AnDrew’s小生意気レビュー記

作品の感想レビュー記事をメインに投稿しています。作品への造詣を深め楽しみつつ、それを他の方々とも共有できる場になれば。よろしくお願いします。

出会う運命

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

第12話「三千万年の奇跡」

感想レビュー

 

 

倒れたトリガーダークに手を差し出すダーゴンさんのシーン、かつてのトリガーとの関係性や根っこの武人気質が表れていてさり気ないけど良い描写だった 気が立ってたトリガーダークに手を振り払われた挙句ボコされてて可哀想だったけど...不憫()

 

闇の巨人としてのトリガー、トリガーダークに相対するケンゴ達の想い、そして覚醒する金色のトリガー誕生を描いた今回の話。

前回の時点で薄々感じられていたところではあったけど、トリガーが闇の巨人から光の巨人へ転じたこともケンゴがトリガーと出会う前から不思議な力を手にしていたことも、時を越え超古代の時代へやってきたケンゴがトリガーの正義の心を目覚めさせ、同じ光の下に2人が一つとなって戦った後分離し、悠久の時を越え再び出会う、という流れがトリガーとケンゴを取り巻く歴史の一部として存在しているが故の必然みたいなものだったわけですね。ネタバレになるから具体的な例えは言えないけど、「過去に行って何かを実行する」という物語の中でも一行動が、話全体の流れの一過程に最初から組み込まれていたというよくあるアレだ

光の巨人トリガーとの出会いを経たケンゴがやって来るからこそ超古代の時代におけるトリガーは光の巨人となれた、ということで2人の出会い、ケンゴの戦いは運命付けられていたものだったと。そういうところでケンゴについて「運命」どうこうと言われてたわけだったんですな(ケンゴの不思議な力も多分トリガーとの一体化・分離が要因でケンゴに好転的に宿ったものか何かで、しかしそれを持ってトリガーダークを超古代の時代に止めることが運命づけられてる故にトリガーと出会う前の後の時代のケンゴに受け継がれた、的なとこだろうか まぁこの辺はレイナさんが最初何かを知ってたっぽいとこと繋がるのかもしれんが)

 

というところを主軸に、序盤はケンゴとトリガーの関係を掘り下げつつトリガーの光の巨人への目覚めの展開を描くストーリー運びに。

ここでのケンゴとトリガーダークのインナースペース的な空間での対峙は絵面としてはトリガーの心を動かす流れとして熱いものではあったとも思うけれど、やはりトリガーダークが全然言葉を発さないせいでその内面がこっちからしたら全然伝わらず、なんとなくふわっとトリガーダークが絆されたように見えてしまったのは惜しかったところ。ケンゴの台詞回しも個人的にはなんかピンとこないというか、上手いことトリガーを動かすような感じのニュアンスを込められてなかった印象だったしそれがより輪をかけてしまった感じがある 前回の感想でも少し触れたように、喋らせないことによるキャラ付けみたいなのを意識したのかもしれないけど、ケンゴとの直接の対峙で変化を描くとなるとトリガー本人の人となりや内面も分かるように描くことが必要だろうに、そこが上手く機能しないようなキャラ付けにしてしまったのはぶっちゃけ失敗だったなと。ケンゴに動かされた後のトリガーダークの顔を見てケンゴが「やっと笑ったね」って言うシーンは、 第10話でダーゴンの表情をちゃんと読み取った一幕が効果的に引き立ったのもあって、ケンゴの良さが出ててちょっと好きなシーンだったが

またケンゴがトリガーに向けて言った「君はボクなんだね」の台詞も、上記のケンゴとトリガーの関係性を踏まえればニュアンスは掴めるんだけど、トリガーの姿がケンゴのビジョンに置き換わるという演出まで入れたのはちょっとややこくない?とも よくある演出でもあるけどあそこまで直接的な感じの意味合いを含むものでもなかった気がするし、ちょっと象徴的な描写にしすぎた気がしました

 

そこから光の巨人となったトリガーが闇の3巨人に挑んでいく下りや、ピンチのトリガーを救うためにユザレがやむなくエタニティコアの力で彼らを石像に変え封印する下りも、彼らの石像化やユザレの涙の理由など、あらかじめ示されていた要素との接続のために描いてるって感じのどこか作業的な描写という印象だったのがなんとも微妙なところ。トリガーの覚醒という曲がりなりにも熱い流れがあったのにユザレとエタニティコアありきで畳むのはちょっと強引だったかなぁ あとトリガーが突然何の説明もなく各形態に分身するの、本当に何の説明もなかったけど何だったのか 結局パワーもスカイもダーゴンさんとヒュドラムに割とあっさりやられるから盛り上がりにもならなかったし 監督繋がりでジード最終回のジードマルチレイヤーの構図をなぞったのかな、と一瞬邪推もしたけど、今回の監督は武居監督だったしなぁ...分からん

でもここのシーンに関しては、石化した闇の3巨人を自分も石化しながらも宇宙へ放逐し、そのまま完全に石化して火星へと落下したトリガーがどうしてあんな逆三角形のピラミッドに収められ眠っていたんだろう(誰があんなもん作ったんだろう)という謎も残ったのでそこが少々気になるところですね。謎が大方解明されたし今後回収されるか分からんけどまぁ気には留めておきたい要素

 

その後、現代においてケンゴが抜け出たことでトリガーダークとなって暴れるトリガーとGUTS SELECTの面々の対峙、そしてケンゴの帰還が描かれる流れへ。暴れるトリガーにケンゴが入っていると思って必死に呼びかけたり、どうしても何も届かずこれ以上暴れるなら自分が引導を渡すとケンゴの仲間として強い意志を見せるアキトの姿は素直にカッコ良く、この部分は非常に良かったですね。現状どの程度残ってるのかはっきりとは示されていなかったアキトのコンプレックスについても、「お前を信じてウルトラマンになるのを諦めたんだぞ!」とアキト自身が「ウルトラマンになること<ケンゴ」と叫び伝えることで答えを示してきたところは実に熱かった。他にも帰ってきてヘトヘトのケンゴに肩を貸しつつ「いつものスマイルスマイルはどうした?」なんて軽口を叩いたりと、積み上げてきたケンゴとの関係値の高さがようやくグッとくる感じで描かれたのは嬉しいところ

一方で、ユナの方はケンゴの正体を知る流れなど色々目を惹く展開自体はあったけれど、正体バレの流れがあっさりしていてあんまし活躍として映えなかったのでちと残念。ケンゴを信じる下りや彼の帰還を喜び駆け寄るシーンも、そもそも今までケンゴとのユナの関係値がほとんど積み上げられてなかったせいで主人公とヒロインの絡みとして全然ピンとこなかったのはなんだかなぁ...という感じである その手のケンゴとの積み上げをほぼ全部アキトが持ってくから...どっちがヒロイン?() 描こうと思っても描けなかったというのもあるとはいえ、こういうキャラ同士の幅広い絡みを描かなかった皺寄せがこの山場に効いてるのは痛いなぁ

 

そして現れるは、エタニティコアの力の欠片を手にし生まれるトリガーの最強形態・グリッタートリガーエタニティ。エタニティコアの強力な力由来なのもあって技の一つ一つは強力なものの、ゼペリオン光線を普通に撃っても威力が強すぎて上手く制御が出来ず、グリッターブレードを使った技でも使うたびエネルギーの消耗の激しさにへたってしまう、と燃費が悪いというリスクが示されていました。この辺パワーバランスの付け方やエタニティコアの力への説得力の付与としては面白かったけど、大技を使うたびへたってしまうトリガーの姿が描かれていたのは少々締まらなかったなぁ 一応最強形態のデビュー戦なんだから曲がりなりにもカッコいい場面の方を多くしておいて欲しかったというか、リスクの描写にしたってヘトヘトになってるところを3度も挿入して印象付けんでも、という感じ

それにその登場経緯が、ユナを通して現れたユザレの魂がサッと出してきたエタニティコアの力で変身、なのはちょっとあっさりが過ぎるんちゃう?というのが正直なところだったなと。平成ウルトラ世代の身からするとティガの系譜を継ぐウルトラマンの「グリッター」の名を冠する形態というと、多くの者達の希望の光が集まって生まれる奇跡の力というのがミソになるわけで、こんなサクッと済ませてしまうのがいかがなものかと思ってしまうなぁ 今のご時世的に沢山人を集めてそういう下りを実写で描くのは難しい...というのもあるかもだけど、それこそメインキャラ一同のトリガーへの想いを束ねる、みたいなアプローチでフォーカスしたりしてティガの「グリッター」とはまた違う味わいを出せるというものであり、作業的な生成で終わらせないでもっと色々煮詰めて盛り上げて欲しかった

 

と、グリッタートリガーエタニティの力で闇の3巨人を退けトリガーダークを撃破したものの、それを見ていたイグニスの中に闇が雪崩れ込むという不穏な様子が描かれて締め。イグニスがそっち方面に向かうことは色々示唆するものがあったけど、ここを起点にイグニスが変身するトリガーダークがまた現れる可能性あるなぁ 一応鳴り物入りで出てきた存在だしトリガーダークがここで終わりにならないっぽいのは嬉しいね

てかトリガーダーク一度倒したはいいけど、あそこでほぼガワだけだったかもとはいえ「トリガー」をやっつけてしまったのちょっと引っ掛かる描写ではあったなぁ...(ケンゴもそれについて何も言わないし) 超古代の時代に分離した時ケンゴの方に「光」としてトリガーの意思も残り(それがケンゴの不思議な力だったのかも?)、トリガーダークだった頃の闇の力だけがガワに残った(それがカルミラの呪術で擬似的な意思を持って今回目覚めた?)、とか色々解釈はできるけど、一応トリガーの身体そのものに違いはないんだしその辺もっと気にして描くべきだったのでは...

 

以上、トリガー12話でした。ケンゴとトリガーの関係についてやグリッタートリガーエタニティの覚醒など見所自体は多くて光る部分もちらほら見られはしたけど、細かな部分の引っ掛かりなどが多く盛り上がりには直結しなかったな...というのが正直な印象。所々の描写が少々象徴的というどことなく雰囲気で表現しようとしてるところが大きい感じがあったり、ここぞでの展開運びがあっさりしてるような印象を受けたりとあまり上手いこと回せてたとは言えないかなぁ 個人的にあまりハマれないまま半分が過ぎてしまったウルトラマントリガーですが、期待してるとこも少なくはないのでここから巻き返せると良いんだが

 

というわけで今回はこの辺で 最後まで読んでいただきありがとうございます

次回もよろしくお願いします 気に入っていただけたら記事の拡散等していただけると喜びます!

ではまた