AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

スパイ作戦第1話

Princess Principal/プリンセス・プリンシパル

case13「Wired Liar」(第1話)

感想レビュー

 

 

  • 真1話

ファンの方々は皆既にご存知でしょうが、今回のcase13はプリンセス・プリンシパル本放送時の初回放送、つまり第1話に当たる回となっています。作品的にはここが全ての始まりだったわけで今でもこの回は特別な想いで視聴しちゃいますね

 

ちなみに、当時プライベートが忙しく観るアニメをかなりさくさく選んでたという事情があったとはいえ、この第1話の放送をアバンだけ観て(微妙そうだなぁ...)と思って切った男がいたそうですよ

誰でしょう?

そう、私です©︎イレイナ(魔女の旅々)

過去に戻って殴り飛ばしてやりたいです

ほんと当時TLでめちゃくちゃにおすすめされてるの見てちょうどタイミング良くニコ動で一挙配信されてたのを後追いで視聴して良かったなと思います...こんな良い作品を逃すところだった

 

CV菅生隆之さんの渋いお声で語り上げられるLのナレーションによるアバンでの世界観説明

蒸気が霧のように漂い緻密な機械がそこかしこで小気味良く動くロンドンの街が美麗で奥行きのある作画で表現された風景

スピーディでアクロバティックなスパイアクションシーン

と、スチームパンク×スパイをテーマに描く本作の世界観やテイストをこれでもかとスタイリッシュに描写し印象付けたAパート、作品の印象を決定付ける初回の導入としていつ見ても完璧。

その中で一際異彩を放つアンジェの浮遊アクションも、ケイバーライトの緑光を纏った縦横無尽の立ち回りのビジュアル的な美しさも相まってアンジェの巧みさが僅かな間の鮮烈に描き出されており非常にカッコ良いですね。Cボール冷却の所作や相手の車を浮かせる反撃のシーンの細やかでスマートな描写が最高に好きなんです。

そして梶浦由記さんの緩急の効いたオサレな劇伴も、いちいち各シーンに上手くハマってて素晴らしいんですわこれが 壮大で奥深い世界観にピタリとマッチするBGMに定評がありますよねぇ

 

  • なんだこのサムライ

そんなアクションシーンにて、前から突っ込んでくる車をすれ違いざま切り結んで横転させたり、けっこうなスピードで発車した車にさらっと追いついて乗り込んだりとなんの気無しにとんでもないことしとるプリンセスプリンシパル世界の戦闘力おばけことちせ殿。初回から自重しないなぁこの侍(

 

  • 白鳩の5人

チーム白鳩の5人の性格や各人の関係性の描写の方もスムーズかつ分かりやすく描かれており、初回のエピソードの中でキャラクターの雰囲気やチームの空気感を掴む上でとても良かったですね。「離れ離れは寂しい」の言葉を推すプリンセスやそれに回想と共に反応するアンジェといった伏線張りも抜かりないのもグー。

時系列的にも5人の繋がりが強まり始めてきてて関係性が程良く成熟してきた感じのタイミングなので描きやすいという部分はあると思うし、最初のエピソードに時系列上では中盤辺りに位置するこの話を持ってくるという采配は巧いなぁと改めて感じますね。

個人的に今回のエピソードでお気に入りのやり取りはドロシーとちせ殿の食堂での会話のシーン。ちせ殿が嘘をついてる(王国と共和国どちらにつくかの見極めの件を多分それとなく察してるか)とドロシーが冗談ぽく突っついてきたのに対し、ちせ殿も「お主もな」なんて軽く切り返してお互いニヤリと悪い笑みを交わす、という絶妙に砕けた感じのやり取りが実に味わいがあるし、何より前回のcase11のちせ殿メインエピソードの後のやり取りであるというのがミソで、前回の出来事を経てちせ殿も良い感じに仲間とそういう多少突っ込めるとこまで突っ込んだ語らいができるようになったんだなぁと物語の積み重ねが感じられて凄く良いんですよね。この辺の関係性のバランスもきちんと取りながら描いてることが感じ取れるのは流石だなと

 

  • 緑に輝く瞳

今回のゲストキャラクター・エリックの妹エイミーが患っている「ケイバーライト障害」なる症状。現状プリンセスプリンシパルの本編中で描かれることはこの回以外だと殆ど無いのだけれど、設定として示された以上、伏線として今後回収され何かしら機能する可能性はあるだろうな、と今回の視聴で思いました。最終章でCボール酷使したアンジェがかかってしまったりとか...
調べてみると同じことを考えてる方は多くいるみたいで、ちょっと不穏な要素ですね...最終盤の最終決戦周辺で瞳が輝き出し目が見えなくなるアンジェとかいうことになったら絶対辛い...でも輝く緑の瞳のアンジェ、儚げな美しさがあると思うのでそれはそれでビジュアルとして見てみたいなぁとも。どうなるのか座して待つとしましょう..

 

アンジェを象徴する要素として他エピソード中でも度々描かれるアンジェの「嘘つき」ですが、今回のエピソードでは主人公アンジェのキャラの印象付けの意味合いもあってかより濃く強調され、それを通じたエリックとの交流がメインとなって本編が展開されていきました。

エリックをからかうようなコミカルな嘘から始まり、一緒の時間がある増えたこともあってかアンジェも真実を多少なりと織り交ぜた身の上を語り、エリックもそんなアンジェに同情を寄せるようになり、とお互いに少なからず心を許していくようになっていき...

最後には互いに相手を欺く嘘の下で対峙することになる。

2人の交流がじっくりと描かれていた分この流れは凄く見ていて辛い。単に敵同士として衝突しているならばまだしも、エリックもこの結末を心惜しく思っているような姿を見せるし、アンジェも態度こそ平静だけど表情に影がかかり想いが窺い知れない場面があったりするのがまた...
そしてこの後の2人のやり取りも胸が締め付けられる...

「流石は家族を殺された経験者だな...」

「あれは貴方を油断させるための嘘」

「じゃあ、君のオムレツが美味しかったことも...」

「嘘よ 買ってきたの」

「星が...綺麗だったことも...」

「きっと嘘ね」

「僕を殺すのか?」

 

いいえ

 

(銃声

「! ハハ...」

 

「いいえ(銃声

   いいえ...(銃声

   いいえ...(銃声」

 

つらい 書いてて余計につらかった...

嘘と否定するアンジェの台詞回しが「きっと」を交えたりとだんだん自分の中で否定しきれないかのようなものになっていってるところや、言い聞かせるかのような「いいえ」の語気がどんどん弱まっていくところ...アンジェの内面を感じさせる描写の数々がじわじわ響いてくるんですよね

弾を抜いておいたというアンジェの嘘でエリックが落とした拳銃をアンジェが拾い上げ、それを用いてアンジェがエリックに引導を渡すという嘘」が節々まで徹底された作劇は見事で、演出の仕方が凄く巧い...

  • 優しくなんかないわ

エリックの死という辛い結末に終わったながらも、アンジェの采配によってエイミーにケイバーライト障害の手術がされることになるという僅かなながら救いのある展開でストーリーは締め。前述のエリックとの対峙のシーンでエリックの死に保険をかけるところや、プリンセスに優しいと言われてそれを否定するところなど、最後の最後まで嘘という要素を貫きつつ、切なく悲しくも綺麗に締めるエンドがとても良かったです。優しくないと否定するアンジェの表情が少し悲しげなのがもう...

エリックに引導を渡したことに何も思ってないのも嘘なんだろ?

嘘って言いなよアンジェ

言えよ...

 

 

以上プリンセスプリンシパルcase13、作品のスタートを飾る第1話なだけあって作画、劇伴、キャラの動かし方など全てに力が入っており、作品の導入として完璧な回だなぁと改めて感じました。アンジェとエリックの交流も、巧みな台詞回しで濃い人間ドラマを展開しつつ少しずつダークでビターなテイストを交え作品の空気感を描き上げていく作劇が見事で、見れば見るほど胸が締め付けられるけど色々感じ入るものも沢山ある今作の白眉だなと今回の視聴でより強く実感。総じてプリンセスプリンシパルという作品の魅力を詰め込んだ素晴らしい回だったと思います。良かった

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた