AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

小さなヒーロー

ウルトラマンブレーザー

第22話「ソンポヒーロー」

感想レビュー

 

 

「かっ、かっ、かっ、怪獣だあああああああ!!!」

ワイ「おっ、早速来たかレッドキングとギガs...

 

誰!!!!!?????

ってなった今回のウルトラマンブレーザーAパート頭。完全にレッドキングとギガスといういつメンの想定で構えてたから全然知らないかなりしっかりした造形の怪獣が(いわゆる劇中劇的な形とはいえ)出てきてたまげたぞ

ちなみにそんな今回の冒頭を飾った謎の怪獣の正体は、現在製作準備中の自主製作怪獣映画「ガンキリュウ」に登場のガンキリュウという怪獣、つまり少し特殊な形ながら自主製作の怪獣がウルトラシリーズに堂々登板したものだったというわけです。製作に大きく関わっておられたなくいさんも仰られていたけど、自ら手掛けられた作品の怪獣が怪獣特撮の大手公式作品に出演というのは作り手冥利に尽きるよなぁと 胸が熱くなるサプライズでした

https://x.com/godzilla_1994/status/1735820657018147193?s=46

https://x.com/godzilla_1994/status/1735839939194130593?s=46

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というわけで素晴らしい話を前置きに場を温めたところで本編の話へ。今回は冴えない保険屋のサラリーマンの男・テツオが一人の老婆・ミチコとの出会いを経て一歩を踏み出す様を描く話、ということでニュージェネシリーズだとかなり久々のゲスト主体エピとなっておりました。うだつの上がらない性格で自身の人生に対し無気力だったテツオがミチコさんの老成・達観した人生観と自身の人柄に寄り添ってくれた優しさに押されて徐々に変わっていき、誰かにひたむきに向き合い頑張る小さなヒーローへと覚醒していくという、ささやかながらも力強い人間模様がじんと沁みるストーリーとなっており、強大な怪獣達との壮大でハードな戦いに毎週フォーカスしている本作だからこそ、その足元で繰り広げられる人間達の小さな幸せと勇気の織り成す等身大の人生が引き立っていて実に良かったなぁと。ミチコさんに貰った勇気と優しさを糧に、怪獣災害の危機の中もう十分生きたからと諦観に浸るミチコさんを身を挺して助け、逆にその生きる意思を後押ししたテツオの姿はとてもグッときましたね(なし崩し的に入ったにすぎず意欲を見出せなかった保険の仕事にも、家が壊されてなくなったミチコさんに「そのための保険屋ですから」で寄り添う、という形で誇りを示せるようになるまで込みで、成長と変化が熱く沁み入った)  この歳になるとテツオの「採用されたのがこれしかなくって入った仕事に苦労し苦悩してる」っていう立場にも実感できるものがあって思わず感情移入しそうになったし、その中で思いがけず経た人との交流で前を向いていく様には勇気や自信を貰えたし、そこも良き味わいであった  それに何よりやっぱり、おばあちゃんとのあったかい交流話は半ば条件反射的に感情にきてしまうので弱い...スタンデル星人の話とかああいうのな おばあちゃん子なんで自分

あとテツオを取り巻く周りのキャラも、仕事はできるけど嫌味で軽薄、自分中心といった感じの後輩ことアイカワがテツオとの対比でドラマを引き立てつつ順当に痛い目見て良い感じのオチを付けてたり、一見パワハラ上司っぽかったテツオの上司が最後テツオの働きぶりやその本質をちゃんと理解してる一面を見せ、テツオの精神的な前進に合わせた周りの変化で彼の物語を引き締めてたりと、それぞれ良い味出してたのも好きなところ  アイカワは怪獣被害により自分が損を被ることばかり考えてたところもそうだけどそれ以上に普段の人を舐めたような態度が巡り巡って仕事にも出たことが痛い目見るきっかけになったってのが良い因果応報で気持ち良かったし、それを咎めた上司のおじさんも直前にテツオの人柄・働きぶりを純粋に評価した一面を見せてたからこそ同じくアイカワのこともその“態度”というところで叱責したのが一貫性になってて僅かなラストシーンの中で良い具合にキャラがハマってたし、この辺さり気ないけど良い動かし方で見てて面白かった

 

またこのテツオ周りのドラマと並行したSKaRDサイドの描き方、というよりテツオサイドとの交錯のさせ方も画的になかなか面白くて良かったところでありました。基本的にはテツオが話の中心なゲスト主体エピだったのでSKaRDメンバーの描写自体は少なく、場面も別々での展開となる形だったのでがっつりドラマ的に絡むこともなかったのだけど、テツオサイドのドラマの流れにふっとすれ違う形で行動中のエミやゲント隊長が入ってきてそのままシームレスに話の視点がSKaRDサイドに切り替わるという、主のゲスト視点と今回は副の主人公視点のグラデーションのような交錯が画的な面白さになっていてここはゲスト主体エピだからこその変則性を工夫で上手いこと活かしてたなと。「ミチコさんを連れたテツオの逃げた先に戦闘に必死なアースガロンの足が降りてきて仕方なくテツオが別の方へ逃げる」とか、「レッドキングの陽動をしてたゲント隊長が遠巻きに逃げる民間人=テツオとミチコさんの背中を発見してこれはマズいとブレーザーに変身する」とか、双方相手側との交流を経ないながらも絶妙に交錯して影響を及ぼし合いながら展開を動かしてく感じがプチ群像劇じみてたのも楽しかった

 

そしてそんなドラマと並行し描かれたブレーザー&アースガロンvsレッドキング&ギガスのタッグマッチ、こちらもシンプルに3、4体が一斉に画面内を入り乱れる絵面が非常に豪勢且つ迫力満点で面白くて良かった。アースガロンもここ最近の流れでブレーザーとの連携が密になった分、肩を並べて炎雷射とアースファイアの合体技を繰り出したりと(ようやっとこういうの見られたなぁという惜しさはありつつも)いぶし銀の活躍を積んでいってるのが嬉しいすね  特に今回は「互いに向き合いそれぞれの想いを支え合い助け合える強く温かい繋がりを築いたテツオとミチコさん」「力でねじ伏せ従わせた者と降伏し服従した者の関係だからこそここぞで助け合えず足元を掬われたレッドキングとギガス」といった色んな“繋がり”や“コミュニケーション”の形が類比・対比として並列して描かれてたからこそ、今までの戦いで培った絆の下で熱い連携を見せたブレーザーとアースガロンのタッグもドラマ的により映えていてグッドであった 他のエピソードに負けないくらい「コミュニケーション」のテーマに熱いドラマでもってグッと切り込んだ良いエピだったと言っても過言ではなかろうと思いますわね テツオとミチコさんのドラマの上で聴くEDの「Brave Blazar」の歌詞は沁みたぜ

 

遠く ただ果てしなく 離れているはずの

星の光も 届くなら

きっと伝えられる 信じるように

手を伸ばして掴む communication

 

 

以上、ブレーザー第22話でした。ゲスト主体エピとしての独特の味わいを新鮮味ある演出の一工夫も交えながらしっかり押し出しつつ、作品のテーマにも良い具合に切り込み深めた非常に面白いエピソードでしたね。ブレーザー初のいつメン怪獣エピというところで物足りなさを感じないか少し心配でもあったけどその辺も話の面白さに乗せてしっかり盛り上げてて良かったわね 足木さんがキャラ周りの上手いこと魅力的に回してて楽しかったし、終盤戦突入前の良い羽休めエピながら満足度高かったですね さぁここから怒涛の大詰め 楽しみだね

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた