第10話「青銅の魔神」
感想レビュー
ストレスが無くなった時のちょっと気持ち悪いまであるごきげんな様子といい、ストレスが激化した時の戦闘狂みたいな暴れ方といい、大西さんはフブキ隊員をなんだと思っているのか...w ストレスの有無による性格の変化が両極端すぎるんじゃ(
ドイガキ隊員の大学時代の友人・吉井ちゃんこと吉井ユカリが初登場。今回はそんな吉井ちゃんからの連絡や無自覚タッチに心臓バックバクになったり浮わついたりするドイガキ隊員が本編中でちょいちょいコミカルに描かれており、ゴリゴリに画面から溢れ出るラブコメの波動が面白い。w しかし吉井ちゃんを演じられてる堀江奈々さん、凄くお綺麗な方なので画面映えするなぁ。良いキャスティングである
そんなドイガキ隊員と吉井ちゃんの関係性に関しては今回深くは掘り下げられず終わりましたが、それ故に「吉井ちゃんまた登場して欲しいな〜」と感じさせられる塩梅になってるのが絶妙。そして実際、後に数度再登場しドイガキ隊員との色んな話を繰り広げていくわけですが...こちらは後のお楽しみ。
今回の話は古代文明の遺跡から出土した青銅像・ゲシュートを巡る物語。遥か昔に宇宙人が人間のストレスを無くすために送り込んだストレスを吸収するオーパーツが、ストレス社会の現代に蘇り暴れ出す、という一捻り二捻り加わったユニークなSF設定が非常に楽しい回でしたね。ゲシュートを収納する箱のマジックミラー号(違)ハーフミラーを使った構造などといった良い感じに不思議さが漂う要素の入れ込み方や、親切心から人間にゲシュートを贈った宇宙人の存在を適度にぼかす設定描写のバランスなど、物語に程良いミステリアスさをプラスする作劇も良かったところ。
また古代では数百年に一度溜め込んだストレスの影響で巨大化し暴れ出していたゲシュートが、現代においてはたった1日で巨大化し暴れ出してしまう、という展開を通してストレス社会の現代への警鐘的なメッセージ性をマイルドな感じで入れ込んできてるのも面白かったポイント。人間関係の複雑化等でちょっとしたやり取りでもストレスは溜まっていくわ、周辺の職場の環境とかでも気苦労が絶えないことが多いわ...という感じで、人間の心身が決して強くできてはいない一方で、人間社会や秩序は時代が進むにつれ人間にとって少々窮屈なものになっていった、とはなんとも難儀なものです。でも一応人間らしく生きるためには、人間社会で秩序を守って生きることがまた必要なわけで。...ますます難儀だ
そんな人間にとって苦痛なストレスも人間の身体への警告として必要なものであり、故にストレスを感じる時は無理をしないことが肝要、という教訓めいたメッセージを最後に強調するところまで含めて、今回の話はテーマの扱い方が巧かったなと関心。無理はしない程度に生きたいものです。しかし放送から20年近く経った現代が無理しない程度に頑張れる世界になってるかというと...この話はやめよう(
そうして暴れたゲシュートは最終的に、コスモスにしこたま叩き込んだストレスエネルギーを更に増幅されて跳ね返され、ストレスを溜め込み切れず爆散、という形で大人しくさせられました。他人のストレスをケアするカウンセラーだって鬱憤が溜まればキレるし、それが限界を越えればぶっ倒れるんだぞ、という風刺に見えてくるなこれ...
「放送から更に時間が経ってますますストレス社会化が進んだ今の時代においてゲシュートが解き放たれれば、ゲシュートはもっと早くに暴れ出してしまうのでは」という話はウルトラシリーズファンの間でよく語られていますが、ほんと人間社会がそういう方向に進む一方なのはなんとも言えない気持ちになりますな...なんなら「ストレスがあまりに多過ぎてあっという間にストレスが限界まで溜まってしまい、一瞬で爆散するとこまでいってしまうのでは」的な声もあるくらいだし...(
そんな今回の話ですが、脚本を担当した大西さん曰く、元々は『ブースカ! ブースカ!!』に使う用だったけど没になったプロットを使ったものなんだとか。そう言われてみると、ゲシュートの倒し方の絵面といい、社会風刺的な要素を織り込みつつそれをややマイルドめなテイストで描いてる感じといい、どっちかというとコミカル系の作品に似合ってる話だよな...とも思ったり。こういう裏話は面白いね
以上、コスモス10話でした。ゲシュートの存在を中心に描かれる適度にミステリアスなストーリー展開やストレス社会への警鐘的なメッセージ性など、良い感じにSFエンタメ感あるウルトラシリーズらしい話だったなと思いますね。後の話にも登場するキャラ・吉井ちゃんや、彼女とドイガキ隊員の関係性などといった要素も楽しい良い回でした。無理しないように生きようなみんな
というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます
次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!
ではまた