AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

最強戦士と、すれ違う親子

仮面ライダークウガ

EPISODE44、45「危機/強敵」

感想レビュー

 

 

2人で一緒に早朝ランニングをする五代さんと一条さん。

2人ともいつからそういうことしてたの...!と思わず反応してしまうくらいに当たり前のように2人がこういうことも一緒になってやってる描写が入ってきてるの、さり気ないながらも40話以上に渡り共に肩を並べてきた2人の絆の深さを感じられて地味に好きです。もう2人ともクウガと警察とか関係なく普通に友達なんだよなぁ、と改めて強く感じる

 

  • 親愛なる人達へ

今回初めて五代さんと松倉本部長が対面し、松倉本部長直々に五代さんへこれまでの協力を感謝するという非常に胸熱なシーンが描かれました。EPISODE32でクウガ/五代さんを縁の下で支えた影の立役者の1人である松倉本部長が物語も佳境に入ったこのタイミングで遂に人間同士として五代さんとこういうやり取りをできたというのは感慨深いですね。

そんなやり取りにおいて五代さんが、劇中で幾度も登場していた彼を象徴するアイテム・名刺を松倉本部長へ渡す下りがありましたが、本エピソードでは他にも桜子さんやジャンが昔五代さんに渡された名刺を手に、五代さんとの思い出を懐古する下りがあり、名刺が五代さんと登場人物達を結びつけてきたものとして象徴的に示されていました。

1964個、1834個、と2000の技を覚える前の名刺というのも五代さんと桜子さんやジャンの繋がりの深さが感じられ、ここにきてこういう五代さんを中心とした繋がりを改めて登場人物達に思い起こさせるのは温かで微笑ましく、しかし同時に、この名刺のシーンをはじめとして皆が五代さんへの想いを強く抱くという描写は最後の展開に向けての溜めでもあったのかなと思ったり

 

  • 白く迫る魔

一方、ザギバスゲゲルへ勝ち上がるため最後のプレイヤーとしてガドル閣下がゲゲルへと動き出さんとしている時、彼に向けてダグバの

「待ってるよ」

の言葉が響く、そして遠くには閣下を見つめる白い衣装に身を包んだ青年の姿があった...
BGMを寸断させて台詞が発せられるという演出が実にゾッとさせられるものであるのに加え、その声があどけない少年のものという、恐らく多くの視聴者がダグバに抱いていたであろうイメージとは大きくかけ離れたものになっていることが逆にインパクト大、という鮮烈にダグバの存在感を示す演出が強烈なここのシーン、ラスボス格の魅せ方として凄まじく強烈だなぁと感じましたね。

その他にも、劇中で幾度も描写されたダグバ人間態が街中をはじめとした様々な場所に現れ不敵に微笑むというカット、これも全身白づくめの出立ちがぼんやりとしか描かれないという構図が未だ全容の見えないダグバの底知れなさを示しているようで凄く印象的でした。なんかダグバの演出ってホラーじみたテイストがあってそれが他のグロンギ達と一線を画す風格になっているのが良いなと。

 

  • 破壊のカリスマ

そんなダグバからのラブコール(ではない)を受け、現代の戦うリント・男性警察官をターゲットとして、警察署へと白昼堂々乗り込むというゲゲルを開始したガドル閣下。

バルバ共々現代のリントの変化に目を付ける様が描かれていた閣下が戦うリントにその牙を剥くというのは、現代のリントを自身が真っ当に戦うに値する相手と見定めているかのような感じがあり、彼の武人的な側面が窺えるかのよう。

これまでもたびたびその強大な力の一端を見せつけていた閣下でしたが、本格的なクウガとの衝突をもってその力のほどが明かされることとなり、その強大さたるや、

クウガの必殺技を何度も受けながらも、今までのグロンギが少なからず苦しむような様子を見せていたのに対し、まるで少したりとも物ともしていないかのような振る舞い

クウガの武器を逆に自身の武器へと変換し直すという荒業

とてつもない爆発を巻き起こすボウガンの一発や、タイタンフォームの装甲を紙のように切り裂く剣撃など、恐ろしいまでの攻撃の威力

最高威力のライジングマイティキックをあっさりを耐え切るタフネス

などどれもこれもがこれまでのグロンギとは桁違い。それをクウガのスペックを次々潰す形で丁寧に見せていく演出が実に恐ろしかったですね。

槍・ボウガン・剣といった武器の数々、強化により得た更なる強化・電撃態など、クウガに対応した力を多く持っているという設定もまさにクウガの対になっているという感じで、最終決戦を前に立ちはだかるボス格として文句なしの格を見せてくれました。

しかし電撃態の必殺技が回転しながら相手にキックを叩き込むゼンゲビ・ギブブ(電撃キック)、ってかなりストロンガー感ありますよね。何よりモチーフカブトムシですし。助走をつけるために後ろに下がる動作があったりと、この技にもクウガに対応した演出が入ってるのが細かい

 

これまでゴのゲゲルにおいてたびたび現場に現れてプレイヤーが狩った人数をカウントする姿が描かれ、その威圧感ある出立ちから存在感こそあったものの本筋には絡んでこなかったラ・ドルド・グ。

この実質最後のゲゲルにおいて謎だった怪人態が明かされると共に、ゲゲルを駄目にした報いとして閣下から粛正のための決闘を申し込まれるも、物怖じする様子もなく「応じよう...」と返すという潔くも凄みを感じる言動でその力のほどを窺わせるなど、一気に只者ではない雰囲気を見せてきたのが印象的ですね。他のグロンギ以上に高度な文化的雰囲気を漂わせる民族風の衣装を纏った、山伏・神官的な出立ちの怪人態のデザインも凄く味があり、なかなかどうしてクセになるキャラなんですよねドルド。閣下とお互い怪人態になって向かい合うところの強者格の怪人同士の対峙、って雰囲気が凄く痺れて好きなんです

 

  • やっぱりおかしいんだよなぁこの人

そんなドルドの攻撃をくらい、高所から盛大に叩き落とされてしまった一条さん。最早これまでか...

と思いきや、

ギリギリで縁にぶら下がって生きてました

やっぱりおかしいよこの人の生存能力...() ぶら下がったままになってた一条さんを下から見てた杉田さんがめちゃくちゃ焦って助けに向かってて、助かったと知った後はだいぶガチめに胸を撫で下ろしてたけど、いやほんとあんなもん見たら心臓止まるわ!!!!!!普通はああなったら自力で助かれませんよ一条さん...

実際あのぶら下がるシーン、葛山さんがマジにぶら下がってるらしいカットがあったりして緊迫感が凄まじく冗談抜きに怖い。一条さんが一条さんで良かった...(?)

 

  • 母として在りたいけど

そんな強力なグロンギ達が物々しく活動する中、本エピソードの中核たる要素として描かれたのが榎田さんとその息子・冴くんの物語。

榎田さんが冴くんに向き合いたくてもグロンギへの対処のため思うように接することのできないもどかしさ、それにより所々でほのかに漂う冴くんとのすれ違い、といった描写はこれまでのエピソードでも何度も描かれてきましたが、いつ決定的な出来事が起きてもおかしくない危うさを抱えていたこの問題が遂に本エピソードにて爆発。冴くんは心を閉ざし荒れてしまい、榎田さんも肝心なところで息子に向き合えない葛藤を振り切りグロンギへの対処のため真剣に研究に向かうも遂に限界が訪れてしまう...という一気に崩壊寸前の状態へと向かい始める親子の描写があまりにも辛い...冴くんのおばあちゃん(榎田さんのお母さん)からの「貴女は冴の母親」という言葉が幾度も榎田さんに突き刺さるところは特に心が締め付けられ、心の底では分かっていても息子と自分が多くの人々のためにやらねばならないことの板挟みで苦しむ榎田さんがあまりにも不憫でなぁ...
そこへ偶然駆けつけるは、榎田親子の確執について幾度も気にかけていたジャン。彼を交えてこの親子の繋がりがどう動いていくか、これが次回の見所ですね。

 

  • 更なる進化

そして閣下の決定的な一撃により倒れてしまった五代さん。眠る彼が少し前に「更に電撃を受ければライジングをもっと強くすることができるかもしれない」といった旨のことを言っていたことを桜子さんから知らされ、迷いながらも彼に更なる電気ショックを与えることを椿さんは決めたのだった。

「みんなの笑顔が見たいから、ただ自分のできるだけのムリをしてる、ただそれだけ」

という五代さんの戦う覚悟を受け、桜子さんは信じて見送り、椿さんも彼の覚悟を重んじ自分にできるムリをすると決意する、と序盤から描かれてきていた五代さんを信じる人々・彼のために自分にできることを全力で頑張る人々という構図が改めて強調されるのが良い。

彼らの覚悟の先に目覚めるものとは...

 

以上クウガ44、45話、最終局面を迎えたグロンギ達との戦い、そこへ本格参戦したガドル閣下の圧倒的な力や徐々に増していくダグバの存在感が印象的なのに加え、榎田親子の関係性や、五代さんと彼を取り巻く人々の関係性の描写など、今までにも描いてきた登場人物達にまつわる構図がピックアップされ深みあるドラマが展開されていく様が目を引いた回でした。ほんとクウガは1年かけてのキャラクターやその関係性の活かし方が上手い作品だなぁ、と改めて実感しました。

いよいよクライマックスへ突入したクウガ。その物語の中で描かれるドラマから、目を離さぬよう。

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた