AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

自分にだけは決して負けない

ウルトラマンコスモス

第37話「フブキ退任⁈」

感想レビュー

 

 

「ある出会いがオレを変えた」と語るフブキ隊員に「もしかして...僕!?」って堂々と聞くムサシ、けっこう図太いよねw 普通は思っても自分からなかなか聞けないよ!

 

強大になっていくカオスヘッダーに対抗するべく防衛軍管理下に入って共に戦うようEYESに持ちかける防衛軍の幹部達に「EYESは怪獣保護の姿勢を変えない」と真っ先に啖呵を切るなど、EYESの一員としての本懐に誇りを持つ一面を強く見せるようになったフブキ隊員。

しかしそんな中でかつてEYESが保護に失敗した怪獣テールダスが出現、その身体には以前フブキ隊員自身が被害を防ぐべくテールダスを倒そうとして撃ち込んだ不発の破壊兵器・NX弾が残されていた...というところからスタートするフブキ隊員メインの今回。

冒頭の防衛軍との会議の一幕見てて感じたけど、防衛軍はあくまでEYESのスタンスを生温いと思って軽んじているだけで、その実力に関しては買っているのよな まぁそうでないとメビュートの時も一緒に戦ってくれと頼んではないし、今までの様子からも分かることではあったが

 

怪獣保護の現実に直面し、怪獣を保護するよりも倒す選択をすぐに取ってしまったりとやや過激な一面の目立った序盤から変化/成長し、怪獣保護を最後まで諦めない熱い心を強く抱くようになった現在のフブキ隊員の姿を熱く印象付けたところで、そんな彼が怪獣を排除しようとするかつての自分が残してしまった禍根と直面することとなり、その中で「人々を守るためにいざという時は怪獣を排除すれば良い」とふと考えてしまう自分自身の内面を直視することとなる、というフブキ隊員の自分自身の精神の弱さと言える側面との対峙を描いたエピソードとなっており、そこからのフブキ隊員の挫折と再起が主題となった作劇が目を惹く回でしたね。

「フブキ隊員の意識の変化」は作品全体を通してのさり気ない変化として印象付けても十分面白い要素ではあると思うけれど、「変化を経た現在」「変化を経る前の過去」の2つの軸を用意して、ある種弱い一面であったと言える過去の自分の意識をフブキ隊員が改めて自覚し、その上で現在の自分が今までの経験の中で得てきた強い意志でもってその自分の中の弱い一面を乗り越えるという展開を描くことで、フブキ隊員の変化/成長というところをキャラを形成する確固たるものとして物語上で強調することにしたのは良い采配だったと感じます 序盤の荒々しい一面について「防衛軍時代とのギャップに苦悩していた」的な側面があったと示し、フブキ隊員の根の生真面目さや優しさが強調されたのも良いアクセントでした

 

テールダスが動く爆弾となって再び現れたのを目にしたことでかつての自分の過ちに苦悩すると共に、(動揺や自分のミスを補おうという焦りもあったとはいえ)「ここでテールダスを倒してしまえば人々への被害は出ないのでは...」とふと考えてしまった自分への「結局何も変わっていない」という後悔と失望を抱き、もうEYESの一員である資格はないと気落ちしてしまうフブキ隊員の姿はとても痛々しく、見ていてとても辛かったけれど、そんな彼を描く上でフブキ隊員の心情について「今ここで奴を殺してしまえば...」「あの時俺はテールダスが死ねば良いと思っていましたとかなり直接的な表現を用いて語らせたり想起させたりしていたのは個人的に凄く良かったなと感じるところ。

「倒してしまえば」みたいな多少やんわりとした表現でも全然問題はないけれど、ここでフブキ隊員がテールダスをどうしてしまおうと思ったかをハッキリと明示したことで彼の苦悩する内面がグッと引き立ったと思うので、こういう表現を敢えて用いて心情の深みを与えてくれた前川さんの言葉選びは素晴らしかったなと。

 

そんなフブキ隊員の「怪獣保護を最後まで諦めない」という精神性を形作った「出会い」とは怪獣を救おうと全力で戦い奇跡を為してみせるウルトラマンコスモスとの出会いであったことも語られ、ここはフブキ隊員が回り回ってムサシの諦めない強い想いに動かされ変化していたことを象徴する形になっておりそこがなんだかグッときましたね。フブキ隊員がコスモスに影響されたのが、単にコスモスに怪獣を救える大きな力があるみたいなところからではなく、諦めることなく怪獣達のことを救おうとする精神に感銘を受けたところが大きかったみたいな感じで描かれてるのも良いよね

またここから、EYESから身を引こうとするフブキ隊員に対し「逃げちゃダメだ!コスモスは逃げない...どんな時も、どんなことがあっても!」とムサシが呼びかける流れに繋がるのも実にストレートに熱かったところでしたね。この時のムサシ、EYESの一員としてフブキ隊員にもう一度立ち上がってくれと願う想いに加えて、コスモスの立場からフブキ隊員に諦めるなと叱咤するニュアンスも含んで呼びかけてるよなともちょっと感じるので、そういう意味でもなんか沁み入るものがあったわね

 

そして後半。

再び出現したテールダスの身体からミサイルを引き離すオペレーションにEYESが挑む中で、トレジャーベースを去ったフブキ隊員も飛び立っていくテックサンダーや逃げ惑う人々の姿を見て馳せ参じ、テールダスの身体から離れたミサイルの起爆装置を解除するべく奮闘。一度は諦めそうになるも上述のムサシの言葉で再び奮起し、すぐ近くでカオスヘッダーに取り憑かれたカオステールダスを必死に食い止めるコスモス共々命を賭けて全力で戦い、遂にミサイルを止めてみせるのだった!と、一度は自分の弱さに挫け前へと進めなくなっていたフブキ隊員が、自身の内から湧き上がってくる何かを守ろうとする想いに突き動かされて戦場へと駆けつけ、そして自身がコスモスとの出会いで得た決して諦めない勇気を再び思い出して立ち向かい爆弾を解除してみせることで、かつての自分の弱さを目に見える形でも精神的な意味でも乗り越えてみせたここの展開は凄く燃えましたね ここぞでフブキ隊員を突き動かすのがなんだかんだ言いつつもムサシの言葉であるという点や、覚悟を決めて再起したフブキ隊員が自分を変えてくれたコスモスと同じ場所に共に立ち、互いを信頼し命を賭けて戦うというシチュエーションが、今回の流れも含めたフブキ隊員のキャラ性の昇華として最高に熱かったなと。そして全てが決着した後、停止したNX弾の上に仰向けになって吹っ切れたように笑い叫ぶフブキ隊員の画で戦闘を締め括るのがまた気持ち良くてグッドでした てか市野監督のツイート見てあったしかにと気付いたポイントだけど、フブキ隊員が色々いじってたNX弾のセット、実寸大くらいのデカさのやつなのな 造形班の本気が窺える...

市野龍一★『Angel Sync 333』絶賛撮影中 on Twitter: "#ウルトラマンコスモス 第37話「フブキ退任?! 」 デカいミサイルをリアルサイズで作ってもらい、監督のボクが1番びっくりしてました(笑)良き時代でした。 -公式配信- 2週間限定配信 https://t.co/yoFgWnErZE"

 

ラストは、EYESの皆の下へ戻ってきたフブキ隊員と彼を迎え入れるムサシ達の姿を描いて締め。ムサシと茶けてる時のフブキ隊員がめちゃくちゃ楽しそうにしてるの微笑ましくて好き ムサシは意図してないだろうけど戻ってきた直後で固くなってたフブキ隊員をちょっと明るくする形にもなってて、やっぱこの2人のコンビは絶妙だなとなる

 

 

以上、コスモス37話でした。フブキ隊員の変化/成長を大きな苦境とその克服を通してより強く印象付け、彼のキャラ性をグッと深めた良いフブキ隊員主役回でしたね けっこう深く抉り込むような表現・作劇もあったけどその分よりストーリーの味わいが増したなと感じます 春風コンビの絆の深さもさり気なく感じさせる絵作りもグッドでした

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた