地球怪獣
・デルタンダル(デルタンダルF)
別名:月光怪獣
身長:45m
体重:1万4000t
・タガヌラー
別名:甲虫怪獣
身長:60m
体重:5万t
初登場:ウルトラマンブレーザー第3話「その名はアースガロン」
ある時を境に突如世界各地に頻出するようになった地球出身の怪獣達。デルタンダルは複数体で群れを成して出現、タガヌラーは15〜20m級、および60m級が世界各地の液化ティーテリウム貯蔵施設のある地に同時多発的に出現した。
双方共に特性はかつてSKaRDやウルトラマンブレーザーが交戦した個体と同様で、デルタンダルは重力制御によりマッハ9にも及ぶ速度で大気圏外をも飛行、タガヌラーは顔の前面に付いた象の鼻に似た長い口吻から液化ティーテリウムを取り込み体内でエネルギー融合を起こすことで頭部の器官から高出力の光線を発射する。タガヌラーのこの光線は宇宙空間にまで届くほどの強力な射程を誇り、地球上から月付近に至るまでの長大な距離にも軽々と到達する。また今回アメリカのネバダ州砂漠地帯に出現したタガヌラーは、腕の鎌が千切れた部分から垂れる筋繊維状の部位を赤熱化させて伸ばすことで鞭のように振るう戦法を披露した。
↑300m級のデルタンダルBの出現も記憶に新しい中、それから間も無くしてデルタンダルFが次々と姿を現していた。
1ヶ月の間に計5体ものデルタンダルが出現、うち2体が揃って小笠原諸島上空9万フィートにてアースガロンmod.3およびウルトラマンブレーザーと交戦した。2体のうち1体はアースガロンのテイルVLSから放たれた誘導弾で撃墜された後ブレーザーのレインボー光輪で爆散、残る1体もその隙に大気圏外へ逃走を図ったもののブレーザーに追跡され、最終的に撃破されるに至った。
その後、カナダ、ドイツ、イギリス、フランス、オーストラリアの液化ティーテリウム貯蔵施設に15〜20m級のタガヌラーが同時多発的に出現するという異様な事態が発生。更に茨城県小洗市、アメリカネバダ砂漠の両地点の液化ティーテリウム貯蔵施設にもそれぞれ60m級のタガヌラーが続け様に姿を現し、ティーテリウムの貯蔵タンク目掛けて進行し始める。地球防衛隊による最大火力での迎撃作戦が展開されようとする中、小洗市の個体は出撃してきたアースガロンmod.2と、ネバダの個体はSKaRD隊長のヒルマ ゲントが変身したウルトラマンブレーザーとの交戦を開始すると、ネバダの個体はブレーザーにチルソナイトソードの斬撃で右腕の鎌を切断されながらもそこから垂れる筋繊維状の部位を赤熱化させて鞭のように振るいブレーザーを蹴散らし抵抗、小洗市の個体もアースガロンの猛攻に苦戦しながらもティーテリウムのタンクに密着、とそれぞれ異様なまでの執念でティーテリウムの吸収・エネルギー融合を行い、あわや大爆発一歩手前という事態へともつれ込んでいく。
だがそんな時、アマチュア天文家の追川光宙の調査で「かつて茨城県沓波市に出現したタガヌラーがエネルギー融合の末上空に放った光線は、地球に接近中だったゲバルガに命中していた」という事実が発覚。これに「『サード・ウェイブ』と思しき存在の宇宙からの接近、およびそれに呼応するかのようなタガヌラー達地球怪獣の活発化」という事象が合わさったことで、実はタガヌラーが縄張りに接近する宇宙怪獣─地球の生態系に影響を及ぼし得る外敵の存在を察知しており、そしてそれをエネルギー融合による光線発射で先んじて迎撃・排除しようとしているのではないかということが明らかとなった。そしてこれを受けてタガヌラーのエネルギー融合を敢えて促すことに決めたアースガロンおよびブレーザーの補助により両地点のタガヌラーは無事エネルギー融合を完了し宇宙へ向け光線を発射、地球へ向かって来ていた「サード・ウェイブ」と思しき宇宙怪獣が取り付いた隕石を撃ち抜くと、取り付いていた宇宙怪獣を隕石から引き剥がし、叩き落とすことに成功した。しかし跳ね返ってきた光線の直撃を浴びたことで最終的に両地点のタガヌラーは両者とも爆散することとなってしまった。
そして撃ち落とされた宇宙怪獣も落下していって月面上で未だ健在、不気味に蠢いていた...
↑タガヌラーはティーテリウムの吸収により体内でエネルギー融合を起こし、頭部の器官から高出力の光線を撃ち放つ。その光線は遥か遠い宇宙から迫る未知の脅威を捉え撃退しようとしていた...
ブレーザー怪獣語り③ - AnDrew’s小生意気レビュー記
ブレーザー怪獣語り⑫ - AnDrew’s小生意気レビュー記
↑各怪獣の詳細については過去の記事をそれぞれ参照されたし(タガヌラーは③、デルタンダルは⑫より)。
実質タガヌラーの歌ですよコレ(過言)
今回はデルタンダルおよびタガヌラーの再登場にフォーカス。正直言うとあくまで再登場ということから放送前は内容的にそんなに喋ること多くはないかもかなぁとも思っていたのですが、それを良い意味で裏切り、未だかつてない脅威の到来というこの終盤の山場においてまさかのところからの伏線回収&株急上昇で想像以上の輝きを放ってきましたね...怪獣へのフォーカスを欠かさない本作らしい筋を改めて感じられて感服した
中でも特筆すべきはタガヌラー。第3話での初登場に引き続いて、第16話ではアンリの幻覚として、続く第17話では彷徨える幽霊として、という形で何かとよく出番に恵まれ、この終盤の第23話にて遂に満を辞してナマの怪獣として再登場を果たしたタガヌラーでしたが、その絵面の印象深さとほんのり残る謎な雰囲気から「実は何か秘密があるんじゃないか?」と語り草だった第3話での上空へ向けた光線を「宇宙から来たる未知の存在─宇宙怪獣達を迎撃するために撃っていた大砲であった」とここに来てのロングパスにて伏線として鮮やかに回収、更にそれに連動する形で「自らの縄張り─地球へ接近する脅威を察知し迎え撃とうとしていた」という強力なキャラ性までをも一気に解放、と怒涛のインパクトをプラスで刻み付けてきたのは凄まじかったよなぁと...。まさに文字通り「虫の知らせ」。第3話での光線、当時から「宇宙から来る何かを呼んでるのではないか(そのために何者かに操られてたのではないか)」という考察もちらほらありましたが実際はその真逆だったという。しかも第3話のタガヌラーが迎え撃っていたのは後の第11話にて襲来したゲバルガを狙ったものであったと、この一見繋がってるように思えなかった要素同士の連動には二重で驚かされましたね タガヌラーの光線が宇宙から来る何かを狙ってる、的な考察は第23話放送のちょっと前に自分も考えてはいたのですが、まさかゲバルガと要素的に繋がってたとは思ってもみなかったので痺れたね(時間・距離的な感覚としてもゲバルガの方が第3話のタガヌラーの標的としては自然だしよくよく考えれば分かったよなと一本取られた気分であった) 宇宙怪獣を迎撃してたのはあくまで一生命体としての野性・生存本能による行動に過ぎないという本作らしい「生物としての怪獣」の描写に連なるリアルテイストさに基づくものではあるし、SKaRDやブレーザーとの奇妙な共同戦線も「人間と怪獣が手を取り合って〜」的なロマンチックなものでこそないのだけど、それでもSKaRDやブレーザーと同じく「生命生きる星・地球」を守るべく戦ってた存在であった的な文脈が乗っかってガッと深みが増した緩急あるキャラ付けが見事であった 第3話の光線のシーンは後の言及も特になかった分あっさりし過ぎてたところもあって、リアルタイムでのあれ単体だとちょっと物足りなさもあったというのが正直なところ(あれ単体でも「エネルギー融合の末の現象」「一歩間違えば大惨事だった!」的な捉え方で収まる塩梅ではあるので特に問題はないんだけどね)だったけれど、ここで劇的に回収されてスッキリしたわね
いやちょっと大袈裟に言っちゃいますけど、構図やムーヴだけ見ればあまりにも“ヒーロー”の文脈ですよタガヌラー...未知の敵の存在を察知しながらも言葉も通じないので誰にも理解されず、たった一人(時には同族と共に)迎え撃つための意地を通したみたいなこの、ちょっとカッコよすぎますね...こんなんなるなんて聞いてないですけど!!() 仮面ライダーじみてるよ...
あとそれこそあくまで個人的な考察の域を出ない話ではあるのだけど、デルタンダルの方も解釈のしようによってはタガヌラーみたいに“迎え撃とうとしてた”クチだったんじゃないかと思えるのも良きところ。デルタンダルBに顕著だったように「自身やテリトリーを侵す外敵の強い攻撃性を示す性質」があって、「宇宙空間/大気圏外でも活動が可能」なデルタンダルが、時に複数体の群れを成しながら頻繁に姿を現すようになってたって、つまりそういうことなんじゃないかなと...敵が宇宙から地球に入り込む水際の大気圏外でしばこうとしてた気がするんですよねぇ 次回以降この辺も実際のところが語られるかもだが
しかしこういった形での宇宙怪獣と対にした地球怪獣へのフォーカス、他の視聴者さんにも言ってる人思ってる人はちらほらいたが、やっぱり「ウルトラマンガイア」における地球怪獣の描き方・アプローチと似てるとこあるよなぁと。ガイア25周年の本年に展開されたこの「ウルトラマンブレーザー」という作品自体、メインのテーマやメッセージ性にガイアと通ずるものはそこはかとなく見られたし、ストーリー全体においてももしかしたら...?とほんのりピンとくるような要素や取り回し方がちらほらも見受けられたので、意識してる可能性は大いにあると思うので、その辺もニヤリとさせられましたわね 本編感想記事でも語ったけどこういうそれとないリスペクトレベルの入れ込みの方がやっぱ自分的には粋で好きやね 近年でもかなりハマった作品なブレーザーで、ウルトラシリーズでも特にお気に入りなガイアのアニバーサリーにしっかり見合ったようなこういうやつが見られたのは凄く満足だ
というわけで今回はこの辺で。次回は...
「First Wave」
「Second Wave」
「Continuation of Second Wave」
Next is...
「Third Wave」