AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

-楽園か 地獄か- 60分間の命運

「劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」

鑑賞後感想レビュー

 

※本レビューはネタバレを多分に含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

4、5ヶ月近い延期を経て遂に銀幕で日の目を見た劇場版仮面ライダーゼロワン。正直なところを言うと個人的にゼロワンはTV本編の話運びや劇中で見せたいことの見せ方、キャラの演出の仕方など気に入らない部分が多く2クール目〜最終回に至るまでずっと右肩下がりのテンションになり続けてたこともあって思い入れが薄く、今回の劇場版も作品の締め括りとして楽しみにしてはいつつもぶっちゃけ期待度は低め...というところだったのですが、当初期待してた映像的な部分以外でも思っていたより見所が多くなかなか悪くなかったんじゃないかなと 少なくともゼロワンが好きな方達にとっては非常に琴線に触れるものが多い作品だと思います 延期を挟み温めた甲斐はあったかなと感じますね

 

 

  • 滅亡まであと60分

今作はエスの計画によって残り60分で人類滅亡、という状況からの怒涛のスタートとなっており、そこからタイトルに書かれてある通りリアルタイムで時間が経過していく様が画面に時折表示され、観ているこちら側もタイムリミットが迫るスリリングさを肌で味わいながら鑑賞することになるという「体感型リアルサスペンス」の趣を持った作品となっているのが特徴。

この辺の時間経過は実際に観ていた際の感覚的に恐らく現実の時間経過に忠実に即しており(※)、「もう◯分経ったぞ」といったひりつくような危機感を割と直に感じられるようになっていて、全世界に危機が及んでいることを示す描写が挟み込まれるストーリー展開や、多くの人々が倒れ伏し苦しむ様、エスに下へ集う信者の群れがひしめき合う様を外連味ある演出で魅せる絵作りなどと相まって実に良いアクセントになったと思います。この辺は80分の長尺だからこそ行えた試みだったと思うし、延期を踏まえた上映という状況を上手く活かしたなぁと

(※)2020/12/22追記:リアルタイムじゃなかったってよ!腕時計を見て確かめた方曰くズレていってたそうです なんだよ!!!!!!

結騎 了 on Twitter: "劇場版ゼロワン、すごく好きな作品なんだけど、副題はどうにかならなかったのかなあ。リアルタイムだけどリアルタイムじゃないんだよなぁ......。劇中の60分のリミットをちょうど60分で描いてくれると思って、腕時計を定期的に確認しながら観てたんだけど、どんどん時間がずれていく悲しさ。"

 

  • 不破さん唯阿さん

不破さんは最終回の描写からしてもしかしてとは思ってたけどやっぱり無職だった()

でもここぞでカッコ良く駆けつける颯爽ぶりや新たに生まれたイズのアイデンティティを重んじる思慮深い一面など、TV本編でも定評のあったゼロワンライダーでも屈指のヒロイックさは今作でも健在でやっぱり不破さんは頼もしいぜ!と嬉しかった。そしてゴリ男っぷりも健在、というかゴリ男そのもの ゴリラ-ッ!!

唯阿さんに関してもTV本編1クール目で好きだったクールに戦う勇ましさやスマートに敵の目的等についての分析を進める姿がより洗練されて描かれており個人的には非常に満足。TV本編はある時期を過ぎてからの描かれ方に大いに不満があったのですがそのフラストレーションを吹き飛ばすに足る活躍だったと思います。トータルでA.I.M.S組はヒーローらしくカッコよく戦う姿が非常に良かったなと

 

  • 滅亡迅雷

人類の危機に共に戦う仲間というところで滅亡迅雷の面々も各自がしっかりと纏まった活躍をしていてグー。中でも滅は年長者にして実力者というポジション故の余裕ある立ち回りが全編通して貫かれていて安心感があり、アバドン軍団相手に殆ど優勢を崩さない戦いぶりの頼もしさや、終盤にある人物の窮地を救う場面などのTV本編を経た心境の変化を感じさせる言動の数々などなど痺れる見所が多く胸が躍りましたね。最前線で大きく目立ってた或人を除くと何気にレギュラーキャラの中だと描写が一番充実してたかも

滅や不破さんをしっかりサポートし戦う迅や、要所要所で敵の核心に迫る活躍をした亡、雷電の時の兄貴肌を存分に出して或人のために駆け付けた雷とみんなそれぞれができることをやってしっかり動いてたのも良かったところ みんながそれぞれ頑張ってると嬉しいよねやっぱり

 

  • 1000パ-

実質事件の元凶だった。またお前かぁ

本編での元凶設定が相変わらず尾を引いてるなぁ...となんとも言えない気分にはなりましたし、物語がかなり佳境に迫らんとしている中盤のシリアスな雰囲気の中で突然ギャグぶっ込んでくる辺りには少々思うところがあったりもして、今作においてちょっと引っかかった描写に関わってることが多かったのはビミョーなところではあるのですが、何気にエスの正体・目的の本質に一番大きく迫る活躍をしていたりとしっかり大きな活躍を見せていたことは大きいなと。一応評価はしとかないとね!クライマックスでのサウザーとしての戦闘においても地味に苦戦らしい苦戦はなかったし、味方に付くと頼もしいんだよなぁ...!厄介だ(失礼

とまぁ色々言いましたが、ラストにみんなから邪険にされながらも去り際「これから仲良くなれば良い。」とポジティブに言って笑顔を見せる姿にはちょっとした愛嬌やこれからしっかり償っていこうとする意志を仄かながら感じられて、紆余曲折ありつつ天津垓というキャラがどこか憎めない頼もしさのあるキャラに落ち着いてくれたのは良かったなと思います。上記の台詞の爽やかさ好きなの

 

そして劇中通して描かれるそんな彼らと仮面ライダーアバドン軍団の戦闘シーン、これは実に見応えがありましたね。CGを駆使した戦闘機と迅の大迫力の空中戦の映像表現の他、クウガばりのバイクアクションで立ち回るバルキリーの戦闘シーンのようにアナログで魅せる場面も多く、特撮・アクション共に劇場版ならではのボリューム感で新鮮な構図を沢山用いたバトルが見られたのは実に満足でした。

 

  • 副社長〜!!

あと出番としては僅かだったながらも、滅亡が迫る世界の中どんと構え、社長・飛電或人のことを信じ会社や社長と一緒に骨をうずめる覚悟を見せ啖呵を切る姿を見せた福添副社長は痺れたなぁ...!令ジェネといい劇中終盤といいこの方のカッコいい姿は本当大好きなの

副社長と一緒に覚悟を見せた山下さんや恐らく副社長の命を受け駆け回っていたであろうシェスタも光るものがあって良かった 真顔での腕ひしぎ十字固め超好き

 

  • 或人・イズ

そしてゼロワンの主人公たる或人とイズ。ぶっちゃけた話TV本編においては本筋自体が話が進むごとに迷走しがちだったのもあってこの2人の描写にもハマりきれなかった部分が大きかったのですが、今作の或人は世界の危機という状況の中で、何度も立ち上がりエスに挑んでいったりそのエスの心境を知って向き合おうとしたりする正義感溢れる姿がしっかりフォーカスされて描かれており、気持ち良く熱くなれる活躍が久しぶりにがっつりと見れたなぁ...!と嬉しかったです。傷つきながらも必死に皆の為立ち上がり続ける或人の姿を力強く演じてくれた高橋くんの演技は必見 こういうストレートな真っ直ぐさが見たかったのよ

イズの方も、随所に「以前のイズとの関係」「現在のイズのアイデンティティという点でヒヤヒヤさせられる描写が多かった(だからこそ前述した不破さんの新しいイズを慮る発言には安心した)ものの、展開としては最終的に「或人がイズに伝えようとしていたものが現在のイズへと以前のイズを通じて『想い』として継承され、といった感じの趣の描写となり、それを通じ描かれるイズが或人と新たに築いていこうとする絆の表現がゼロワンの物語の一つの着地点として綺麗に纏まっていたのは客観的に見て率直に良かったなと思います。それに連なるこの後の描写についてはまた後述。

 

今作の敵、エスに関しては失った最愛の者の為に世界を敵に回し凶行へと走った男ということでしっかりと掘り下げられたドラマ性が用意されたキャラに仕上がっており、ベテラン俳優の伊藤英明さんの静かな力強さの中に時折感情が濃く現れ出る演技がガッチリとハマって良い存在感を発揮するキャラでした。

彼が変身する仮面ライダーエデンも、肉体を破壊されても再生する不死性や、血を意識したようなエフェクトを精製して遠隔攻撃したり戦闘の流れの中で直接掴んで武器として用いるなど存分に活かして行う戦法などで、TV本編通してスペックの強力さが一つの極致に至ったと言えるゼロワン/ゼロツー相手にも全く引けを取らない戦いを繰り広げる強さがカッコよかったです。個人的に、現れ出た人間型のホログラムがエスを後ろから抱きしめ囁きかけるかのような動きをすると共に変身完了するという、エスの最愛の人に対する未練を感じさせるようなキャラクター性がしっかり反映された変身エフェクトの演出が凄く好み。

 

そして劇中終盤において登場した、アバドン軍団の1人・ベルが変身する新たな姿の仮面ライダーエデン、これは完全サプライズで驚かされましたね。空虚な人間である故に空っぽの骸骨に抱かれ髑髏イメージの姿へ変身する、というエスとの対比の効いた変身演出が良い。

総じて敵キャラとしては実に味わいある存在感でしたねエデン 良きかな

 

  • ゼロワン/ゼロツーvsエデン

そして今作の目玉たるゼロワン/ゼロツーとエデンのバトル、劇中で幾度となく繰り返された戦闘でしたが、決戦形態としてその強力さが強調され続けていたゼロツーの予測さえも圧倒するエデンの強さが際立った初戦、エデンの弱点を突く搦め手でゼロワンとしての最強形態の格をメタルクラスタが見せつけた2戦目、狂ったように暴れるヘルライジングホッパーのパワフルさと恐ろしさの際立つ演出が強烈だった3戦目、といずれも異なる趣のある演出がなされてて最高に熱かったです。ヘルライジングに関しては個人的に或人とイズの絡みのシーンの繋ぎといった雰囲気が強く正直出番的に物足りないという印象はあるのですが、折れた腕を強引に動かすようにして戦う生々しい演出やそれに伴う或人の痛みを迫真すぎるまでに表現した高橋くんの演技が合わさり、強く記憶に残る形態になった点はグーでしたね

 

そしてエデン(ベル)とアバドン軍団を相手に或人のゼロワンとイズのゼロツーが立ち向かう最終決戦!「ゼロワン、それが俺の名だ!」と「変身!ゼロツー」を上手くマッシュアップさせたBGMをバックにキレキレのアクションで戦うパートからの、ゼロワンゼロツー特有の光の軌跡を描きながら高速戦闘演出でエデンを追い詰めREAL×EYESをバックにダブルライダーキックでフィニッシュという怒涛のクライマックスという、熱いポイントをいちいち押さえたラストに相応しいバトルは画面に自ずと食い入りました。CMでも見せられてた、ゼロワンとゼロツーが交互に攻撃を繰り出しながら高速で迫り来るシーン超かっけーのよ

にしてもイズのゼロツー、公開前より予想はされてたけど、以前のイズから想いを継承した現在のイズが或人とイズの2人で作り上げたゼロツーに変身する、という納得のいく理屈の上に展開的な熱さもしっかり乗った流れになってたとはなぁ。そんなイズと或人が共に肩を並べ最終決戦を決する、良いフィニッシュでした

 

 

以上劇場版ゼロワン、60分間の体感型リアルサスペンスという構図を主軸に高度な映像表現で描かれるバトルパートと、ゼロワンメインキャラの全員がしっかり光るものがある形で活躍し且つ作品の顔たる或人とイズの関係性が気持ちの良い形で描き上げられるドラマパートが組み合わさって、ゼロワンの締め括りとして実に良い作品に仕上がっていました。ゲストキャラ・ライダーも濃い存在感や深みあるドラマを残していってて満足

ゼロワンという思い入れがあまりなかった自分でも非常に鑑賞後感は良かったので、ゼロワンへの愛着が濃い方々にとってはたまらない一作になっていたと思いますし、延期を経つつもしっかりこうして良い締めを見られたことは素直に嬉しいです。面白かったです

滅亡迅雷のスピンオフが制作されることも決まりゼロワンはまだまだこの先も展開されていきそうですが、一先ずのラストということで、お疲れ様でした!

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた