AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

失われた地平線

ウルトラマンコスモス

第19話「星の恋人」

感想レビュー

 

 

街中で出会ったレダのことを思い浮かべて勤務中にぼんやりしたり、施設見学の解説中レダが他の女性にいちゃつかれてるのを見て(私語厳禁というテイは守ってるとはいえ)突っかかったりと、レダ接触した後のアヤノがやたらレダに夢中になってるのってレダがアヤノの精神に干渉したからだよな、とか思ってたんだけど、よく考えたら後からレダがしっかり洗脳かけてるわけだから、あれはアヤノが素でレダに首ったけになってるだけかもしれんのよな 、とちょっと思い直したりした そんなんだから子供って言われるんやししっかりしろアヤノ()

しかししれっとムサシをショッピングに付き合わせているアヤノを見ると、この辺から物語はこの2人の少しずつ距離を縮める形に動いてきてたのかな...なんて思ったり

 

宇宙機デブリも低軌道では秒速7~8kmで地球を周回しているため、デブリが衝突する場合には相対速度は秒速10~15kmもの超高速衝突となります。これはピストルの10倍以上速い速度であり、小さなデブリでも巨大な運動エネルギーを持っています。そのため1cm以上のデブリが衝突すると宇宙機に壊滅的な被害を与えるとされ、数百μmのデブリでも、ハーネス等衝突場所によってはミッション終了につながる被害を与える可能性があります。また大きなデブリ同士が衝突すると、10cm以上のデブリが数千個発生するだけでなく、1cm級デブリ数十万個、1mm級デブリ数百~数千万個が発生することも懸念されています。

JAXA・研究開発部門-スペースデブリに関してよくある質問FAQ より抜粋

スペースデブリに関してよくある質問(FAQ)|JAXA|研究開発部門

 

宇宙開発のミッションに伴って発生しそのまま地球の衛星軌道上に残り続け、今現在も上述したような多くの危険な問題点を孕んで宇宙空間を漂い続けている人工衛星の部品や破片「スペースデブリ」。そのスペースデブリが外宇宙の民の脅威となったら...というのを一つのテーマとした今回の話。現実世界におけるある種の環境問題の提起を話に絡めつつ、きっかけになるのがただのデブリではなく廃棄となった軍事衛星であるというところで、外宇宙からの侵略者が多く訪れるウルトラシリーズならではの世界観も昇華させてきてるのが上手いところでした。

 

今回登場のミゲロン星人のカップル・レダとレカは、「宇宙の航行中に機能を停止していなかった地球の軍事衛星に宇宙船を自動的に撃ち抜かれて死へと追い込まれてしまった宇宙人」と立場としては完全なる被害者であり、もう永くはない命でありながら、恋人を亡くした憎しみで身体を動かし復讐のために地球で暗躍するレダの姿はあまりにも壮絶で胸にくるものがありましたね...一方の種族の問題に理不尽な形で巻き込まれて大切な人を亡くしたレダの激情は察して余りあるほどであるけれど、それによってなんの関係もない人々が巻き込まれることをこちらとて看過することはできず...と、本来であれば敵対することなどあり得なかったであろう者同士が争い合う形となってしまっているこの構図はあまりにも哀しいよなぁ...

 

しかしそんな争いの中において、恋人の憎しみを鎮めるため、そして地球とミゲロン星の間に不毛な禍根を残さないため、霊魂のような存在になりながらもレダの説得に現れたレカの想いは強く光りましたね。戦うのではなく分かり合おうとする形で、この何も生み出さない戦いを収めようとするムサシ/コスモスの身体を張った慈愛の姿勢と併せ、憎しみに突き動かされるばかりだったレダの心が氷解し、レダ自らが争いに終止符を打つ様は心を打つものがありました。

苛烈な感情に駆られる存在の心にも寄り添おうとする優しさ個人の一時の憎悪が共に分かり合える者同士の間に更なる争いを生むという可能性を広く見据え声を上げる勇気、それらが何かを変えるという展開はコスモスのテーマ性に強く当てはまるものがあり、悲しき争いに惑う今回の話において凄く大事なメッセージになっていたなと思います。

そんなレカとてもし生死の立場がレダと逆だったならば、大切な人への愛故に今回のレダと同じような気持ちを抱いたり同じような行動を取ったりしたかもしれないけれど、その時はレダが大切な人への愛故にレカを止めたのかな...とも思ったり。何かを想う時にその心に宿る慈しみ、それこそが大事なんだろうな、と

 

今回の怪獣・アングリラはレダの情念の化身とも言える怪獣で、人型のフォルムながらも体全体が酷く歪んだような顔を成しており、腕や脚にまで至る全体の形状が歪なアシンメトリーになったデザインは彼の乱れ荒れる執念とも言える心を表すかのようでインパクト大。マイナーな怪獣で活躍としてもぼちぼちではあるのだけど、秀逸なデザインをしていてなかなか好きな怪獣です。こういうかなり大胆なデザインした怪獣もっと増えて欲しいのよな

 

最後はEYESの面々で揃って星空を見上げ、レダとレカの幸せを願うと共に、宇宙が地球人だけではなく宇宙に息づく多くの生命のものであることを噛み締める、という情緒溢れる画で締め。今回のアヤノ、物語の準主役っぽい立ち位置だったけど結局レダの心境の変化に大きく掛かる感じの立ち回りはしなかったしそこはちと残念ね ムサシが洗脳中のアヤノに呼び捨てで呼びかける下りがあったりと、後の展開の伏線っぽい描写があったのでその伏線張りのための配置だったのかな、とも。やっぱその辺意識してたのかな?

フィクションを大きく当てはめすぎな話と言われるかもだけど、現実世界でだってなんの気無しに地球の衛星軌道上を通った生命体がスペースデブリの衝突によって命を落とし...みたいなことが決して起きないとは言い切れず、またそこからいつ地球人とレダの間で繰り広げられたような事態が起きるとも知れないのを思うと、現実世界で人類が宇宙進出を強く見据えるならば、地球人の間でさえ大きな問題となってるこのスペースデブリ問題には力を入れて解決に取り組んでいかないといけないなと思ったりしますね(その点に関しては、複数の企業がデブリ回収の技術開発に名乗りを上げたりと希望が見えているので、その希望の光を支えていきたいものですな)。

宇宙ごみ回収に日本のベンチャー企業が相次ぎ名乗り 宇宙の環境問題を技術で解決 - ITmedia NEWS

そしてムサシやレカのように、何かを慈しむ心を1人1人が強く抱いていくことも、また大事だなと

 

 

以上、コスモス19話でした。スペースデブリの問題をウルトラシリーズならではのSF的なアレンジを加える形で物語に絡めつつ、そこからコスモスの物語に通ずる「争うばかりではない、他者に寄り添う愛や慈しみ」というメッセージ性を濃く押し出したストーリーが胸に響く回でしたね

ムサシとアヤノが2人でいるカットが多かったりとこの2人の関係性についてさり気なく印象付ける描写もあって、このポイントが話の中で着実に深められていく様にも改めて注目したいですな

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた