AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

今もこの先も、大事な友達

ウルトラマンコスモス

第4話「落ちてきたロボット」

感想レビュー

 

 

ビビン星の玩具で、持ち主のゲバンの下を離れ地球へと落ちてきた友達ロボット・イゴマスと、アツシ、タツヤ、ナオコの3人の子供達の交流を描き出す、という今回のストーリー。

今回の脚本はこれまた平成ウルトラシリーズだとお馴染みな川上英幸さん。SF色強めな設定を分かりやすく噛み砕いた上で重厚に組み上げ、且つその中にじんと沁み入る人情味やコミカルな面白さを含ませた名単発回を多く繰り出すことに定評のある方で、幼少期に視聴した平成ウルトラシリーズのグッとくるエピソード、特に面白かったエピソードは後で確かめてみると川上さんが執筆されたものが多かったりするので自分的にウルトラシリーズだとけっこうお気に入りの脚本家さんです。

そんな川上さんが担当された本エピソードも、遠い宇宙よりやって来たイゴマスと3人の子供達が心を通わせ友達になっていく様をゆったりした感じの会話のテンポ感などで描き出すしっとりとした雰囲気のジュブナイル的なストーリー展開と、イゴマスにまつわるビビン星の設定やイゴマスのとある背景を少しずつ掘り下げていくSF設定の構築と提示が良いバランス感で絡み合い、ドラマを盛り上げていく様が楽しかったですね。見上げるほどに巨大なイゴマスを玩具と言い張れるほどの星の住民達のサイズとか、意思疎通や感情の機微も備わった超絶ハイテクのイゴマスがビビン星だと使える電池ももう無いレベルの骨董品扱いなほどの科学力とか、この辺の良い感じに外連味の効いたスケールの大きい設定は物凄く唆られますね...あえて実態そのものを最後までぼかしてるところが想像を掻き立てられてまた良い ニュージェネシリーズでもビビン星のこの辺の設定引用したらそれだけでまた一本話作れそうだしそういうの妄想するのも楽しそうよね ビビン星最新式の玩具ロボットとか、それを回収しにきたビビン星人ご本人とか...

 

また本エピソードは何気にTEAM EYESが怪獣ではない=無生物の存在の出現というパターンに対しどういう対処に動くのかといった点や、怪獣の行動による想定される被害や危険度に応じ適用するコンディションの説明を子供達を介すことで端的に示した点など、TEAM EYESの設定をよりグッと深掘りしており、視聴者の作品への理解度や没入度を1段階高めているのも絶妙。前回の長谷川さんといい、作品の地固めが重要となる序盤においてウルトラシリーズ経験者のお二人が「ここはどうなんだろう?どういう意味だろう?」的なポイントを先んじて回収してくれたのは大きかったなと

 

後半、話は自分が廃棄されてしまったことを知ったイゴマスが混乱して暴れ出し、EYESによる攻撃やイゴマスを止めようとするコスモスとの戦闘が始まるという展開に。巨大ロボットの馬力を鑑みた故だろうけど、ここでコスモスがコロナモードになるのは実は個人的にちょっと意外だったりしましたね。こういう場面こそルナモードでバシバシといなす戦法を取りそうだと思ってたし(兵装こそないけど相当とんでもないパワーなんだろうかイゴマス...)

しかし最終的にイゴマスは自分の暴走がアツシ達を危険に晒したことに気付いて穏やかになり、危険な目に遭おうとも自分に寄り添おうとするアツシ達の想いを受け止め、友達のためコスモスに自分を破壊するよう懇願する。イゴマスと子供達の交流が前半に温かく描かれてただけに、友達のためを思い自己犠牲を果たそうとするここのイゴマスの覚悟は切ない...しかしイゴマス、ほんと自我が強固だよなぁと改めて思う。

またここのイゴマスの「自分の体が大きすぎるせいでアツシ達を危険な目に遭わせてしまう」という想いは、引いてはこのコスモス世界でムサシが目指す怪獣との共存においても立ちはだかってくる壁の一つなんですよね。現実問題、巨大な生物は存在し動き回るだけでも人間社会を混乱に陥れ得る存在になってしまうわけで...そこを課題として、巨大な存在の側であるイゴマスの想いを通して強調したのもまた巧いところだよなぁと

 

ラスト、イゴマスの想いを汲んだコスモスが彼を小さくしてあげたもののイゴマスは電池が切れてしまい沈黙、地球の科学でそれを作り出すことは難しいという非情な現実が立ちはだかることとなったが、子供達の1人タツヤが「自分がいつか必ずイゴマスの電池を作ってみせる」と誓うという形で締め。そのいつかの未来に自分達が物凄く大人になっていたとしても、今度は自分達の子供もイゴマスの友達になり、そのまた子供もイゴマスの友達になり...と想いが繋がることでイゴマスはずっと友達と一緒にいられる、とも付け加えられ、子供達がイゴマスとの友情を悲しい結末に終わらせず明確な目標や方法でもってほのかに希望が示し繋いでいく道を選んだのは凄く良かったなぁ...こうして諦めることなく常に未来に希望を信じ進んで行こうとする者が、異なる者達と理解し合い共存の道を拓いていく、というのをコスモスの世界観、設定、テーマ性に沿わせる形で描いたこの作劇、とても胸に響きますね。怪獣ともの共存を目指すムサシの想いというところを見ても、コスモスという作品が伝えたいことはこういうことなんだなと思うなぁ 凄く良い纏め方だった

 

 

以上、コスモス4話でした。子供達とイゴマスの友情というところにおいて、ビターさを感じさせる展開を経ながらもそこで終わらせず、子供達が希望を示していく引きとなったのが実の良い味わいでしたね。作品設定の引き締めも込みでドラマ全体の組み立てが非常の上手く、川上さんの手際の良さが見事な回だったなと。SF的な面白さを存分に味わえて、ジーンとくるドラマ性もある、とやはり川上さん脚本回は良いね

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた