AnDrew’s小生意気レビュー記

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近付く歩み

仮面ライダーセイバー

第39章「剣士よ、信じる道を行け。」

感想レビュー

 

 

タッセル帰還ッ

タッセル帰還ッッッッッッ

なんだかんだでタッセルの冒頭のべしゃりがあると安心する自分がいますね...もう話も終盤だけど最後までたっぷりべしゃって見せつけてくれ しかし森の中でルナを無言で探し歩くあの格好のタッセルの画、凡百の不審者どもが束になっても勝てなそうなほど凄く不審者って感じで良い() だがタッセルは現世の理には縛られないから構わないのである(へりくつ

 

前回の話を経て、長きに渡り色々なものを抱えて独走を続けていた賢人も遂に飛羽真達の下へと戻ってきてくれました。やったぜ東映公式サイトのあらすじに「飛羽真達の仲間の輪に戻らなかった」とか書いてあってこの期に及んでまだ戻らねぇつもりかとか心配してたので、やっと背負い込み病が完治して嬉しいぞ賢人ォ!!

賢人が皆の下へ戻ってくるまでを描くにあたり、賢人のところへとやって来た飛羽真・倫太郎・芽依の3人が桃太郎のキャラに扮して芝居がかったやり取りで賢人を迎え入れ、賢人もそれに乗っかる形で飛羽真達に改めて歩み寄る、というやり取りが行われてたけど、ここはセイバー最序盤で飛羽真が子供達や賢人と絡む時にちょろっとだけ描かれてた物語に入り込んでキャラクターになり切る演出を今一度拾った形になってて懐かしい気持ちになりましたねぇ あの演出、ファンタジー風味のセイバーのテーマ的にもかなりマッチしてて楽しかったと思うしこれは嬉しい。

また、そのノリに昔のようにノリノリで乗っかり、仲間として飛羽真達と明るく砕けた雰囲気で絡む賢人の姿が描かれたことで「あぁやっと賢人も色んな重荷から解放されたんだな...」というのが強く実感されて、賢人の物語の一つの決着としても気持ち良く落ち着いたのも良きところ。賢人の物語は他のキャラにも増して濃く重厚に描かれてる分、見応えがありつつも焦ったく感じる場面も多かったりしたけど、その締めをこうして湿っぽくせずカラッと爽やかに描き、かつての明るい関係性へきちっと回帰させてくれたことで色々許せちゃうまでありますね...いやぁ良かった

かくしてノーザンベースの顔ぶれや空気感もかつての感じに戻ってきて、終盤に向けてキャラの関係性というとこでも安定感が戻って来たのは嬉しきかなって感じですね。もう残すところ十話前後というところだろうけどキャラ同士の明るいやり取りがまた見られるといいな 悪役みたいな笑い方する聖剣キチ大秦寺さんその標的にされ恐怖するユーリのやり取りが久々に見れたの楽しかったしw あの後掘られてしまったのかなユーリ(

 

そんな中で蓮は未だ皆の下へと戻ってくることはなかったけど、飛羽真が示した強さや可能性を目にしたことを受け、自分自身が求めるべき本当の強さを見極めようとしていたことが語られ、強さを追求する元々の気質から来る意地とも言えるであろう一面と、これまでの出来事を経て様々な強さを見てきたからこその、自分自身の本当の強さを己の力で見つけてみせるというプライドのような一面が窺え、ただ単に意固地になってたりするわけでなく、ちゃんと考えがあって今も戻らないと分かったのは良かったですね。かつての師匠や賢人に依らず、自分自身の足で歩を進め答えを見つける決意を示しつつも、自分を今でも仲間と思ってくれる賢人の信頼の気持ちに応えるように一応ちゃんと本人の前で「無事で良かった」と伝えてあげる仲間としての繋がり・情もちらと見せたりと、特定の何かからの依存を越えて自分や他人を冷静に俯瞰し、どう動くべきか考えることができるようになったと言えるこの姿は彼の成長が感じられてちょっとグッときた。賢人に自分の想いを語るシーンの話し方が、冷静ながらも冷めてるわけでなくきちんと想いがこもってる感じの絶妙なトーンだったのが好き。早く帰って来て欲しいね

強いて言えばこの辺は飛羽真との決闘を踏まえた前回の時点で少しでも示しててくれてたら蓮の前回の参戦ももっと引き立ったかな、と勿体無くは思うところ。クロスセイバーの覚醒を目にしてこそ決まった覚悟という感じなので前回の時点でそこを感じさせないのは当然とも言えるけど、やっぱ飛羽真との決闘というイベントを経た変化は何かしら感じたかった

※2021/06/13追記

前回の話における蓮の変化の描写として、イザクとバハトに放った「お前達の強さは正義じゃない」は飛羽真との決闘を経た上での意味ある変化の表現だったのではというご意見を見かけ、これはなるほどなと思ったので追記。単なる「強さ」という大きな括りでなく、強さの種類というものに既に目を向けられるようになっていたのはたしかに今回の描写に通じるものがあったと言えるかも。参考になりました

滝はじめ on Twitter: "クロスセイバー登場回の蓮の変化、恐らく本人も意識して言ったわけじゃないと思うんだけど「お前たちの強さは正義じゃない」って発言が出た所に集約されていると思うのよね。 あれが出た時点でその前に決闘と会話をした意味はあった。"

しかしそんな蓮をちょっと引いた位置から見守るデザスト、めちゃくちゃ保護者って感じで面白かったな...w 前回(多分)虚無を手にして何かしでかすかと思ってたのに本当読めないw てか賢人は蓮の近くにコイツが当たり前のようにいることに何か突っ込んでくれ()

 

中盤ではサウザンベースに飛羽真・倫太郎が乗り込む展開がなされ、イザクの悪としての本質が更に強調されることとなりました。

ちなみにこれに先んじてサウザンベースに乗り込んだ神代兄妹が、イザクにより動かぬ身にさせられ無力化された衛兵を目にしており、よく視聴者から突っ込まれていたサウザンベースの一般衛兵はどうなってるんだ、についてがようやっと補完されました。この辺ちょっとした描写を挟むだけで今まで示すこともできたと思うのでやっとかよという感じではありますが、こういう痒いところに手を出して補完してくれたのはありがたい。内田さん脚本回はこういうところ細かく拾ってくれるのでやっぱ内田さんマメなんだろうな 良い

話は戻ってイザクの本質について。前回の時点でもイザク自身はなんの信念も想いもなく力を振るう者というところが強調されておりましたが、今回はそこにより深く切り込み、マスターロゴスとしての使命を全うする人生を退屈と断じた上で、その退屈を満たすために大いなる力でもって自身が世界を変え、人間を選定しようとしているという身勝手極まりない部分が描かれており、その邪悪っぷりがより濃く際立ちましたね。

それ以外のところでも、飛羽真達の問いを受けて実は狂気に身を堕とした悲しき理由があると語る...と見せかけてそんなものなど無いと嘲笑う様や、「世界が変われば人間は変わる(世界を混沌に堕とし人間達を争わせ、自分が選定する)」というユーリや飛羽真の「人あってこその世界」の対になる邪悪な思想など、信念を持って何かを守ろうと戦う剣士達にどこまでも相反する本質がドス黒さ全開の台詞回しや相馬さんの怪演で見事に表現されており、今回のイザクは総じて最高に傲慢で異常な最凶悪として良い存在感を発揮しており見応えがあったなと。ルナと繋がったことで世界を守ることと引き換えに消滅する運命にある飛羽真に対し、ルナを死神と吐き捨て、自分こそが飛羽真を救ってやった感謝されるべき存在と事もなげに言い放つ詭弁家ぶりも良い感じに吐き気のする邪悪って感じで好み。何度も言ってるけどこういうぬるりとした悪趣味な台詞回しや身勝手な理屈をさらりと押し通す態度で存在感を発揮させキャラクターとしての味わいを高めてる辺り、やっぱり内田さんがイザクの描き方を一番心得てるなと自分的には思いますね(比べる形になって申し訳ないけど)他の脚本家さんの回だと単なるヒャッハ-!!的な狂気性の表現がやたらに際立ってそれで小物小物言われてる気がするなぁと個人的には感じるし

 

そしてクロスセイバーvsソロモン、ブレイズvsカリュブディスの戦闘シーン。予告の時点で目立っていた異世界のCG表現の下での戦闘が凄く見応えがあったのは勿論、それ以外にもCG多めの迫力ある演出で壮大に描かれるソロモンの攻撃、聖剣ミックス攻撃ギミックや強化形態・クリムゾンセイバーへの変身などを存分に活用したクロスセイバーのカッコよい奮戦など見所が多く、前回ほどではないにしろスケール感が凄く際立った、クロスセイバー・ソロモン双方の格を良い感じに保たせたハイレベルな戦闘を見られたので実に満足度は高かったですね。ブレイズvsカリュブディスもアクションや演出多めの引き込まれる戦闘だったし、前半に描かれた神代兄妹vsソロモン戦もデュランダルの界時抹消連発からの不意打ち&ソロモンのカラドボルグ後出し配置によるデュランダル攻略といったテクニカルなバトルが面白かったしで、今回は全体的に柴崎監督の巧みな魅せが戦闘を引き立てていて良かったなと感じます。

 

そしてラスト、組織に身を捧げる立場として飛羽真達と深く相容れることこそない点は一貫してるものの、剣士として彼らにきっちりと借りを返し、それに応えて戦ってくれて且つ傷付いた自分達を助けてくれた飛羽真達に感謝を述べたことを通じ、神代兄妹が飛羽真達との距離を縮めたというところで締め。玲花がブラコン暴走させ始めたのを筆頭に、凌牙も素直に礼を言い切れず飛羽真達にいじくり倒されたりと、この2人も大いに軟化してきたな...w OPの変更シーンにおいては盛大にぶっ壊れてるしな凌牙() ギャグ風味にすることでキャラクターに仲間的な雰囲気を出させようとする作劇は一概に良いとは言えないスタンスだけど、OPの凌牙には普通に笑っちゃったのくやしい

しかし凌牙の軟化を即座に感知してすぐにいじりにかかってた倫太郎、ギャグ風味ではあったけどああしてすぐに壁を取っ払って仲間意識を共有しようとする様は良い一面が出てて何気に好き。凌牙からしたらウザかっただろうけどもさ!

神を名乗るイザクを「貴方はただのホモサピエンスだ」と強く叱責し、それでも引く気のない彼に対しては「悪趣味な神」という表現をあえて用い倒す決意を固めたりと、終盤の倫太郎は要所要所でカッコいい言い回しや彼本来の良さの光る態度が多く見られて良いね

 

そして場面は再び現世に戻ってきたルナへ。彼女を求めて各勢力が交錯し、戦いは大詰めへ向かう...

 

以上、セイバー39話でした。賢人の帰還、蓮の信念、イザクの本質、神代兄妹との和睦など、各キャラクターの動きを細かく描き出す作劇で全体的に大きく盛り上がった回になりました。物語に入り込んでキャラになり切る飛羽真・賢人達のやり取りといった懐かしの演出を入れ込み活かしたりと、セイバー由来の要素を存分に活用する場面も多くあって内田さんのマメで作品に対し誠実な作劇はやはり個人的には凄く好み。内田さんが書くイザク凄く良いんだよなぁ

戦闘シーンも柴崎監督によるスケール感高めの惜しみないバトルが見応え抜群でカッコ良かった。クロスセイバーをはじめ、他のライダー達にもこの調子で是非最後まで大いに活躍して欲しいものです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた