AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

ニンゲン ト カンジョウ

ウルトラマンコスモス

第26話「カオスを倒す力」

感想レビュー

 

 

始動するカオスヘッダーの本格攻勢の序章、それを描く今回のストーリー。本作を代表する敵として要所要所で牙を剥いてきたカオスヘッダーがこれまで以上にガッツリと存在感を発揮してくる重要なエピソードであり、当時から印象深い回の一つですね

人間に興味を抱き、人間を無差別に拉致して感情を得ては解き放つという行動を繰り返すカオスヘッダーの暗躍の様子から物語はスタートしますが、突然光に包まれどこかに連れ去られた人間が、何者かに頭の中を探られる感覚だけを薄ぼんやりと残されたまま用済みとばかりに人気の無い場所に放り出される、というこのカオスヘッダーの暗躍の一連の描写はけっこうホラーな感じが濃くてゾッとするところ。こうして字面に起こして見ると、現実の宇宙人関連の事件として有名なアブダクション(宇宙人が人間をUFO等で誘拐し、対象の人間に未知の物質の移植手術・インプラントや対話を行うなどした後解放する(時に記憶を消されたりする)みたいな事例)」をオマージュしてる感じがあり、その手のオカルト話が好きな自分の琴線に妙に触れる部分があったのはそれでかとちょっと納得

ここ最近、ただ単に怪獣に憑依するだけでなく手を変え品を変えで人間を脅かしてきていたカオスヘッダーが遂に人間そのものを自分達の力の糧にし始めたということで緊張感高まる流れとなっていた今回のエピソードですが、それよりも前にカオスヘッダーが人間の感情に干渉してきた一件として第16話のカオスジラークの事件が今回の前振り的な役割を果たしてるのは物語の構成として面白いよなと。カオスヘッダーがコスモス達との戦いを経て着実に学習し進化しているのが感じられる

 

今回のエピソードでは、カオスヘッダーに父が誘拐され行方不明になったのを受け、出勤前の父と仲睦まじい親子の会話として交わした「何かあったら必ず助けに行く」という約束を果たすために奮闘する少年・正太が登場。

親と仲良しの純粋な子供が親を助けるために頑張る、みたいな親子愛を描いた系の話はシンプルに涙腺に響いちゃうので良くないですねこれ...(涙腺ゆるゆる) お父さんの良一さんがカオスヘッダーに憑依されてなお息子への愛を忘れない姿もグッときたし、正太少年がカオスヘッダーに憑依された父に呼びかけて正気を取り戻させるとこは優しいBGMも凄くマッチしててうるっときたしでこの親子周りの描写はどれも沁みたね...良一さんが正太少年のおねだりに応えて携帯買ってあげてそのことを電話越しにお母さんに話したりするとこの、平和な家族の光景のナチュラルな何の気ない雰囲気の絵作りとか凄く上手くて良かったなぁ 正太少年を演じられてた子役の子も、めちゃくちゃ感情表現上手い感じの子ってわけではないんだけどそのちょっと幼い感じが良い等身大を生んでて今回の話には凄く合っててグッドだったなと

父のいる東京まで何kmも1人で歩いて行く正太少年のガッツは驚きだけど、小さな子供って1人で頑張らないといけない時って周りの人に尋ねたりとかしながら意外と何でもできるからああいうのも意外とトンデモってわけじゃないのよね(スケールは違うけど自分も小学生低学年の時とかけっこう離れた場所から家までの距離をどうしても帰りたくて踏破したことあったりしたしなんとなく分かる) それが大好きな父の為となると凄い力を生むだろうし、こういうのがまたグッとくるところ

幼い頃の家族への想いがTHE FIRST CONTACTとかで描かれているムサシが正太少年の想いにシンパシーを感じて寄り添うところも話を引き立てていて実に良きでした。THE FIRST CONTACTもまた観たくなってきたね...

そんな中で覚醒する、実体カオスヘッダー第1号のカオスヘッダー・イブリース。「実体カオスヘッダー」というワードをヒウラキャップが噛み締めるように呟く台詞も相まって、カオスヘッダーが自らの肉体を得て顕現できるようになったという脅威度高めな事実がほんのりと緊張感を突きつけてくる演出が巧みでしたね。

イブリースはイスラム教における悪魔の王を指す言葉とのことで、筋繊維的な生々しい意匠を備えた厳ついビジュアルが正に悪魔という感じの中ボス格に相応しい威圧感があるのがカッコ良いですよねぇ 左右非対称の歪な造形がまた乙なもので。

コスモスvsイブリース戦は、カットを連続して切り替えながら格闘の応酬を描く演出や、イブリースが衝撃波を用いてコロナモードの光弾やキックを防いだり直接吹っ飛ばしたりといったバトル漫画的な構図を多用する演出といった効果的な魅せがふんだんに織り込まれており、パワフルなバトルがとてもカッコ良かったです。2人とも人型キャラだから組み合う格闘戦がめちゃ引き立つのよね

しかしTouch the fireをバックにキックや投げ技のフォームが力強く勇ましい今回のコロナモードのなんと華麗なことか。凄く惹き込まれました イブリースも体型がマッシブめでかなりスタイル良いから、吹き飛ばされたりするやられモーションがピシッと決まって戦闘シーンをより引き締めていて良かったですね

 

終盤、満を辞して実体を得たカオスヘッダー・イブリースは圧倒的なパワーでコスモスを圧倒するも、正太・良一親子が互いに再会を噛み締め合う光景を見たことで人間から得た感情の一つである「愛」に強く反応、理解しきれないその感情に実態のバランスを保てなくなってしまい、結果その隙を突く形でコスモスが辛うじて勝利を収める決着となりました。人間の持つ「愛」という尊い感情が「カオス=混沌」の悪意を破る流れは、カオスヘッダーが人間を弄び猛威を振るう中で、その脅威にも負けなかった正太を中心とした親子愛が深く描かれた今回のエピソードらしい良いものでしたね 引いては本作「ウルトラマンコスモス」のテーマ性を濃く表現した展開とも言えるでしょう

しかしこの親子の姿にカオスヘッダーが混乱させられるまでコスモスはほぼ劣勢状態で危うく負けかけており(決着後も満身創痍だったし)、実体カオスヘッダーの強力さを強く視聴者に印象付けることになりました。この脅威度の印象付けがあったからこそ、ここから程なくして訪れるカオスヘッダーの更なる攻勢の絶望感がより引き立つわけで...

またイブリースが戦闘中コスモスから吸収したコスモスの戦闘能力データ、これも後々大きな意味を持ってくるわけですが...これはまたいずれ

 

 

以上、コスモス26話でした。カオスヘッダー本格攻勢開始、という大きな展開の進展を描きつつ、そのカオス/混沌の脅威に打ち克つ「愛」も一つの家族の姿を通して深く描き出した非常にグッとくるエピソードになっておりました。イブリースとのバトルも見応え満点の演出多めで、実に満足度高めでしたね 後のカオスヘッダーの動向の激化も含め重要なエピソードであり、その辺も踏まえながら観てて凄く楽しかったです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた