AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

家が紐解く“闇”

変な家(著:雨穴)

感想レビュー

 

 

先日、全身黒タイツに白面の異様な出立ちで知られるウェブライター・雨穴さんの「とある一軒家で見つかった、不気味なビデオテープの真相」なるドキュメンタリー仕立ての不動産ホラードラマの動画(※下記リンク参照)を拝見する機会があり、雨穴さんの作品にがっつりと触れるのは今回がほぼ初めてだったのですが、緻密な人間ドラマを絡めて織り成される重厚なストーリー、不気味な事実が次々明らかになるたび背筋の凍るような感覚を突きつけてくる良質なサスペンスミステリー構成、じっとりと貼り付くような(良い意味での)生理的な嫌悪や後味の悪さを感じさせるホラーな雰囲気の創出など、そのクオリティの高さに深く感銘を受けたため、他のシリーズも見てみたい!と思い2ヶ月ほど前に雨穴さんが発売されたという不動産ミステリー小説「変な家」を2021年9月29日に購読させていただきました。

サクサクと読み進め購入当日に読了致しましたが、本作も読み応え抜群の非常に面白い1作でしたので、簡単にではありますが感想をしたためさせていただきます。内容には軽く触れながら話しますが核心に触れるバレは入れないつもりです

しかし本ブログでもアニメ・特撮・映画以外に漫画や小説のレビューもできたらなとは思っておりましたがよもやこれが一発目になろうとは

※↓上記の「とある一軒家で〜」のYouTubeのリンクです。ホラー風味強めでありつつ急な脅かし等も無く苦手な人も見やすいであろう良作ですので是非一度ご覧になってみてください。

とある一軒家で見つかった、不気味なビデオテープの真相 - YouTube

 

本作は著者の雨穴さんご本人を主役に据え、ある時舞い込んできた家の間取りにまつわる奇妙な謎についての相談を受け彼がその調査に乗り出すも、その調査の中で家についての疑問を紐解いていくうち、不気味な想像とそれを裏付けるかのような不穏な事象に次々直面していく...というあらすじで進んでい一種のホラードキュメンタリー的な雰囲気を纏った4章構成の不動産ミステリー作品。

本作は小説という形式を取って活字で話が進んでいく形にはなっていますが、一般的な小説に比べると字はやや大きめで、ストーリー展開も雨穴さんの独白や登場人物達の会話がメインになって進んでいくようになっているので小説に慣れていない方にも読みやすいフォーマットになっていると思いますし、また「家の間取り」というのがテーマになってるのもあって、作中で舞台となる家の間取りについての話題が上がるたびこれでもかというくらい家の間取り図が掲載される、しかも話が進展し間取りについての謎が解明されるとそれを反映させ追記がなされたりした間取り図が掲載されるので、作品の展開を明確なイメージと共に読み進められるのも非常に良いポイントでした。特に後者に関してはイメージがハッキリと湧くようになってる分、家の間取りを取り巻く謎にまつわる情景についての、作品全体に滲み出る不穏さや不気味な空気感がまるで詳細に頭に浮かんできてるかの如きリアルな質感をもって読み手に染み入ってくるので、本作のホラー感を引き立てる良い演出になってたなと。クライマックスに差し掛かろうという3章にて描かれる家の間取りのイメージは個人的に想像して見てもかなりゾクっとくるものがあって好み 描かれる家のある構造は小説作品としては活字が苦手な方にもオススメな一冊だと思います。

 

そして本作の魅力はなんといっても、「家の間取り」というところにまつわるちょっとした違和感を起点に様々な謎が一つ一つ紐解かれ、家という何より身近な場が異質な不気味さを帯びていく様を感じさせてくるホラーテイストの濃さ、および思わぬところから秘密の解明に繋がる鍵が見つかるスリル、そして話が進んでいくうち点と点が線で繋がり当初のスケールからは想像もつかなかったほどに壮大な全貌が見えてくる爽快感と、底知れぬ闇をまとったゾッとするような真実が否応なしに突きつけられてくるおぞましさが渾然一体となったミステリー作品ならではの読み応えにこそあるなと感じます。既出の要素にも話が進むと思わぬ秘密が見えてきてそれに驚かされる、ということは作中何度かあり、その衝撃、というかどんでん返しのハラハラ感は是非是非味わっていただきたい。総じてホラー・ミステリーそれぞれジャンルの持ち味を上手く調和させつつ存分に活かし切った、非常に読み応え満点のストーリー構成だったなと 衝撃の真実が明らかになるたび「え⁉︎」て感じでめちゃくちゃ素直に驚く雨穴さんは本作のオアシスなのでこちらも必見() 「とある一軒家で〜」とかの動画観てると分かるけど、雨穴さんあんなビジュアルに反して喋り方やリアクションが割とかわいいんだよな...w

またそんな展開の中において、人によっては読み進めることを躊躇ってしまうやもしれないほどの想像を絶する闇に満ちた真実、そしてその中に息づく物悲しくも沁み入る人間の情といったものが読み手の感情を揺さぶってくる濃密なドラマは必見。最後の最後までしっかり読んで、強く強く震えていただければと思います。

 

 

以上、簡単にではありますが「変な家」の感想レビューでした。読み手にリアルな緊張感や不穏さを感じさせてくる作風や演出の数々、濃密に練られたドラマと非常に良質なホラー・ミステリー作品だったなと思います。今感想を執筆してる際も良い読後感に浸ることができており、自分的に実に良い作品に巡り会えたなと。

本作は第1章にあたる短編ストーリーが小説発売よりもずっと以前に雨穴さんご本人によって記事として投稿されていたり、それを映像化したドラマ仕立ての動画がYouTubeの雨穴さんのチャンネルに投稿されていたりしていて(ここから広げる形で本作のストーリーが作られたのかな)両方とも無料で閲覧可能であり、下の方にそれぞれのリンクも貼っておくので気になった方はまずそちらだけでもご覧になって、この真相は一体...!?という感じで興味が湧かれた方は是非小説の方も手に取ってみてくださいね オススメです

↓雨穴さんの記事リンク

【不動産ミステリー】変な家 | オモコロ

↓雨穴さんのYouTubeチャンネルの動画リンク

【不動産ミステリー】変な家 - YouTube

 

Amazonのリンクも貼っておくので気になった方は小説の方もどうぞ

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた