ウルトラマンG(グレート)
第10話「異星人狂奏曲(エイリアンラプソディ)」
感想レビュー
- 遠くの星から
自分達の星を離れ宇宙を旅する異星人「ベロニカ」とその夫「リュグロー」の地球への来訪をきっかけに、失恋で傷心中のチャールズとベロニカが出会い交流を深める様を描く、異星間交流の話である今回
ウルトラシリーズにおけるこういう話はしんみりする感じのテイストになったり地球人からの迫害やそれに対する異星人側の怒りなどが描かれてシリアスな作風になったりというのが傾向として多く見られるのですが、今回のお話はリュグロー・ベロニカの設定や描写、および彼らを取り巻く色んな人達のリアクションといい、意図してか意図せずしてかは知りませんがあまりその辺のテイストを含まないことを意識したような作風になってる感じがあり、比較的ライトな雰囲気の下で異星間交流の話を気持ち良く描き上げていたところが、今観ると新鮮で思わぬ面白さだったなと思いました。これに関しては諸々の要素について後述。
- 愛妻家暴走気味
今回の物語の中心人物となるベロニカとリュグローはそれぞれ地球人に友好的、非友好的と考えが対照的でこれもウルトラシリーズではよく見られる構図ではありますが、この2人の場合は仲睦まじさの感じられる夫婦同士のスタンスの違い、というところで話が進むのであまりギスギスやどんよりした雰囲気が少なかったように思うので、その辺割と良いバランスで描いてたなと
今回暴走し暴れることになるリュグローに関して見てみても、そもそもの発端がチャールズをはじめ、彼自身があまり好きでない人間の男達がベロニカに寄ってくるのが嫌だからという、早い話自分の妻に変な虫が寄ってくるのが我慢ならないという妻が好きすぎる故のジェラシーが原因という、人間くさくてちょっと可愛げのあるキャラ付けされてたのが好きなところw 話が進むに連れチャールズの車をブッパしたり巨大化して暴れ出したり(こっちは正当防衛なとこもあるけど)と愛が暴走しすぎて行きすぎたところはあったけど、決定的な一線は越えなかったので最終的にちょっと怖いけど愛嬌あるキャラに収まったのが良かったなと思いますね
ベロニカの方も、地球人に対し他の生物を支配してる部分のあるところを批判しつつも、過ちを犯しつつもそれを省みて変わっていけるという地球人の本質を理解してくれていて、地球を良い星と言ってくれるという基本友好的でかつフラットな目線を持った人格者なところが強調されてて、しっかり見てみるとこの2人何気にキャラ造形のしっかりした濃く良いキャラだったなぁと感心
- チーフだ
ベロニカを怪しみ調査を進めていたアイク(こうしてグレート見返すとアイクってけっこう出番あったんだな...と思うなどしてた)も、最終的には大掛かりなことをしてリュグローの怒りを買い大事にしてしまう、とこの手の話でやらかすポジションの人物のテンプレを見事に踏んでいたけど、同じく調査に来てたジーンを挑発してどストレートにぶん殴られるわ(今回のジーンなんかいつもよりアグレッシブじゃなかった???)、デート中の2人の尾行をジャックとジーンに邪魔されるわ、ベロニカの家に乗り込むもスカかますわと絶妙に締まらず、全体的に見るとコミカルめな印象が強かったのであまり嫌味がなかったのも今回の話の雰囲気作りに一役買ってて地味に好きなところ 部下にボスって呼ばれてチーフと呼べ!と返す漫才じみた台詞回しも良い感じに抜けてんなぁ...w 防衛チームと相対する組織の人間というポジションのアイクだけど、6話で最終的に将軍を止める動きをしたりと人間味あるから憎めないのよこの人
- 漢チャールズ
そして何より良かったのはやっぱりチャールズだね
失恋の傷心中に出会い交流を経たベロニカに惹かれていき、彼女を危険視した上での調査を命じられた時もUMAに反するのを覚悟で1人の男の意地としてこれを拒否、やがて彼女に夫がいることを知り2度目の失恋を迎えるも最終的には彼女に特別な想いを持った一人間として彼女を異星人と知りつつも純粋に守るために奔走する、と活躍的には完全に主人公のそれなんすよね今回のチャールズ カッコ良かったわ
普段飄々としてた態度でどこか抜けているながら、ここぞでイカす立ち回りを見せるところが素敵なチャールズだけど、今回はそれがより光ってて良かったです
- 止まれや愛妻家
後半ではベロニカを守るために巨大化したリュグローとそれを止めるために現れたグレートの戦闘が展開。怪獣態リュグローもブローズとかに負けず劣らず特異なフォルムで一目見たらめちゃくちゃ印象に残りますよね 一方でそのフォルム故に凄く動きにくそうと思いきや、実際のバトルはテレポートを多用し頭部の刃を上手いこと振るって器用に立ち回りグレートも苦戦させる、と意外と強敵 倒れた相手に対しては腕の刃をギロチンよろしく相手の首に振り下ろすという戦法も特徴的で良い
各回ごとに怪獣との戦闘に特有の演出や魅せがあって楽しいですよね、グレート
- 男の友情...かな?
ベロニカを想うなら暴れるのを止めろ、というグレートの説得を受けリュグローが潔く引いたことで戦闘は決着。ベロニカの下に戻ってきたリュグローは...なんとチャールズと瓜二つな姿に変身していた。笑顔で仲睦まじげにその場を後にする2人を楽しげなチャールズ達が見送る、というとこで締め。人間嫌いだったリュグローが最後にはいわば恋敵的な相手でもあったチャールズと同じ見た目になるのは人間...というかチャールズを認めた感じがあって良いよね それをチャールズに見せつけていく辺りはちゃっかりしてるがw
描写的にはこの演出やるならリュグローが人間(チャールズ)から影響を受ける流れなんかも踏まえて欲しかったなとも思うのでそこはちょっと勿体ないかも これやるならばいっそ話はチャールズとベロニカの交流とよりも、チャールズとリュグローのベロニカを巡る恋模様・男の友情、みたいなテイストでも面白かったかもしれませんね
以上グレート第10話、地球を訪れた異星の者達との交流という話ながらあまり深刻なテーマとかを入れ込んだ感じのない、肩肘張りすぎない感じの雰囲気が見やすく、リュグローとベロニカのキャラも立ってて楽しい回でした 社会問題提起的なテイストのシリアスな話も良いけど、たまにはこういうストレートに交流を描く感じのがあるのも良いよね
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた