ゲバルガ
別名:宇宙電磁怪獣
身長:49m
体重:2万5000t
登場話:ウルトラマンブレーザー第11・12話「エスケープ/いくぞブレーザー!」
球状の隕石の姿で地球に飛来したバザンガに次ぐ2例目の宇宙怪獣。外側は青紫色の岩状の外皮で覆われている一方で内側は古代の装飾品を彷彿とさせる黄金のレリーフが刻み込まれた金属質の部位で構成されているアンバランスな見た目のボディ、目鼻が無く口にあたる箇所に青い発光器官を有する頭部、体の中心の黒い蕾状の口とそれを取り巻くように配された視覚を司る大小3つの不気味な目から成る顔、体の縁に連なる無数の牙のような白い突起群といった奇怪な姿を特徴としている。
体内に電磁エネルギーを溜め込むことで電磁場を操る能力を有しており、これにより強力な放電光線を発射する他、体の中心の口を開口することでゲバルガ自身を中心として電磁場のフィールドをドーム状に発生させ、このフィールド内に入り込んだ電子機器にEMP(電磁パルス)により誤作動を引き起こしたり機能を破壊・停止させたりすることができる。また体を丸め岩状の体表を外側に向けた状態になることで地球に飛来してきた時のような隕石形態になることも可能で、この姿で勢い良く転がり相手にぶつかる突進攻撃も得意とする。更にこの隕石形態は強力な防御にも用いることができ、頑強な防御力により物理的な攻撃を弾き返す他、電磁バリアを重ねて纏うことで科学兵器やエネルギー攻撃を無効化してしまうなど、あらゆる外的攻撃に対する鉄壁の効果を発揮する。他にも頭部を上顎、合わせた両腕を下顎に見立てた巨大な大顎による擬似的な噛みつき攻撃など多彩な攻撃方法を有しており、総じて攻防共に優れた強敵と言える。
↑側面図および背面図。
隕石の姿で宇宙空間から地球に向けて接近。その存在を怪獣として捉え警戒体制に入った地球防衛隊により大気圏外にいるところをKEM(運動エネルギー弾)で迎撃されるも、電磁バリアと体内からの放電によって全弾撃墜しなおも落下、続いて撃ち込まれたサーモバリック弾頭も全て受け切って物ともせず大気圏に突入してそのまま地球へと飛来した。
その後地上で待ち構えていたアースガロンMod.2の多目的レーザーも落下軌道を変えて回避し、そのまま津久武湖の湖畔に降着すると体を展開し怪獣としての姿を現す。続いて誘導弾による攻撃の時間稼ぎのために近接戦闘・CQCモードに移ったアースガロンと交戦、互角の格闘戦に持ち込まれ誘導弾着弾が間近に迫るも、電磁場のフィールドを展開することで誘導弾を全弾墜落・破壊した上、フィールドに取り込まれたアースガロンの機能を停止させて行動不能に陥らせてしまうなど形勢を完全に逆転させる。その後続けて現れたウルトラマンブレーザーとも接戦を繰り広げつつ、放電光線や隕石形態での突進、電磁バリアによるスパイラルバレードの霧散・無効化といった強力な能力の数々で消耗させ撤退へと追い込むとなおも進行、通信施設に取り付きEMPを展開することで大規模なネットワーク汚染を発生させ、通信機器やコンピューターをはじめ、交通・医療といったインフラを破壊し大きな混乱を巻き起こした後、隕石形態となって眠りに就いた。
翌日、SKaRD立案で実行されたゲバルガ撃滅作戦の下、設置された爆弾の爆撃により覚醒。眠りを妨げられた怒りのままにSKaRDと特機団の連携により誘導され、防衛隊の誘導弾の攻撃を受けたことでEMPを発生させるべく口を開いたところへ、待ち構えていたアースガロンがメガショットにより射出したチルソナイトスピアが口に突き刺さり、内部のEMP発生器官が破壊されたことでEMPを封じられてしまう。それでもなお、そのまま見舞われた誘導弾を持ち前の頑強さにより耐え切る、真っ向から衝突してきたアースガロンを以前よりも激しさを増した猛攻で苦戦させる、ブレーザーとの絆を深めたゲントが変身するウルトラマンブレーザーの参戦に対しても強力なパワーで互角以上の戦闘を繰り広げるなど手強く食い下がってみせたが、ブレーザーがゲバルガの口に刺さったままになっていたチルソナイトスピアをゲバルガの電撃と共に掴み取り新たな武器・チルソナイトソードへと変換するという事態が発生、その強力な切れ味と能力の前に放電光線や電磁バリア、隕石形態での防御を次々と打ち破られ一気に形成が逆転してしまう。そして最後はブレーザーがチルソナイトソードにより繰り出した必殺技・オーバーロード雷鳴斬により真っ二つに両断され爆散、撃破された。
↑胴体中央の目と口。この口を開きEMPを発生させる。頭部の下側には口に似た発光器官が付いている。
今回は前半クールラストの大一番を担当したゲバルガくんをご紹介。濃ゆい怪獣達が次々登場してきた中で、文字通り作品の中盤、ドラマ的にも大きく盛り上がる局面での実質的な中ボスとして降臨することになったわけでしたが、あらゆる面においてその名に相応しい存在感と魅力をたっぷりと見せつけ、大役を果たした怪獣となってくれましたね...ほんと毎度毎度凄い奴らが次々出てきて嬉しいぜブレーザー怪獣...
まず上の解説パートでも語ったけど、オーソドックスな二足歩行スタイルに岩みたいな質感のボディと後ろ側や横側からだと一見王道な怪獣っぽい一方で、前を向くと生物的なイメージとは程遠い古代の装飾品みたいな金属質の人工物的な黄金のレリーフが張り巡らされているちぐはぐさ、普通の怪獣だと頭部にあたるところに目鼻がなく、代わりに胴体のど真ん中にぎょろりとした目とヒトデ等を思わせるなんとも言えない形状の口が張り付き蠢いて真の顔を成しているという異様なビジュアル、頭部を上顎、合わせた両手を下顎に見立てて噛み合わせると、体の縁にびっしり生えた牙のような突起と合わせて鋭い牙を持ったでっかい大顎が出来上がるという騙し絵のようなギミック、といかにも怪獣らしいシルエットをしていながらその実奇怪さに奇怪さを重ねたような異形をしているというキレキレのデザインがあまりにも良すぎて最高。その上、こんな硬質なデザインでありながら実際の劇中での動きはぬらぬらぐねぐねとした揺らめき蠢くような不気味極まりないムーヴをしており、初見のビジュアルもかなり衝撃だったのに映像に乗った結果更に電力が走るような鮮烈さを刻み込まれるという、さながら波状攻撃のようなアピールが強烈だったわけで、もうポテンシャルしか感じない素晴らしいヤツでしたよ...お気に入りブレーザー怪獣個人的首位だったレヴィーラを押さえてグッと上に上がってきた逸材ですわ
思えばこのゲバルガ、その姿を我々視聴者の前に現し始めた頃から驚かされることづくめで、もうこの時点からインパクトあったよなぁと。放送の方メインで追っててSNSとかあまり触ってなかった方はピンとこないかもだけど、9月が近付き前半1クールの終わりも見えてきたタイミングで公開された9月放送分のエピソードの情報の中にて突如名前と姿をチラ見せしてきて「こんなヤツプレミア発表会にいなかったろ!?」と驚かされ、実際プレミア発表会には登壇してなかったものの実はOPサビの怪獣ラッシュパートに前からひっそり出続けていたと分かり驚かされ(先日名前の明かされたトサカ怪獣ことモグージョンかと思って出てない怪獣とは思ってなかった)、9月放送エピソードのスチールには後ろ姿しか載ってなくて「なるほどけっこうオーソドックスなデザインっぽいな」と思ってたら公開されたDXソフビのビジュアルで上記の前面のレリーフと不気味な目と口が顕になって驚かされ、と放送乗るよりずっと前の段階からデカめの色んな情報小出しにして印象を強く強く刻み付けまくってたんすよこの怪獣 特に9月放送エピ公開の時の実質的な初お目見えはマジでぶったまげたもんでした サプライズ精神満載の粋な怪獣だぜ 予告時点でポンと出てなんだコイツは!?ってなる感じでも良かったかもだけど、プレミア発表会で登場怪獣達を一挙にお披露目した放送前の動きとか、玩具情報や先の放送エピのあらすじがネットを通じて公式サイドから公開されることの増えた昨今の時流とか、そういうのにバチっとハマった多段的なワクワクがあって凄く良かったです
そんなゲバルガのデザインを担当されたのは、ウルトラマンZのオリジナルコミック作品「戦え!セブンガー」を描かれておられた漫画家の川石テツヤさん。川石さんは「戦え!セブンガー」の方でもジランゴンとボルテックファイヤーというオリジナル怪獣を既に担当されており(ボルテックファイヤーの方は公募作品を基にデザインをお手伝いされた模様)、今回のゲバルガはそれに続く3体目の担当オリジナル怪獣だったとのこと。漫画家さんがデザインしたというのを踏まえて改めて見てみると、胴体のレリーフや不気味な目、体全体で形作る大顎といったゲバルガの個性的な特徴は実写的な表現に囚われない漫画家さんならではなユニークな発想だったのだなとも感じられ、それを実写でやってみせよう!とばかりにぶっ込んだ川石さんの思い切り、およびそれを見事実写でフルに表現してみせた製作陣の方々の努力には本当に頭が上がりませんね...素晴らしい子を生み出してくれてありがとうございました 色んなデザイナーさんが入ることによって怪獣周りが華やいでるの、やっぱ大正解でしたね...
そして肝心要の劇中の活躍、こちらも他の怪獣とはまた一味違う不敵さや中ボス怪獣としての格を存分に見せつけまくっていて非常に最高でありました。無音の宇宙空間を隕石の姿でゆっくりと迫り来るコズミックホラーチックなカットから始まり、防衛隊の先制攻撃を事も無げにいなし平然と地球へ侵入、そして降着しウルトラ怪獣特有の発光と共にゆらりと体を展開し怪獣としての姿を現す、という一連の導入の流れ、ここからもうただならぬ不穏さやゾクっとくる不気味さが迸りまくってて魅入ったものよ...第11話の予告の「隕石が開く時、破滅が顔を覗かせる」の文言にぴったりすぎて良い演出なんすよね
でもってその後の戦闘も、「めちゃくちゃ圧倒的」というより「いけそうなところで攻め切らせないヤラしさ」みたいな良い意味でウルトラ怪獣らしからぬ手強さをコンスタントに見せてくるところが凄く面白かったなと。初戦ではアースガロンやブレーザーとの格闘戦でそこまで強い印象を感じさせず「あれ、割と普通にいけるくない?」と思わせておいてから
「ふーん君達意外とやるね まぁ俺には勝てないんだけど、ホラ」
と言わんばかりにEMPをポンと出して誘導弾やアースガロンといった機械戦力をあっさり無力化、EMPが直接効かないブレーザーに対してもゴリゴリの火力と防御を要所要所で的確に繰り出して押し切らせずじわじわ消耗させる、といった悪辣且つテクニカルな攻め方をしてきて、SKaRDがしっかり対策固めてきた再戦にてEMPを潰されても
「あーあ、EMP潰されちゃったよ...まぁいいや
本気出すから」
とばかりに初戦では見せなかった激しい格闘術や放電と電磁バリアの複合技といった更なる手札を見せてきてバチボコにしてくる、といった感じで、底を見せたようでいてその実手札や実力を巧みに温存しており、相手が押し切れそうだと勢いづいてきたタイミングでまるで相手を嘲笑うように隠してた手札を的確に切ってきて、じわじわと嬲ったり徹底的に叩き潰そうとしてくるという、さながら必死こいて戦ってくる勇者を形態変化や更なる強力な魔法で絶望させてくる魔王のようなムーヴが凄くヤラしくて良かったですね...初戦ではそこまで格闘強そうじゃなかったのにEMP使えなくなったタイミングで急に格闘でガチってきたり、相手が決めにかかってきたここぞでこそEMPや隕石形態での防御を使ってきたり、放電と電磁バリアの複合技を終盤まで使わず取っておいたりと普通に戦い方(手札の切り方)が物凄く巧妙だし、かなり賢い怪獣なのが窺えるんですよね
また正直なところを言うと、「山場の前後編に出てくるボス格怪獣」というのは少し前にニジカガチが同じようなポジションをやってたし、しかもその上でニジカガチがこれでもかと言わんばかりの強大さをバッチリ見せつけてきてただけに、今回ゲバルガが同じような感じで出てきてもインパクト負けする可能性があるのでは?と最初ちょっぴり心配してたとこもあったのですが、その点も
圧倒的な力を振るい敵を寄せ付けない、近寄りがたい威圧感で魅せる神的存在」という感じのニジカガチ
「なんとかできそうなようでいて押し切らせず、巧妙に隠した実力をここぞで次々に見せてきて絶望させてくる魔王」という感じのゲバルガ
みたいな感じでそれぞれ違った形でのボス怪獣としての格を示すことで差別化しつつしっかり並び立たせて見事杞憂に終わらせてくれたのが唸ったところでありましたね。こういうとこも含めブレーザー怪獣が皆個性豊かに光ってるの凄く良いなと思いますね...良いな...
さてそんなゲバルガですが、第1話に登場したバザンガ以来の、ブレーザー世界における2例目の宇宙怪獣であるという設定周りも注目のポイント。まぁここに関してはまだ不確定要素が多いし、しっかり語るとなると考察という形でもっと込み入った話をすることになるのでここでは深くは話さないのですが、第12話ラストのハルノ参謀長の台詞からしても、前々から各所で色んな形で考察されてたように本作における「宇宙怪獣」はけっこう重要な意味を持っていそうだよなぁと。今後もまた新たな宇宙怪獣が山場でぶっ込まれる可能性が大いにあるのでそこも込みで注目していきたいところですね。はたしてここが今後どう動くか...
というわけで今回はこの辺で。次回は...
空を駆る、月光の音速獣
次回も見てくれよな!
※あとがき
前半クールが終わりようやっとブレーザー商戦も折り返しに入りましたが、この時点でもうソフビ買いすぎてお財布が大変です...!(切実) ソフビだけならともかく他にも色々買ってるしな...() 買い支えるって大変だね(これを毎年やってる方々への尊敬が増したで)
ともあれ最後まで買い支えますよ 全てはウルトラ怪獣とウルトラシリーズ全体の明るい未来のために...ヤ-ッ!!!