AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

マッシブ王蛇

仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル

感想レビュー

 

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意の上、鑑賞された後に読んでいただくことをお勧め致します。

 

公開から早2週間近く経つ本作ですが、ウチのTLに絞った限りでもこの映画絡みで一番目につく話題が「次郎さん演じる王蛇のマッシブな腹」なのそれで良いのだろうかという気持ちになる() たしかにけっこうデカかったけどさぁ!! 映像だとまぁこんなもんじゃない?って感じなんだけど静止画で見ると腰回りが紛うことないくらいかなりマッシブなんよ

 

2作のライダーが共演する年末の風物詩、ライダー冬映画がギーツ×リバイスのコラボ作として今年も公開と相成りました。MOVIE大戦名義の頃を思い出させる複数部構成の復活、バトルロワイヤルがテーマのライダー作品の先達である龍騎のキャラクター達がまさかの参戦、と色んな要素で公開前から注目されていた本作を自分も公開日に鑑賞致しました。

が、結論から言うと個人的にはちょーっと微妙だったな...というのが本音。見所は実際沢山あったんだけどどれも今一つ盛り上がりきらなかった(盛り上がりに足ると感じるほどの構成となりきってなかった)感じで全体的に単調さが否めなかったというか、総合的に見て大きな失点も無かった(リバイスパートがちょっとうーんという感じではあったが)のだけど大きな加点も少なかったかなぁというか 情報の整理とかも込みで2周目鑑賞もしたんだけど、1度目2度目共に定期的に眠くなって姿勢崩したりしてしまってたのよな 率直に心躍るものが少なかったなという感じで、久しぶりにけっこう難しい評価になっちゃう映画がきたなぁ...という印象でありました

 

 

・リバイスパート

てなわけでパートごとの感想へ。

まず最初に展開されたリバイスパートの話になりますが、なんというかまぁ、いつも通りのリバイスだったなぁ...というところに落ち着くというのが率直なところ。TV本編後半に感じてたのと似たベクトルの引っ掛かりを大量に感じて しまって全然乗れなかった感じですね...いっちゃん最初のこのパートでこれだったのが後の視聴感にも響いたかもしれん

 

中でも一番うーんという感じだったのはやはり、公開前から大きな目玉として推されていたバイス復活までの流れ。そもそも「TV本編最終回を経た一輝が『バイスという悪魔が自分達の下に一緒にいた』ということを知っている」というのが大前提として設定されていたところから盛大にエ------ッッッてなっちゃったんですよね。自分の存在を一輝の中から消してでも彼を家族の元へ返したかけがえのない相棒たるバイスの覚悟と愛で締め括られたTV本編のラストを経てその復活を描くとなったら、普通は「何か大事な存在がいた気がする、的なほのかな引っ掛かりを感じていた一輝が新たな戦いの中で危機に陥りながらも奮起した時、その想いに応えてバイスが復活、それを受け彼を思い出した一輝が感情を溢れさせて再会を喜び、今一度最強コンビとして立ち上がる」的な、バイスを忘れてしまっていたからこそ生まれる一輝がそれを思い出した時の感情の劇的さ(およびそれをよりグッと引き立てるためのバイスの復活の良い意味での勿体ぶりといった段階的な構成)といったところに重きを置きここぞでバンと炸裂させるのが黄金パターンだと思っていたわけで、初っ端の前提のところからそれを崩されてしまった気分というかなんというか(後から聞いたところによると一応これはただ雑に前提として済ませたというわけではなく、ファイナルステージでやったストーリーの内容がだいぶガッツリと反映されたものだったからとのこと。とりあえずは前提とするだけのものがあったことには安心したけど、当方多くの人が観やすいとは限らない媒体で出した番外編での展開や設定をTV本編としっかり地続きの劇場版やVシネのストーリー自体にダイレクトに絡めてくる手法がだいぶ好きではないクチだった、のでそれはそれでどうなの...と感じてしまい結局納得はできなかったというのが正直な感想。じゃあそっちも観てみたい!ってなるよりも、ハ-ンそうですかってなってその媒体からますます距離置きたくなってしまう天の邪鬼的な性格ゆえ...)

あかれもん on Twitter: "リバイスパートのバイス復活、ロジックがまじでファイナルステージ見てないと雑にしか見えないのでファイナルステージマジで見といた方がいいです…見てるかどうかで受け取り方だいぶ変わっちゃいます" / Twitter

あかれもん on Twitter: "精神世界の話とかバイスに関する記憶の話とか今になって思うとリバイスパートまじで「ファイナルでなにがあったかはみんなしってるね?」と言わんばかりにファイナルの内容を引用してるので絶対ファイナル見た方がいいです それはそれとしてそんな不親切すぎる設計は流石に怒られろ" / Twitter

加えてそこからバイス復活へ直接的に繋がる展開もあまりよく分からなかったという感じだったんですよね。瀕死の重傷を負い生死の境を彷徨う一輝が、眠りに就いて楽になるか、辛い戦いへ戻るかの選択の中で「家族のために戦いたいから戻る」と口にし、その手をバイスが握って引き戻す、と演出の意図自体はちゃんと理解できてる(と思う)んだけど、1年のTV本編を経て曲がりなりにも家族を想う超絶お節介のヒーローとしての強さや頼もしさが固まった一輝を今描くにあたって、「戦い続けるか楽になるか」みたいな生死の境での問いかけを投げかけるコテコテの展開を当てがうのがどうも「今更それ必要?」と思えてしまってなんとも微妙だったという印象でした(演出自体がいらなかった、てわけではなく、一輝なら戻るに決まってるやろがい!というキャラへの信頼感がある中で妙に間伸びした問いかけをする演出が続きダレた感じがあったのが不満、といったところ。TV本編の序盤・中盤なら熱いものとして素直に入ってきたかもだが)。加えてその最中に一輝に問いを投げかけてくる謎の声の演出が、どういう意図として入れたものだったのかイマイチピンとこなかったのも微妙さの一因。素直に捉えるなら一輝の真相意識とか心の陰とかそういうことなんだろうけど、それこそ前述した一輝というキャラへの信頼感との齟齬になって全然しっくりこなかったし、作り手側が何をどこまで意図してるのかパッと理解しづらいの含めうーんなんとも...という。

そうして復活したバイスがいることの安定感、およびリバイスコンビの怒涛の活躍自体は流れとしてまぁ悪くはなかったのでそこは素直に良かったなと思うけど、結局視聴感としては前述したバイス復活までの布石や展開運びに乗れなかったのが響いて熱くはなれなかったというのが素直な印象ですね...リバイスコンビのバトルで一気に熱量が上がる構成になってた分、その前振りであった他のライダー達のバトルが踏み台っぽくなって微妙に感じられてしまったのもなんだかなという感じだったし。サブライダー達の踏み留まりがあった上で遅れてやってきた真打リバイスが逆転をもぐ、という鉄板の流れなのは分かるんだけど、TV本編の実質的な裏ボスにもなったジュウガも交えた5人のライダーが必死に戦ってノされるという絶体絶命感の高いシチュエーションがあったことで、後から来たリバイスコンビ2人だけで一気に戦況がひっくり返る展開が勢い任せすぎるように見えて「前のみんなの戦いなんだったの?」という印象になったのがなんとも、というか。バイスコンビに役が移った後、サブライダーのみんなが後ろの方でガヤ入れるだけになってたのもテイ良く引き立て役にされた感を高めてたのがな(ボロボロな感じでリバイスコンビの戦いを見守る、とかならまだしもだいぶ余裕ありそうな感じでやいやい言ってて「まだやれそうじゃねぇか...」って思っちゃったし)  てか一番可哀想なのはしれっと専用形態みたいなのもらってたのにそのデビュー戦が実質負け戦だった玉置くんだよ なんだあのしょっぱい活躍 かといってVシネで単独で出されてても食指が伸びた気はしないのでああだこうだ言うのも理不尽だが

 

という感じでバイス周りの描写に色々引っ掛かりまくったわけですが、他にもある意味リバイスパートの一際目立つ部分であった五十嵐家三男・幸四郎の存在、というかその魅せ方もちょっとモヤったところでありました。彼の悪魔が両パートで敵の強化に用いられたりと利用され、それを取り戻すために一輝達は戦いへと踏み込んでいき、やがてそれを巡るゲームに参加するギーツ/英寿達と邂逅していく、という感じでリバイスパートおよびギーツパート、要するに本作全体を通してのストーリーを展開させるきっかけとしても幸四郎の存在は重要になっているわけなのだけど、実際のところほんとに上で述べた舞台装置的な役割以上の意味合いはほぼ無かったに等しい感じであり、“幸四郎というキャラクター”自体にはあまり存在する意義を感じられなかったのが悩ましいというかなんというか。曲がりなりにも「家族」をテーマにしてるリバイスにおいてわざわざ新たに五十嵐家に家族を増やしたとなったら、そこを軸に家族周りのドラマを膨らませることもできたろうに特にそういうこともないんですよね。幸四郎から抜けた悪魔を取り戻さないと幸四郎の命が危ない」というところが一輝達の動機にはなってるのでそこがドラマ的な導線・ヤマとも言えるけど、それを一輝達が述べる様もどこか動機の強調のためにノルマ的にやってるようにしか見えなくて、どうにも幸四郎が作品全体で生きたキャラクターとして扱われてるように見えなかった感じが作品のイマイチさにグッと拍車をかけている感じ。随所で一輝達が「早くしないと幸四郎が危ない!」とくどいくらいに言ったり、生命の危機にある幸四郎を元太パパや幸実さんが心配するカットが入ったりするだけでも「家族のための戦い」というリバイスならではの軸がしっかり印象付けられたと思うのに、そういうのも特になく思い出した時に「悪魔を返してくれないと幸四郎が〜」って言うくらいなのでだいぶ持て余してる感じなのよね  最終的に幸四郎に悪魔を戻してハイ解決、でフェードアウトするし

幸四郎の悪魔も、言動とかを濃くしてマスコット的な意味でのキャラとしての面白さがあったかというと微妙なところで(長谷川さんの小生意気なガキっぽいアフレコは割と上手かったし随所のアドリブっぽい台詞回しもちょっと楽しかったが)、とどのつまり本当に「舞台装置」が関の山でキャラクター的には突き抜けきってない/突き抜けさせるよう描こうともしてないところなのでなんだったんだろうな...って印象でした

あとこれはあまりストーリー自体とは関係ないんだけど、幸四郎、というか幸四郎役の子が五十嵐家のワイワイした雰囲気に反してずっと今にもべそかきそうな、正直あんま楽しくなさそう表情してたのはだいぶ気になってしまったポイント。まだ小さい子供だし細かい演技とかできないのも含め「そういうもん」として受け止めるところなのは分かるんだけど、あまりにも五十嵐家の陽のテンションと乖離した表情すぎてもっとそこはなんとかしようよ...と思ったというか(普通のドラマとかだと、生まれて間もないくらいの赤ちゃんにフォーカスする際にもほのかに笑ってるカットとかちゃんと使っててフィクションならではの見栄えとかちゃんと意識してるのに、そこがしっかり掘り下げられてない上に周りは家族家族と一方的に楽しくはしゃいでちゃしょうがないでしょ、とどうしても厳しい評価になってしまう感じですね。家族をテーマにしてるリバイスなら尚更)

 

強いて言えば本パートの敵キャラのバリデロとイザンギは、「ギフに滅ぼされた星の生き残りにして、ギフの力を手にし宇宙の支配を目論む者達」という切り口がリバイスTV本編後のキャラとして絶妙だったし、棒術主体のバリデロほぼ不動の余裕ある徒手空拳のイザンギと双方良い具合にキャラの引き立つアクションをしてたのも良かった(リバイスコンビとの戦闘でイザンギがリバイの力押しの攻撃に押されて余裕を崩すという流れの変え方まで込みで好き)ので、ここは一義で気に入ったポイント。基本的にリバイス映画は敵キャラはあまり外さないからそこは良いなぁと

 

・ギーツパート

もうリバイスパートだけでだいぶ文字数埋めちゃったけどともかく続いてギーツパート。

こっちはリバイスパートに比べれば失点という感じの描写や演出は少なかったかな、というところではあるのだけど、身も蓋もない言い方をしてしまえばリバイス勢とギーツ勢(と龍騎勢)の追いかけっこが大部分を占めてた感じで、ガッと明確に盛り上がれるような派手さにも欠いてたという印象で、これはこれであまり面白味を感じられず、といったところ。手堅く2作のクロスオーバーを小気味良くやってたとも言えるけど、リバイスパートでちょっとボルテージが燻ってたのもあってあまりハマれなかったなーとも(近年の冬映画よろしく一本化されたストーリーの中で早い段階から2作キャラのわちゃわちゃを見せる構成になってたりしてたら割と素直に楽しめてたかもと思うので、難しい)。一応ギーツらしく色んなアイテムやギミックの魅せはふんだんであったのでそこは楽しかったのだが。

あとこれはシンプルに好みの問題(とあと先にも述べたボルテージの燻り故の乗り切れなさ)ではあると思うんだけど、随所に出てくる演出の数々がどこまでマジでどこまでふざけてるのか絶妙にしっくりこなくて楽しみ切れなかったのも悩ましかったところ。カゲロウの囁きで妙に裏表の無い景和の悪魔が顔を見せるところとか普通にコミカル演出っぽくもあるけど景和のキャラ性にまつわるなんかの伏線っぽくも見えて「え、これどういう塩梅で捉えたらいいの」という感情の方が強まってピンと来なかったし、謎にスシローをプッシュして店ではしゃぎ倒しながら戦闘するところエリア縮小から謎の乗り物に乗ってちんたら逃げるところとかは「今そのレベルのギャグやるとこなのか...?」という気持ちの方が強くてなんかビミョーな笑いが溢れたし、総じておそらくギャグ・コミカルシーンなんだろうというところにスッと没入出来なかったのが苦しかったなぁという感じでしたね...スシローのシーンとか「露骨すぎるぞオメー!!」ともっと頭バカにして笑うべきところだったんだろうけど、EDの一輝と英寿のシーン含めなんかあざとさの方が脳内に先行してハハ...ってなってしまったしなぁ シカゲームのネーミングもなんか冷めた感じで見てしまった(この辺もストーリーに乗り切れてなくて無駄に冷静に観てたのが良くなかったかもしんない)

でもギロリとコラスの突然の殺陣は一周回ってシュールで面白かったので好き。w 部屋の日本刀を揃って抜き始めるところまでは耐えられたけど、戦う前に徐にマスク付けるところでダメだった() どう見てもアクションの都合で中身切り替える演出としてやってるようにしか見えないよ!!!(小耳に挟んだところによるとマスクの演出は実際のところ中身を変えるためだったわけじゃなくキャラクターとしての儀礼的な行為だったらしいが(若干うろ覚えで意訳してるので実際の情報と間違ってたらゴメン)。にしたって無言でやり始めてもそこまで分かんねーよ!!)

 

そしてある意味本作で一番悩ましかったと言って良いかもしれないのが、公開前ファン達を大いに沸かせた龍騎勢参戦にまつわる描写の数々だなぁと。真司・蓮・浅倉がオリジナルキャストで登場と現行2作の共演作への客演としては破格な扱いではあるんだけど、それに反してストーリー中の扱いは実質ほぼお邪魔キャラ(実際はちゃんとプレイヤーだったんだけど)みたいな感じであり、真司や蓮に関しては参戦の動機・導線がちろっと示されはしたけどリバイス×ギーツ主体の展開の中でそこをまともに語る余裕なぞあるはずもなく有耶無耶に終わってしまい、という感じで、個人的なところをぶっちゃけて言ってしまうと「これ必要だった?」に尽きてしまうんですね...蓮とか鏡像真司とか微妙に原典キャラとのズレみたいなのも感じられてうーん?ってなったし(その点浅倉はブレなさすぎて安心したが。w)  後から冷静に俯瞰してみると、どうもリバイスパート同様にギーツパートへと集約していく龍騎パートの物語があった前提っぽい構成やキャラの立ち居振る舞い、要素の散りばめをしてる印象を受けたので、そこの行間とかを想像するの込みで楽しむものだったのかもしれないけど、こちとら普通に龍騎が物語に良い絡み方してくるの期待してたわけだしいや知らんがなって感じだしなぁ(身も蓋もない話、龍騎部分の描写は丸々無くても問題無い、というか無かった方がギーツ×リバイスの軸はもっとシュッとまとまったと思うくらいだったし、その塩梅になるくらいだったら最初から無い方が龍騎という作品の扱い的にも穏やかだったのにな...と思ってしまう)

まぁEPISODE FINALよろしくリュウガと泥臭くインファイトする龍騎の戦闘とか、EDで真司がギーツの準主人公たる景和と語らうシーンとか、いつぞやのRIDER TIMEの時にもちゃんとした形では描かれなかった真司と蓮の当時の原典と遜色無い感じの、反りが合わないながらもどこかコミカルで小気味良いやり取りとか、ならではみたいな良さが出た部分も少なからずあったのでそこは好きなんですけどね 景和のシーンでは渋めの大人っぽさのあった真司が蓮の前だと当時っぽいどこか抜けた雰囲気になるのとか、真司の景和と蓮とでの距離感や関係値の違いが感じられて面白かったし こういうところでもっと突き抜けて欲しかったなぁ

 

とまぁこっちもこっちでああだこうだと言いましたが、仮面ライダーシーカー/轟戒真のキャラ性や存在感は個人的に非常にお気に入り、とリバイスパートよろしく敵キャラ面はかなり刺さりました。シーカーはデカ武器3種持ちなメカニカルライダーという外連味が映画のラスボス相当のキャラとして良い味出してたし(ギガントソードがちょっと思い切ったところからの流用すぎるの以外は武器も割と巧い流用・活用で面白かったし)、TV本編への再登場の可能性の示唆まで込みで程良くキャラを魅せた戒真自体も一キャラクターとして割と気に入ったしと、個人的にデザイン面・キャラ面両方でけっこう打率高めな令和ライダー冬映画の敵ライダーの例に漏れない良さがあって好きですね 戒真のキャラはもっと余裕あれば踏み込んで描けたかもと思うしそこはちと勿体無いけど、「自身は力を示すことにしか興味がなく、勝利により叶う願いについても冷徹な父親の言いなりで望みを叶えるばかりだった」というキャラ性が彼個人の奥底の内面が掘り下げられないことと上手いこと噛み合ってドラマ的には描かないからこその味がちゃんとあったし、そこから敗北を経て彼が自分の望みを見つめ直しまた参戦してくるかもしれない、という引きを作ったのも粋であった 再登場が割と楽しみである

 

そしてクライマックスでは、デザ神になった英寿の願いにより、一輝が戦いの記憶=バイスのことを覚えていられるようになるという流れを経てEDへ。この辺はリバイスTV本編のラストからの流れとしてどうなんだろうと悩ましく思うところはあったながらも、英寿のささやかな粋が光ったところや一輝とバイスの繋がりがより強く残ったことには素直に気持ち良さがあったので良きかなという感じ。両作を絡めた上でのドラマ性ある落とし所としてはまぁ良い感じに絶妙でした  このままバイスが消えずに残るとかいう最悪のどっちらけエンドもあり得るかもと身構えてたし...

 

 

以上、ギーリバ冬映画でした。長々と話しましたがちょっとしょっぱい印象になっちゃったな、というのが正直なところでありました。ダメダメな作品だったわけではなく盛り上がるに足るものが全体通してあまり見出せなくて退屈という感じだったかなぁと リバイス好きな人にもギーツ好きな人にも龍騎好きな人にも、これぞと推せるセールスポイントが見出しにくい感じなんだよな...気に入ってる人自体はちゃんといるみたいだったし結局自分がハマれなかったというところに落ち着くだけなのかもだが  夏映画はもっとゴッと刺さる感じのものが来ると良いなぁ その前にシン仮面ライダーもあるけどな!

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

怪獣 あとしまつさせてくれない

ウルトラマンティガ

第5話「怪獣が出てきた日」

感想レビュー

 

 

自分に害が及ばないところからとりあえず防衛チームを批判するカスメディアが出てくると観ててちょっとイラッとくるけど、同時に「今ウルトラシリーズ観てるぜ...」って感じられて全身に活気が満ちるので最高だね

自分に害が及ばないところからとりあえず防衛チームを批判するカスメディアをもっと出せ!!(キマった目)

 

海岸に打ち上げられた怪獣の遺骸の処理を巡るGUTSのオペレーションとそれを取り巻く世論をリアルタイムな展開運びと共に描く今回のエピソード。ウルトラシリーズという空想特撮作品の根幹を成すものでありつつ、ティガ以前のシリーズだと(皆無ではないものの)ややぼかした感じで比重少なめに描くことの多かった「怪獣」「ウルトラマン」という強大にして未知なる存在が現れ波乱を巻き起こす世界その波乱に相対する組織やそれを見つめる市井の人間達といった世界観設定を「マスメディア」という要素をガッツリと交えて多角的に掘り下げ、ウルトラシリーズにおけるリアリティラインに一つの革新を起こしたと言っても過言ではない記念碑的エピソードというところでかなり印象深い話ですね。同一世界観のダイナにおいてもこの要素は少なからず継承され、続くガイアに至ってはマスメディアそのものがストーリー全体における重要な要素の一つとして大きな存在感を示すまでになり、というところをはじめとして、以降のシリーズでもマスメディアの存在や市井の人々の反応、そこから派生したストーリーにおけるリアリティラインの底上げがますます欠かせないものとなっていったし、マジでめちゃくちゃ大きな革新だったよなと思う

 

そんな今回のエピソードの主軸は前述のあらすじにも一部書いた通り、打ち上げられた怪獣・シーリザーの遺骸の処理に苦戦するGUTSの緊迫したオペレーションと、それに並行して描かれる市井の人々やマスメディアのGUTSに対するどこか他人事のように間伸びしたリアクション・批判体制という対照的な2面の描写から掘り下げられる、怪獣災害に晒される世界における怪獣および防衛チームを取り巻く世論のリアルな描写。怪獣という途方もない脅威に対し、そのスペシャリストとして集められ組織された者達が知らないことだらけな中で1秒を争いながら挑み、それすら次々に上回られながらも諦めず被害を最小限に抑えるべく立ち向かっている一方で、そうして守られる側の一般人達は「怪獣が出てきて自分の家とか踏み潰されたら腹が立ちますけどねぇ」と薄笑い気味に言ったり「GUTSが早く倒してくれないと困るんですけど」とぼやいたりとどこか怪獣の脅威やGUTSの活動に対し斜に構えた態度をとるばかりという、怪獣の脅威に現場で直に向き合い続ける者達怪獣の脅威というものに実感が湧かないが故に対岸の火事的な認識でとりあえずの危機感ばかり示せない者達の認識のコントラストの際立ち方が面白いんですよね。別に悪意があるわけではなく、火中から離れた安全域にいるが故の実感や危機感の薄さがあるからこそああいうリアクションをしているというのはありつつも、そうして斜に構えたリアクションができてるのはひとえにGUTSが怪獣災害の被害を抑え込んでくれていて自分達に火の粉が及んでいないから(怪獣災害というものへの実感が湧かない状態が保たれているから)であるということに気付いていない(意識が及んでいない)というに人々の浅慮・認識不足の否めなさといったところも含んだ、あまりよろしくない方の意味で等身大の人間描写としてグッと掘り下げられている一般人のリアクションの描写とかかなり解像度高いよなと(この辺の実感が伴わないからこその一般人のリアクションの描写は、本編で描かれていない部分を含めてもまだ怪獣災害の事例が少なく怪獣災害に直接触れた人間も多くはないのだろうとなんとなく感じられるこの序盤のタイミングだからこそより説得力をもって描けたとも言えるし、そう思うとこのテーマの話を序盤で描いたのは思い切ってるようでいてかなり理に適った構成だったんだろうなとも感じられてそこも感心するところ)  現在の現実世界でも警察や消防隊、災害対応にあたる人達に対する理不尽な当たりの強さみたいなものが見られる場面は多々あるし、そういう意味でもリアリティある描写としての説得力は高かったなと感じましたね  最近クウガ観てた時もグロンギ周りの描写に現実の情勢と類似する部分が多々見られてリアリティの掘り下げに感心したことがあったし、リアル志向の作品今観たからこそよりくっきり見えてくるものがあるのは興味深い知見であった 現実世界の苦境が空想の脅威に追いついてしまっているとも言えるのでそこにちと複雑な想いもあるが...

メディアもメディアで、「怪獣災害アナリスト」とかいう一見いかにもな肩書きの人間がやたら偉そうに画面の奥で「GUTSの責任だし実質人災では?」「状況判断が甘かったんだよなァ〜」と無責任な批判をダラダラ垂れ流している有様、と良い感じに神経を逆撫でしてくるのが良い意味でめちゃくちゃ嫌な質感。「批判的な観点から特定の組織に物申す存在もいるからこそ体制や意識の改善・向上等に繋がっていく」というのがマスメディアの果たす役割の一つではあるので批判すること自体は決して間違いではないのだけど、怪獣災害が起きGUTSがそれに命懸けで挑んでるまさにその瞬間に、安全圏から物知り顔してふんぞり返りうだうだ揚げ足取りするばかりな人間がそれをやってる、というのが最高に終わってるんだよな...「『怪獣のことが100%分かるわけない』のにGUTSの判断は甘い!」とかいう特大のお前もじゃろがい発言を平然とぶっ放してたり怪獣が今まさに暴れリアルタイムで危機に晒されている人間が大勢いたりするのに安全な番組セットで呑気にジュース飲んで「ここでなんとかして欲しいものですなぁ」とか他人事感覚でほざいてたりといった怪獣災害アナリストのジジイの(直接描写はされてないけど、コイツ実際に現地に行って色々調べたり実情を目にしたりしたこと一度も無いんだろうな...)と一目で分かる感じのいちいち癪に触る言動の描写も非常にムカついて一周回って好きなところ。この程度の人間が有識者としてメディアでうだうだ喋ることができ時に誉めそやされてしまうことのヤバさみたいな社会風刺も含んでる感じがあってそこがまた良きよね。こういう奴は実際に怪獣に襲われて何もできずビビり散らしながら「助けてGUTSーッ!!」って喚いて恐怖と絶望に塗れながら食われりゃ良いんですよ(かげき) 現代だとこういうタイプのネット弁慶エセ論客みたいな人間はトゥイッタとかで腐るほど目にするし、だからこそ本エピの怪獣災害アナリストのジジイの描写には嫌悪感を強く感じるのかもなと  これを25年以上前にこの解像度で描いてたの凄いなと改めて思う

 

しかしそんな中でも、自らの足で怪獣災害の現場へ赴き、命懸けで戦うGUTSの一進一退の活躍を生身で追い、起きていることを自らの目でしっかり正しい形で捉え伝えようと奔走する真っ直ぐで高潔なマスメディアも存在する、という希望がジャーナリスト・オノダさんの姿を通じて熱く描き出されるのが本エピソードの最大の見所。前述の対岸の火事な視点で中途半端に物を語りGUTSをああだこうだとなじるような者達がじっとり嫌な感じで描かれるところが徹底されているからこそ、その対比として泥臭く駆けずり回りながらも曇りない瞳で確かな知見を得たオノダさんが「怪獣災害が頻発するこの日本の苦境の中で、我々が一つ幸運と言えるのは、『優れた戦略家を擁するGUTSが、我々を守っている』ということである。一市民として、感謝を捧げたいと思う」と、GUTSが奮闘し被害が抑え込まれているからこそ確かに守られている平和があることやそれに対するGUTSへの賛辞を紡ぐ様が沁み入るものとなって輝いているのが最高に気持ち良いんですよね。単純にGUTSに肩入れしてるというわけではなく、ちゃんとその目と耳で見届けた真実に真摯であるというところがマスコミ・マスメディアの鑑すぎるんよな  思うようにいかなくて感情的になったり駆け回って大変そうにしてたりする場面も多いけど、その泥臭さと人間味が必死に何かに向き合うカッコ良さになってるよなぁオノダさん 後のエピにも登場する人だけど、本エピソードのテーマとのマッチ感の高さも込みで凄く味のあるゲストキャラだわ

 

と、一般人やメディアの反応周りの描写について集中的に触れたけど、そこと並行して描かれた怪獣シーリザーへの対処の奮闘するGUTSの活躍、ここも凄く見応えのあったところでありました。打ち上げられた遺骸の調査や移動のための牽引から始まり、アクシデントで目覚めたシーリザーによる人的被害を防ぐためにメンバーが総動員で情報をかき集め、またそれを基にして作戦を立てて実行し、と息つく暇もないくらいに忙しなく動く様にこちらも思わず息を呑みグッと引き込まれちゃうんですよねぇ...そこに説得力を与えるSFテイストな専門用語等を交えた会話それをオペレーションとして緻密に描き上げる緻密なミニチュア特撮の表現といった細部の作り込みも、一目で全ては把握しきれないながらも自然と見入る/聞き入るものばかりだし、ほんとリアリティあるSF特撮ドラマとしてクオリティの高さに唸るばかりですよ シーリザーを追い込んだ貯水プール的な場所のミニチュアセットの作り込みとか特に凄いよね

またこのGUTSのオペレーションの中で描かれる、隊員達各人のちょっとした人となりや関係性が窺える会話等のキャラクター描写もさり気なくもストーリーを良い感じに引き締めていて好きなポイント。サワイ総監とイルマ隊長の物々しい雰囲気の対話年少ながらも人一倍情報解析に奔走するヤズミの頑張りのシーンはオペレーションの緊張感をグッと引き締めつつ各キャラの立ち位置やカラーをしっかり押し出しているし、緊張するレナをダイゴが冗談で和ませたりシンジョウ隊員とホリイ隊員が冗談混じりのどつきあいをしたりする場面は彼らがお互いそういうことを言い合える関係性なのだということを小気味良い会話劇で魅せながら程良く緩めな雰囲気も醸していて楽しいしと、序盤からキャラクター周りの丁寧さが凄く見てて気持ち良いですね(特にシンジョウ隊員とホリイ隊員の、それなりの悪態で殴り合いつつもちょうどいいとこでお互いウン...ってなって普通に揃って作戦に戻ってくあの感じはとても好き。w あのくらいのどつきあいが会話として普通に通じるくらいこなしてきたんだろうなと感じられるよね) 話のテーマ的に世論に対するGUTSの面々のリアクションとかを描いたりもするのもアリだったかもだけど、そこを描かず「怪獣災害に立ち向かうGUTSとその実情を実際に知り得ていない一般人やマスメディア」という対比こそを主題としたことで、市民や平和のためにオペレーションに挑むGUTSの純粋な活躍の模様(およびそれに対する世論の描写)や上述のGUTSの面々のキャラクター描写が映えたというところも巧いよね ほんと序盤からのキャラクター周りの地固めが絶妙

そしてこのキャラクター描写で特に目を惹いたのは何と言っても本エピソードの主役の1人たるムナカタ副隊長の奮闘の描写ですね。各所で状況をしっかりと見つめ、最適解を導き出そうと常に気を張り各メンバーにテキパキと指示を送る様がストーリー通じてクールに描かれており、今までにも増して副隊長としての威厳を多分に見せつけていて良きであったなぁと。派手に動いていたわけではない、ある意味で縁の下の力持ち的と言えるものかもしれないし、それ故に一般人やメディアにはその頑張りがなかなか伝わらず色々言われるのかもしれないけれど、だからこそその姿を現地でしっかりと追い見ていたオノダさんの賛辞がますます光って良きであった

 

またそんな今回のエピソードの発端となった怪獣・シーリザーの存在感も好きなところ。腐敗するほどになって死んでいたはずの怪獣がふとした拍子で蘇生して文字通りのゾンビとなって動き出す、という出鱈目さからして唆られるし、その上攻撃を取り込むぐちゃぐちゃのボディや唐突な首伸ばしといっためちゃくちゃなことを次々繰り出してGUTSを翻弄する様が良い厄介さしてるし、未知性高めな設定や演出がまさに怪獣らしくて凄く良いよね アンカーやミサイルが刺さる瞬間の腐敗してぶよぶよなボディのアップがやたらリアルできしょいのもインパクトあるし(持ち上げられた時に体表が裂けて中身ぶちまけるところが割とグロなの演出に容赦がなさすぎる...) それでいて燃えた身体をはたいて火を消したりと妙に人間臭いアクションをたまにするところが元はちゃんと生物だったのを窺わせて妙に癖になる良いアクセント 多分あの時普通にアクシデントとして火が燃え移ってたよね...

 

かくしてシーリザーの一件が片付いた後、バーでグラスを傾け乾杯し労をねぎらう副隊長とオノダさんのシーンが描かれ物語は締め。現場では直接的に交わることはほとんど無かったものの、共に命懸けの現場を駆け回り互いの使命を全うしたこの2人が静かに語らう大人なカットで気持ち良く締め括る、というのが渋くて良きでしたね。本エピの軸たる「GUTSとマスメディア」という二軸のキャラ同士ではあるものの、前述したような対となる関係性とは異なる、同じ戦場をそれぞれ必死に駆ける戦友とでも言うべき関係性として味わいが光るのが最高であった

 

...まぁこんだけカッコ良く決めたのに本当に本当のラストカットは「ムナカタは、酒が飲めなかった」なんだけどね() 台無しだよ!!ある意味最高だが()  冒頭のバーのシーンのミルク飲んでる副隊長が伏線になって(それに「身体壊してるんですか?」と語りかけるオノダさんも良いカモフラージュ)、最後にちょびっとグラス傾けた副隊長が千鳥足になる後ろ姿で種明かしするのマジで秀逸なんよな...w これが現場で急遽決まったらしいのライブ感がハマりすぎてるやろ

 

 

以上、ティガ第5話でした。怪獣が現れる世界における防衛チームの奮闘やそれを取り巻く人々の反応を多角的にリアリティある描写で描き上げるストーリーが強く目を惹く、ウルトラシリーズならではの世界観設定の更なる魅力をグッと深掘りしらエピソードでありました。こういった面で積極的に革新に挑んだところや、その中でも丁寧なキャラクター描写等の基礎を固めることを欠かさなかったことがやはりティガの魅力の一つなんだなぁと改めて実感しましたね とても良かった

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

戦士の魂、宇宙を往く

ウルトラマンティガ

第4話「サ・ヨ・ナ・ラ地球」

感想レビュー

 

 

祝☆墜落コンビ初墜落

ウルトラマンティガの風物詩・ダイゴとシンジョウ隊員のガッツウイング墜落コンビの伝説がここから始まります 刮目しろ凡夫ども!! こんな初っ端の回からなんだ...って思ったのは内緒な

 

皆様あけましておめでとうございます。2023年も何卒よろしくお願い致します。これからも色んな作品の感想を思うままに書き綴り、色んな方と想いを共有できるブログを心がけていきますのでもし良ければどうぞお付き合いをば

 

てなわけで前置きは程々にして早速感想へ。新年一発目だし名作エピの感想で景気良く飾ったろうやないけ!ということで今回はウルトラマンティガ序盤傑作群の一角、「サ・ヨ・ナ・ラ地球」の感想レビューになります。怪獣出現→正体解明→対処というオーソドックスなウルトラシリーズの単発エピソードらしい流れを軸としつつ、ほんのりとしたビターな展開の中に人間讃歌とSFテイストな希望が光るストーリーを約25分の中で劇的に描き上げた言わずと知れた名エピ、年明けに相応しい一作でありましたね スパークレンスを体の前でクロスしてから掲げるあのカッコよい変身ポーズもこの回での登場なのでそこにおいても印象深い  あの変身ポーズでの変身からの「Brave love,tiga」をバックにしてのティガの登場という一連の演出が反則級にボルテージがぶち上がるんすよね... 

 

そんな今回のエピソードは、探査船ジュピター3号とその乗組員の消息不明が語られる導入から始まり、突如として怪獣リガトロンが文字通り脳天から海面に飛来、その周辺にジュピター3号の乗組員達の影がちらつき始める...というジュピター3号とリガトロンを取り巻く謎の解明を描く前半パートから話が展開。TPCの防衛システムをコンピューター内部から突き崩してきたリガトロンの謎めいた力が猛威を振るい、その力の正体が冒頭で語られた消息不明のジュピター3号の乗組員に通ずるものであると示唆される、という描写でリガトロンの正体に不穏なものを感じさせてくるところから、リガトロンの出現に合わせるかのように親族の元に幽霊の如く突如現れ出る乗組員達地球へ届けられていたエザキ博士のメッセージが物語るジュピター3号失踪の真実、といったその不穏さへの答え合わせの描写が次々に突きつけられてくるという多段的な構成の魅せがシンプルながらもゾクリとくる、良きSFミステリーテイストに仕上がっているのがとても目を惹くところでありますね。これを冒頭の10分行くか行かないかの中に納め描いてる小気味良さがグッド  寝たきりのおばあちゃんの手を握ったりまだ幼い息子とサッカーをしたりと大切な家族の下にほんの一時でも現れ出たり、ジュピター3号が取り込まれんとしている中でも必死に抵抗しようとしていたことが描かれたりと乗組員達の人間的な情や気高さみたいなものが叙情的に描かれ心揺さぶるが故に、彼らが人類に牙を剥く異なるものと化して地球へ飛来してきた無情さ、彼らを人類に害なすものと見て戦わなければならない無慈悲さが「彼らと戦わなければならないのか」というシンジョウ隊員の悲痛な訴えも相まっていっそう際立つという辛さがまたクるんだよな...

 

また細かいところではあるけど、この辺りのストーリー展開の中に「シンジョウ隊員のアストロノーツ設定」TPCの宇宙開発局という部署の存在」といった細かい設定周りを自然に落とし込んでキャラクターや世界観設定の掘り下げとしていた巧みさも本エピソードで好きなところ。シンジョウ隊員のアストロノーツ設定を「同業の仲間への思い入れ」として本エピのジュピター3号周りの人間描写に絡め引き立てたりと、こういう細かい部分をしっかりストーリーに接続させて描くことで作品全体のディテールとエピソード単一のクオリティの両方をグッと引き上げる作劇は見てて気持ち良いすね

 

そして後半は再び出現したリガトロンとの戦闘。リガトロン、無機質さと生物感の同居したディテールや単眼等のデザインが目を惹くビジュアルの不気味さがジュピター3号の真相の解明と合わせて強まっていくというストーリー展開も込みでの濃い存在感(発光体と融合したジュピター3号がモーフィングしていくシーンのインパクトと合わせて「怪獣化した宇宙船」としての説得力が凄く高いデザインしてるのが良いよね)が凄く印象深い怪獣だけど、その上でティガをも圧倒する強豪怪獣してるというのがなお強烈で良いよね  この後のストーリー展開も踏まえれば強くてなんぼであるとはいえ、序盤からこの水準の怪獣出てくるのなかなか飛ばしてんなと今にして思う(初っ端タッグ怪獣、多芸怪獣、割とタイマンいける烏滸がましい怪人、とティガ序盤の敵そこそこ強めなの多いよなと)

また完全な余談ではあるけどこのリガトロン、他の生命体との同化や宇宙へ進出してきた者への敵意というところで、次作ダイナに登場する敵性生命体・スフィアに関連する怪獣なのでは、とファン間で考察されてるのが何気に面白いところだよなと。世界観の共通性的にもこの時代から出張ってきてたとしてもおかしくは無いし、単眼にあたる発光体も一部のスフィア合成獣と共通してるし、公式的な繋がりは無いにしても、もしかしたら...と妄想するのは楽しいよね(宇宙に進出してきた人類に牙を剥くべくリガトロンを尖兵として送り込んだけど、取り込んだ人間の感情という不確定な事象が原因でリガトロンが敗北したことで警戒を強め一時撤退、「感情ある生命体との同化」をナシとした上で体制を整えて人類が更なる宇宙進出を果たしたタイミングで今一度襲来...なんていう妄想)

 

そんなリガトロンの猛威に対し、シンジョウ隊員の一声による作戦をきっかけに覚醒したジュピター3号の乗組員達の意志が歯止めをかけ、逆転へ導く展開は文句無しに今回のハイライトであり実に胸が熱くなるところ。不条理な存在に飲み込まれ人でなくなった乗組員達が、かけがえのない存在にして彼らが人間であったことの象徴である「家族」のことを強く思い起こして人間としての意志と活力を今一度目覚めさせ、それによって不条理に抗い打ち克つ様はまさしく「人間」の生きる力と勇気を描く“人間讃歌”であり、これがウルトラマン含めた超常の存在がその威容を示す中でなお光り輝く「人間の意志/強さ」を美しく描くウルトラシリーズの作風ともガチッとマッチしてもう、凄まじく沁みるんですよね...前述の家族の下へ現れ出た乗組員達の描写、どんな形になろうとも大切な存在の下へもう一度赴いた彼らの人間としての心が滲む描写があったからこそ、「家族」の存在がここで彼らを目覚めさせるトリガーとなる説得力を強く伴うという構成も鮮やか  加えて後のエピソードにおいても幾度も涙腺をバチバチに破壊してくる名BGM「Love Theme from TIGA(TAKE ME HIGHERのアレンジver)」のしっとりとしたメロディがバチッとマッチして琴線に触れまくってくるのがまた、たまらん

そしてここのシーンを語る上で欠かせないのが、何と言っても本エピの主役たるシンジョウ隊員の感情溢れるカットの数々だよなと。同じアストロノーツとしてジュピター3号の乗組員達の身を案じ、また同時に彼らの安否を想い不安になる家族の心を慮るからこそ、その周囲に土足で踏み込み嗅ぎ回る宇宙開発局のやり方に憤り、「人間らしい優しさや思いやり」が削られていっているようだと消沈する感受性豊かな熱血漢としての姿が前半の展開において繊細に描かれた彼が、後半のリガトロン戦において乗組員達の「人間としての意志や心」を信じ、「もう一度...もう一度人間として生きるんだ!!」と必死に呼びかけたことで前述の逆転を導くという、彼を軸とした人間描写がすげー熱いんですよねぇ 乗組員達のなれ果てであるリガトロンを単に怪獣/人類の脅威と見て戦うことに思うところを見せ続けたシンジョウ隊員だったからこそ最後に乗組員達の心に呼びかけることを思いつけたんだろうと感じられるし、どこまでも泥臭くひたむきに人間の善性を信じた彼の真っ直ぐさが本当に眩しく光ってたのが素敵 シンジョウ隊員は今後もこういう真っ直ぐで熱い展開を沢山見せてくれるからね...大好きだわ

 

かくしてリガトロンは撃破され、人間を超えた光のような新たな生命体としてそこから解放された乗組員達の旅立ちをGUTSの面々が見送る、というシーンで締めとなりました。生命体としては「人間」の彼らは死んでしまったけれど、シンジョウ隊員の呼びかけや大切な家族の存在があったからこそ彼らの「人間」としての意志は残り、新たな生命となってかつて目指した宇宙の果てをまた目指し続けるのだ、という決してハッピーエンドではないけど希望のある絶妙な締め括りを、程良いSFテイストを乗せる形でしっとりと描き上げたこのオチ、良いですよね  彼らが最後人間であったことをたしかに見届けていて、同じアストロノーツとして彼らが目指す場所や夢を理解しているシンジョウ隊員がそっと彼らの旅立ちを肯定し後押しするというほのかな優しさも好き 「サ・ヨ・ナ・ラ地球」とサブタイで言ってる以上、彼らの旅路はきっと遥か遠く、今を生きてる人間にとって途方もない果て無きものになるんだろうけど、家族の下に僅かばかりながらも現れた時のようにまたほんの一時だけでも大切な人達の下に現れたりもしてると良いな、とか、時代が進んだ先で彼らの家族、でなくとも子孫達が彼らの後を追って宇宙へ進み再会したりとかしないかな、とか色々妄想もしちゃう

 

しかしこうして改めての視聴をしててふと気付いたけど、本エピって初代ウルトラマンの問題作として有名な「故郷は地球」との対比と捉えられる部分も多い話だよなぁ、とも思ったり。ストーリーライン自体や諸々の設定、テーマとかはまた全然違うんだけど、人間が変化してしまった怪獣、その怪獣と本当に戦わなければならないのかという苦悩、といった部分がある種の共通性として軸になった上で、「人間らしい心は失くしてしまったのか」というイデ隊員の呼びかけをもってしても止まらなかった(止まれなかった)ジャミラが故郷・地球で怪獣として死してしまった「故郷は地球」に対し、本エピは「もう一度人間として生きるんだ」というシンジョウ隊員の呼びかけで人間としての心を目覚めさせた乗組員達が再び人間としての夢を抱き宇宙へと旅立っていくという最後になってる、という形である種対比された描写がされているとも取れるので、もしかしたらあの悲劇的な結末のif(?)的な形で意識された面もあったりしたのかもな、なんて(サブタイトル自体も各エピの結末を象徴するかのように「故郷は地球」「サ・ヨ・ナ・ラ地球」で対になってるように思えるしね)  まとりあえずこちらはあくまで余談ということで。

 

 

以上、ティガ第4話でした。記事冒頭でも語った通り、SF特撮ならではのハードさやビターさはありつつも、同様にSF特撮だからこそ醸せる人間讃歌や希望が光るストーリーがとても心を打つ名エピソードであったなと。ストーリーを引き立てる自然な設定周りの落とし込みやシンジョウ隊員を主役とした熱く沁みる人間描写など、各部の描写も非常に小気味良くやはり本作序盤を牽引する傑作回の一つだなと改めて実感しましたね。最高であった

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

2022 最後のご挨拶

皆様、2022年の年の瀬いかがお過ごしでしょうか。本年もこのちっぽけな個人の感想ブログに付き合っていただき誠にありがとうございました。仕事が本格的に忙しくなって疲れたりしたことで書くのが進まなかったりして、前年に比べると割とぼちぼちみたいなペースでの投稿になったな...と感じるところでありそこがちょっと心惜しいところではあるものの、それでもなんだかんだで続けられているし、記事をしっかり読んでレスポンスを返してくださる方もおられるしと良い感じの感想ブログできてるのは我ながら誇っても良いのかもな、とも。私生活が仕事で程良く忙しいのは良いことではあるしな

来年は流石に感想書く作品絞ってセーブしたりとちょうど良いペースを見つけてくことも始めていくかもですが、今後もブログは続けていく所存ですので、皆様も何卒よろしくお願い致します。

では良いお年を。来年も本ブログを是非ご贔屓に

迫真ジャンケン

ドラマ岸辺露伴は動かない

第8話「ジャンケン小僧」

感想レビュー

 

 

※2023/01/02追記:本記事の中において小林靖子女史の名前を今回の脚本担当として何度か出していたのですが、記事を呼んでくださった有志の方が「このエピソードの脚本担当は渡辺一貴さん」であるとご指摘くださいました。誠にありがとうございました...!(今回も完全に女史担当と思って見逃してた...)一応女史も「脚本協力」で参加されているとのことであり記述のニュアンス自体は大きく崩れないと思うので、記事の内容は一部に追記・変更をしたくらいであまり変えずにおきましたが、迂闊故の間違いをしてしまい申し訳ありませんでしたスミマセン 読者の皆様および渡辺一貴氏には大変失礼を致しました 重ねて申し訳ない

いせくら ひろこ on Twitter: "RT とても素晴らしい感想だけど、一点加えさせていただくと、ジャンケン小僧の脚本は渡辺一貴さんなんですね。 https://t.co/8wzihZICLE" / Twitter

 

 

 

SASUKE?知るかこっちはJANKENだ

(※2022年12/27はSASUKE年末スペシャルと本エピソードが同日放送してました)

 

昨年の「背中の正面」よろしく、『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』からピックアップされた同タイトルのエピソード「ジャンケン小僧」の実写ドラマ化と相成った今回のエピソード。4部内からのエピソード採用も割と主流みたいになってきたけど今後ももしドラマ動かないシリーズが続けば何かしら採用されるのかなぁと思ったり。といっても単発エピとしてアレンジできる露伴先生メインのエピなんてもうあとはだいぶ限られてきそうだが  振り向いてはいけない小道なんかはアレンジすればサクッといけそうだけど性質上露伴先生の背景に切り込む話にもなるから却ってやりにくいかもだしなぁ(そこに切り込むテーマで統一すれば行けるかもだけど)  露伴先生がファンの高校生を自宅の連れ込んでページを千切った末にサザエさんみてーな頭のヤンキーにボコされるエピは...ダメか(

まぁ何はともあれ原作でめちゃくちゃ大好きな、子供相手にジャンケンで勝って大人気なく追っ払って勝ち誇った上「大人気ないって?いいや最高の気分だね ガキ負かすのはね...カッハッハッハ-ッwww」と悦に浸る最高の岸辺露伴を演:高橋一生の完璧な実写化で見られただけで今回のピックアップは大満足でしたがね!!(わざとらしくケツで突き飛ばしたり「行けッ?行けェェェ〜ッ!!」ってしつこく連呼して追っ払ったりと原作より最低っぷりがパワーアップしてたのマジで最高)  富豪村の時に一究を見下してヤラシー笑いと共に勝ち誇ってた時の高橋露伴の絵面からしてもう岸辺露伴の実写化として完璧すぎて拍手しまくってたので、その原点とも言えるこのシーンが映像化されたのはこのドラマ追ってきた人間からしたら本望でしょ

 

さて、ドラマ動かないシリーズといえば原作だとそれぞれ独立していて関連のない複数のエピが何らかの要素を軸に接続され地続きの話にもなっているところが特徴でありますが、本エピもジャンケン小僧こと大柳賢を作者の露伴先生と同じ作品観や美的センスを持つほどの岸辺露伴作品のファンというキャラ付けにすることで、ブチギレてへそを曲げるくらいに露伴先生としても不服であった「丸が4つ」のデザインに不満を抱き露伴先生に凸してくる、という形で前話「ホットサマー・マーサ」のストーリーを絡めて、露伴先生と賢が接点を持つ自然な流れとしてきたのが上手いところでありました。デザイン変更のことで虫の居所が悪かったせいで露伴先生がつい賢を邪険に扱い追い返してしまう→そのことで賢が露伴先生および彼の作品への感情を拗らせ怒りを燃やし、執拗に絡むようになっていく、という感じで前話の展開を踏まえた上での露伴先生および賢の言動や感情の動きがストーリーの流れとしてちゃんと組まれていたし(特に露伴先生は、初っ端からストーカー気味だった前半のイブにさえも一ファンへの対応として割と穏やかに接してた前話の言動があった分、熱烈ファンの賢を邪険にして追い返してしまった本エピでの言動が「ファンの応対する余裕もないほどの相当な不機嫌さ」としてきちんと感情面で違和感なく収まるようにもなってるのが巧み)、前話で神主親子がさらりと語ってた「道の交差する場所─『四ツ辻』」が今回の話の肝たる“ジャンケン”の能力を賢が手にする流れの伏線として機能していたしと、キャラクターの描写においてもオカルトチックな要素の分かりやすい挿入というところにおいても前話と本エピの流れがしっかりと意識された構成になってた辺りは小林靖子の妙味光るという感じでありました(記事冒頭でも語った通り本エピでは女史はあくまで「脚本協力」でしたが、そこにおいていつもの安定感が出ていたなという意味で)  ここはジョジョという作品を「設定に矛盾はあっても感情に矛盾はない」と評した靖子女史らしい重きの置き方が窺えるね  「ホットサマー・マーサの丸は4つじゃなく3つじゃなきゃダメ」という露伴先生(および賢)の拘り「3こそが最も完璧で安定した数である」という神主親子の話、といった「3」の完璧性をやたら強調していた前話の節々の描写も、3つの手で勝敗が決まる最もシンプルで美しい勝負、というところから賢がジャンケンを勝負の手段として用いるようになることの動機付けとして綺麗にハマっているしと、「ジャンケン」である意味さえもしっかり補強してるのがあまりに強すぎるんだよな...前年のチープ・トリックもそうだけど、原作においてスタンドとして登場していた存在や能力をスタンドという概念が無いドラマ動かないシリーズに落とし込むにあたって、他エピソードとの接続を活かす形で奇々怪界ながらも理屈あるものとしてアレンジし初見の視聴者にも咀嚼しやすくしてるのは本シリーズの強みだと思うわ

 

そんな流れから「ジャンケン」で露伴先生に幾度も勝負を挑み負かそうとしてくる賢の子供らしからぬ威圧感と気迫は今回とても印象深かったところでありましたね。原作からしてオメーほんとに小学生かよォ〜...!って感じの自信と覚悟の決まり方をしてはいたけど、本エピにおいては最初露伴先生相手にどもったような喋り方しかできてなかったり、不満なことがあっても1人で静かに下を向いて拳を握りしめるばかりだったりとどこかコミュニケーションが苦手な暗い子供って感じの印象が濃く押し出されていただけに、そこから露伴先生への怒りの増大や能力の獲得を経て少しずつ堂々とした態度と喋りになっていき、やがて露伴先生を圧倒するまでになっていく様がギャップとしてよろ効果的に働いていて更に強烈な存在感を刻みつけていたなぁと感じたんですよね。ジョジョという作品においても時折描かれる「精神的成長」をズバリ体現するかのようなカタルシスもあってこれは実にグッドでした

しかし一究役の柴崎楓雅くんもそうだけど、ジョジョキャラらしい奇妙で大仰ながらも堂々としたキャラをしっかりと演技で表現できる子役をバッチリ見つけてくるの凄すぎるよなドラマ動かないシリーズ...本エピの賢も“絶妙に現実にいそうなジョジョキャラの出立ち”を見事に表現した衣装も相まって、演じる柊木陽太くんの演技が最高に光っておった 最高

 

そしてここから展開される露伴先生と賢の精神的な駆け引きも込みでの一歩も退かないジャンケンの攻防、これがまた良いのなんの  原作よろしく空を飛んでいるようにしか見えないカットとかは流石になかったものの(あたりまえ)、高橋露伴の疲弊しながらも衰えない気迫とそれに全く押されない迫力を醸した賢の立ち居振る舞いのぶつかり合いが絶妙なカット割りや緊迫感を増大させる絶妙なBGM使いによっていっそう引き立つ形で強力なパワーを伴って映像として昇華されており、思わず息を呑むような決闘として画面にグッと惹きつけてきていたのが実に素晴らしいところでありましたね...ただのジャンケン勝負なのにやたら壮大で手に汗握らされることになってんのある種のシリアスな笑いにもなっておるけども、そこ含め完璧な原作の実写映像化でありましたわよ

 

そんな両者のジャンケン勝負は最終的に、漫画家としての「観察」によって見切っていた賢の心理を巧みに突く形で露伴先生が勝利、と透明な赤ちゃんを使った搦手で勝利した原作の流れをよりロジカルにアレンジする形の流れで決着と相成りました。ここの何が良いって、前述の「作品に対する自分の意見を邪険に扱われたことによる、賢の岸辺露伴および露伴の描く作品に対する怒り」という部分を導線とする形で賢の中に芽生えていた理性をも上回る感情を先んじて描き、なおかつそれを漫画家としての観察力によって既に把握しここぞで勝利に繋げた露伴先生の実力、という露伴先生ならではのキャラ性・強みをしっかり活かしカタルシスと説得力のある勝利としてみせたところなんすよね  とどのつまり前話「ホットサマー・マーサ」から地続きで描かれた賢や露伴先生周りの感情の描写が最初から最後までしっかり活かされ切ってたわけで、渡辺一貴氏と小林靖子女史の構成力の合わせ技が素晴らしかったなと 改めて記事冒頭でも語った通り、本エピは最初渡辺氏の登板を知らないまま観ていたのでてっきりいつもの靖子女史の脚本だと思い込んでいたのですが、そこにおいて(女史の協力もあったとはいえ)いつもの小林靖子脚本と見劣りしない見応えを発揮してたのは渡辺氏が流石であったなと感じますね

この後の流れは概ね原作通りという感じだったけど、露伴先生は勝負を通じて“グッときた”賢に応える形で「丸が3つ」のホットサマー・マーサのサインをプレゼントし、賢もその粋さ含め露伴先生に改めて惚れ直しまた熱烈なファンと相成る、という形で原作に一つ爽やかなアクセントを加えていてここもまた良きでした。このドラマ化において加わった「作者とファン」という2人の独自の関係性を話の導入というだけに終わらせなかった良いオチでした

 

かくして全てが収束しエピローグ的なパートへと入って物語は締めとなるわけですが...このエピローグ部分がまぁ衝撃だったわけですよ

あれこれと話を経て露伴先生と泉くんの間で飛び出る「海外取材」の話、そしてその中でふっと漏れた「パリ『ルーブル美術館』への取材」...これもうそういうことですよねェ!!(前のめり)  ジョジョおよび動かないシリーズに慣れ親しんだ我々なら「ルーブル」と聞けば岸辺露伴 ルーブルへ行く」を思い浮かべるわけで...こんなんめちゃくちゃ期待しちゃうわけですよ いやほんとこれ思いもよらなすぎて超サプライズでしたわ(流石に海外ロケとか厳しいだろうなと思ってたしさ)  もし本当に実現するとしたら次の放送はスゲーことになりますよきっと...視聴者の間では「GWの特番でやるのでは」とも言われてたけど、もしそれでガッツリ新たに一本作るのだとしたら楽しみすぎる  例年と違って今年のエピソード2話分しか無くて惜しかったな〜...とか思ってたけど、「この特番が3話目だよ!!『3』は完璧な数字だからな...」という形で「ルーブルへ行く」が突きつけられるかもと思うと俄然楽しみだよマジで

 

 

以上、ドラマ岸辺露伴は動かない第8話でした。色んな意味で強烈なジャンケン小僧エピの実写ドラマ化となりましたが、キャラクターの濃さ、ストーリーの緊迫感、シュールなくらいの迫力、どれをとってもしっかりと見劣りなく表現されており、なおかつドラマならではのアレンジを見事に昇華させた新たな味わいの付与もあり、と大満足な一作でありました。これが締めなのめちゃくちゃ良かった 最高

ラストには思いもよらぬサプライズもあり、ドラマ動かないシリーズはまだまだ勢い衰えなさそうで何より 来年(もしかしたらもっと早いかも?)も楽しみにしてますからねェ!!

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

丸が“4つ”だァッ!!!

ドラマ岸辺露伴は動かない

第7話「ホットサマー・マーサ」

感想レビュー

 

 

今年の年の瀬も岸辺露伴だッ!!!

 

というわけで年末恒例となったドラマ岸辺露伴は動かないシリーズ、今年も嬉しいことに放送と相成りました。惜しいことに例年の3話構成から変更となり2話構成での放送とはなったものの、安定の高クオリティで今までに衰らない満足度をしっかり刻み込み、且つ最後には思わぬサプライズ(仄めかし?)もぶち込んでくれて今年も実に面白かったですね 永久に続け年末岸辺露伴(無茶

 

そんな今年の動かないシリーズ一番手を飾ったのは「JOJO magazine」収録のエピソード「ホットサマー・マーサ」。恥ずかしながら今までのエピソードと違って原作を読まないまま視聴することに運びとなった本エピソードでありましたが、先の展開をあまり知らないが故の色々新鮮な楽しさもあってこれはこれでなかなかに乙なものでありましたね

 

しかし今回のエピソード、コロナ禍での外出自粛やマスク生活に身を置いた露伴先生を描く的なところの話になるのはざっくりと聞いてたけど、思ってた以上に未だかつて見たことのない露伴先生がたっぷり見られてそこがまず最高でしたね...取材に行けないのとマスク付けっぱなしのストレスとで、ムカつく事象に例年比の10倍くらいの勢いでブチギレたかと思えば思いもよらない事態を前にキレる気力もなくて弱々しく呻いたりと躁鬱みたいなテンション感になってる露伴先生今までの話じゃまずあり得なかったですからね 「丸が“4つ”だァッ!!」って電話口で爆発してる時の迫力が特に凄まじくて好き(話してる内容が若干シュールなこととのギャップで更にわろける)

でもこの辺の露伴先生の荒れっぷり、コロナ禍真っ只中だった1、2年くらい前我々も窮屈さからだいぶイライラしてたり何かに当たりがちになってたのを思うと“コロナ禍”を一つの軸にした人間描写としてはちゃんと解像度高かったよなぁと。マスク着けて出歩く露伴先生の描写とかもじんわりとした息苦しさみたいなものが感じられて絶妙であった(今までの動かないシリーズには明確に“無かった”描写だし、その辺の違和感・異物感みたいなものも一因かもね)  ストーリー中に露伴先生自身も語ってたけど、岸辺露伴という男は自ら動き色んなものに触れていく自由さこそがバイタリティの根源って感じの人間だし、そこに縛りを与えられた時の閉塞感や溜まっていく鬱屈とした感情みたいなものはむしろ人一倍だったと言えるのかもしれん 露伴先生もやっぱこう、人間だったんやなって...(言い方)

 

この荒れまくりの露伴先生の心の拠り所として存在感を示していたわんこのバキン、およびそのバキンと露伴先生のあったかい交流も今年のエピソード群の見所でありました。露伴先生(を演じる高橋一生さん)に凄く懐いてるのが映像からも伝わってくるバキン、視聴者的にも露伴先生的にも閉塞感の中のめちゃくちゃ良い癒しって感じになってて凄く良かったよね  それはそれとしてバキンのことだいぶ分かりやすくデレデレしながら可愛がる露伴先生もめちゃくちゃ新鮮で面白かったがw(前述した躁鬱モードとのギャップよ) 我々は他の生命体を打ち負かして恍惚とする性悪岸辺露伴の方ばかりを見知ってるので、抱っこして一緒に散歩したり(有識者曰く、炎天下のアスファルトに裸足のわんこを歩かせるのは肉球の火傷に繋がったりするのだとか。こういうとこしっかりしてるのが分かるとおーってなって良いよね)優しく声をかけたり笑顔でなでなでしたりとめちゃくちゃ真っ当に飼い犬を可愛がる岸辺露伴は理解の範疇に無いんすよ(失礼) 露伴先生もやっぱこう、人間だったんやなって...(天丼)

 

そんな今回のエピソードはいつも通りいらん好奇心を発揮した露伴先生が怪異“薮箱法師”に成り代わられたことから巻き起こる騒動を描く、という内容のストーリーで、気付かぬうちに成り代わられ過ごされた分の人生のズレが醸す恐怖感に露伴先生が翻弄されるじっとりとしたホラー感が見所の話となっていましたが、一方で露伴先生は得体の知れない存在に成り代わられ3ヶ月〜半年の人生を勝手に過ごされたことよりも「ホットサマー・マーサの『丸が3つ』を『丸が4つ』に変えやがってッ!!」というところにキレて薮箱法師がやらかしたことをなんとかしようと奔走するし、その露伴先生に最大の壁として立ちはだかるのは薮箱法師そのものではなく薮箱法師のやらかしに付随してきたやべーストーカー女だしと、薮箱法師の存在はあくまで事件の発端・現象でしかなく話の軸やヤマは全然別のところにあるという構成になってたのがめちゃくちゃ面白かったです。w  薮箱法師自体が「鏡に映った者と成り代わりその人間の暗黒面として3ヶ月過ごす」という元々の在り方に従って動くことしかしてないので悪意の類は全く無かったし、突き詰めるとそれをいつものいらん好奇心で起こした露伴先生が10割で悪いやろという話なんだよなぁ今回() 先生が好奇心から痛い目見る筋書きは今までもたくさんあったけど今回今までにも増して露伴先生の自業自得感高くない?()  まぁどえらいピンチや混乱の中でも自分の感情や信念が最も重要な芯や原動力になってる辺りの“いつも通り”感も含めてそれでこそ岸辺露伴って感じでとてもよろしかったが

 

そして薮箱法師周りの展開で一際強烈だった「やべーストーカー女」ことイブの存在感も外せないところ。最初こそ露伴先生にべったりなめんどくせーファンレベルだったのに、それが薮箱法師のやらかしをきっかけに家に潜り込んでるやべー女になり、最後にはねっとりとへばりついて離れず他のものに牙を剥く底知れない妄執と自覚なき悪意の権化と化すという、段階的な怖さの昇華がマジに恐ろしすぎましたね...中盤の神主親子もなかなか強烈なキャラだったのに全部吹っ飛んだわ()  あのブリっ子全開の一方的でイラッとくる立ち振る舞いや言動がシチュエーションも込みでだんだんと生理的な嫌悪感と背筋の凍るような恐怖感を持ったものに変わってく演出とそれを見事に演じ上げた古川琴音さんの演技に年の瀬のワイの背筋は無事凍りつきました()  あの喋り口調から「シングルマザー」のワードが出てきた時は露伴先生共々ヒィ〜ってなったわよ...原作読んでないけど演出的にこれは漫画よりも実写の方がグッと映えてたかもなと思うし超良かった  

しかしイブ、公式のツイートで露伴を襲う最強の敵」と紹介されてたけどマジで今までのエピソードと比較しても殆ど嘘偽りないレベルで最強(最恐)だったのが困るよ() これがあくまで怪異ではなくただの人間なの悪い冗談やで...(6ヶ月間暗黒露伴と一緒だったとはいえ)パンピーには察知できないはずのヘブンズドアーの能力に薄々気付いてて封殺してくるし、怪異の類じゃないから怪異生存率/回避率のめちゃくちゃ高い泉くんもフツーに餌食になりかけてたの、チートがすぎるんよ(薬打たれてグロッキーな露伴先生にヘブンズドアーの能力に薄々気付いてると語ってくるとこの絶望感が高すぎた)

NHKドラマ on Twitter: "ドラマ【#岸辺露伴は動かない】 第7話「#ホットサマー・マーサ」 長いマスク生活でうつうつとしている露伴(#高橋一生)を襲う最強の敵イブ(#古川琴音)が登場!! 原作 #荒木飛呂彦 脚本 #小林靖子 人物デザイン監修 #柘植伊佐夫 演出 #渡辺一貴 本日よる10:00~10:54[総合] https://t.co/ljQJ4EjUZm" / Twitter

 

そうして色々なことがありつつなんとか薮箱法師のやらかしを無かったことにはできたものの、露伴先生が一番どうにかしたかった「ホットサマー・マーサの丸が4つのデザイン」は薮箱法師でなく泉くんは進めたことだったので結局元に戻らずじまいだった...という落語みたいなオチで締めとなりました。w あんなに苦労したのに...みたいに項垂れる露伴先生が良い味出しすぎてたw  今回露伴先生にとって一番大事だったのは終始その一点だったわけであり、だからこそタイトルも「薮箱法師」でなく「ホットサマー・マーサ」だった、という他の視聴者さんの感想には膝を打ちましたね 結局マジにきっかけや現象でしかなかったんだな薮箱法師...(

 

 

以上、ドラマ岸辺露伴は動かない第7話でした。1年ぶりのドラマ動かない新作、相変わらずの高クオリティでとても満足でありました。コロナ禍の露伴先生の新鮮な表情や言動、薮箱法師という怪異とは別の軸で展開していくストーリーなど、一捻り加わった面白さがありつつ安定感あるミステリホラーがとても楽しかったです。やっぱ年の瀬はこれがなきゃな...
次回のジャンケン小僧回も今回とはまた違った意味でドラマ動かないの妙味光るという感じだったので、近くアップする感想記事をお楽しみに

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた

混迷のクリスマス

デリシャスパーティ♡プリキュア

第41話「メリークリスマス!フェンネルの大切なもの」

感想レビュー

 

 

クッキングダムがなんかヤバげなことになってるっぽいのをうっすら察知したけど別に味方じゃないから完全に他人事みたいなテンションで見送るナルシストルーくんはほんとおめーさぁ() それでこそってとこあるから良いけど(良くねぇ)

 

クリスマス真っ只中で苛烈を極めるブンドル団との戦い、そして明らかになる衝撃の真実、という内容となった今回のエピソード。年越し前の2022年最後のニチアサということでギーツ共々気になる引きを作ってきましたね 同期2作が真面目に年明けからの盛り上げを意識してたのを他所に猿原の嘘家族回やってイカれ散らしてたドンブラの素行のぶっ飛びぶりが際立つ(あっちはあっちで今まで築かれた仲間達の絆を印象付けた良い回でもあったんだけどね?それ以外のカオスっぷりがね?)

しかしプリキュアのクリスマス回、シリーズ全体比で言うとそうでもないかもしれないんだけど、ちょうど最終決戦突入辺りの展開と重なりがちなために大抵クリスマスどころじゃなくなってくことが多い気がするからなんか不憫ではある() そこから直で最終決戦入ってくパターンがほとんどな気がするというか 放送時期ほぼ同じな戦隊シリーズでさえクリスマスイベの際はワンクッション置いてその後で最終決戦始まる感じにしてるイメージあるから余計にさ

 

そんなデパプリクリスマス回で明らかとなったフェンネルさん=ゴーダッツ様という衝撃の真実。ぶっちゃけ最近の描写からしフェンネルさんが怪しいのは確定的であったけれど、せいぜいブンドル団の間者くらいのイメージだったのでまさかの首魁様ご本人だったのはたまげた そして真の姿の衣装がだいぶ面白すぎたのもたまげた() その肩にトゲ付いたトンデモ衣装でコテコテの悪ボス言動しないでくれ、面白すぎるから(酷)  正直「うっ、ダサい...!」って思いつつも忖度して言わずにおいたんだけど他のみんながだいぶ容赦なくダサいって言っててダメだった ダッッッサその衣装!!(掌返し)

 

しかしフェンネルさん、悪に身を堕とした動機みたいなものを示唆する描写が今回散発的に挿入されていたけど、思ってたよりだいぶ大きな闇というか歪みを抱えてるって感じだなぁと。まだ明確に語ったところはないのでどういう内面なのかに関しては後々の語り待ちってとこではあるけど、描写されてるところをそのまま受け取り捉えるならば要するに「大好きな人・憧れの人がいて、その人に認められる人間になりたかったけど、その人にとっての一番・たった一人にはなれなかった」みたいなところだからな...ジンジャーに対する思慕みたいな感情を覗かせる様子も最近見せてたから悪い人ではないのかなぁとも思ったりしてたんだけど、むしろその思慕の感情が尊敬を通り越して崇拝とでも言えるくらい強かったからこそ、ジンジャーに認められるくらいの唯一無二の力を渇望してしまったんだろうなぁ  それを踏まえるとシナモンとの背中合わせでマリちゃんになんとも言えない視線を送ってるOP映像の構図も色々重さが伴ってくるなぁ(自分に並び立つ者達として鬱屈とした感情を抱いていたのだろうと察せられる...)

ジンジャーとの思い出を想起させるからかおにぎりに対して凄く複雑そうな表情を見せていて、この辺の食や料理に対する感情もブンドル団やってることのあれやこれの根幹なんだろうけど、ここもどういう感情抱いてるか気になるところ 大切な思い出であるからこそここが彼を救うとっかかりにもなりそうとは思ってるけど、はたしてどう展開に影響していくか

 

 

以上、デパプリ第41話でした。いよいよクライマックスというところを予感させてくる展開でグッと惹きつけてきたクリスマス回となりました。フェンネルさん、なかなか濃い内面を持ったキャラになりそうでここからどう掘り下げられていくか楽しみである

これ以降はもう最終決戦ってことでジェットコースターのように一気に怒涛の展開続きになると思われるので、一時も目を離さないようにしたいものである さぁどうなっていくか

 

というわけで今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございます。 読んでて共感できたり楽しめたりしたところがあれば幸いです

気に入っていただけたら次回も読んでいただけるとありがたいです。感想をくださったり記事の拡散等をしていただけたりすると更に喜ぶぞ!!

ではまた