AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

宿命に立ち向かう覚悟

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第9話「あの日の翼」

感想レビュー

 

 

隊長、前回のエピを経て「基本クールで渋い大人なキャラだけど、たまに真顔でシュールなこと言ったりする」的なところに着地しようとしとるな?()まぁ序盤は寡黙でクールなとこがメインで描かれてて正直キャラ的にあんま跳ねてないというか目立たない印象だったので普段でも一つ際立つものが出てくるなら良きことである

 

遂に本人へと明かされるユナの秘密、そしてベールに包まれていたシズマ会長の正体を軸にストーリーが展開された今回。全体的に大きな動きがあったわけではないけど重要なターニングポイントを一つ経た回と言えようか

 

前々より自分も予想してはいたけど、シズマ会長は元々ティガやダイナの物語の舞台になったネオフロンティアスペースの人間だったと判明。第1話のティガの回想などの見るからにといった感じの伏線は色々あった(思えばゴルバーをゴルザとメルバの合体と分かったのも、トリガー世界に以前出たことがあるからではなく元々の世界で見たから、だったんだろうか)のでやはりというとこではあったけど、本人の口から急に「私はこの世界の人間ではない」という言及があったもんだから虚を突かれてちょっと驚きましたね GUTS SELECTの名称や成り立ちは勿論、ナースデッセイ号やガッツファルコンも自分の知ってるものの名称や意匠を思いっきり落とし込んだんだろうな

てか何気に前回前々回のZ共演回がケンゴ達にとっての「別次元の世界の者達との邂逅」の前例になったおかげでみんながスッと今回のシズマ会長の真実を飲み込めており、ここで展開をスムーズに回してみせたのは上手い展開の活かし方だったなと

ただこのシズマ会長の真実自体は驚きの要素ではあったものの、それが明らかになったとてシズマ会長はシズマ会長ということには変わりないのでストーリーの本筋を大きく動かすほどの衝撃度はあまりなかったなというのが正直なところ。GUTS SELECTの成り立ちというところを掘り下げる意味では重要だったかもだけど、GUTS SELECT自体はあくまでトリガーという作品の一要素であるためそこにティガと関連させた理由付けをしてもあまり盛り上がらないとこではあり、総じてティガを知ってる人向けのファンサービス的な描写に収まった感は否めないかなぁ...という印象でした。今後またネオフロンティアスペースとの関連がより大きく活きてくる時があるかもだけど、ティガのオマージュ作とはいえトリガーはトリガーで楽しみたいなというのが本音ではあるので個人的にはあまり露骨には絡めないで欲しいかなぁ

 

また今回はそんなシズマ会長の真実に加え、シズマ会長のユナを守るという強い想い前回のラストから引き続いて描かれるアキトとユナの関係明らかとなった自身の宿命に向き合うユナの覚悟など様々な人間ドラマが展開されていましたが、前回のラスト的に今回一番フォーカスして描くべきであろうアキトが後からの参戦になってて微妙にストーリー上で引き立っておらず逆にシズマ会長の方が目立つ形になってたりと、それらの要素が微妙にとっ散らかってて少々まとまりが悪いように感じる展開運びになってたのは少し残念に感じたところでした。前回ユナが自身の秘密を知ったのをきっかけとして、その部分を少しずつ紐解くと共にその運命に翻弄されるユナを守ろうと誓い戦うアキトや会長の想いを描きつつ、ユナ自身が覚悟を固める様へと繋げる、的な一まとめの構成になってる感じがするのはなんとなく分かるんだけど、シズマ会長周りの要素が加わったことで少し接続が緩くなってしまった感があったかなという印象(アキトを会長やユナと一緒に同行させる形で描いておけば、会長とアキトの「ユナを壮絶な運命から守りたい」という想いが同じというところで2人をいっぺんに話の主軸にできて少しはまとまり良くなったかなと思う)

けれどシズマ会長の娘を守ろうと戦う姿は宅麻さんの渋みある演技も相まってとてもカッコ良かったし、守られるだけでなく自身を取り巻く宿命にしっかりと向き合う覚悟を決め、自身の中のユザレを自ら引き出し戦うユナの覚悟も強いヒロインとしての魅力が濃く引き出されてて非常にグッときたし、とこの辺の要素を昇華させた展開運び自体はユナ/ユザレを一つの軸として回っていくトリガーの物語を一つグッと引き締めてくれた感があって非常に良かったですね シズマ会長を純粋に渋さ引き立つおじさまキャラとして純粋にカッコ良く描いてくれてるのは嬉しいわい

回想で会長の奥様にしてユナの母であるユリカさんが演・逢沢りなさんで登場していて「お、ゴーオンイエロー」と他作品ではあるものの特撮にゆかりある方の登場にちょっとニヤリとしましたが、よく考えたらこれ「スマイルスマイル」繋がりか?() 確信犯か???()

 

そして戦闘。

今回の相手はガーゴルゴンで、「超古代の魔獣」的なイメージで寄せた感じもあってチョイスとしてはまぁまぁ悪くない感じでした。X、R/Bと続いて3度目の登場となるので(それなりにスパン自体は置いてるけど)流石に新鮮みは薄いかなというところでしたが、目的の対象であるユナ(ユザレ)を狙って突き進んでる最中、妨害しようとしてくるトリガーを肩に付いた他の首が独立して動き攻撃するという多頭怪獣の強みを活かしたアクションを見せており、これは今までの登場でも見せていなかった動きだったのでガーゴルゴンの新たな魅せ方としてなかなか良かったですね(本体自体はトリガーの方はノールックでそのまま突き進んでるのがそれぞれ独立してる感あって良き)。これまでのガーゴルゴンはそれぞれの首に意識があるような描写とかはありそうで意外となかったため、盲点となってた部分を上手く活かしてたなと

ちなみにガーゴルゴン、辻本監督曰くスーツがもう保たない状態にあるらしく、看取るつもりで最後の大一番を用意した感じだったとのこと。6年前の登場だったしそんなすぐに着ぐるみは傷まないと思ってたんだが、怪獣着ぐるみは諸行無常なのだなぁ...となんだかしみじみ Xでの初登場をカッコ良く強敵感マシマシに演出してくれた辻本監督に最後となるであろうTV本編を彩ってもらえたのは幸せだったかもね

辻本 貴則 / Takanori Tsujimoto on Twitter: "ガーゴルゴンはもうスーツの状態がいよいよ限界でして、最後を看取る思いで撮影。ガッツウイングがあの両肩の腕(首)を攻略していく姿を見せるのをテーマにしたので、ちょっとかわいそうなガーゴルゴンでした。 ノールックの稲妻撃ちは楽しかった。 ありがとうガーゴルゴン。 #ウルトラマントリガー… https://t.co/PJrVM94f72"

そんなガーゴルゴンとの戦闘シーン、視聴者的にはガッツウイング参戦の方が盛り上がったかもだけど、個人的にはガーゴルゴンを画面中央に置く形でガッツファルコンのフライト&攻撃を描くシーンとか、遠巻きのアングルでトリガーとガーゴルゴンを池に映り込ませながら2体の戦闘を描く画角などの、少し平成ウルトラシリーズの趣を感じさせる感じの特撮演出が色々盛り込まれてたことの方が嬉しかったですね。トリガーでは今まで、重量感を演出する感じのトリガーおよび怪獣のアングルや、縦横無尽のガッツファルコンのCGアクションなどといった演出がメインになっててこちらも非常にカッコ良かったところではあったけど、やはり平成期の演出が大好きな身としては上述したアングルとかの方が安心感あって好きね

それでいて墜落しそうなガッツファルコンをトリガーがキャッチするカットは下からのアングルで巨大感高めに演出したり、ゼペリオンソードフィニッシュのカットはバトル漫画じみた外連味ある上空からの振り下ろしで描かれたりと、ニュージェネならではの迫力・爽快感を醸す演出も外さず入れ込んでるのがまたグッド 後者は今までのニュージェネでもあまり描いてない演出だったので新鮮だったね

トリガーが少しずつ所謂スラッシュ系とも言う小技をちょいちょい使ったりもしてて戦闘に幅が出てたのも良かったところであり、この辺辻本監督が良い具合に魅せてくれたなと

 

ただまぁ強いて言えば、ガッツウイングの戦闘はシズマ会長が直接乗り込む形でやって欲しかったよなぁ...!とは。前回の予告ではそういう風に思ってたので、遠隔操縦なのが分かってちょっとだけ肩を落としたとこはある ゴーグルからの映像が途絶えたのでそれを脱ぎ捨て、心の目で見るが如くしてガーゴルゴンに手痛い一撃を放つ、というシーンをOPのアレンジ版をバックに描くところとかカッコいい場面は多かったけどね 格納庫のミニチュアに懲りようとかめちゃくちゃカッコ良かっただけにちと惜しいところであった

あとガッツウイングの戦闘中のBGMが「光を継ぐもの」なのはちょっと違ったかな〜、という印象 やっぱあれはティガの戦闘で流してこそなものだしなぁ

 

ラストにはユナの18歳の誕生日パーティが催され、ここでアキトとユナもぎくしゃくを取り払い仲直り、というオチに。しかしアキト、あんだけ一緒にいてユナ過激派みたいな空気感出してる割にはどういうのが喜ぶとかは分かってないのね() デコレーションしたスタンガンマジで悪趣味で笑った

しかしユナが会長から渡された古代のアクセサリーと呼応するように、研究室の石板には新たな記述が...

 

以上、トリガー9話でした。シズマ会長の真実や、ユナ本人や彼女を取り巻く者達の覚悟を描くストーリーで、多少引っかかる部分は多かったけどメリハリの効いた特撮演出なども含め見所は多く楽しかったかなと。

今回ティガとの関連性も少し仄めかされ、今後それが大きく影響してくる可能性も浮上したけど、個人的にはトリガーはあくまでティガオマージュというところに重きを置いて描いて欲しい作品であるので、そちらが主張しすぎるようにならないかは少しだけ不安。見守っていきたいところです

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた