AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

身勝手の極意人間

ウルトラマンコスモス

第15話「深海の死闘」

感想レビュー

 

 

第5話の初出以来、久しぶりに「春風コンビ」ワードが登場。ちょっとした一発ネタという扱いに留まらず、ムサシとフブキ隊員のコンビを象徴するキャッチーなワードとして幾度も使用することによってこの2人の関係性により注目しやすくさせてるのが何気に良い活用の仕方だなと思いますね(第5話で出たちょっとしたワードをその後も使用する形になったのか、早い段階から本編通してこのワードを使おうということになってたのか、その辺が気になる)

そんな春風コンビを軸に進んだ今回のストーリー。怪獣をバリアで覆い保護するというともすれば檻に閉じ込め自由を奪ってるように見えてしまう行動も、怪獣をカオスヘッダーという脅威から守るための盾になってくれるかもしれない、というフブキ隊員の怪獣という生命への想いが窺える作劇はフブキ隊員のキャラクター性をまたグッと引き締めていていましたね。怪獣ジェルガのバリアによる保護にも最初は反対していた、というフブキ隊員のムサシの想いに通ずる熱い部分がここでハッキリと見えてくるの良いよね

現実に負けず理想を諦めないムサシの姿にフブキ隊員も少しずつ態度を軟化させていき、そこからフブキ隊員が怪獣保護にかける想いを素直に示していくことでムサシも彼を理解していく、という構図がこれまでの話を通じて描き出されてるのが実に熱いなと。ムサシを生き残らせるためにあえて自分のピンチには口を紡ぐフブキ隊員の姿にもムサシへの思い入れが感じられてグッとくる。

本編で言われているように互いの意見を強く持ってるからこそぶつかり、そして共に成長していくという、ベタだけど良いバディの描き方でしたね

 

因みに今回の話の「生物の自由を人間の手で制限することの是非」という感じのテーマは、動物を動物園の檻に閉じ込めたりするのは可哀想だ的な現実世界における論調ともある種通ずる部分があるなと個人的に感じられ非常に興味深かったところ。心なき人間の手によって生命が脅かされることも少なくない現状において生物種を(可能な限り)人間の手で管理していくことは種の保全において重要になる(今回の話におけるカオスヘッダーの存在はそんな心なき人間の暗喩とも言えるかも)し、動物を展示する動物園も人々がそこで直に様々な動物に接し、そこから転じて動物達が直面している状況などへの理解・興味関心が深められていくことで、引いては生物や彼らが棲む自然を守っていくことに少なからずとも繋がっていくことになるという役割を果たしていくというところで重要だし、と、一見動物を人間の勝手でどうこうしてるように見えることも、実際は決して好きで自由を奪ってるわけでなく、多角的な視点から生物・種というものを守ろうとしていることの一環なんだけど、そこまで知らない人々からしたら狭苦しそうで可哀想、的な動物への見たままの同情寄りの印象の方が先行して非難が起こってしまう、というのはよくあることですし、まさしく今回の話に重なるものがあるんですよね。

動物をあるがままの自然とはまた違うところで生かすことは自由を奪っているように見えてしまい可哀想に感じられるのは分かるけれど、大事なのは人間が状況を多角的に見極める広い視野や生物種の保全に対する正確で深い理解、及び生命と向き合う上での正しい心を持って生物を守っていくことなのです それに動物園だって、動物を生息地と同じ環境で展示することで健やかに生きやすくしたりしっかり健康管理をしたりとちゃんと動物のことを大事に扱ってるしね(コスモスの世界で言うところの鏑矢諸島もそういう役割の施設だと思うし)

 

今回の戦いの舞台はサブタイの通り深海暗く深い海底というロケーションにおいて潜水艇に巨大な怪獣が襲い来る...というシチュエーションがシンプルに恐ろしいこともさることながら、潜水艇の狭いコックピットという生身で抜け出すことのできない閉鎖空間での深刻なアクシデントの発生というピンチが、見てるだけでも心臓が縮こまり息が詰まりそうになって非常にハラハラする、というところでウルトラシリーズの海底が舞台の回はいつも独特のスリルがあって面白い(コックピット内で火花がバチバチに散ったり赤ランプが点灯したりするのが視覚的にもめちゃくちゃ不安になるの分かるだろうか)のですが、今回は酸素の供給が絶たれるというなまじ生命の危機がイメージしやすい状況で、2時間のタイムリミットを設定され真綿で首を絞められるようにじわじわムサシとフブキ隊員を追い詰めていく展開がいっそう緊張を煽る感じになってたな...と カオスジェルガが徹底的に逃げを封じてくるのも見ててヤメテ...ヤメテ...ってなったわ なんかウルトラシリーズの海底戦闘回って閉所恐怖症の人とか観るの相当怖いんじゃないかな...と最近思ったりしましたね

しかし改めて視聴して思ったけど、ジェルガがカオスジェルガに変貌した時の目が吊り上がる瞬間、さり気ない変化だけど割と怖いよね。リアルタイム当時、上述の海底シチュの緊迫感もあってカオスジェルガのこの顔がけっこう恐ろしかったのを思い出した。てかジェルガって凄く爬虫類両生類っぽい顔してるのに背中に貝を背負ったりしてるけど、生物学的にはイカだのタコだの的な貝の仲間なから派生した生物なのか、それともそういう括りに一概に当てはまらない新しい進化の形なのか、気になる

 

クライマックスでは窮地のコスモスがフブキ隊員の援護により救い出されるも、ムサシは一緒にいる筈の自分がいないことに気付いたフブキ隊員に、コスモスの正体が自分であることを勘づかれただろうと覚悟する...が、実はフブキ隊員は倒れ意識がないままにコスモスを援護し救っており、その時のことを覚えていなかった、と判明するという形で締め。気を失ったまま戦い試合に勝利した、という冒頭で触れられたフブキ隊員のエピソードが伏線となり、ムサシのあわや正体バレかというピンチ展開といい具合に合わさって面白かったですね 無我の境地というやつだろうか、フブキ隊員...身勝手の極意に達してるじゃん(違う?)

 

 

以上、コスモス15話でした。ムサシとフブキ隊員の「春風コンビ」を再びピックアップし、双方がしっかりEYESの一員としての想いを持って絆を少しずつ深め合っていく過程をまた一つ印象的に描いていて面白かったです。そしてウルトラシリーズの海底戦はやはり良いな...と改めて。令和の世でも見たいな

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた