AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

人間はクソ(人間はクソ)

ウルトラマンブレーザー

第4話「エミ、かく戦えり」

感想レビュー

 

 

ゲント隊長、これまでのエピを経て仲間達から頼り甲斐ある隊長/大人として着実に信頼されていってるのは窺えるけど、同時に「この人思い切り良すぎるしちょっとめんどくさいな!」みたいな認識も共通のものになっていってるような気がちょっとする。w ヤスノブの「ちょっ、待......めっちゃ自由やん...(諦)」のマジトーンで無限にわろける() 「(ドゴォォン)曽根崎ィ!!」「まだ合図してないのに...(困)」「話は全て聞かせてもらった!!(ドスドスドスドス)」のやり取りに滲むゲント隊長の猪突猛進さとそれに対するエミのあーそうなっちゃう...みたいな呆れ気味のリアクションの緩急も好き(

 

正体不明の謎の怪獣レヴィーラとその影にちらつく化学企業ノヴァイオの存在、そしてその秘密を暴かんとするエミの活躍を描いた今回のエピソード。SKaRDをはじめとした基本設定の掘り下げを主としていたこれまでの序盤3話を経て、ここからが怪獣主体ストーリーの本番だぞ、というところをどんと見せてきた話になっていて非常に面白かったですね。

 

そんな今回のエピソードの主役を務めたエミでしたが、諜報部員らしさの存分に押し出されたスマートな八面六臂の活躍多しで実にカッコ良かったですね。これまでのエピでも懐に潜り込んでの情報収集といった形での活躍はあったけど、今回はきな臭い勢力の内部に潜入&偵察という如何にもなスパイミッションだったので、エミの諜報部員というパーソナルやその点の強みがよりスタイリッシュに活きてて良きであったなと。ゲント隊長との言い争いを尾行してる奴に聞かれて追い詰められる下りは色んな意味でハラハラした(展開的な意味・いくらなんでも迂闊にさせすぎじゃない?というキャラ描写のブレ的な意味)けど、実際は全部仲間達と申し合わせた上で相手の真実を暴き出すための作戦だったので流石!!と一本取られちゃいましたね  優秀な美人秘書へのなりきりとか隠密時の手際良いムーヴとか諜報キャラ的には鉄板のやつだけど、だからこそこの早い段階でエミの活躍をそういった描写のバチっとハメてしっかり描き上げたのはグッド  普段の快活な陽の雰囲気とオペレーション時のキリッとした雰囲気のぱりっとした切り替えが印象深いエミだけど、今にして思うとその辺も諜報部員としてキャラを演じる時の切り替えのメリハリが普段から染み付いてるが故なのかなと思ったり(こういうとこにそれとなくキャラが感じられるの良いよね)

また今回のエミ何がカッコ良かったかと言えば、他の方も凄く推してたけどやっぱり後半の生身の戦闘シーンだよなと。銃突き付けられた状態から一瞬で相手をノして銃を奪い慣れた手つきで瞬く間にマガジン抜き取り&分解近くにあったロープを使って相手の腕を極めキレキレの足技でしばき倒すキレキレの戦闘術と、場慣れした手並みを感じさせる一連のアクションがすこぶるカッコ良かったぜ...画面のブレも相まってスピード感と一撃の重さの説得力もあって魅入った 黒スーツでのアクションはやはり映える てか左→右と連続で蹴り繰り出す体幹とか回し蹴りの時のエグいキレとかエミ役の搗宮さんのアクションヤバすぎるんだよな...ガチガチの肉体派な梶原さんや内藤さんに意識がいきがちだったので意外なアクション力におでれぇた  聞いたところによると搗宮さん、坂口拓さんに師事されてたとのことであーなるほどなと あのロープのアクションとか特に納得度がある

 

と、エミ周りが非常にスタイリッシュでカッコ良かった中、今回のストーリーの軸になったレヴィーラ周りの展開もとても面白かったところ。各種媒体のあらすじ等が出た段階からレヴィーラは「対抗策になる殺菌剤・FK1を売り出すためのマッチポンプに利用されてる怪獣」であろう、と人間のエゴにより暴れる存在であると見る声は既に多かったけど、実際のところも案の定そういう感じだったし、なんなら「怪獣に対抗し得る手段を持つ『英雄』としての賛辞と名声」を目当てとして作られ続け利用され続ける生命、というよりいっそう悲しき性を背負い生まれた存在という形だったのは衝撃であったね この先も未来永劫極めて身勝手な人間のエゴに利用されるためだけに、培養器の中で無数のレヴィーラが生み出されている光景から溢れ出す生命への冒涜具合と人間のドス黒い欲望の悍ましさたるや、これまでのシリーズにもそういうのは色々あったけど最近はここまで背徳的にガッツリ描いたのは意外と少なかったイメージがあるので凄く良かったですね。人間の常識を超えた規格外さで街を闊歩し餌を喰らい暴れるシンプルな恐ろしさも良きだが、こうして人間の営みや欲望と密接に絡むからこその味を出す怪獣も魅力的で素晴らしいなと改めて

そんなレヴィーラの物語の中心に立っていた本エピの黒幕たる人物・曽根崎のキャラ造形も本エピをいっそう面白くした良き要素でありました。放送前に予想されてたマッチポンプキャラによくある「奴が現れる限り我が社はFK1で潤い続ける...レヴィーラがいた方が好都合なのだ!」みたいな資本主義の冷徹なリアリスト...の方がまだマシにさえ思えてくる、「名声だ名声!FK1で奴を倒し続ける限り私は英雄として崇められるのだァーッ!!」みたいなマジに歪んだ承認欲求の下身で勝手を極める下劣なナルシストというのが強烈でしたね...FK1でレヴィーラが退治されて自身が賞賛されることこそが絶対、といった感じで、レヴィーラのことは言葉の上では「息子」と呼びつつも前述の通りその実はいくらでも生み出せるテイの良い道具扱いレヴィーラが現れることで恐れ傷付く人々のことは仮にも自身を賞賛する大元の存在にもかかわらず感謝も何も無しでまるで勘定に入れていない、というどこまでも自分のことしか見ていない感じがとても最悪であった レヴィーラがいずれ薬剤耐性を身に付けることを承知の上で、その時は自分達だけ国外に逃げ、そこでまた別の「息子」達と同じことを繰り返すと恥ずかしげもなく言い放つ辺りに、自分本意の思想とレヴィーラや市井の人々はどうでも良いの思想が同時に表れ出ていて良いよね良くねぇ  曽根崎が瞑想中に聴いてた「曽根崎サイコーッ!!」みたいな歌詞のふざけ散らかした歌なんかも、あのポップさが却ってレヴィーラや大勢の人々を踏みつけにしておきながら当人はあんなふざけた感覚でしかないという最低っぷりを強調していて本当にひでーもんだったし、諸々含めてあんなしょうもない奴のために色んなものが犠牲にされているというのが許せないこととして観てるこちらの実感になるのも巧かったなと(曽根崎が冷徹で格のある邪悪ではなく、どこまでも幼稚且つ身勝手でしょうもない奴であるからこその芸術点の高さがあった)  しかしこれらのことがあるからこそ、最後全てが御破算になってもうダメだと項垂れる曽根崎の近くであの歌だけが虚しく音楽プレーヤーから流れ、すぐ近くで曽根崎の偽りの栄華を象徴する曽根崎の賞賛記事が燃えていく、という演出があったのは実に象徴的且つ痛快で溜飲が下がりましたね。所詮は空の栄光、砂上の楼閣だったということで...

 

そうして勇み足かましてエミの前で出てきかけたブレーザーブレスにゲント隊長が慌てるコミカルな一幕を挟んで繰り出される終盤でのブレーザーvsレヴィーラ戦も非常に見応えアリで良きでありましたね。バザンガ戦同様ビル街での夜戦シチュだったけど、夜の闇がレヴィーラのぬらぬらとしたボディや口内(?)のレール発光を不気味に際立たせていてバザンガ戦とはまた違った趣の先頭になっていてとても面白かったね そもそもレヴィーラ自体がバザンガとは全然違うスタイルの怪獣だから戦闘の味わいも違う感じでその新鮮さが良かったよなと

決着の方も前回は惜しくも土を付けられてしまったアースガロンがエミのアドバンスもあって見事なアシストを加えブレーザーに勝利のきっかけを作る良い活躍をしたので実にカッコ良かったね フィニッシュ時の地面から見上げる画角のスパイラルバレードの構えもイカしてたわい スパイラルバレードの演出はXのザナディウム光線よろしく今後色んな監督によって様々な形で繰り出される大喜利じみた感じになってくそうなので、今後の使用も楽しみだ

 

そしてラストは、作戦の中で互いに助け助けられをしたゲント隊長とエミの感謝がそっと交わるという2人の信頼の深まりドラマチックに描く一幕と共に締めとなりました。だいぶ無茶な独断ではあったし本人も「まだ合図してないのに...」と言ってはいたけどエミは自ら飛び込んできて自分を助けてくれたゲント隊長にひっそりと感謝しその想いをピンクのガーベラで遠回しに伝え、ゲント隊長もブレーザーとして戦っていた自分を的確な判断でサポートし助けてくれたエミに立場上直接は言えないけど感謝を感じ、とそれぞれ照れ臭さや立場から直接は表現しない感謝とリスペクトが静かに、だけど確かに信頼として積まれるこの流れ、とてもグッときましたね...ゲント隊長もエミの諜報部員としての経験と実感に賭けて「やるだけやれ」って託してたり、曽根崎に銃を突き付けられてる状態のエミに「力を貸せ」って頼んで実際見事に状況を打破してみせたりと、エミのことを信頼してるのを随所に感じさせる場面が多かったのがとても良かったよね  初対面からどつき漫才的な息ピッタリさのある2人だったけど、そこからこうして確かな絆が出来上がってく様もこの先の見所かもなぁ 各種インタビューとか見てると「思い切りの良すぎる独断で状況を切り開いていけてしまうゲント隊長の成長や心情の変化」というところを一つの軸にしていくっぽいのも窺えるし、この辺の仲間達との絆の成長も重要になっていくかもなと、楽しみになってきますね

 

 

以上、ブレーザー第4話でした。怪獣主体のドラマでウルトラシリーズならではのワクワクするSFテイストを入れ込み盛り上げつつ、エミ(とゲント隊長)を軸にしてSKaRDの面々に軸足を置いた軽い縦軸にも更なる掘り下げを加えていく小気味良い作劇のバランスが実に楽しいエピソードでしたね。今後は怪獣を主にしていくテイストも濃くなっていくと思うと古き良きウルトラオタク的にはとても心躍るし、その中で個性豊かなレギュラーキャラの面々が如何に深められていくか実に楽しみであります。ますます面白くなってきたぞ!!

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた