第19、20幕「影の正体/黒い太陽」
振り返り感想
「だって僕は『自分を信じている』もん。
自分を信じて『夢』を追い続けていれば、
夢 は い つ か
必 ず 叶 う !」
からくりサーカス 第28巻 サーカス〜最終幕 第59幕「黒い太陽」
「白金、
ディーン・メーストル、
才賀貞義、
フェイスレス司令。
全員同じ人間。
君らにゾナハ病と災厄をばらまいた男だよーん!」
うーんこの、クソ!!(
フランシーヌへの妄執が自動人形とゾナハ病の災厄を生み出し長きに渡るしろがねの復讐の戦いをも引き起こし、
やがてアンジェリーナにフランシーヌを投影しそれが自分の手に渡らないと知ると多くを巻き込み暴走、
果てはエレオノールにまで一方的にフランシーヌやアンジェリーナを重ねて執着し、それを手に入れるために全てのしろがねや自動人形、世界中の人々、そして勝の運命を手のひらの上で転がしおどける
そこにあるのは他の全てを巻き込み焼き尽くそうとお構い無しに、自分の行いを正しいと信じる邪悪な輝き...
たった一人の男の恋から始まった僅かな歯車のズレが狂気極まる独善へと変貌し、世界中全ての人々の幸福の歯車をも狂わせ打ち壊していっていた、というからくりサーカスの物語の全ての災厄の衝撃の種明かし、いつ見ても圧倒的なインパクトを誇ってますね。
人生そのものを大きな舞台装置、そこで生きる人々を歯車に例えたこの表現凄いよなぁ...からくりサーカスの物語でも指折りの盛り上がりを見せる山場ですよ
満を辞しての黒幕登場というところで言うと、アニメではカットされたけど、正体と真実を晒したフェイスレスの顔を見てギイ、正二、勝がそれぞれ
「フ...フェイスレス司令......」
「ば...ばかな...貞義(ディーン)!」
「とうさん...」
っていうシーン凄く好きなんですよね
「仮面ライダーストロンガー」最終回で岩石大首領の声に7人ライダーがそれぞれ敵対していた組織の大首領の声を思い出すというあのシーンを思わせる、複数の者がそれぞれ抱く別々の因縁の元凶たる存在は全て、たった1人の巨悪に集約されるものだった!っていう衝撃が最高に盛り上がるんすわ
身近な人の幸福を願い人生を共にすることを誓い合った銀とフランシーヌや、永劫が終わっても寄り添い続けると約束し合った正二とアンジェリーナの対比とも言える、恋した女に永劫に渡り執着し続けて関係のない女達の人生にまで付き纏い、自分の幸福のために全ての他者の幸福を踏みつけてゆく金(ディーン(貞義(フェイスレス)))の在り方はこの上なくおぞましくゾッとするものであり、自分のやってきたことなぞお構いなしと言わんばかりに自分の夢を信じ進むことの素晴らしさをコイツに高らかに語らせ、その様を「黒い太陽」と形容した作劇はマジで天才的だなぁと思いますね。誰かの幸福を願う気高さを湛え多くの人々に温もりを与える輝きではなく、自分が正しいと本気で信じる歪な真っ直ぐさを抱き眼下の全てを焼き尽くすドス黒い灼熱...
けどそんな彼の邪悪さを描く上で、金の教会でのワンシーンや金の意識を宿してその記憶を辿る勝の下りはカットして欲しくなかったなぁ〜と思うところ。金も最初本当は誰かの幸せを願おうとしていたんだということが示唆されるからこそその後の些細なすれ違いが「歯車のズレ」として凄く辛く重いものになってくるし、そんな金の記憶も一緒に辿る過程を経たことで勝の「なんでみんな幸せになれないのさぁ!?」がより力強い想いのこもった台詞になってるからなぁ。この辺のカットによってこれらのエピソードで描かれたメッセージ性が原作既読勢としては少し弱めになったと感じられたのは惜しい(金の意識を宿した勝の狂気に満ちた表情も好きだからアニメで観たかったし)。フェイスレスの黒幕感や邪悪さをより際立たせたかったのかもだけどね
とはいえ、勝が祖父・正二に誓う決意や、正二が大切な孫・勝が最後にくれた思い出に浸り、強くなった彼を信じて娘・エレオノールを託して最期を迎える様、今一度永劫のその先まで共に歩んでいくことを誓い合う正二とアンジェリーナのシーンは、フェイスレスの悪辣さが際立ってた分凄くグッとくる描写としてきちんと描かれてて良かった。本放送時もそうだったけど、正二・アンジェリーナ夫妻の描写はなんか一際涙腺にくるんだよなぁ...二人を比喩するように自由に連れ添い飛び立っていく2羽のとんびのカットも象徴的で好き
総じて今回も巻きに巻いた部分は多かったものの、やはり最高に盛り上がる局面でしたねぇ
物語はまだまだ熱狂の渦を巻き起こしながら、更に盛り上がっていきますよ...お見逃しなきよう
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた