AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

“ゲーム”

仮面ライダークウガ

EPISODE21・22「暗躍/遊戯」

感想レビュー

 

 

  • 哀れゴオマ

東京長野間を繰り返し行き来する奇怪な行動を繰り返す第3号/ゴオマの行方を警察が追う、というところから物語はスタート。

長野の遺跡に隠された秘密、前回その存在が示唆され遂にその姿を現した「ゴ」など、今回は彼の行動に連なる形で披露されていくグロンギサイドのミステリアスな展開が目を惹きつけており、今回のゴオマはある意味超重要なキャラクターとなっている


...のだけど、彼らの劇中での会話の内容を訳されたもので見てみると、実は詰まるところゴオマはバルバ達にある準備のためにテイの良いようにパシらされていたという哀れな事実が発覚、更にそのことについてふと愚痴ったためにバルバにシメられてたことや、あんなにせかせか働いてたにも関わらずザジオから「のろま」呼ばわりされてたことまで明らかとなり...なんかここまでくると涙を誘うものがある()  自分の思い通りのことがさせてもらえず、上の人間の言うことを聞きながら「俺はいつ?」と根気良く聞き続けるけど突っぱねられるだけ...っていうゴオマのキャラ造形、現代社会でも多々いますよこういう人...これもまたクウガのリアルさを追求した作風故なわけだな(多分違う)

でもこうしてグロンギ達がどういうことを喋ってるかが分かるようになった今だからこそ、仲間のズ達が尽くクウガに敗れ散っていく中なんだかんだ生き残れてるのは側から見れば幸運ぽいけど、ゲゲルを楽しんでこそ本望な身からすれば抑圧された現状は我慢ならないことこの上ないんだろうなとか、グロンギという凶悪な怪人集団の中にありながらにしてどこか人間味のあるゴオマのキャラクター性がより深まったのは収穫だなとか思ったり。凶悪な敵怪人の1人には違いないけどどこか憎めず応援したくなる、そんなバランス感がゴオマの魅力なんだなぁ

あとゴオマとは関係ないんだけど衣替えしたバルバ、白いドレスが怪しげな色気あって凄く綺麗よね 七森さんがめちゃ美しいんだよなぁ

 

  • 長野からお久しぶり

長野を飛行するゴオマを追跡・発見する警官として一条さんの後輩の亀山さんが、そして第3号のことで一条さんが電話した相手として先輩の海老沢さんも登場、と長野県警にいた頃の一条さんを取り巻く人々が次々出演。亀山さんは長野でのジャンの発掘に同行したりとちょくちょく本編に出てたけど海老沢さんは序盤(2〜4話)以来の登場でだいぶご無沙汰でしたね。

ちょっとの出番だったとはいえ以前に出てきたレギュラーキャラの知人・同僚といったキャラがこうして顔を出してくれると嬉しいですよね 既出キャラを後々の話でもしっかり活かしてくれる作品というのは個人的に超好物なんです

しかし亀山さん、初見の時はストーリー追うのに必死であんま出てたの覚えてなかったのでこれだけ出番あったのちょっと驚きだったわ

 

  • 交わる人々

今回ガルメのゲゲルやゴオマの動向といった展開の最中において、実加との約束を今もしっかりと胸に刻んでゴウラムの調査に精を出しているジャンや、EPISODE9において一度描かれた未確認への対処という激務によって息子・冴との距離が開いていってしまうことに悩む榎田さんなど、様々なキャラの活躍や現状にもスポットが当てられていたのが目を惹きましたが、そこで一つ、ストーリー展開の転換点的な意味合いで挿入された、冴との時間を作って上げられないことを詫びる電話をかける榎田さんの姿を見て表情を曇らせるジャンの描写はこう来たか!と唸らされますよね。まさかここでジャンと榎田さんにドラマ的な繋がりが生まれることになろうとは

五代さんや一条さん達本筋を回す者達以外の脇役キャラのドラマも緻密に作り上げられておりそれが重厚なストーリーを成す作劇がクウガの良いところなのですが、それに加えて彼らがそれぞれ物語の中で関わり合うことで更に深みが増していくという脚本運びの隙の無さがまた素晴らしいのですよ キャラ一人一人から目が離せないこの楽しさよ

 

  • “ライダー”参上

次なるグロンギ集団「ゴ」の一人として姿を現し、クウガとゴオマの戦いに割って入り挨拶とばかりに顔合わせを済ますと「またな、クウガ」と余裕ある振る舞いを見せ去っていったライダー・バダー。...赤いマフラーでバイクを駆る男、というキャラ造形、前述の振る舞いと併せめちゃくちゃカッコいいけど仮面ライダーの怪人サイドのキャラとして改めて見てみると恐ろしいまでに挑戦的だよなぁ...w まさしくアンチ・仮面ライダー的というか

バヅーの時点でも周囲の反応について軽〜くヒヤヒヤしていたらしいことが最近の高寺さんのツイートから伺えるけど、バダーに関しても当時視聴者側の印象含めどういう反応があったのか地味に気になるな...!

高寺成紀☺11月28日(土)13〜14時「怪獣ラジオ(昼)」@調布FM on Twitter: "#クウガ20周年配信 バヅーがマフラーをしていることに関して、長石監督に問われた記憶があります。「本来は仮面ライダー(ヒーロー)のものなのに悪ふざけするな」と怒られるのかと思いきや「面白い」的な言葉を頂き、ほっとした気が😅 #クウガ #kuuga #nitiasa #クウガ20周年"

 

  • 未確認という脅威と、もたらされるもの

芝居の稽古から突然戻ってきた奈々、悲しみに暮れる彼女の口から語られたのは、芝居の先生が第31号(ガルメ)の犠牲になったという事実であった...

と、普段はのほほんとした日常の風景が流れるポレポレのシーンの雰囲気が一転するここの一幕は衝撃的だったなぁ...
「一番好きな先生やったのに...めっちゃ優しくて、色々教えてくれて...何も悪いことしてへんのに...!」と声を震わせながら言い俯く奈々にみのりもおやっさんも沈痛な面持ちになり、おやっさんも無言で肩に手を置き慰めることしかできない(普段呑気な印象の強いおやっさんの見せるなんとも言えない色んな想いを詰まらせたような表情がまた胸にきて、ここはきたろうさんのベテランの演技が素晴らしかった)、という画は観てるこっちも辛い。

本編当初より強調されていた未確認/グロンギがもたらす、身近な大切な人がその命を奪われ周囲の人々に深い無念と悲しみを残していくという理不尽の重さを、劇中の人物を通じて描き我々に改めて突き付けてくるのが強烈でしたね...

また本編中において、未確認に出現のせいで夜間の遊びや飲み会が制限されたことを愚痴り、コンビニも開かなくなるのではなどと危惧する大学生の会話(奇しくもその一人が直後にガルメの犠牲にされ...)が挿入されててこれも未確認がもたらしたものについての劇中での言及になっているんだけど、これについてはウイルス感染拡大による外出の制限などが起きている現状の中で聞くととてつもなく身近に感じられて真に迫るものがあったなぁ。未確認生命体という脅威(というか現代社会に広く影響を及ぼし得る事象全般)が社会に実際に影響を及ぼし始めた時どうなるのか、というのを設定段階でかなりリアルに突き詰めていたことが分かって非常に唸らされましたね...

峰守ひろかず on Twitter: "配信クウガ今週分見たんですが、「(未確認のせいで)飲み会できなくなっちゃったなー」「この調子でコンビニまで閉まると困りますよね」みたいな会話、今見るとすごいリアリティ"

 

姿なき凶行を繰り返しかつ予告を残して不敵に警察達を翻弄するというゲゲルや、カメレオンモチーフを意識したと思われる「饒舌」な喋りによる挑発が合わさり、最高に憎たらしい存在感を示していたガルメ。ただ悪辣な敵というだけでなく、グロンギ達が行うゲゲルの意味が「ただの狩りでありゲーム」であることを劇中において初めて明確に人間達に突きつけてグロンギの精神構造・価値観は人間とは絶対的に乖離しており分かり合うことなど不可能、とグロンギの作中での立ち位置を確固たるものにした非常に重要なキャラですね。明かすのが舌のよく回るコイツというのは非常に理にかなっているけれど、同時に人間がやっとまともに対話できた相手がコイツでしかも話せた内容が内容なのがとてつもなく下衆い皮肉だよなぁ、と

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "一条さん達の視点から初めてグロンギの目的が判明する回となったわけだけど、それを明かすのが文字通り舌の良く回るガルメというのが最高にゲスいユーモア効いてて好き… "

どんとこい、ゼットアンドリュー on Twitter: "ガルメが自分達の目的を端的に語っても杉田さん達からしたら最初挑発で言ってるとしか思われず「本当の目的を言え!」と返され改めてガルメが『狩り・ゲーム』であることを淡白に強調し杉田さんが激昂するシーン、グロンギと人間の決定的に分かり合えない精神構造の乖離を示す表現として秀逸"

また「ゲゲルの法則性」というポイントについても、今後のガリマや「ゴ」でデフォルトとなっていく「『ゲームを盛り上げるために設けるルール・ハンデ』的な意味合いでの法則性」という概念を新たに示す先駆け的なゲゲルを行いグロンギと人間の戦いに一つ大きな転機をもたらし激化のきっかけを与えたという意味でも重大な存在だなと感じます。これまでのゲゲルの法則性はプレイヤーとなるグロンギの生態に基づくものなことが多かったしね

しかしガルメ、序盤から人間態として登場して20話近く出ていた上に、本編未描写のところでゲゲルを成功させて昇格してたり中盤では上述したような何気に重要なポジションになってたりとグロンギの中だと地味に優遇されてんなぁ 本編に出てないグロンギのエピソードもそうだけど、ガルメの最初のゲゲルにまつわるエピなんかも見てみたいわね

 

てか本編観てて思ったけど前回の予告映像で出てた、ゴオマがガルメと一緒にクウガと戦うシーン、本編になかったね

ここでも出てたのか嘘予告...!(

鈴村展弘@公式アカウント on Twitter: "今週末のYouTube #クウガ 配信は21「暗躍」22「遊戯」です。 前回20に付く21の予告のACカットは全て嘘予告です(笑) ゴオマvs雄介、雄介変身、ガルメ&ゴオマvsクウガ。盛り沢山! 夜っぽいけど、昼間撮ってツブシという方式で夜風にしてます。 私的に2大怪人とクウガがやりたかったww #クウガ20周年配信… https://t.co/eZwgjHj0qy"

 

  • Fly high

姿を消して翻弄させてくるガルメに苦戦させられながらも、警察の活躍もあってガルメをあと一歩まで追い詰めたクウガは、以前の対峙の際には有していなかったペガサスフォームの超感覚と、ゴウラムの脚に刻まれたリント文字を基に導き出された「ゴウラムに掴まり空を飛ぶ」戦法を組み合わせ、姿を消し街中を逃げるガルメを空中から狙撃し無事撃破することに成功するのだった。

ペガサスフォームは特性上出番が少ないのであまり活躍は見られないのだけど、その分毎回新鮮な構図や演出をたくさん見られるのが嬉しいよね。初登場のEPISODE8の演出も痺れたが、今回も一条さんから投げ渡された拳銃をキャッチしペガサスボウガンを構えるクールな構図からの、即座に駆け付けたゴウラムに掴まって空を舞い一撃必殺で決着する流れが最高にカッコよかった 主人のために超速で駆けつけるゴウラム、健気

 

 

以上クウガ22、22話、ガルメのゲゲルによってグロンギの相互理解不能な性質や彼らが人間達にもたらす恐怖が改めて強調され、加えて「ゴ」も本格的にストーリーに参入し始めたことで人間・クウガグロンギの戦いの激化を予感させる作劇が目を見張ると共に、様々なキャラの細かな描写が楽しい回でした 前回より描写され始めたクウガの力の変調もまたしても顔を覗かせており、ここから更にストーリーが盛り上がっていきますよ お楽しみに

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた