AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ブレーザー怪獣語り⑬

ガヴァドン

 

別名:二次元怪獣

身長:40cm〜30m

体重:400g〜2万t

登場話:ウルトラマンブレーザー第15話「朝と夜の間に」

初登場:ウルトラマン第15話「恐怖の宇宙線

 

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太陽光線融合することで二次元の物を実体化させる未知の元素を含んだ宇宙線美多摩市に降り注ぎ、SKaRD隊長ヒルマゲント息子ジュンが描いた怪獣の絵を実体化させたもの。ガヴァドンという名前はジュンの友人アラタ「ガバッと出てきてドーンとビルをぶっ壊す」というところから転じて名付けた。

描かれた絵の大きさ比例して体のサイズが変わる絵の食べ物摂食するといった絵から生まれる存在らしい特性を持ち、作中ではジュン達が絵を大きくしていったことに伴い40cm2m30mと姿を現すたびに大きくなっていった。主だった攻撃能力持ち合わせておらず、普段はただ寝ているだけ無害なものの、寝ている際のいびきは凄まじく大きい。体は強力な弾力を有しており、あらゆる物理的な衝撃を弾き返してしまう他、撃ち込まれた雷撃を体の頂点収束霧散させる芸当も可能としている。ちなみにその体はアラタの・ツムギやジュンによると「ふわふわ」「晴れた日に干した布団の匂いがする」とのこと。また日暮れ以降は実体化の要因となっている太陽光線を発する太陽出ていないことから、絵に戻り元々描かれていたなどへと帰っていく。

 

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↑側面図および前面図。

 

アラタ秘密基地へ連れてこられたジュンが描いた宇宙線が降り注いだことでそこから40cmの小型の怪獣として実体化。秘密基地から抜け出し駆け回っていたところを内野タカシという男性に発見され、それを通じて絵の実体化に気付いたジュンとアラタによって捕獲されると、ジュンとアラタ、そしてツムギの3人に絵の食べ物を食べさせてもらったりと可愛がられ、日暮れと共に絵に戻った。

その後、ガヴァドンをもっと大きくしようというアラタの提案により、何枚もの紙を貼り合わせた大きな紙の上に更に大きなガヴァドンが描かれ、翌日そこから2mガヴァドンが実体化、子供達と交流を深めていったが、ガヴァドンの存在を知った大人の男“ヒゲ”が仲間を引き連れてやって来たことで捕獲されかかってしまう。幸い日暮れが来て絵に戻ったことで捕獲は免れたものの、ヒゲ達がガヴァドンの存在を地球防衛隊に報告しようとし始めてしまったため、ジュン達はガヴァドンを大人達に負けないよう更に大きくすることを決意地面に巨大なガヴァドンの絵を描いてしまう。

そしてそのまた翌日、ジュン達が描いた巨大なガヴァドンの絵から30mもの超巨大ガヴァドンが実体化。暴れることなく寝続けるだけではあったものの、その巨体で周囲のを押し除け道路鎮座し寝続けるだけでもライフライン阻害市民生活を脅かしてしまうことから地球防衛隊は撃破を決行、誘導弾による攻撃が実行される。しかし体の弾力によって降ってきた誘導弾を尽く弾いてしまうことから、誘導弾の爆発で却って周囲の建造物等に破壊を広げてしまう。そんな中、ビル崩落に巻き込まれかけたジュン達を救うべく現れたウルトラマンブレーザーにも攻撃を仕掛けられるも、ライデンズフィニッシュ電撃霧散させる、飛びかかっての乱撃も体の弾力で弾き逆に吹っ飛ばす、スパイラルバレードクレーンゲームアームのように変化させた攻撃で掴まれ運ばれかけるも抜け出すなど、殆ど無抵抗なままにブレーザーを手こずらせた。そのままブレーザーとの泥試合はジュン達のガヴァドンいじめるなという野次と共に日暮れ近くまで続き、最後はジュン達の「自分達がガヴァドンを大きくしてしまったためにこうなった」という後悔謝罪、そして別れの言葉を受けながらブレーザーによって空の彼方へ運ばれていった。その後の夜空にはガヴァドンの姿を形作る星座が一つ、それは不思議な出会いと交流で繋がった親友との別れを惜しみながらも前を向くジュンを見守るように、涙の流れ星を一つ落としていた。

 

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↑底面図。二つの足裏のような部位が存在するのが見て取れる。

 

 

今回は初代ウルトラマンの名作エピの一つ「恐怖の宇宙線」以来超久しぶりのTVシリーズ登場となったガヴァドンをご紹介。カナン星人、ガラモンに次ぐ約50ウン年ぶりの登板怪獣の三の槍となったわけですが、今回も大いに楽しませてくれましたね マックスやメビウスの頃は偉大なレジェンドの再登場で沸いた既存怪獣の登場が今では「いつもの」扱いされることに悲しみを感じていたという田口監督をメインに置いた本作の、気合いを感じるポイントの一つだよなと改めて

 

そんなガヴァドンと言えば、ぼてっと地面に鎮座する紡錘形の体に小さく窪んだ目、小さなヒレのような手といったなんとも言えない奇怪なフォルム設定通りまさに白い紙の上の子供が描いた絵から飛び出してきたかのような、ディテールに乏しい真っ白でのっぺりとしたボディの質感、といったスタンダードな怪獣のイメージから一つも二つも三つもかけ離れたその姿がやはり印象的。「絵」と「子供の自由な発想」という2要素から生まれる怪獣、という設定を百点満点で表現したデザインと言っても過言ではないでしょう。これが50年近く前の初代ウルトラマンの時点で生み出されていたというのが驚き。時代を問わないイマジネーションの底知れなさ、それに後押しされたウルトラ怪獣の自由さと奥深さというところを感じさせられて感服させられるばかりですね...

このガヴァドンのデザインを担当されたのは言わずと知れたウルトラシリーズデザイナーのレジェンド・成田亨さん。成田さん曰くガヴァドンのこのデザイン(初代登場時で言うところの「ガヴァドンA」のデザイン)は「動く抽象形態」とのことだったそうだけど、まさにその通りなデザインだよなと。とことんすぎるくらいにシンプルなデザインなのだけど、それが芸術的なバランスで綺麗にまとまっていて、作中での設定も相まって秀逸なる無二の存在感を放っているという、まさに素晴らしいの一言。その秀逸なデザインをしっかり三次元の実写に出力してみせた造形の方も凄いよなぁ...初代当時今回も見事だよ

 

またガヴァドンは色々なところから滲む可愛らしさも魅力の一つ。「モキュモキュモキュ...ブモ〜」って感じのなんとも言えないちょっと間の抜けた鳴き声やふかふかぶにぶにした体の質感といったちょっとした特徴の数々の描写が見ててこっちもなんか緩い気持ちになるというか、戦わない怪獣だからこその良さが存分に出た色付けがされてるのが実に良いですよね。加えて今回のエピソードでは、ぬいぐるみサイズの40cmくらいの小さなやつが登場してなでなでされて可愛がられてたり、2mの程良いサイズになって子供達に群がられたりと、子供達の存在によりフォーカスした作劇だからこその距離感近めのキュートさが演出されていたり、「絵の怪獣なのだから食べるなら絵の食べ物だろう」「消える時はパッと絵に戻って帰っていくのだ」といった新解釈設定が設けられ、現代だからこその最新技術でその辺がしっかり表現されることで、ファンタジー風味の摩訶不思議さといった感じの新しい可愛らしさの創出になっていたりと、新たな愛嬌ポイントもたくさん生み出されていて、元のイメージから乖離しすぎない中でより魅力的なキャラクターになってたのがとても良かった。特に後者は「吸い込まれるように食べられる絵の食べ物」「実写のスーツから絵にシームレスに移り変わって消えていく様」といった描写をCGや合成で凄くナチュラルに表現してたのが素晴らしく、感想記事でも語ったけど初代当時にはできなかったことを今だからこそできる技術でしっかり描き上げた、理想的なアップデートだよなと グッドであった 初代の時にあった「ガヴァドンBへの進化」という要素がない上で、それに代わるものをしっかり用意してこの満足度、とても最高ですよ

 

そしてなんと言っても「子供達と共に紡ぐ出会いから別れまでの不思議な一時」ガヴァドンはやっぱりこれですよ  まぁこの辺は第15話の感想記事の方が細かく語ってると思うので仔細な話はそちらに預けますが、初代の時と同じように紡がれるもの、反対に色んな形で変わったもの、色々引っ括めて今回のエピソードでもこのポイントはしっかりガヴァドンの魅力になっていましたね。話まで込みで芸術的だよガヴァドン いやぁ良かった 今もガヴァドンは空から星になって友達のことを見ているよ...

ぼくとともだちの不思議冒険記 - AnDrew’s小生意気レビュー記

ブレーザー第15話の感想記事。ガヴァドンと子供達についてより詳しく話してるので是非合わせてどうぞ。

 

 

というわけで今回はこの辺で。次回は...

暗き深淵より覗き返す狂獣

次回も見てくれよな!

 

 

※あとがき

再販しねぇのかっ...ガヴァドンBのソフビ...!(迫真)
ブレーザーには出なかったとはいえ、せっかくAのソフビ出たんだし再入手の機会欲しいなぁ...(ブレーザー放送後のクロニクル系の番組の販促の一環で、ブレーザーが戦ったガヴァドンは実は昔はこんなで...って感じで「恐怖の宇宙線」が再放送されてBのソフビも再販!ってならないかな)