AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

新たなる勇者

ウルトラマンコスモス

第65話「真の勇者」

感想レビュー

 

 

エネルギー枯渇寸前のコロナモードでもカオスダークネスをけっこう圧倒してて、コンディションの不調さえなければ倒せてたっぽい辺り、戦闘における純粋なポテンシャルは高い方なのが窺えるのよなコスモス この「力」という部分に焦点を当てたからこそ、この後の展開がより劇的になったと言えると思いますね

 

戦う以外の道を見据え駆けるムサシ。

傷付き消え入りそうな身体で地球のために戦うコスモス。

果てのない戦いと知ってなお身を投じるEYES。

カオスヘッダーの心へと果敢に呼びかける地球の怪獣達。

地球へと降臨したカオスダークネスを前に様々な想いが交錯し巻き起こる奇跡を描いた最終回。遂にコスモスの物語も完結へと至りましたね...5月半ばにスタートし約半年続いた配信、長かったようなあっという間だったようなという感じでありますが、ともあれ良い達成感

 

切り札のカオスキメラさえも物ともしない進化を果たしたカオスヘッダーを相手に、この先もお互い更なる力を手にしながら続けていかねばならない戦いの予感にヒウラキャップをはじめとした面々が身を強張らせる中、カオスヘッダーに宿った「心」に呼びかけ、分かり合おうとするムサシや怪獣達の姿が今回の話の肝でありました。秩序をもたらすという目的の下生み出されあくまでその目的に従い動いていたのだという、単なる善悪には括れないカオスヘッダーの本質を知った上で、そのカオスヘッダーが憎しみ、引いては感情というものを理解し自ら手に入れたことを、他者(の想い)を理解し通じ合えるようになったと信じ向き合おうとするムサシの姿勢は、これまでの出来事の中で感じた「血で血を洗い続ける果てのない戦い」への葛藤と、どんな相手とも理解できると信じ怪獣やエイリアン達と向き合ってきた彼の「共存/理解を夢見る」という大元の信念とが結びついて生まれた強い決意として光っていてとてもグッときましたね。物事を懸命に理解しようと努め、 真実を見極める目を持つ、という第3話で描かれたEYESの本懐をしっかり全うしてるのも良い。 特に「憎しみの感情を知ったならば、争いを憎む気持ちも理解できる筈だ」という投げかけは、悪感情として捉えがちな「憎しみ」という感情の、傷付け合うことや悲しみを生み出すものを良くないことだと感じ無くそうとする原動力としての側面を捉えた台詞として凄く好き。物事を色んな側面から理解し歩み寄るというのはまさに本作の在り方の一つなので、そこを秀逸に体現したよなぁと。

 

そんなムサシと同じくカオスダークネスの攻撃に何度も叩きのめされながらも必死に呼びかけ続けたリドリアスをはじめ、ムサシやEYESが救ってきた怪獣達がここで駆けつけカオスヘッダーに呼びかける展開も実に熱かった。ムサシ達の救い寄り添おうとする想い、共に生きようとする想いを見て人間達とも通じ合ってきた怪獣達が同じ想いを持って一緒に戦ってくれるというこの構図で、人間と怪獣の共存というところに一つ結実を見せてくれたなという感じで良かったなと しかしメビュートの時もけっこうバチボコにやられてたのに生き残り、ラスボス格にめっためたにやられたのに立ち上がり、とリドリアスもなかなかにタフよな 欲を言えばいっそのこともっと色んな怪獣が集まってきてくれたりもして欲しかったけど、アクターさんの人数とかの関係もあって難しかったか。バデータくんが来てくれるのとか見たくなかった?

 

ここから、強い決意を見せたムサシが再びコスモスと一体化し誕生したコスモス・ミラクルナモードと怪獣達の呼びかけにより、カオスダークネスはカオスヘッダー0へと変化。自身の中に宿る感情を自覚し穏やかになったカオスヘッダーが宇宙へと還っていったことで、血を吐きながら続けるマラソンには終止符が打たれました。カオスヘッダーの中に宿る感情を怪獣達やムサシが動かし、その感情を自覚しながらも憎しみに囚われ暴走するカオスヘッダーをムサシと一体化したコスモスが鎮め、そうして穏やかな心でもってカオスヘッダーが自身の感情を理解し受け入れたことで通じ合った、という感じで、カオスヘッダーを救い理解し合おうとする人々の想いが次々繋がって成された勝利、凄くグッときましたね...ヒウラキャップ達が傷付けるのではなく守り救おうとする形で立ち向かうという「TEAM EYES」としての戦いに回帰してコスモスを支えたのも最高に熱かった。穏やかな声色になったカオスヘッダーが最初は戸惑いながらも、もう争う必要はないと分かって空へと昇っていく様もまさに救われた感じがあり、実に本作らしい決着でありました。良かった

 

そしてラストシーン。カオスヘッダーとも分かり合う可能性を見せたムサシを讃え

「君はもう、1人で飛べる」

と激励し宇宙へと旅立っていったコスモスとの別れ、そしてコスモスともまたいつか会えると信じるムサシとEYESの仲間達の姿を情緒溢れる画で描く流れは数分のシーンながらもコスモスの物語の総まとめとして非常に濃密で今回の視聴でもとても沁みました。リアルタイム当時も印象深かったラストでしたね

また、この一連のシーンから続けて流れるEDテーマが前期のテーマ曲であった「君にできるなにか」になっていて、

夢を追いかけて

全てが変わる

というイントロの歌詞が、戦う以外の道を貫きカオスヘッダーとの共存も実現してみせ、仲間達と共に自らの力で夢を実現し進んでいける「真の勇者」となったとコスモスにも認められたムサシと重なる形になっていたのも実に粋であったところで、ムサシのコスモスとの出会いと積み上げてきた関係性を昇華させた締め括りとして最高だったなと。

コスモスと出会い、仲間達と共に前進・成長し続けてきたムサシが、自らの力で奇跡を起こし、理想を叶えるまでになった、というこの着地、鮮やかでありました。

 

 

以上、コスモス第65話でした。ムサシの理想を追い求める強い意志がカオスヘッダーとの共存を実現させ、その成長を共に戦ってきたコスモスも認める、という本作がこれまで描いてきたテーマ性を見事に集約し綺麗に昇華させた素晴らしいフィナーレ、とても感動しました。本作らしい優しく気持ちの良いテイストがしっかりと表現され、全ての魅力も余すところなく描き出された巧みな作劇も感嘆するところで、本当沁みるところ多しな名エピソードでしたね。

かくしてウルトラマンコスモス全65話、これにて完走と相成りました。これまでにも何周か視聴はしてきたけれど、週2話更新且つ感想込みのしっかりとした視聴ということで今まで以上に濃密な視聴体験となり、本作の魅力にいっそう近付けた気がします。独自性高めのテーマを沢山織り込みつつ、それらをしっかり特撮ドラマとして表現してみせた意欲作にして傑作だったなと改めて。

総括の方もいずれアップすると思うし、劇場版の方もゆくゆくは感想書けたらな、と思うので、もしその時はそちらもよろしくお願いします。ともあれ今回は一先ずこの辺で。最高でした

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた