AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

侍宇宙人最後之巻

ウルトラマンブレーザー

第17話「さすらいのザンギル」

感想レビュー

 

 

ザムシャー!ザムシャーやろお前!!久しぶりやんけワレェ!!!

ハッキリ顔も名前も出してない「ザムシャーとは限らない」って感じの出し方ではあったし、ストーリー的にも「ザンギルを下し使命を与えた達人宇宙人」という程良い行間を残した存在として単体で成立してるからザムシャーのそっくりさんってだけなのかもしれないけど、なんにせよガワとしてはザムシャーなわけで、めちゃくちゃ意外すぎるところからの登場に予告の時点からぶったまげましたね...基本的にワンオフの設定だから他には出せないキャラだし、こういう遊び心はとてもありがたいぜ  あの世界のザムシャー(いわゆる別存在の同一人物)だとか、メビウス本編の物語を経て魂になってさすらっている存在だとか、ザムシャーであることを前提とした浪漫ある考察もたくさんあって面白かったなぁ また会えて嬉しかったよ

 

突如現れた霊体の怪獣達、そしてそれを斬り成仏させて回る流浪の宇宙人ザンギルとの出会いから始まる今回のエピソード。バロッサ星人から3年ほど間を空け、完全新規のスーツ有りウルトラ宇宙人が単発エピソードに登場という実にめでたい回となりましたね。内容もブレーザーらしく「コミュニケーション」に一つの重きが置かれたストーリーが面白かったですね。にしても前回モルヴァイアみたいなフォーマットの話にはしゃいでたばっかだというに、まさか2話連続でモルヴァイアみたいなことするとは思わなんだ()

 

そんな今回の主役たるザンギルでしたが、古風で物静かという侍の二つ名に相応しい如何にもなキャラを基本としつつも、地球の侍の知識にある意味忠実すぎてなんかズレてたり、一方で現代のヘンな知識への造詣も深いので急に突飛なことを言い出すかわいげもあったりと、画面上で殊更に主張しないながらも妙に濃さのあるキャラしててとても楽しいヤツでしたね。w 現代にタイムスリップしてきた侍っぽいキャラ造形というか、侍らしい厳かな振る舞いが却ってコミカルさを醸してるみたいな感じが上手いことハマっててこの1話の中で良い存在感が出てたのが良きであった 三大特撮の方々でお馴染みな唐橋充さんの絶妙な演技も相まって面白かったわね  正直ザンギルはあのビジュアルで侵略宇宙人してるのも見てみたかったが、これはこれで面白くてアリ

 

今回のドラマパートはこのザンギルが持ち込んだ「幽霊怪獣退治」を起点に彼とゲント隊長の交流が描かれていくところが軸になっており、ゲント隊長がザンギルのちょっとズレた対応にあたふたさせられ振り回されながらも対話を通じて目的を共にし、少しずつ距離を縮めながら協力して戦う様が楽しい展開となっていました。フォーマットや大まかな流れ自体は割とシュールなコメディタッチって感じで肩を抜いて見られるものだったと思うけど、「流浪の異邦人との対話」というところでブレーザーのテーマである「コミュニケーション」をかなりストレートに表現し引き立てた話として、ザンギルとゲント隊長の2人にフォーカスした目まぐるしい展開が面白くて良かったですね 今までにも異星人は何度か出てたけど、カナン星人は価値観の差が決定的な侵略者だったし、ツクシ達も戦わざるを得ない立場でどうにもならなかったしだったので、こういう感じの作劇は意外にもここに来て初めてなのよね本作

 

そして後半の戦闘パートではなんと実体を得た怨霊のニジカガチを相手にザンギルとのタッグ戦、ということで予告でも出てたけどまさかすぎる形でニジカガチ再登場。生前にぶった斬られて倒された因縁の技・レインボー光輪を正面からの撃ち合いなら即打ち破れるのだぞと示してきたり、ブレーザーのチルソナイトソードやザンギルの剣相手に生前はあまり使わなかった尻尾の剣を積極的に使ってきたり、更には生前よろしく真っ二つにされておしまいと思いきや半分になった霊体でザンギルを挟み込んで取り込みザンギルの肉体で挑んできたりと、死してなお新鮮な戦闘の面白さをたっぷり見せてきてくれたのが流石の序盤ボスという感じで良かったですね。ニジカガチの大暴れで道路から落ちそうなトラックの運転手がブレーザーに助け出されてお礼を言いながら離脱するまでをミニチュアセットのカットの中で描き切る面白い演出が入ってきたり、ブレーザーのチルソナイトソードにザンギルが除霊パワー(便宜上の呼称)を与えて霊体のニジカガチと戦えるようにしてくれるというブレーザーとザンギルの軽快なタッグマッチも印象深く描かれたりと、ブレーザー・ザンギル周りも緻密なミニチュアや巨大戦剣戟といった辻本監督らしい魅せが多くて楽しかったのが良かった(怨霊憑依ザンギルとの戦闘は「なんだ急に!?」とはちょっとなったけど、まぁせっかくあんなキレキレのデザインの宇宙人おるんやし何かしらでブレーザーとちょっとくらい戦わせた方が映えるわなと)

 

かくして幽霊怪獣退治に決着はついたものの、実はザンギル自身も実体を得ているにすぎない魂だけの存在であり間もなく消えてしまうということが本人から知らされることとなり、短い間ではあったものの心を通じ合わせ戦ったゲント隊長が、自らの中にいるブレーザー共々ザンギルの“成仏”を看取り、ザンギルもそれに嬉しそうにしながら昇天していくという、少し切なくも温かいオチで今回は締め括られることとなりました。サブタイの筆致や予告の内容から、ザンギルも実は魂だけの存在じゃないかみたいなのはちらほら考察されたりもしてたけど、ほんとにそうだったね...やっぱり達人との勝負で負けた時に討ち取られてて、魂のみになりある種の悟りに至ったザンギルに怪獣達の魂を祓う役目が与えられたのかなぁ、なんて  ザンギルがちょっとヘンだけど良いヤツとして存在感を出し切ったからこそ今回の単発エピソードとしての中でもしんみりくるものがあったし、ゲント隊長もザンギルと育んだ絆をちゃんと感じ入ってくれてて、だからこそ最後までしっかりザンギルに向き合い語らってくれたんだろうなぁとか、色々想像できちゃう味わい深さがあって良かったなぁ...孤独に流離い続けた上で使命を果たしたザンギルが、ゲント隊長/ブレーザーという最後の一仕事で共に戦った仲間と一緒に勝利の余韻を味わうために卓を囲み、その上で「最後のコーヒーを味わえずに果てるのが唯一の心残り」だとちょっと嬉しそうに言うのも文脈的に沁み入るものがあったよ(ザンギル1人だとそもそも最後の仕事を果たし切れなかったかもしれないし、一緒にいるゲント隊長が「コーヒーがまだだぞ...」って言ってくれたからこそ感じられた心残りだろうしさ...)  取り残されたゲント隊長が、遅れて運ばれてきたザンギルの分のコーヒーとコーヒーゼリーもきっちり頂くとこまで含めて、静かで良い余韻感の残るオチで素晴らしかった

 

 

以上、ブレーザー第17話でした。ゲント隊長とザンギルのコミュニケーションというところに重きを置いたちょっとコメディタッチのオーソドックスな話運びながら、そこで紡がれた絆が最後の締め括りに良いドラマ性と余韻を醸してくれた構成がオサレで味わい深い良いエピソードでした。他のウルトラシリーズだと割とザラな異星人とのコミュニケーションが軸の話だったけど、そういうのを敢えてあまりやらなかった本作が主テーマの「コミュニケーション」に直球でぶつかっていったからこその良さが滲んでて面白かった 満足度高い一本です

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた