AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

勇気の光

ウルトラマンコスモス

第30話「エクリプス」

感想レビュー

 

 

「コスモスに、再び光を!」

数千年に一度の皆既日食の日、力尽きたコスモスとムサシはお互いを探し求めていた。

「夢を追いかけていれば、いつか奇跡が起こる!」

ムサシが見つけた優しさと強さ、そして勇気を結集した時、黄金の光に包まれたコスモスは新モード誕生の瞬間を迎える!

 

エクリプス

 

エクリプス編(仮称)、遂に完結ッ

エリガル落命、コスモス敗北と苦境が続いてきたここ最近のストーリー展開のフラストレーションを吹き飛ばすが如きムサシとコスモスの覚醒を描いた今回のストーリー。

コスモスから切り離され、自身がコスモスからも必要とされていないのではないかと恐れ不安になるムサシが、かつてムサシに勇気を貰ったことに報いようと落ち込むムサシを勇気づけるべく駆けつけてくれたユウキ少年幼い頃の自分を支え信じる勇気をくれた友人・ゴンムサシの危機を救うため傷つくことも恐れず自身より遥かに強大なメビュートに立ち向かうリドリアスコスモスを復活させるべくメビュートの脅威に晒されながらも勇気を持って立ち上がり続けるアヤノといった“勇気ある者達”の想いを受けて、自身も勇気を強く抱き、それを持ってコスモスと再び一心同体となり立ち上がる流れはストレートに熱く、前回のエピソードにおいてムサシを軸に様々なポイントから“勇気”という要素を強く印象付けていた蓄積がここで大きく昇華される作劇も相まって最高に胸躍る展開でした。

本作における勇気とはいわば「誰かを想う優しさその優しさを支える原動力たる力が合わさった、困難や恐れに負けず自身の信じるもののために一歩踏み出し進む強さ」と、本作を象徴する要素やテーマ性を内包した深みあるものであると言え、この一連のエピソードは「怪獣保護という夢の前に立ちはだかる壁/限界」や「自身はコスモスに相応しくないのではないかという不安」に押し潰されそうであったムサシがそんな“勇気”に向き合い、自身も自身の夢や救いたいもののために立ち上がり恐れず挑む“勇気”を得てより強く成長し、再びコスモスと共に困難に立ち向かっていくまでを鮮烈に描いた、主人公の成長という意味でも、物語のテーマ性の掘り下げという意味でも、物語のターニングポイントに相応しい奥深さに満ち溢れたエピソードだったなと思いますね。

にしても、そんなムサシの成長の最後の大きな一押しになったと言えるのがコスモスを救おうと立ち上がり続けるアヤノの姿だったのは今こうして見るとなかなかにグッとくるところ。未熟な印象の強かったアヤノがここにきて勇敢に立ち向かい続ける強さを見せたことや、その末にアヤノも他の人には見えないコスモスをムサシと同じく見ることができるようになって精神的にムサシと同じところへ並び立てたことの熱さが非常に沁みましたね。特に後者は、ムサシが更なる勇気をアヤノから貰えたという構図も込みで、後に深まっていく2人の関係性の一つのフラグだったと言えるな、と

 

そして誕生するコスモス新形態・エクリプスモード!!ルナモードとコロナモードのそれぞれのイメージカラーである青と赤をバランスよく配したカラーリングにアクセントとしての金のカラーが映える、という「優しさのルナモードと力のコロナモード、両方の力を宿した勇気の戦士」というコンセプトを色濃く落とし込んだデザインがまさにコスモスの強化形態という感じでカッコいいですよねぇ

登場の仕方に関しても、前述のムサシの“勇気”を得ての成長という展開を経て復活したコスモスが月と太陽が重なる皆既日食の空の下、メビュートの猛攻を振り払いルナモードの優しさとコロナモードの力を併せ持ったエクリプスモードへと覚醒する、という月と太陽が重なる日食をそのままエクリプスモードのコンセプトおよび誕生の流れの象徴として画に落とし込んでくる演出が天才的で非常にカッコよく、ここはまさに今回の白眉だなと。エクリプスモード覚醒と同時に日食の闇が晴れるのも、これまでの展開のフラストレーションを一気に吹き飛ばすような爽快さを直に表してるようで粋。月と太陽をモチーフとしたコスモスの2形態が合わさった形態のモチーフを月と太陽が重なる“日食”に当てはめるアイデアがもう秀逸だし、それぞれの形態の優しさと力が一つとなった先の強さをコスモスという作品なりの解で“勇気”と定義付けてドラマ面・演出面でも盛り上げてくるのも実に素晴らしい構成なので、もう存在自体が発送の勝利にして優勝みたいな感じですよねエクリプスモード

 

そんなエクリプスモードの戦闘。恐れることなく進む勇気を体現するような、一歩も退かず真っ直ぐに敵に攻撃を叩き込んでゆく戦闘スタイルがコロナモードともまた違った力強さがあって気持ち良く、強敵として君臨していた実体カオスヘッダー相手の大立ち回りもあって見応え満点でした。何度もやってた拳を前に突き出すポーズや、一撃一撃の重たさがこれでもかと表現された攻撃の演出がカッコ良すぎるんですわ 

中でも、光弾がエクリプスモードに余さずいなされてメビュートが目に見えて動揺し始め、光弾と衝撃波のやけくそみたいな掃射で追撃するもそれも通じずあまつさえ押し返される、というエクリプスの圧倒的なパワーを上手く表現した一連の流れはとても爽快でお気に入り。エクリプスの「前方回転で光弾を防ぎながら突き進み、防ぎ終わったとこで空中で一回転して着地し拳を突き出すポーズで威嚇」の所作が最高に痺れましたねぇ 攻撃防ぐためにコスモスが無茶苦茶回転しまくるから若干シュールさが滲み出てるとこもあるけど。w

 

そして追い詰められリドリアスを盾にする卑劣漢ムーブ全開のメビュートを、リドリアスにはダメージを与えず取り憑いたカオスヘッダーのみを切り離す浄化光線として作用してそのままリドリアスをすり抜けて行き、リドリアスの後ろに隠れるメビュートには文字通りの必殺の破壊光線として直撃・粉砕する、という他者を虐げる邪悪な力を粉砕する力と他者を傷つけることなく救い上げる優しさが同時に内包されたエクリプスモードの必殺技・コズミューム光線で撃破するフィニッシュはとても痛快でした。光線がリドリアスをすり抜けてメビュートを吹っ飛ばすここのシーンは当時かなり斬新で「こうきたかぁ!」と非常に驚きましたなぁ

第28話で示された「優しさと力は相反してしまうのか?」「どちらかを取ればもう一方が潰え、何も救うことはできないのか?」という命題に対し「勇気を持って恐れず挑むことでそれらは並び立ち得る」という解を示し、ムサシ/コスモスの再起を鮮烈に描き上げたとても熱い演出でしたね そしてムサシが勇気を持って挑んで行った結果コズミューム光線はこれから更に万能極まるチート光線と化していくのである

 

 

以上、コスモス30話でした。長く続いたムサシの困難への直面とカオスヘッダーの更なる脅威の襲来を描くストーリーを、本作なりの意味付けを施した“勇気”という要素から紡がれるムサシの成長、コスモス新形態の覚醒といった熱い展開の連続によってカタルシス高めに締め括った最高の回でした。優しさと強さ、月と太陽という様々な相対する事柄を一つに束ねてエクリプスモードが生まれる流れへの文脈の乗せ方が非常に巧みで、平成シリーズの中でも屈指の盛り上がりを持った強化フォーム誕生エピソードだったなと感じますね。とても良かった

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた