AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

混沌の東京 非情なる矛先

仮面ライダークウガ

EPISODE3「東京」

感想レビュー

 

未確認生命体3号/ゴオマとの一戦から一夜、病室で目を覚ました一条さん。その傍には五代さんからの書き置きが残されていた。

大事な約束があるので一度東京に戻ること。約束を果たした後はまた長野に戻ること。中途半端ではなく、きちんと未確認との戦いに関わる覚悟であること。

その書き置きに一条さんは昨夜の五代さんの姿を思い浮かべ、渋い表情を浮かべながら思わず拳を握りしめるのだった...ここの憂いを纏った俯き加減の一条さん/葛山さんの表情が超色気あって最高に素敵 男でも惚れるわこれ...

一方の五代さんが桜子さんと共に東京へ戻っていた頃、東京では不気味な影 -眠りより目覚めた新たな未確認達- が動き始めていた...

ごくごく普通の日常が繰り広げられる都会の喧騒の中、いつ人々に牙を剥くとも知れない未確認生命体達が至って当然のように闊歩している、というメタ的な視点で観ている我々のハラハラ感を煽るここの演出は背筋に鳥肌が立つような恐ろしさがあって大きな迫力こそないものの実にキレキレで好き 交差点を歩く人々を品定めするように不敵な笑みで見つめる者、所狭しと走る車の騒音に今にも暴れ出しそうな激情を見せる者、物を買ったりと普通の日常を過ごす人々の動きに興味を示すように近付く者、と当たり前の日常生活が描かれる中で彼らのその行動の描写が挟み込まれるからこそ緊張感を際立たせているのもまた強烈よね...

 

その頃五代さんは妹の「五代みのり」が勤める都内の幼稚園を来訪、子供達やみのりの歓迎を一斉に受け、彼らの前で得意のジャグリングを披露し皆の笑顔を誘っていた 現在放送中の仮面ライダーセイバーの主人公、神山飛羽真もそうだったけど、子供達に好かれ彼らを笑顔にする姿というのが描かれると特撮ヒーロー作品の主人公として頼れる気の良いお兄ちゃん的な箔がつくし、観ている僕ら的にもグッと距離が縮まって良いよね やっぱ子供達のヒーローだもの

この後の五代さんとみのりの会話のシーンも好きで、全ては語らないながらもきちんと今の自分のことを話す五代さん、簡単な言葉を交わす中でも兄である五代さんと彼が選んだ道を信じて笑顔で送り出すみのり、という僅かな言葉の中でも通じ合える兄妹の関係がしっかり伝わる良いシーン

 

所変わって長野県警、人間と同一の部分を持つという未知の存在「未確認生命体」についての対策会議が行われ、一条さんもそこに参加していた 集められた不確かな部分も多い情報を繋ぎ合わせ、情報管制や対抗しうる手段の提示が行われていく様は、程良くピリついた緊張感の演出も相まって本当の警察の対策会議もこのようなものなのだろうかというリアルさに直結してて上手いよね

結果警察は未確認への対処を決定、それは五代さんが姿を変えた4号/クウガを含む未確認生命体は発見次第すぐに討て、というもの。その内容に一条さんは立ち上がり、4号は自分を救ってくれた存在であり討伐対象外とすべきと必死み主張するも、断言するだけの確たる証拠はあるのかと問いを突きつけられ、思わず口をつぐんでしまう...

警察官として守るべき一市民に過ぎない五代さんを戦いの中心へ巻き込んでしまったことをただでさえ後悔していた一条さんが、そんな彼が警察の手にかかってしまうかもしれない状況に直面、彼を苛烈な戦いの中へ巻き込みたくないからこそ庇い立てするも、未確認という異形の存在に皆が戦々恐々とする中4号が敵でないという証拠が欲しいと訴える声に彼もその異形の1人であると言い返せないジレンマに陥る姿は辛い...

事を急ぐべきと見た一条さんは五代さんになんとか警告を送ろうとしつつ、警察の新装備たるバイク「トライチェイサー2000」にも目もくれず(一条さんが開発の過程を見てきたからなのもあるが)3号の発見、討伐に動き始める。そしてその中で怪しげな言葉を発するバラのタトゥの女に偶然遭遇する...運命の邂逅

逃げ出した女の後を追った一条さんは、女と3号/ゴオマが化けた男の会話する場面に遭遇

ここの女とゴオマの会話は終始パッと聞いても意味不明な言葉で展開されるものの、その分聞き馴染みのある「トウキョウ(東京)」トウキ-ヨウ?という言葉が強調され、サブタイの東京というワードと繋がり、1、2話で散々その恐ろしさを見せつけた未確認が東京にその手を伸ばそうとしていることを絶望感と共に否が応でも我々に感じさせる演出が秀逸 未確認生命体の恐ろしさという点が序盤から容赦なく突きつけられてくるよなぁこの作品...

女が腕を異形に変えゴオマに何かの粛清を下す様など、物陰からしばし2体のやり取りを聞いていた一条さんだったが、携帯の着信音がしこたま鳴り響きモロバレ ノンマナーモード一条さん爆誕の瞬間である!!(ウォズ

結果あわやゴオマに倒されそうになるも女のなんらかの一声で窮地を脱する そしてその直後にかかってきた電話から、東京に未確認が現れたという最も危惧していた事態を耳にし...

そんな東京では、旧知の中のある人物の営む喫茶ポレポレという店を訪れるも前日の出来事でバイクごと合鍵がお釈迦になったため仕方なく2階の窓からダイナミックお邪魔しますした後の五代さん(ここのシーンで、2階によじ登るところを彼のことを雄ちゃんと呼ぶ近所のおっちゃんに見られるも、「久々にその光景見た」で済まされ、笑顔で軽く世間話もしていく、という下りがあるんだけど、五代さんがその近辺の人達でどういう関わりを持ってきてたかがさり気なく伺えて個人的に地味に好きなとこ)が、店を後にした際バイクに乗る男性を襲撃する未確認生命体第5号「ズ・メビオ・ダ」に遭遇。メビオに立ち向かい男性を逃した五代さんはクウガに変身、果敢に立ち向かおうとするもそこへ今度は未確認出現を受けた警察が登場、自分にまでも容赦なく銃を突き付けてきてしまう。

その光景に思わず唖然とするクウガ、必死に現場へ向かおうとする一条さん、果たしてどうなってしまうのか...!

というところで本編終了

異形の存在になった故の苦悩、というのは昭和仮面ライダーシリーズにおいてたびたび描かれてきたポイントだけど、今作では警察という現実に在る組織がその異形の存在を警戒する故に矛を向けてくる、という形でそれを突き付け、また異形となった五代さんの行く末を憂う故に本人以上に異形となった五代さんのことを案じる一条薫という人物の焦りの描写等を通じてよりその非情さを緊迫したものとして描く、という作劇が強烈 警察という組織の描写が細かく描かれるからこそ、周囲の人々の異形に対する恐怖というポイントがリアルさも伴い描かれてるのがまた新鮮なポイントよね

 

というわけで今回は一先ずこの辺で ではまた

 

余談:

東京に現れた未確認の1人「バダー」を演じる小川信行さんは現在2020年9月にクウガと同じくYouTubeで配信中の「ウルトラマンマックス」でコバケンジロウ隊員を演じられておられます なんつうタイムリーな...