AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

強き背中

ウルトラマンブレーザー

第20話「虫の音の夜」

感想レビュー

 

 

SKaRD47都道府県巡り、現実でやってくれ!!!(無茶を言う

我が地元の超田舎県筆頭鳥取にはただでさえウルトラマン関連のイベント(それに限ったこっちゃないが...)全然来ないので、地域によって規模違っても良いからウルフェス的なものに全国を行脚して欲しいんだなぁ 毎年ウルサマやエキスポ楽しんでるみんなをトゥイッタ越しに見て楽しむだけはもう勘弁ならねぇよぉ〜 予算と時期の兼ね合いもあってなかなか行こうと思っても行けねぇからせめて大阪とか来てべや

 

テルアキ副隊長の地元で振るわれる怪獣ズグガンの猛威、そしてそれに立ち向かうSKaRDの戦いを通じ、テルアキ副隊長のキャラクターへとより踏み込んだ今回のエピソード。これといった個別エピはなくとも良い感じにキャラの良さで魅せてきてたテルアキ副隊長のこの終盤での満を辞しての個別回、どういう感じになるかと思っていましたが、今まで描いてきたテルアキ副隊長のキャラ性を改めて深掘りしより魅力的にした良いストーリーだったなと。大筋自体も群生怪獣のモンスターパニック的テイストで良い盛り上がりしてて楽しかった

 

そんな今回のエピソードは、怪獣と戦う危険な仕事に携わる息子を心配したテルアキ副隊長のお父さんが倒れたと嘘を吐いてまで副隊長を実家に連れ戻してくる、という流れを導入とした、副隊長の身内とそれを取り巻く関係性を軸にしたストーリーが展開され、そこから描き出される副隊長周りのキャラクター達の人間性やその背景の深掘りがとても良い味を出していたのが見所。小さい頃のテルアキ副隊長とお父さんの過去回想みたいなのが特になかったりとキャラ周りへの描写のフォーカスの仕方は割とこじんまりとしていたものの、だからこそ話の流れの中におけるちょっとした台詞から引き出されるお父さんの人となりや、それに副隊長がどう影響を受けたのかみたいなところが却って言葉少なに強調される作りになっており、それがちょっと大人な感じの粋なドラマの味になってて良かったんですよね。副隊長の「父さんは昔はああじゃなかった(嘘を吐いて呼び出すよりハッキリ言って欲しかった)」というお父さんへの言及だったり、町の仲間の畑が次々やられていく様に心労が祟っていたお父さんの姿だったりといったちょっとしたところから、さり気ないながらもちゃんとお父さんの「他の人・ものに責任を持って向き合う人情ある人」という人柄が伝わってきたし、同じくそういう人柄な副隊長が彼の背中を見て立派に育ったことが窺えるようになってたのが見ててグッときたね

 

またそんなお父さん絡みの描写と連動する形で、SKaRDの一員としてテルアキ副隊長が抱く信念や人間的な強さ・心がより魅力的に深掘りされた対ズグガン戦の展開も今回非常に良かったところでありました。今回のズグガンは「人間達をおびやかす脅威でこそあるものの、その実態は自分達のより良い生息環境のために人間達のテリトリーへ踏み込んだが故のものであった」って感じのいわば「『害』はあるけど『罪』はない」的な害獣に近い存在だったわけだけど、それに相対するテルアキ副隊長のスタンスが「あくまで一つの種として生きているにすぎないズグガン達を人間の都合で倒してしまうことへの申し訳なさ・葛藤を見せつつも、それを受け止めた上で人命や人間社会の平和を守るという使命を果たすべく迷うことなく懸命に戦う」というものだったのは、「怪獣も含む地球の多くの生物達に向き合い、彼らとの調和を見出そうとする信条」「地球防衛隊/SKaRDの一員として人間を守る覚悟」が両立された、「生命を守る責任と奪う責任を同時に背負い果たす」という副隊長らしい人間的な強さの表れという感じで凄く魅入ったよなぁと。ズグガンの卵を焼き払う際の「すまない」という静かな一言、燃える卵を色んな感情を滲ませつつも揺るぎなく見据えるカットなど、こういうところにしっかりと副隊長の“心”を描きだしていたのがグッときたわね  「奪う」と「守る」の相反する二つの責任を同時に受け止め戦うことって色んな矛盾や現実に向き合うことでもあり物凄く苦しいものでもあると思うので、そこにおいて色んな感情を含ませつつもちゃんとやるべきことを見失わず強く立ち続けているテルアキ副隊長はすげぇよなぁ...と改めて 一段大人なキャラクターとしての人間的な奥深さって感じで、このポジションだからこその魅力がしっかり出てたね これまでのエピソードの節々においても副隊長のそういう一面は多々見せられていたけど、そこをいっそうグッと深める素晴らしいエピでしたよ

 

という感じで繰り広げられたテルアキ副隊長周りの話を盛り上げたvsズグガン戦の展開、こちらも非常に面白くて良きでありました。農村を襲う作物と土壌への不可思議な被害という不穏な出来事、跋扈し次々と襲い来る等身大の怪物というまさにモンスターパニック映画さながらの前半でゾゾっとさせてきてからの、夕日の降りた街に親玉の巨大怪獣が現れるというウルトラシリーズらしい脅威の襲来と相成る後半へ、というこの多段的な流れが凄くアガりましたね。人間と同じスケール感の脅威というなまじ恐怖感が実感しやすいシチュエーションも、全てを蹂躙する巨大な脅威が襲い来るシチュエーションも、どっちもたまんねぇですよ...この多段構成はウルトラシリーズにおいてたまにあるけどやっぱ盛り上がるね(怪獣が複数種類のビジュアルで出てくるワクワクもあるしな) 夕日に映える田舎の町並みでの戦闘も少し懐かしさを感じられたし、勝利までの展開運びもズグガン攻略のロジックの積み上げ方が面白くて良かった 「父が倒れたという嘘で息子の不安を煽り連れ戻した父」に不満を抱いていたテルアキ副隊長がズグガンに対しては「危険を知らせる仲間の声を利用することで誘き寄せ一網打尽にした」という皮肉込みの構図になってるというのは後から気付いておぉ...となったが えぐいぜ

 

そしてズグガンを撃破してのラストは、人々を守るために怪獣達と命懸けで戦う息子の姿を目にしたこと、加えて自分達が再び耕せるようになった土が息子達の活躍で守られたことを力強く噛み締めるテルアキ副隊長のお父さんの姿と言葉で締め、という今回の人間ドラマをギュッと引き締める味わいある流れで彩られました。息子のことが心配で無理にでも連れ戻そうとしていたお父さんは傷付きながらも強い信念を持って戦う副隊長の覚悟を知り、副隊長も村の人達のために自分を犠牲にしながらも苦悩し続けていたお父さんの姿に恐らく昔の父と同じものを改めて見出し、とお互いに言葉は多く交えなかったながらもちゃんとそれぞれのことを理解して和解し、もっと強く通じ合ったのだと分かるしっとりとした類比の画作りと人間ドラマの構成が最初から最後まで良い味わいでしたね...副隊長とお父さんがそれぞれの背中を見つめるカットがしっかり印象深く入れ込まれてた辺りも、多くを語らない良さが詰まってて沁みました。副隊長はきっと何かに真っ直ぐ向き合い頑張る父の背中が変わっていないことを実感しつつ、お父さんやそれに憧れた自分自身のことを今一度誇らしく思えただろうし、お父さんも息子の立派に育った姿をちゃんと目にして安心できた上で、そんな息子が守ったものを誇りとして刻み、大切にしていこうと思えただろうなと、多くを語らないからこその色んな想いを想像できる余地がまた良かった...上述した人柄もそうだけど、ちゃんと親子同士で繋ぎ合えたものがあったんだなぁ 感慨深かった

 

 

以上、ブレーザー第20話でした。キャラクターとしては今までのエピソードの中でしっかり完成し切ってた感もあったテルアキ副隊長のメイン回でしたが、そこを親子の話を通じての人間ドラマでよりグッと深掘りし魅力として昇華してみせたのが非常に素晴らしいストーリーになっていたなと。ゲント隊長もそうだけど、本作は大人のキャラを大人らしい安定感も保ちつつしっかり深めていくバランス感が絶妙で、ここは本作ならではな要素・強みの活かし方で見事。少し難しさはありつつも相応の味わいがある粋なタッチの作劇が面白いエピソードでありました。

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた