AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ブレーザー怪獣語り⑥

カナン星人

別名:オーロラ怪人

身長:1.8m

体重:62kg

登場話:ウルトラマンブレーザー第6話「侵略のオーロラ」

初登場:ウルトラセブン第24話「北へ還れ!」

CV:竹内絢子

 

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戦争を繰り返し荒廃した極寒の星・カナン星を出身とする異星人地球侵略のためにハービーという名の個体がロビーという名の個体と共に地球へ来訪、袖ヶ崎海岸沿いの風力発電所タワー内部を基地へ改造し潜伏していた。

昆虫の複眼に似た巨大な目を持つ金色の頭部金と紺のボーダーの衣服が特徴。武器として光線銃を携帯しており、そこから機械「負の感情」を呼び覚ましその機械を操ることのできるオーロラ光線を発射することができる。前述の風力発電所に擬装した基地はこのオーロラ光線を全世界に及ぶ規模で放つことが可能で、これにより全世界の機械を狂わせることで地球を制圧しようとしていた。

 

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↑上半身アップ。口元は人間に似ているものの、昆虫のような巨大な目は人間のそれとはまるで違っており一際目を惹く。

 

袖ヶ崎海岸沿いの風力発電所タワー基地に改造し、全世界オーロラ光線を放射拡散する作戦の下準備を進める。その一環として行っていたSKaRDの調査の中で、彼らの操縦する戦闘ロボット・アースガロン地球制圧の戦力として目を付けると、レヴィーラ出現時の戦闘のモニターなどを経てメガショット演習における出撃(ドルゴ出現時)の際に密かに光線銃でオーロラ光線を浴びせ、自分達の一声でアースガロンをいつでも制御し思うままに操れる状態に置いた。

その後は作戦実行の予行演習として車や飛行機の制御を奪い暴走させる事故を多発させつつ、アースガロンの性能を100%発揮させるための協力者としてSKaRDのメカニック担当であるヤスノブ隊員を自分達の下へ引き込むべくハービーが彼に接触交渉を行う。しかし交渉はヤスノブ隊員が申し出を拒否し交渉が決裂したため、ハービーは基地へと戻りロビーと共に全世界へ向けてのオーロラ光線拡散の準備を開始、更に作戦時の護衛としてアースガロンを戦力として利用するべく、アースガロンの制御を奪うとSKaRD基地から自分達の下へと呼び寄せる。その後は基地の場所を突き止めやって来たヤスノブ隊員の射撃によりロビーが倒されるも、隙を突いてハービーが彼を制圧、アースガロンを追って出動したSKaRDの面々も暴走させたアースガロンにより翻弄する。続けて現れたブレーザーに対してもアースガロンをけしかけ苦戦させるも、ヤスノブ隊員の決死の呼びかけによりアースガロンが暴走を振り切り制御を離れてしまう事態が発生。予期せぬ状況に困惑する中で続け様にブレーザーに居場所を察知されてしまい、ブレーザー睨み萎縮し分が悪いと見たハービーはタワーの風車宇宙船として切り離し逃走を図るも、ブレーザーが投擲したスパイラルバレードとなって宇宙船を両断、そのまま爆散する宇宙船と共にハービーも運命を共にすることとなり、カナン星人の侵略計画は水泡に帰した。

 

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↑アースガロンを制御下に置き一時は戦力としたカナン星人・ハービー。しかしその心なき支配は機械を信じ寄り添ったヤスノブ隊員の魂の叫びが呼び覚ました「心」により振り切られた。

 

初登場エピソードとなるウルトラセブン第24話「北へ還れ!」以来約55年ぶり!

カナン星人のまさかのTVシリーズ再参戦!!

ということでプレミア発表会で壇上に上がった頃から話題沸騰だったカナン星人がブレーザー本編に満を辞して参戦と相成りました。大まかな雰囲気自体は「服を着たスタンダードな人型のプロポーションと人間にかなり近いものであるながらも、所々のアクセントが「昆虫の複眼を思わせる大きな目を持つ眩い金の肌の頭部」「金と紺のボーダーという一般的な人間のそれとはかなり違う奇抜な服装」という感じで一目でザ・宇宙人!という印象を突き付けてくるものになっている、という奇怪なエイリアン感とどこか近しさすら感じる人間っぽさの絶妙なバランスが何気に良く出来てるデザインが面白い宇宙人(一昔前の児童雑誌とかに載ってるオカルトコーナーで紹介されてる宇宙人のイラストとかのテイストよな)ですが、数あるウルトラ宇宙人の中からブレーザー本編に初めて登場する侵略宇宙人がまさかのコイツかと...!カナン星人のマイナー宇宙人としての印象自体は当方もちらほら耳にして知っていただけに、今回の登場は意外でちょっと驚きましたね これまでにもニュージェネでは過去作怪獣の復刻とかが行われてきてたけど、割と安牌なチョイスとかも多かった中でこれはだいぶ思い切ったんじゃなかろうか

 

ちなみに当方、恥ずかしながらセブン第24話はブレーザー第6話放送の1週間くらい前までしっかり観たことがなかった(セブンのエピ自体実は観てる回観てない回がややまばら)ので今回のエピソードの予習として放送1週間前くらいにTSUBURAYA IMAGINATIONにてセブン第24話を視聴させていただいたのですが、カナン星人、たしかにこれはマイナー枠になるな...と実感として納得せざるを得ない活躍でしたね...() いや悪く言いたいわけでは決してないのだけど、ドラマパートに完全に出番食われてほぼ「ストーリー上の障害」みたいな扱いになって、映って喋ってる時間が正味30秒あるかないかなのは流石に不遇と言わざるを得ないぞ!?「ストーリー上の障害」みたいな扱いになるにしても怪獣とかだとまだしっかりフォーカスされたりするものを、マジで「なんか侵略宇宙人がいてなんかしてる」レベルで配置されてるみたいな扱いなのはこう、ふ、不憫...(宇宙船ごとセブンに撃破されるシーンでカナン星人の画が直接描写されない演出なのも相まって余計削ぐだけ削がれた感が強いし) ちなみに一応言っとくとドラマ部分は凄く良かったです。帰省への催促で敬遠気味だったお母さんに対し、作戦中に見舞われた命の危機真っ只中ではそれをおくびにも出さず、冷や汗に塗れながらもいつも通りに振る舞いお母さんと話すフルハシ隊員の健気な愛情が光っててグッとくるんすわ...

 

そんな原典では不遇極まれりと言わざるを得なかったカナン星人ですが、今回の再登場では実に良い存在感を発揮しストーリーを盛り上げてくれましたね。別に巨大化とかはしないし、主人公とも直に対面はしないし、戦闘も味方側の存在を操ってウルトラマンにけしかけるスタイルだし、決着も逃げを打とうとして呆気なく爆散させられるものだしと劇中での大まかなムーヴ自体は原典とさして変わらないのですが、やっぱりメインを張ってたハービーが良いキャラして動いてくれてたのが大きかったよなと。ざっくりとしたキャラ付け自体は「なんか気さくでユーモアも交えて喋る緩さがある」というニュージェネ的なコミカルでキャッチーなものではあったものの、それを警戒心剥き出しなヤスノブ隊員相手にもズケズケやるという「言葉は通じるけど根っこの思考概念は全然違う」みたいなズレ感の描写に乗せることで、気さくだけどどこか不気味さがほんのり滲む侵略者として一貫して描き切ってくれたのが実に効果的で良かった。ヤスノブ隊員と交渉決裂した瞬間にその気さくさをスンと引っ込めてあっさり引き下がり侵略計画実行に動いていく淡白さも少しゾクっとくる感じがあって良いアクセント。ドラマ的にも「機械を愛し、その『心』に真っ直ぐ一途に向き合うヤスノブ隊員」に対する「戦争を繰り返し文明が退廃したことによる心の擦れ故か、機械文明を『機械は人に利用される負の感情に満ちている』といったどこか斜に構えた卑屈な視点で捉えているカナン星人」という感じで良い対比になってドラマを引き立てていたし、総じてキャラの濃さも扱いも凄くバランスが良かったなと思いますね。セブン本編から極端に変えたとこはないけどとても良い味出てて面白かったね

 

これまで5連続で続いたブレーザー新怪獣ラッシュに一旦止めは入ったものの、今までのニュージェネシリーズには全然出てこなかったところからの参戦で新鮮味があったし、その扱いも上手くて面白かったしと、ブレーザーにおける過去作怪獣達の扱いに高い期待を持たせてくれる良い活躍でしたねカナン星人。過去作からの参戦は他にもあと3枠分決まってるけど、うち2つはカナン星人と同じく今まで全然ニュージェネに出てこなかった新鮮な顔触れだし、もう1枠もお馴染みなとこではあるけど今までになかった新たなアプローチで描いてくれそうだしと、この先の過去作怪獣達の活躍も楽しみですわね

 

 

というわけで今回はこの辺で。次回は...

天を司り、地を喰む蛇神

次回も見てくれよな!

 

 

※あとがき

ウチのカナン星人ソフビですが、ちょっと足曲がってて直立せず後ろに倒れます あっためて冷やしてで足の形修正しようとしたけど結局部屋が暑すぎて元戻っちゃった!!(とりあえずは両面テープで足裏固定するかなと思ってます)

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↑修正中の冷やし作業中の様子。完全にタライに氷水入れて涼んでる光景