AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ぶつかる想い

ウルトラマンブレーザー

第11話「エスケープ」

感想レビュー

 

 

源川司令官、現場の判断や事の趨勢に対していちいち高圧的な物言いでああだこうだと言ってくる感じがなんか絶妙に生々しい「偉そうな上司」感あって、妙に印象に残りましたね...「面倒」な上司って感じのハルノ参謀長とは違う、明確に「嫌」な上司という感じだ ハルノ参謀長はあくまで怪獣の撃退(およびそれに掛かる成果の可視化)に淡々と向き合ってる「仕事人」って感じがあって多少とっつきにくさはあっても嫌な感じは薄いのだなと感じるようになってきてたから、それと前後してちゃんと嫌な感じのヤツが出てくると余計コントラストが際立つな(ゲント隊長の頭をたびたび悩ませてたハルノ参謀長だけど、今回源川司令官の小言や態度にはめんどくさく感じるものがあるんだろうなと感じられる瞬間が時々あって、彼も苦労人なのかも、と)

 

地球に迫る謎の隕石、そこから顔を覗かせる脅威との戦いを描いた今回のエピソード。いよいよ1クール目の折り返しという山場を盛り上げるスリリングな前後編となっていましたね  ここ数話の間に強調されてきていたゲント隊長とブレーザーの関係性についてもドラマ面の軸として次回と合わせいっそう踏み込んでいきそうで楽しみになってきたなと

 

そんな今回は前後編スケールの人類(&ウルトラマン)vs怪獣というまさにウルトラシリーズという感じの直球のストーリーラインで展開され、無音の宇宙空間をゲバルガ隕石がゆっくりと落ちてくるただならぬ不穏さの滲む画から始まり、総力戦で立ち向かう地球防衛隊・SKaRDの緊迫した空気感、それをぬらりゆらりといなしながら突き進むゲバルガの脅威をじっくりと見せつける内容となっていました。湖畔の地域やこじんまりとした郊外の街並みを表現したミニチュアの緻密さが雰囲気をグッと引き立てていたりと細かなところにも力の入ったところも実に良きで、武居監督が良い仕事してくださっていましたね この緻密に作り込まれたリアリティで彩られた重厚なSFテイストと緊迫した怪獣特撮こそがやはりウルトラシリーズの魅力よ...

それに今回、1クール目終わりの前後編に堂々現れた強敵枠なだけあってゲバルガが抜群のインパクトを持っていたのが素晴らしかったよなぁと。全体のシルエットは割とスタンダードの怪獣のそれって感じでありつつ、頭部は目鼻の無いのっぺり顔でボディの内側の遺跡の装飾みたいな黄金の部分に不規則に並んだぎょろりとした目(貝類の目のイメージじゃないか、というフォロワー氏の言でなるほどなと)が覗いているという奇怪極まりないデザインをしてて、動きも硬質さを感じさせるビジュアルに良い意味で似つかわしてくない、まるで軟体動物のようなゆらゆら蠢く掴みどころのない気持ち悪さを漂わせてるという不気味さ溢れるビジュアルやアクションがじっとりとした強烈さを刻みつけてくるし、圧倒的というより一見なんとかなりそうな感じはするんだけど、肝心なとこでは電磁パルスや鉄壁の防御形態といった手札を的確に切ってきて押し切らせず消耗させてくる、という絶対に隙を見せない絶妙なヤラしさを感じさせる強さで手こずらせてくるなんとも言えない恐ろしさを見せてくるしと、今までのどのブレーザー怪獣ともまるで違う異質な感じがたまらねぇんですよこれ...上記の隕石形態での不穏な襲来シーンをはじめ、降着してウルトラ怪獣特有の発光を断続的に纏いながらガパッと身体開いて怪獣としての真の姿をゆっくり晒す様など、ただならぬ不気味な威圧感を示してくるところが演出のエッジの効き方も相まって非常に痺れた 強力な前後編怪獣というところではニジカガチも同様ではあるんだけどあれとも全然違う威圧感や手強さのテイストなので昨日の今日の前後編エピでも新鮮さがあって良きであった  頭部が上顎、両腕合わせて下顎みたいなデザインに違わず頭部と両腕で擬似的な噛みつきをしてきたり、冒頭シーンをはじめ体を丸めてシームレスに綺麗な隕石形態になったり、体の内側の頭部の下辺りの口みたいなとこにレール発光が仕込んであったりとギミックも満載で凄い面白かったし、素晴らし素晴らしですよゲバルガ...こんな多彩な面白さを怪獣を通して味わえる楽しさを提供してくれてるブレーザーに改めて感謝ですわ

フラギイ on X: "ゲバルガの目ともそうとも言い切れない不気味な器官は貝の眼のイメージだと思うのよな https://t.co/3jeOHNYoPG" / X

 

という感じでゲバルガが非常に強烈だったストーリーの中で描かれたドラマ面の軸たるゲント隊長とブレーザーの関係性、ここも今までを踏まえながらよりグンと踏み込んでいった感があり、本作の縦軸の肝として興味深かったところでありました。前回のデマーガの処遇に対するあれやこれに続き、今回もゲバルガ相手に立ち向かうとしたのを止めてすんでのところで逃げるという動きを見せ、と二人の意思が衝突してると見える支離滅裂な様子を見せるようになったブレーザーだけど、これって多分ゲント隊長の肉体を通じて表に出るようになったブレーザーが元来の好奇心旺盛さで色んなことを取り込んでいった結果自分で考え動くようになっていき、ゲント隊長の意思と逆を向くようになったが故の現象だよなぁ、と思う次第。ゲバルガの脅威を察知しアンリに撤退を命じてたゲント隊長の姿から「仲間の命を優先しようとする命への思いやり」みたいな精神性を学び取ったブレーザーが、ゲバルガ相手に無茶して戦おうとするゲント隊長の意思「今はアイツ(ゲバルガ)に勝つのは無理だ(これ以上戦えば命が危ない)」とばかりに制し、半ば強制的に撤退させた...と、多分そういうことなんですよね(「仲間のことはしっかり気遣うし凄く大事にするんだけど自分はけっこう無茶しがち」というのがゲント隊長の性格なのは今までのエピソードからも窺えるところであるし、それと照らし合わせた上でもここで上記のような二人の意思のぶつかり合いがあったのは納得できるとこだと思うので)  さながら子供のような純な好奇心旺盛さを見せていたブレーザーがだんだんと色んなことを学んで自分で思考する自立した存在になっていってるらしいという構図も面白いよなと。

ただゲント隊長自身はそんなブレーザーの意思を反りが合わなくなっていってて厄介、みたいに捉えていそうげであった(「今日はホント頼むぞ...」のちょっと語気強めな言い方からしても、前回のブレーザーとの意思の反発を正直快くは思ってなさそうだったし)ので、ここがおそらく一時的な軋轢になっちゃいそうだなぁ...とハラハラしてしまうところ(実際次回のあらすじにもそういう内容がちょっと書いてあったし)。そこの軋轢を乗り越えてゲント隊長が改めてブレーザーとしっかり向き合い、ブレーザーも自分で考え動く存在になっていっていること今はそんなブレーザーが一緒にいて共に戦っている/自分はもう一人だけで無茶して戦うわけではないのだということを理解し、ブレーザーと想いを一つにして立ち上がることが今の課題であり次回の課題になると思うので、ここがどうなるかは注目ですね 「意思の不一致による対立」「その不和を経て相手の意思に向き合いその心を知った上での絆の深まり」みたいなね  総じてゲント隊長とブレーザーの意思の区別みたいなところを序盤しばらくの間は明確にしてなかったのが効いてここ数話のこの展開が二人の関係性を引き立てる作劇として良い効果を発揮してると思うし、どう動いていくかは非常に期待大ね

 

 

以上、ブレーザー第11話でした。ニジカガチ前後編とはまた違った大スケールでのスリリングな対怪獣SF特撮を展開しつつ、本作らしいテーマや要素に更に踏み込み後編へと繋いだストーリー展開に見入るエピソードで面白かったですね。「怪獣」というセールスポイントにも「コミュニケーション」というテーマにもしっかり向き合い突き詰めてるのが感じられて特撮的にもドラマ的にも物凄く楽しいので、ここからの次回が楽しみです ゲント隊長とブレーザーの関係性の行方や如何に

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた