AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ブレーザー怪獣語り④

レヴィーラ

別名:軟体怪獣

身長:0〜55m

体重:0〜3万t

登場話:ウルトラマンブレーザー第4話「エミ、かく戦えり」

 

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突如姿を現し、以来破壊を続ける謎の怪獣。発生源・襲撃理由共に不明とあらゆる詳細が謎に包まれており、科学企業ノヴァイオの開発した新型殺菌剤「FK1」を弱点としておりこれを浴びせかけられることで肉体が液状に瓦解し撃退することができるものの、FK1をもってしても撃滅には至らず以降も幾度も復活し出現している。

ぬらぬらとした粘膜に覆われた半透明の表皮に覆われた肉体を持ち、そこに花の花弁が重なった蕾のような形状、もしくはクリオネの触手器官・バッカルコーンに類似した形状をした頭部や、先端に葡萄のような球状の部位が集合した巨大な前腕を持つのが特徴。この巨大な腕を使って四足歩行を行い、この腕を振り回し叩きつけることで周囲の物体を力任せに破壊し闊歩する攻撃的な性質を有する。他にも特徴的な頭部の内側には発光器官軟体質の赤いヒダ・触手を有し、この頭部で相手に喰らいつく他、発光器官から発射する光線により敵を攻撃する。更に特筆すべき特徴として高い肉体再生能力があり、ミサイルの直撃を受け肉体がひしゃげても即座に再生し何事もなかったように活動することが可能な上、弱点であるFK1による肉体の液状への瓦解を経てもなお時間が経てば肉体を再生させ再び出現してしまう。あまつさえこの再生能力を活用することで肉体の形状を思うままに変えることも可能で、アメーバ状に肉体を変質させ地面へ流れ落ちることで敵の攻撃を回避敵の背後で再結集し不意打ちを行うなどのトリッキーな戦法も行う。

 

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↑側面図。巨大な前腕を突き頭部を前方へと迫り出させた特異なプロポーション、背中に生えたヒダ状の無数の背鰭など、特徴的な容姿をしている。

 

3ヶ月前(第4話開始時より)に姿を現し破壊活動を開始、防衛隊の攻撃も高い再生能力で無効化し闊歩するも、その際偶然FK1が入ったノヴァイオのコンテナを破壊、FK1に触れたことで苦しみ姿を消したことからFK1が弱点であると発覚。以降、度重なる再生・再出現の度に防衛隊ノヴァイオから買い取ったFK1で撃退するという状況が続くようになり、やがてレヴィーラは短期間でのFK1投与を経てFK1への薬剤耐性を獲得、最初は1tで事足りたFK1が倍の量でなければ撃退できないほどになり、その後もノヴァイオ本社前に出現した際のノヴァイオ社のドローンでのFK1投与、続く再出現時のアースガロンによるFK1搭載ミサイルによる撃退を経て更に薬剤耐性を強化いずれFK1そのものが通用しなくなるだろうと目されるほどになってしまった。

しかしSKaRDの調査により、「ノヴァイオの孫会社が開発した害魚駆除用の人工クリオネとの身体的特徴・一部遺伝子情報の一致」「ノヴァイオ社社長・曽根崎全ての経歴の抹消と共に18年前に退職した科学部所属の元防衛隊であったという事実」が発覚。更にノヴァイオへ潜入したエミ隊員による諜報を経て、レヴィーラは曽根崎が防衛隊の機密情報電子化に伴う古い資料の廃棄のどさくさで手に入れた「2001年に地球へ隕石に乗って飛来した未知の生命体」の情報を基に、入手した当該生命体の細胞サンプル人工クリオネ合成により無数に生み出した人工生命体であったことが明らかになった。レヴィーラがFK1を嫌うように遺伝子操作したことや、最初の出現で偶然を装ってコンテナを破壊させ「FK1が弱点である」ことを防衛隊や市井の人々に印象付けたこと、再出現で倒されるたびに液状となったレヴィーラを一種の帰巣本能のようなものを利用して地面を通じノヴァイオ本社の地下へ戻らせ管理していたこと、レヴィーラが薬剤耐性を完全なものとしいずれ手が付けられなくなるのを承知の上で新天地での新たなレヴィーラを使った計画の再実施まで目論んでいたことなど、レヴィーラとFK1にまつわる全てが曽根崎の「レヴィーラを撃退できる唯一の手段を持つ英雄」としての名声を得るための計画であったことも白日の元に晒され、全てを知ったSKaRDにより曽根崎は拘束されることとなったが、それに合わせるようにレヴィーラは暴走を開始、同時に出現したウルトラマンブレーザー夜のビル街で戦闘を開始する。

戦闘では形状変化による背後からの不意打ちをはじめとした各種能力の使用でブレーザーを翻弄するも、エミ隊員が持ち前の洞察により液体窒素が効力を発揮することを看破し、彼女のアドバンスを受けノヴァイオの倉庫に保管されていた液体窒素のカプセルをアースガロンが投げつけたことで凍結、動けなくなったところをブレーザースパイラルバレードにより粉々に粉砕され再生不能なまま撃破された。

 

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↑前面および背面。

 

サイレントヒルやらバイオハザードやらから出てきたヤツと例えられ、放送開始前に一部詳細の開示されていた怪獣達の中だと一際異彩を放っていたレヴィーラ、自分も特に強い注目を寄せてその登場を待っておりましたが、変な怪獣はやっぱ最高だぜ!!!ってなる素晴らしい存在感でしたね。「身長0〜◯m、体重0〜◯万t」って響きもこう、浪漫あって良いですよねウヘヘヘヘ(ガンギマリ)  ストーリーが怪獣主体のものになってグッとフォーカスされていたこともあって凄く魅力たっぷりに活き活き活躍しており、こういうやつがTVシリーズで出てくるのをどれだけ待ったことかと喜びに打ち震えましたよ...

まず何と言っても、今までのウルトラ怪獣とはまた違ったそのデザイン性のキレッキレな尖りようは大きく取り上げたいところ。ぬらぬらとした湿り気をまとった半透明質のちょっとシルク生地っぽい体表にサイケデリックなグラデーションという独特な質感のボディ目鼻口の無い奇怪な顔(頭部)巨大な前腕を地に突いた特異な体型など、不気味なクリーチャーじみた意匠がこれでもかとふんだんに織り込まれたそのデザイン性は令和のウルトラ怪獣史にドンと抉り込んできた新進気鋭の超新星としてあまりに素晴らしくてひたすらに拍手を贈りたくなっちゃいますね。無数に並んだヒダ状の背鰭前腕の先から覗く球状の部位の集合体頭部の内側に垂れ下がったぶよぶよのヒダと触手の集合した部位といった細かなデザイニングで「クリーチャー」的なテイストを深めつつ、頭部の内側に円状に並んだレール発光の電飾という古き良きウルトラ怪獣らしいアクセントも入れ込んでいるというバランスも絶妙で良き良き。当方あんましデザインが尖りすぎてるとファンタジーのモンスターとかゲームのクリーチャーじみた味わいを感じて「ちょっと『ウルトラ怪獣』とはまた違うかな...」と思うこともあるめんどいオタクなのですが、レヴィーラのデザインはその辺のバランスが凄く上手いなと 公開されてるブレーザー怪獣の個性豊かさの中で「こういうヤツがいるのも良いよね!」って感じで良い彩り与えてるなと思います  モチーフ的には本編中でも語られてたようにクリオネが取り入れられてるみたいだけど、バッカルコーンじみた頭部とか半透明のボディとか全体のプロポーションバランスとか、言われてみるとなるほどたしかに...となる絶妙なクリオネの意匠の織り交ぜ方が見事であり、その上で尚且つクリオネモチーフと言われるまではその辺に気付かず特異なクリーチャー感に純粋に震えさせられるようになってる捻りの塩梅も素晴らしい。前回のタガヌラーもその辺秀逸だったけど負けず劣らず凄い。対照的に魚の意匠をこれでもかと二足歩行怪獣に落とし込んだデザインが目を惹くゲードスとはまた全然違うデザイン的な魅力に溢れてるし、こうして違うデザイン面の味わいを持つ怪獣達がひしめき合い毎週現れる環境はマジ幸せですよ

そんなレヴィーラのデザイン担当は、キャラクターデザイン・特殊メイク・特殊造形家として活動されている百武朋さん(Tomo hyakutake (@zhomo11) / Twitter)。Twitterに投稿されてるレヴィーラの原型がよりおどろおどろしいクリーチャーじみてて実に不気味  円谷関係だと故・韮沢靖氏が生前書き起こしたREMIXデザインを基にしたケムール人のフィギュアの原型・塗装見本制作に関わったことのある方とのことでしたが、今までにTVシリーズの方では関わったことのなかった方ということで、この度はウルトラ怪獣デザインの世界に新たな風を吹き込んでくれて感謝するばかり。上述のケムール人のフィギュアとかGoogleで検索して出てくる各種デザインとか見てるとなるほどたしかにレヴィーラの血脈を感じるなというところであり、いやはや面白い子を生み出してくれましたよ 最高

Tomo hyakutake on Twitter: "『ウルトラマンブレーザー』 第4話「エミ、かく戦えり」 #レヴィーラ ❄️デザイン 担当致しました。 憧れのウルトラ怪獣に参加できて嬉しいです!⭐️ 辻本貴則 監督、本当にありがとうございました! 引き続き宜しくお願い致します⭐️ #ウルトラマンブレーザー #俺が行く https://t.co/i1t86KrsJ1" / Twitter

Tomo hyakutake on Twitter: "\X\#ウルトラマンブレーザー/X/ 第4話「エミ、かく戦えり」 デザイン担当した怪獣 #レヴィーラ 人気のようで一安心です❄️ありがとうございました⭐️ 今週も楽しみですね!⭐️ ▼作品情報や見逃し配信情報 https://t.co/KByy1UNyB5… https://t.co/eXgQDGkzhX" / Twitter

 

続いて本編の活躍。スーツアクターの梶川さんによる揺らめくような動き豪快なミニチュアのビル破壊や大胆すぎるナパーム爆破で終始パワフルに表現される大暴れサイケデリックなエフェクトや映像のバグのようなブレで表現されホラーじみたゾクゾクを視覚的に与えてくるやられ際の様子など、各種の演出がとにかく不気味でとんでもない存在としてのインパクトを高めており、本編では頭からケツまでずっと鳥肌モンのインパクトを刻んでくれて実に最高でした。笑うような鳴き声も良い感じに怖くて好き あとFK1でやられて液状になって流れていく際、道路の車や公園のオブジェクトを一緒に流し去っていく様がミニチュアで細かに描かれてたところもなんとなくリアルな質感で良かったところ。辻本監督の拘りが上手く活きてたね

そして特筆すべきは、歪んだ承認欲求に支配された醜い人間の欲望に利用されるために生み出され続ける悲しき生命体という側面も有しているキャラクター性。この辺は第4話感想記事の方が深く触れながら書いてるかもだけど、改めて振り返ってみてもほんとにインパクトのデカいポイントだよなと。Twitterの方で誰かが言ってたけど、レヴィーラはあるウルトラOPの歌詞になぞらえた「愛さえ知らずに育ったモンスター」という表現がピッタリなんだよな...曽根崎に「息子」と呼ばれつつも、その実は曽根崎の身勝手な欲望のために生み出され利用されるだけ、そして同じ宿命を最初から背負った兄弟同然のレヴィーラ達も既に無数に培養されているという、あまりに惨すぎる性...曽根崎の方がよっぽど化け物ですよ  同じくあるウルトラOPの歌詞に倣うならば、レヴィーラの不気味な鳴き声は、人の手で生み出されながらも愛を微塵も注がれず育ったが故のある種の慟哭でもあるのかもしれない、なんて思ったりもして(レヴィーラ自体はそんな悲しみを感じているかは分からないが...)  ブレーザーとSKaRDによる撃破はある意味、レヴィーラ達への弔いになったのかもしれない。合掌

まぁそれは別として、何年も前に飛来していた宇宙生命体(?)の細胞から培養された人工生命体、とか、人間が生み出した人工生物との合成で強化された未知の生命体、って設定は凄くSF特撮っぽくて好き。遺伝子操作やら交配やらなんやらの生化学は既に現実でも色んな形で進んでいるけれど、そこへの警鐘も含んだ存在だよなぁと。人間が驕り高ぶり、他の生命への尊びを忘れた時、大いなる生命はいつ人間へ牙を剥くとも知れない、むしろそうして暴走した先で我々人間こそが最も恐ろしい怪物と化しているかもしれない...肝に銘じておこう

 

 

というわけで今回はこの辺で。次回は...

伝説を司る者、悠久の山獣

次回も見てくれよな!!

 

 

※あとがき

ブレーザー怪獣、はたしてどれだけソフビ化されるのだろうか...全部してくれ!!!!!!