AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

拳振るう決意、そして変身

仮面ライダークウガ

EPISODE2「変身」

感想レビュー

 

夜の教会、屋根の上に降り立った怪人「ズ・ゴオマ・グ」は、1人の女性へと狙いを定める。そして瞬く間に女性の首筋目掛け滑空していくのだった...ゴオマが食らい付いた瞬間に無音となる演出からのOPへの入り、というサスペンス感強めのスタートが早速強烈。

 

場面は変わりファミレスで話す桜子さんと五代さん、ここで五代さんが前回の戦いから11時間も寝ていたこと、戦うという意志に応じた変身と変身解除など、クウガに「変身」することへの感覚などを本人の実感として細かに表現する描写も当時としては斬新だったろうなぁ

そして会話の流れの中で五代さんは

「ただの冒険野郎に戻れると良いよね、好きになれないから、あの感触は」

と零し、神妙な表情で自らの握った拳に視線を向けた...その時、偶然に通りがかった一条さんと遭遇、彼からの未確認生命体2号(白のクウガ)についての問いかけに五代さんは何の気無しに自分が2号であると肯定、一条さんは五代さんの行動を咎めるのであった

この流れの中で発せられる桜子さんの「五代くんが変身したまま戻らないと思った」や一条さんの「アイツ(グムン)と同類になると思わなかったのか」という人が異形へ変わることへの恐怖を象徴する台詞もまた印象に残る台詞回しだなぁと感じるところ 異形の存在となったことへの異質感や恐れはそれまでのライダーシリーズでも主人公の心情を通じ描かれていた部分だけど、それを外部の人達からのアプローチでもって示すのは、周囲の人達の気持ちになって考えてみれば当然思いつくことだろうけどちょっと珍しいよね

 

そこへ昨夜のゴオマの事件の一報を受け、一条さんは東京である人物を尋ねるよう五代さんに伝え現場へ急行(何気ここが椿さんの名前の初出だったのね)。現場へ駆けつけた一条さんが様々な情報を基に、第3号の存在=更なる未確認の出現を畏怖するシーンは、BGMの静かに恐怖感を煽る演出や、次々に繰り出される未確認の凶行の演出も相まって、観ているこちらも不安感を煽られる。

 

一方、気になることがあると長野に残った五代さんは現場を調べるなど独自に行動、その最中に一条さんがゴオマの出現を受け急行するのを目撃、後を追って駆けつけると一条さんの静止を振り切りクウガへ変身しゴオマへ立ち向かっていく。ゴオマを殴ってしまった拳をじっと見つめながらも対峙するクウガだったが、力の差を突き付けられ敗北、だが一条さん共々奇跡的に窮地を脱した...
そして運び込まれた病院で五代さんは一条さんに「もう関わるな」と釘を刺されてしまう この場面で一条さんが五代さんに掴みかかりながら発する

「君が戦う力を得たと思うのは勝手だ...だが君に戦う義務は無い!これは市民を助けるという、我々警察官の仕事だ 中途半端に関わるな!」

という台詞は一条さんの警察官としての矜恃が感じられる今回の名台詞の一つ。遺跡で見たビジョンがあったからこそ戦う力を手にした、という五代さんの事情を実感として理解できてなかった部分があるとはいえ、彼が半端な覚悟から戦いへ関わっているように感じられることへの怒りと、戦うことが自分達警察官の使命であるからこそあくまで一市民に過ぎない彼がわざわざ血生臭い戦いに関わる必要はないという気遣い、など彼の警察官としての色々な感情を感じる。

 

場面は変わり、五代さんは長野で桜子さんと共に調査チームの夏目教授の葬式に同行、外で待っている最中、父を失った悲しみに涙し飛び出してきた教授の娘さんの姿を目撃、自らも歯を食いしばり、拳を握りしめた...

一方の一条さんは情報収集に基付きゴオマの居場所である教会を突き止め奇襲をかけるも、逆に襲いかかられ一気に窮地に陥ってしまう。最早これまで...と思われたその時、

五代さんがバイクで颯爽と駆けつけた。

またも戦いに首を突っ込み、戦うという彼を咎める一条さんだったが、五代さんは毅然と返す。

「こんな奴らのために!これ以上誰かの涙は見たくない!みんなに笑顔で、いて欲しいんです!だから見ててください!

俺の!変身!!」

そして炎に包まれる教会の中、イメージの中で見た構えと共にゴオマへ力強い拳を一発、また一発と叩き込み、赤のクウガへと姿を変えた!

最早語り草なこのシーンだけど、2話全体の流れを通してしっかり観ると、やっぱり凄く良いなぁ...と改めて。

今回の話の中で、未確認という凶暴な怪物相手でさえも、相手を殴った自分の拳をたびたび痛々しげに見つめていたほどにその優しい人柄が示されていた五代さんが、未確認の理不尽な凶行で大切な人を奪われた人の悲しみを目にし、戦うこと/誰かに拳を振るうことを迷うのではなく、理不尽な悲しみから皆を守るために覚悟を決め腹を括り戦いへ赴く、戦士へと「変身」するまでの心情の移ろいの細かな描写が凄く染み入ってくるんだよなぁ これを第2話にして繰り出してくるの、純粋に凄い 燃え盛る教会というシチュエーションも相まって強く印象深く残るし、まさに名シーンと呼ぶに相応しい変身シーンだなぁと今回の視聴を経てより強く感じましたね

 

その後クウガはゴオマとの激戦を繰り広げ、途中乱入してきたグムンとの連携に苦しめられつつも、意地を見せるように援護してきた一条さんの助力も得てゴオマを撤退、グムンを撃破するに至った。

戦いは終わり、倒れた一条さんを五代さんは肩へもたれかからせて寝かせていた。目覚めた一条さんは不服そうな態度を見せつつ、朝日の中再び眠りへ就いた...改めてこのシーン観たけど、そこらのヒロインなど相手にしないほどにあまりにもヒロインなシチュエーションしてんなぁ一条さん...w そこも含めて一条さんの魅力だが

 

というとこで本編終了 本文中でさんざっぱら語り尽くしたので簡単にしときますが、やっぱりクウガが名作と言われる所以たる回だなぁとなりましたね いやぁ面白かった

 

では今回はこの辺で ではまた