AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

丸が“4つ”だァッ!!!

ドラマ岸辺露伴は動かない

第7話「ホットサマー・マーサ」

感想レビュー

 

 

今年の年の瀬も岸辺露伴だッ!!!

 

というわけで年末恒例となったドラマ岸辺露伴は動かないシリーズ、今年も嬉しいことに放送と相成りました。惜しいことに例年の3話構成から変更となり2話構成での放送とはなったものの、安定の高クオリティで今までに衰らない満足度をしっかり刻み込み、且つ最後には思わぬサプライズ(仄めかし?)もぶち込んでくれて今年も実に面白かったですね 永久に続け年末岸辺露伴(無茶

 

そんな今年の動かないシリーズ一番手を飾ったのは「JOJO magazine」収録のエピソード「ホットサマー・マーサ」。恥ずかしながら今までのエピソードと違って原作を読まないまま視聴することに運びとなった本エピソードでありましたが、先の展開をあまり知らないが故の色々新鮮な楽しさもあってこれはこれでなかなかに乙なものでありましたね

 

しかし今回のエピソード、コロナ禍での外出自粛やマスク生活に身を置いた露伴先生を描く的なところの話になるのはざっくりと聞いてたけど、思ってた以上に未だかつて見たことのない露伴先生がたっぷり見られてそこがまず最高でしたね...取材に行けないのとマスク付けっぱなしのストレスとで、ムカつく事象に例年比の10倍くらいの勢いでブチギレたかと思えば思いもよらない事態を前にキレる気力もなくて弱々しく呻いたりと躁鬱みたいなテンション感になってる露伴先生今までの話じゃまずあり得なかったですからね 「丸が“4つ”だァッ!!」って電話口で爆発してる時の迫力が特に凄まじくて好き(話してる内容が若干シュールなこととのギャップで更にわろける)

でもこの辺の露伴先生の荒れっぷり、コロナ禍真っ只中だった1、2年くらい前我々も窮屈さからだいぶイライラしてたり何かに当たりがちになってたのを思うと“コロナ禍”を一つの軸にした人間描写としてはちゃんと解像度高かったよなぁと。マスク着けて出歩く露伴先生の描写とかもじんわりとした息苦しさみたいなものが感じられて絶妙であった(今までの動かないシリーズには明確に“無かった”描写だし、その辺の違和感・異物感みたいなものも一因かもね)  ストーリー中に露伴先生自身も語ってたけど、岸辺露伴という男は自ら動き色んなものに触れていく自由さこそがバイタリティの根源って感じの人間だし、そこに縛りを与えられた時の閉塞感や溜まっていく鬱屈とした感情みたいなものはむしろ人一倍だったと言えるのかもしれん 露伴先生もやっぱこう、人間だったんやなって...(言い方)

 

この荒れまくりの露伴先生の心の拠り所として存在感を示していたわんこのバキン、およびそのバキンと露伴先生のあったかい交流も今年のエピソード群の見所でありました。露伴先生(を演じる高橋一生さん)に凄く懐いてるのが映像からも伝わってくるバキン、視聴者的にも露伴先生的にも閉塞感の中のめちゃくちゃ良い癒しって感じになってて凄く良かったよね  それはそれとしてバキンのことだいぶ分かりやすくデレデレしながら可愛がる露伴先生もめちゃくちゃ新鮮で面白かったがw(前述した躁鬱モードとのギャップよ) 我々は他の生命体を打ち負かして恍惚とする性悪岸辺露伴の方ばかりを見知ってるので、抱っこして一緒に散歩したり(有識者曰く、炎天下のアスファルトに裸足のわんこを歩かせるのは肉球の火傷に繋がったりするのだとか。こういうとこしっかりしてるのが分かるとおーってなって良いよね)優しく声をかけたり笑顔でなでなでしたりとめちゃくちゃ真っ当に飼い犬を可愛がる岸辺露伴は理解の範疇に無いんすよ(失礼) 露伴先生もやっぱこう、人間だったんやなって...(天丼)

 

そんな今回のエピソードはいつも通りいらん好奇心を発揮した露伴先生が怪異“薮箱法師”に成り代わられたことから巻き起こる騒動を描く、という内容のストーリーで、気付かぬうちに成り代わられ過ごされた分の人生のズレが醸す恐怖感に露伴先生が翻弄されるじっとりとしたホラー感が見所の話となっていましたが、一方で露伴先生は得体の知れない存在に成り代わられ3ヶ月〜半年の人生を勝手に過ごされたことよりも「ホットサマー・マーサの『丸が3つ』を『丸が4つ』に変えやがってッ!!」というところにキレて薮箱法師がやらかしたことをなんとかしようと奔走するし、その露伴先生に最大の壁として立ちはだかるのは薮箱法師そのものではなく薮箱法師のやらかしに付随してきたやべーストーカー女だしと、薮箱法師の存在はあくまで事件の発端・現象でしかなく話の軸やヤマは全然別のところにあるという構成になってたのがめちゃくちゃ面白かったです。w  薮箱法師自体が「鏡に映った者と成り代わりその人間の暗黒面として3ヶ月過ごす」という元々の在り方に従って動くことしかしてないので悪意の類は全く無かったし、突き詰めるとそれをいつものいらん好奇心で起こした露伴先生が10割で悪いやろという話なんだよなぁ今回() 先生が好奇心から痛い目見る筋書きは今までもたくさんあったけど今回今までにも増して露伴先生の自業自得感高くない?()  まぁどえらいピンチや混乱の中でも自分の感情や信念が最も重要な芯や原動力になってる辺りの“いつも通り”感も含めてそれでこそ岸辺露伴って感じでとてもよろしかったが

 

そして薮箱法師周りの展開で一際強烈だった「やべーストーカー女」ことイブの存在感も外せないところ。最初こそ露伴先生にべったりなめんどくせーファンレベルだったのに、それが薮箱法師のやらかしをきっかけに家に潜り込んでるやべー女になり、最後にはねっとりとへばりついて離れず他のものに牙を剥く底知れない妄執と自覚なき悪意の権化と化すという、段階的な怖さの昇華がマジに恐ろしすぎましたね...中盤の神主親子もなかなか強烈なキャラだったのに全部吹っ飛んだわ()  あのブリっ子全開の一方的でイラッとくる立ち振る舞いや言動がシチュエーションも込みでだんだんと生理的な嫌悪感と背筋の凍るような恐怖感を持ったものに変わってく演出とそれを見事に演じ上げた古川琴音さんの演技に年の瀬のワイの背筋は無事凍りつきました()  あの喋り口調から「シングルマザー」のワードが出てきた時は露伴先生共々ヒィ〜ってなったわよ...原作読んでないけど演出的にこれは漫画よりも実写の方がグッと映えてたかもなと思うし超良かった  

しかしイブ、公式のツイートで露伴を襲う最強の敵」と紹介されてたけどマジで今までのエピソードと比較しても殆ど嘘偽りないレベルで最強(最恐)だったのが困るよ() これがあくまで怪異ではなくただの人間なの悪い冗談やで...(6ヶ月間暗黒露伴と一緒だったとはいえ)パンピーには察知できないはずのヘブンズドアーの能力に薄々気付いてて封殺してくるし、怪異の類じゃないから怪異生存率/回避率のめちゃくちゃ高い泉くんもフツーに餌食になりかけてたの、チートがすぎるんよ(薬打たれてグロッキーな露伴先生にヘブンズドアーの能力に薄々気付いてると語ってくるとこの絶望感が高すぎた)

NHKドラマ on Twitter: "ドラマ【#岸辺露伴は動かない】 第7話「#ホットサマー・マーサ」 長いマスク生活でうつうつとしている露伴(#高橋一生)を襲う最強の敵イブ(#古川琴音)が登場!! 原作 #荒木飛呂彦 脚本 #小林靖子 人物デザイン監修 #柘植伊佐夫 演出 #渡辺一貴 本日よる10:00~10:54[総合] https://t.co/ljQJ4EjUZm" / Twitter

 

そうして色々なことがありつつなんとか薮箱法師のやらかしを無かったことにはできたものの、露伴先生が一番どうにかしたかった「ホットサマー・マーサの丸が4つのデザイン」は薮箱法師でなく泉くんは進めたことだったので結局元に戻らずじまいだった...という落語みたいなオチで締めとなりました。w あんなに苦労したのに...みたいに項垂れる露伴先生が良い味出しすぎてたw  今回露伴先生にとって一番大事だったのは終始その一点だったわけであり、だからこそタイトルも「薮箱法師」でなく「ホットサマー・マーサ」だった、という他の視聴者さんの感想には膝を打ちましたね 結局マジにきっかけや現象でしかなかったんだな薮箱法師...(

 

 

以上、ドラマ岸辺露伴は動かない第7話でした。1年ぶりのドラマ動かない新作、相変わらずの高クオリティでとても満足でありました。コロナ禍の露伴先生の新鮮な表情や言動、薮箱法師という怪異とは別の軸で展開していくストーリーなど、一捻り加わった面白さがありつつ安定感あるミステリホラーがとても楽しかったです。やっぱ年の瀬はこれがなきゃな...
次回のジャンケン小僧回も今回とはまた違った意味でドラマ動かないの妙味光るという感じだったので、近くアップする感想記事をお楽しみに

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた