブレーザー第16話でした。後半戦に入ってからより絶好調なブレーザーですが、今回もドラマ面特撮面共に非常にバランス良く両立されていてとても面白かったですね。怪獣主軸のオーソドックスなSFテイストエピソードをしっかり通しつつもその中に本筋にも掛かってくるであろう分厚い人間ドラマをきっちり入れ込んでくる、この安定感とそこから生じるストーリーの痛快さが相変わらず最高で良き  次回は特別総集編を挟むので視聴者的には小休止という感じですが、早く続きが観たいぜ...

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた