AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

チューペットへし折りのけ反り投げ付け巨人

ウルトラマンブレーザー

第5話「山が吠える」

感想レビュー

 

 

チューペットみてぇにおもむろにスパイラルバレードを膝で二つにへし折ったかと思ったらしこたまのけぞってぶん投げ出すブレーザーくん、あまりにも暴れん坊がすぎます() 野性的なスタイルというとこはブレてないけどなんか「ちょあああああああ」とか「きえええええええ」とか叫びながらエキセントリックなことする人みたいな味も増してないか(

それはそれとしてスパイラルバレード大喜利が回を重ねるごとに面白いことなってきてて実に楽しいですね まだ田口監督と辻本監督だけだけど、お二人ともカッコいい魅せもちょっと捻り入れた面白いやつもバッチリこなして良きね この先の他の方々の演出にも期待が高まる

 

守り神・ドルゴの言い伝えが残るアンリの故郷を舞台にした新型レールガン・メガショットの演習を発端に巻き起こる波乱を描いた今回のエピソード。「伝説・土着信仰に由来する怪獣の復活」というウルトラシリーズならではの題材の一つを早速バチっと拾ってきた話になっており、古くから伝わる未知の領域に踏み込んでしまう人間達の活動それに抗おうとする伝承を受け継ぐ者の声それも虚しく来たる脅威、といった「科学の発展が神的な境界線を越えることにより顕現する伝説の猛威」みたいなこの手の題材では定番なスピリチュアルさを含んだ流れをばっちり踏襲したストーリーラインがグッとツボに刺さりましたね。またその一方、御神体がドルゴの眠りと覚醒を司るメカニズムに現実的で納得のいく理屈をはっ付けてきて、本作らしい一段階上のSFテイスト・リアリティラインをちょっとしたアクセントとして入れ込んでたところや、「人間の発展が境界を越えてしまうことへの戒め」という部分をしっかりメッセージには含ませつつも、事前の調査等をしっかりやって可能な中で万全を期していたことを強調したり、全てが終息した後で課題の炙り出しによる反省・気持ちを新たに進もうとする前進の意志を見せたりと防衛隊(人間)周りを極端に悪にしすぎない描写面の細やかな気遣いを感じさせたところなど、この手のエピソードとしてはちょっと珍しい味付けがされていて新鮮だったのもまた面白かったところでした。特に後者に関しては、今までシリーズ全体を通してこの手のエピソードで人間の愚かしさを描いてきたからこそ、それらを経てこの現代にて少しでも変わった人間達の意識をこの題材の上で強調できたというところは大きかったんじゃないかなと。過ちを重ねるだけでなく、それを顧みて成長していけることもまた人間だからね...今回の事件はあくまで「その上でも人間が理解し切れない/考えを及ばせ切れない領域があり、そこに意図せず触れてしまった故に起きてしまったこと」というところではあったしね こういうところを時代を重ねてきたシリーズ全体の蓄積と研鑽として感じられたのも今回のエピソードの良かったところであった  定番どころをなぞるだけではないアップデート、これこそ大きなシリーズへのリスペクトをもって描くことの鑑ですよ

 

そんな今回のエピはあらすじにも名前が挙がってる通りアンリが実質的な主役ということで、前回のアンリよろしく彼女のキャラ性を一つ掘り下げる内容になっていたのも見所でありました。いかにも田舎という感じの久方ぶりの故郷にちょっとむず痒さ・照れ臭さみたいな繊細でちょっと生々しい感情をさり気なく滲ませてたところから始まりながらも、幼なじみとして昔一緒に過ごしてたミズホの言葉を信じ切れなかったことへの責任感から思い直し、ミズホの想いをしかと受け取って故郷や彼女のため、事件解決のために果敢に挑んでいく勇気ある姿を見せ、最終的にはミズホと同じものを見出して彼女との絆や大切な故郷への愛着を再確認する、というアンリの等身大な内面の変化・成長を丁寧なアプローチで描いた流れはとても良きであったなと。ゲント隊長とテルアキ副隊長の地元談議に気まずそうにしてたりミズホ相手にふと秋田弁が出たことへちょっと恥ずかしそうにしてたのが、最終的にはミズホとも楽しそうに秋田弁で話すしゲント隊長には面と向かって笑顔で「故郷って良いですね」なんて言ってみたりもするようになってるのが、感情面の変化を経た対比としてベタながらもあったかくて好きだ 隊長の返しが「んだべ〜?」っていう方言でのちゃけた返しなのも、それを受けたアンリが微笑ましく砕けるのも込みでアンリの故郷への愛着が良い感じに滲んで明るい良いオチだった  隊長こういう時にも意外とノリ良いの最高だな...

引っ込み思案気味であまり前に出ない感じがあったり周囲の陽気なノリに微妙について行けずやや斜に構えた反応したりもするけど、決して内向的だったり暗い内面してたりするわけじゃなく、奥底では仲間をはじめとした自分の周囲のものに対する温かな感情を抱いていてそれらを強く信じることができるし、ここぞでは自分自身もこうと決めて全力で立ち向かえる強さも持ってる、そんな見てて応援したくなったり自分も頑張れると思えたりするような良い意味での素朴さがアンリの魅力かも、とこれまでのエピソードで自分は感じられてきましたね。当初の印象だと武の道に通じた生真面目一直線みたいなキャラだと思ってたのでそのギャップもあるかもだが、このちょっとリアルで共感できる、等身大さの丁寧な描き方は凄く良いね

 

またアンリの描写に付随する形で、これまでの話を通じ深まっていったと思われるSKaRDの面々の雰囲気が感じ取れたのも今回とても楽しかったよなと。任務中のふとした一幕に地元のことで朗らかに語らうくらいのゆとりと関係性ができてきてるのが、チームとして良い感じに砕けてきたって感じで凄く良いですよね...隊長と副隊長のおじさん上司組(便宜上の呼称)が酒や食い物の話題でゆるゆると砕けた雑談するようになってる質感マジ好き  上記のんだべ〜のやり取りなんかもある意味隊員と隊長とでこういうこと言い合えるくらいになったんだなーというのがあるし、この先もこういうのが少しずつ積まれてくと思うと楽しみだね

勿論そんな緩い一幕がある中でも各々が良い活躍を多分に見せており、そこもまた良かったところ。最前線で果敢に身体を張りドルゴを止めたアンリを筆頭に、随所でのキビキビとした判断と指揮で作戦を導いた隊長と副隊長、アースガロンの巧みな操作で見事ブレーザーをサポートしてみせたヤスノブ、現地にいなかったのにアンリとの雑談だけで必要な情報しれっと調べて必要な時にポンと出す優秀すぎるアンリと、精鋭揃いに説得力のある活躍がたっぷり見られて良きかなですね これでまだまだ序盤なの頼もしすぎるな

 

そしてドルゴ周りの特撮・戦闘面の描写、こちらも相変わらず見応えアリで良きでありました。山怪獣の名に相応しい土砂を巻き上げる出現や行進の重量感と迫力に溢れる魅せや、その悠然で神的な雰囲気さえ感じさせる見た目にミスマッチな背中のメガショットがバンバンに火を吹きブレーザーを苦しめる戦闘など、ドルゴ周りの脅威っぷりは大変満足。飛んで回避したブレーザーが追従して放たれたメガショットに撃ち落とされる瞬間を敢えて映さないノーカット風の演出なんかも良い感じに凝ってて好き(直接描かなくてもちゃんと撃ち落とされたことやメガショットの脅威度が分かるようになってる演出の妙、素晴らしい)  それでいてブレーザーやSKaRDの方も負けず劣らずで、アースガロンのメガショットを相手にしたアクティブなガンアクションや、記事冒頭で書いたブレーザーの変則スパイラルバレード演出など、工夫を効かせたバトルが実にスリリング且つ爽快でグッド。やっぱ辻本監督はXのルディアンもそうだけど、巨大戦でのガンアクションやチャンバラみたいなとこの魅せの上手さが一番好きだなぁ とてもカッコよかった

最終的にはドルゴを殺すことなく、眠らせ元のところに返す形で事を納め、ただ倒すだけでなくこういう形で締めるパターンもあるというのをしっかり序盤で描いたのは本作のテーマ的にも良い広がりになるので良かったなと思いますね。現状明かされてる怪獣の中にもそういう形で収められそうなやつは多そうだし、今後の怪獣達とのあれやこれにワクワクしてきちゃうぞ

 

 

以上、ブレーザー第5話でした。本作・現代作品ならではなアクセントも入れ込んだ新鮮さと安心感ある質感とでバランス良く魅せた信仰系怪獣エピとしても、アンリ主役エピとして彼女の人となりをグッと深めたエピとしても実に面白いエピソードでしたね。前回といい怪獣主体ドラマもレギュラーメンバー掘り下げも凄く良いバランス感で描かれるから満足度がとても高いね これが多様なテイストのオムニバスとして今後もバンバン来ると思うといっそう楽しくなってきますね 来週は総集編だがちょっと一味違うものになりそうだし、飽きさせてくれなさそうだなブレーザー!!

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた